杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

フラッグ・デイ 父を想う日

2023年07月20日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2022年12月23日公開 アメリカ 108分 PG12

1992年、全米にショッキングなニュースが流れる。アメリカ最大級の贋札事件の犯人であるジョン(ショーン・ペン)が、裁判を前にして逃亡したのだ。彼にはジェニファー(ディラン・ペン)という娘がいた。父の犯罪の顛末を聞いたジェニファーは、こうつぶやく──「私は父が大好き」。史上最高額の贋札を非常に高度な技術で偽造したジョンとは、いったいどんな男だったのか?父の素顔を知っても愛情は変わらなかった娘との関係とは?ジェニファーが幼い頃から「平凡な日々を見違えるほど驚きの瞬間に変えた」父との思い出を宝物のように貴い、だからこそ切ない日々がひも解かれていく──。(公式HPより)


ジャーナリストのジェニファー・ボーゲルが2005年に発表した回顧録を原作に、愛する父が実は犯罪者だったと知った娘の葛藤と家族の絆を、実話を基に描き出いた人間ドラマです。ショーン・ペンが構想15年をかけて監督・主演を果たし実娘ディラン・ペンと父娘役を演じています。

タイトルの『フラッグ・デイ』は、6月14日のアメリカ国旗制定記念日です。
この日に生まれたジョンは、自分は生まれながらにして祝福されているのだから、特別な存在として成功する当然の権利があると信じていました。傍から見たら全く根拠のない思い込みですが😅 

幼かったジェニファーにとって父はヒーローで憧れの存在でしたが、彼は家族の前に現れては消える生活を繰り返していました。
1975年夏。突然戻ってきたジョンは農場を購入し荒れ果てた家を修復します。しかし妻パティ(キャサリン・ウィニック )と4人の幸せな暮らしは長く続かず、借金が膨らんだジョンは再び姿を消します。借金を押し付けられたパティは酒浸りとなり、見兼ねた伯父のベック(ジョシュ・ブローリン) がジェニファーと弟のニックをジョンに預けます。
ジョンの新しい恋人と4人で毎日楽しく過ごしますが、また借金に追われ再び母に引き取られることに。祖母(デイル・ディッキー)は「フラッグ・デイに生まれた男はクソだ」と自分の息子を罵倒します。
1981年。高校生になったジェニファーは母の再婚相手に襲われそうになり、家を出てジョンを頼ります。借金を抱えていたジョンでしたが、最愛の娘のために真面目に働き始めます。フラッグ・デイ(父の誕生日)に、ケーキとメッセージを添えて子供の頃に父が描いてくれた絵を入れたペンダントををプレゼントしたジェニファーに、ジョンは感激の涙を流しながら「ずっとお前の傍にいる」と娘を抱きしめました。
でも、ジョンは仕事なぞしておらず、強盗で捕まってしまいます。面会に行ったジェニファーは、本当のことを言ってと懇願しますが、ジョンはただ「信じてほしい」と繰り返すだけでした。

ジェニファーは独りで旅に出ます。ジョンは刑務所からジェニファーへ手紙を書き続けますが、彼女はあちこち放浪していたので手紙を読むことはありませんでした。
ジャーナリストを志し大学を優秀な成績で卒業し新聞社で働き始めたジェニファーの前に出所したジョンが突然現れ、週末を一緒に過ごそうと誘います。
でも父に裏切られたと感じていた彼女は仕事を理由に断ります。その後も何度もかかってくる電話に根負けし、一緒に週末を過ごしたジェニファーに、ジョンは仕事が見つかったと話し、これまでのお詫びだと言って高級車のジャガーをプレゼントすると言い出しました。それが全部嘘だと察したジェニファーは、全く変わらない父に絶望して去っていきました。

1992年6月。父の存在を振り払うかのように仕事に邁進していたジェニファーの目に、店のテレビから流れるニュース速報が飛び込んできます。2200万ドルの贋札を印刷しアメリカ最大級の贋札事件の犯人ジョンが、裁判を前に逃亡しカーチェイスの末に警察に追い詰められピストル自殺する姿をじっと見つめていた彼女の頬をゆっくりと涙が伝います。そして冒頭のシーンに戻り「私は父が大好き」と静かにつぶやくのでした。

ジョンはどうしようもない人間ですが、娘への愛情だけは本物で、それを一番わかっていたのもジェニファー自身だったのね。
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