杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

スオミの話をしよう

2024年09月13日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2024年9月13日公開 114分

豪邸に暮らす著名な詩人・寒川(坂東彌十郎)の新妻・スオミ(長澤まさみ)が行方不明となった。豪邸を訪れた刑事の草野(西島秀俊)はスオミの元夫で、すぐにでも捜査を開始すべきだと主張するが、寒川は「大ごとにしたくない」と、その提案を拒否する。やがて、スオミを知る男たちが次々と屋敷にやってくる。誰が一番スオミを愛していたのか、誰が一番スオミに愛されていたのか。安否をそっちのけでスオミについて熱く語り合う男たち。しかし、男たちの口から語られるスオミはそれぞれがまったく違う性格の女性で……。(映画.comより)


三谷幸喜が5年ぶりに監督を手がけ、彼のオリジナル脚本で、突然失踪した女性について、彼女を知る5人の元夫たちと現夫が語るミステリーコメディ作品で、終始クスクス笑いが起きる楽しい映画でした。

「誰が一番スオミを愛していたのか」「誰が一番スオミに愛されていたのか」とスオミの安否そっちのけで熱く語り合う男たちが滑稽で可愛いの。😁 

最初の夫である庭師の魚山(遠藤憲一)は、スオミが中学生の時の体育教師で彼女が20歳になるのを待って結婚しました。2番目の夫は怪し気なユーチューバー・十勝(松坂桃李)で、3番目の夫は警察官・宇賀神(小林隆)。4番目が草野で5番目が寒川です。
予告CMで彼らがソファに一列に並んで十勝が「おっさん・イケメン~」と指摘していましたが、それ以外にスオミの好みの法則は浮かびませんね。

彼らの思い出の中のスオミは、見た目も性格もまるで別人です。(種明かしで見せるスオミ(長澤)の5人の夫へのそれぞれの対応の演じ分けが見事でした)
魚山に対してはツンデレに振る舞っていましたが、草野には気弱で従順な態度を見せていました。寒川は料理上手と言いましたが、草野の記憶にあるスオミは料理ができません。離婚後もスオミは夫たちと連絡を取っていました。失業した魚山を寒川に庭師として雇ってもらったのが彼女だったこと、料理上手な魚山が寒川家の食事や子供の弁当を作っていたことも判明します。

脅迫文が届き、3億という身代金要求の電話もかかってきて、いよいよ誘拐とわかっても、ケチな寒川は要求に応じようとしません。それを他の4人が説得して何とか金を用意し、犯人の要求通りにセスナに乗り込んで向かう中でもあれこれとスオミについて熱く語る面々です。身代金投入の際のシーンはまさに「ありえね~~」展開ですが、ここまで誇張してたら逆に「あり」かも😓 

しかし、寒川がケチって(魔がさして)お金を入れていなかったため、スオミは解放されません。
ここまできて、遅まきながら草野が真相に気付いたことから事件は一気に解決へとなだれ込んでいきます。

草野の部下・小磯(瀬戸康史)が癖の強い5人の夫たちに振り回されながらも奔走する姿は 狂言回しの役割かな。
寒川の世話係・乙骨(戸塚純真)の献身的だけどどこか不自然な動きや、スオミの親友・薊(宮澤エマ)が、ある時はインテリアコーディネーター、ある時はママ友と、スオミの行く先々に現れるのも終わってみればしっかり伏線になっていました。
ちなみに イタリアンレストランの店員役で三谷作品常連の梶原善も出演しています。彼が出て来るだけで笑いが・・

スオミは夫となった人の好みに合わせるようにキャラを作ってきましたが、やっと本来の自分のままで生きようと決めたってことですね😀 

エンディングのカーテンコールはブロードウェイ風ミュージカル仕立てで出演者が総出演しています。「ヘルシンキ」の作詞は監督自らが手がけていて、作曲は『ザ・マジックアワー』以降の三谷映画の音楽を担当する荻野清子。 ダンス未経験者が多い夫たちの微妙なずれ具合もご愛敬です。😀 

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする