杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

ミセス・ハリス、パリへ行く

2023年05月13日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2022年11月18日公開 イギリス 116分 G

1950年代、第2次世界大戦後のロンドン。夫を戦争で亡くした家政婦ミセス・ハリス(レスリー・マンビル)は、勤め先でディオールのドレスに出会う。その美しさに魅せられた彼女は、フランスへドレスを買いに行くことを決意。どうにか資金を集めてパリのディオール本店を訪れたものの、威圧的な支配人コルベール(イザベル・ユペール)に追い出されそうになってしまう。しかし夢を決して諦めないハリスの姿は会計士アンドレ(リュカ・ブラヴォー )やモデルのナターシャ(アルバ・バチスタ )、シャサーニュ公爵(ランベール・ウィルソン )ら、出会った人々の心を動かしていく。(映画.comより)

小説家ポール・ギャリコの原作「ハリスおばさんパリへ行く」の映画化です。

戦地から帰って来ない夫のエディを待ちながら、家政婦として働いているハリスの元に届いたのは夫の死の知らせでした。彼女は女優のパメラ(ローズ・ウィリアムズ)とダントの家で働いていますが、パメラはだらしなく、ダント夫人は給与をなかなか払ってくれません。そのくせ高価なクリスチャン・ディオールのドレスを夫に内緒で買ったりしています。そのドレスに魅せられたハリスは、サッカーくじに当選したことをきっかけに、同僚で親友のヴィにディオールのドレスを買う決意を話します。友人のアーチー(ジェイソン・アイザックス)が働くドッグレース場に招待されたハリスは、オートクチュールと言う名前の犬をラッキーネームと思い込み、アーチーの反対を押し切って大金を掛け、全て失ってしまいます。失意の帰り道、高価そうな指輪を拾ったハリスは警察に届けます。
全財産を無くしたハリスの前に、英国空軍の担当者が訪れ、戦争未亡人に多額の未払い金を払うと言われます。更に警官から指輪の落とし主から謝礼が貰えると言われ、無謀な賭けを見兼ねてこっそり別の犬に賭けていたアーチーからも、高額の配当金を受け取ります。
ここまでも十分にシーソーゲームのような展開ですが、彼女の人柄や度胸の良さも窺える導入部となっていました。

パリ行きの機内でのハリスは、離陸の際に隣の席の紳士にしがみついたり、寄りかかって寝てしまったりと年齢を経た女性特有の無意識の図々しさが逆に可愛く見えます。運行が遅れて夜に着いたため、駅で夜明かしするハリスですが、ホームレスの男性たちにも気後れせず振る舞い、朝になるとその中の一人がディオールの店まで案内してくれます。
店の前でモデルが落とした鞄を渡した後、受付でショーに参加して服を買いたいと言いますが、相手にされません。追い返そうとするクロディーヌと口論になり「お金ならある」と札束を取り出したハリスを見て、資金難に悩む会計士のアンドレは現金払いの彼女をショーに入れようとします。この様子を見ていたシャサーヌ侯爵はハリスに好意をもち、連れとして入れてくれます。
侯爵の隣の席でショーを楽しんだハリス。その隣に座ったディオールの上客であるアバロンは労働階級の見知らぬ女性であるハリスに不快感を持ち意地悪して、ハリスが気に入ったドレスを横取りします。

このメゾンでのファッションショーに登場する数々のドレスのデザインは、『クルエラ』のジェニー・ビーヴァンにより、ディオールが手がけたデザインを緻密に再現しているそう、まさにため息がでる美しさ・豪華さでした。

2番目に気に入ったドレスではとアンドレに提案されますが、採寸・仮縫いなどで完成まで2週間かかると言われ宿泊先もないと諦めようとしたハリスを、彼は自宅に泊まるよう言います。
(当時、パリは労働待遇を巡るストの真っ最中。ディオールの従業員たちは尊大な顧客より自分たちと同じ労働階級のハリスを気に入り親近感を持ったようです。)

早速採寸し、ナターシャ(鞄を届けてもらった女性)が車でアンドレの家に案内します。この時パリの名所をぐるっと回ってくれています。散らかった部屋を掃除し料理を作って二人を喜ばせるハリス。まさに本領発揮ですね。
ハリスはアンドレがナターシャに好意を抱いているのに気付きます。
シャサーヌ侯爵は、ハリスを花市場や食事、夜のキャバレーに連れて行きます。妻を亡くしている侯爵にロマンスの期待をしてしまうハリスの気持ちもわかるな~~。シャンパンとダンスを楽しんだハリスは翌日寝坊してディオールの約束の時間に遅れてしまいます。怒った担当者に製作を拒否されたハリスに同情した社員の一人が、職場を案内してくれます。偶然立ち寄ったクロディーヌはハリスがボタン付けをしているのを見て驚きます。クロディーヌは「ドレスを買ってもどこで着るの?あなたはディオールに相応しくない」と馬鹿にしますが、他の社員達はハリスを気に入って、彼女のドレスを仕上げることにします。

アンドレはハリスにディオールが財政困難な状況にあることを説明し、クロディーヌが彼のアドバイスを受け付けないことを話します。
ナターシャが有名俳優と一緒にいるのを目撃しショックを受けるアンドレに「彼女はそれが仕事だから→恋しているわけではない」と励ますハリス。

シャサーヌの家に招待されたハリスは、ロンドンの寄宿学校時代の写真を見せられ、子供の頃に優しく接してくれた家政婦に似ていると言われます。侯爵が自分に興味を持ったのは恋愛感情ではないと気付いたハリスはショックを受けます。侯爵に悪気はないとわかっているだけに傷つくよな~~。

ディオールから私物を抱えた社員たちが大勢出て来ます。解雇に抗議する社員たちがクロディーヌに詰め寄る中、ハリスはアンドレと従業員を引き連れて、オフィスに行き、ディオール自身に面会を申し込みます。アンドレから資金問題解決のための考えを聞いたでディオールは解雇を撤回します。自分は必要とされていないと社を辞めようとしていたクロディーヌをハリスが説得する場面での機知とウィットに富んだ会話は二人の大女優の見せ場でした。

ナターシャがディオールを辞めたことを聞いたアンドレとハリスはナターシャを探して駅に行きます。(駅には件のホームレスたちがいました。)ハリスの応援もあって、アンドレはナターシャに告白し二人は無事恋人同士に💛

完成したドレスを持って家に帰ってきたハリスを、パメラが訪ねてきます。
パーティに着て行くドレスが無いと泣きだす彼女にハリスは自分のドレスを貸してあげます(身長もボディサイズも違うのにオートクチュールのドレスがパメラの身体に合ったというのは無理クリな気もしますが)が、翌日パメラの家を訪れたハリスが目にしたのは焼けたドレスと置き手紙。(だらしないパメラの性格は冒頭でも映し出されましたが、恩を仇で返すクソ女でした😡
あまりのことにドレスを川に捨て家に閉じこもっていたハリスを心配したヴィとアーチーが訪ねてきて、パメラがパーティーでドレスを焼いた事件がニュースになり新聞に載っていることを教えます。

ダントの家を訪れ仕事をしていると彼女は焼けたドレスの記事を興味本位で話題にします。腹に据えかねたハリスはこれまでの未払い賃金を請求し辞めます。

その夜。ハリスの元に届けられたのは大きな包みと花束です。出てきたのはディオールの名前の入った箱。クロディーヌとアンドレからの手紙が同封されています。手紙にはニュースでドレスが焼けたことを知ってこと、アバロンの夫が逮捕され夫人のドレスは採寸もまだで未払いなことから、ハリスが一番気に入っていたあのドレスを彼女のサイズで作ったこと、ディオールの売り上げが(記事になったことで?改革が功を奏したことで?)上がったことへの感謝が書かれていました。

軍人会のパーティーにドレス姿のハリスが登場するシーンはまるで王族のような気品がありました。アーチーと踊るハリスと彼女を幸せそうに見るヴィ。幸せは身近にあるのよね。😍 

夢を追いかけるハリスは輝いています。そんな彼女に訪れる素敵な奇跡を素直に喜びたい気持ちになりました。

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アラジン 不思議なランプと魔人リングマスター

2023年05月13日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2009年製作 インド 127分 

清らかな心を持つ青年・アラジン(リテーシュ・デーシュムク)は、交換留学生のジャスミン(ジャクリーン・フェルナンデス)にひと目惚れ。誕生日にジャスミンからランプをもらったアラジンがランプを擦ると、中から魔人・ジーニアス(アミターブ・バッチャン)が現れて…。(映画.comより)

 
「アラジンと魔法のランプ」をボリウッドが映画化したらこうなりました😁 
子供向けのファンタジーアドベンチャーですが、もちろんインド映画ですから歌とダンスも随所に登場し、豪華な衣装も楽しめます。

魔法のランプの存在を信じていた両親(ジョイ・セーングプタ、ソヒニ・ゴーシュ)は、息子にアラジンと名付けますが、魔法のランプを探しに出かけた先で亡くなってしまいます。遺されたアラジンを育ててくれたのは祖父(ヴィクター・バナルジー)でしたが、その祖父も亡くなり、アラジンはその名前のせいで同級生のカシム (サヒル・カーン)たちにイジメられる毎日を送っていました。彼らはランプをアラジンに擦らせては何も起こらないとからかうのです。
ある日、クラスに転入してきた 交換留学生のジャスミンに一目惚れしたアラジンでしたが、カシムは何も知らないジャスミンにアラジンの誕生祝に骨董品店で買ったランプを プレゼントさせます。しかしそのランプこそ本物の魔法のランプでした。魔人ジーニアスはロマンスグレーの陽気なおじ様で、「3つの願い」を叶えてやろうと言います。

その頃、魔法のランプの力で世界征服を企むリングマスター(サンジャイ・ダット)率いる一団がサーカスを装い街に向かっていました。彼こそが、アラジンの両親を死に追いやった男でした。

アラジンの一つ目の願いはジャスミンとの交際でしたが、魔法で惚れさせるやり方に戸惑いこれを取り消します。ここまでで二つ願いを使ってしまうのね。魔法抜きで彼女を振り向かせたいと望むアラジンに協力することになるジーニアス。ウィル・スミスが演じたディズニー版とも共通するユーモアとコメディ要素にダンディなカッコ良さも加わり、時に見せるシリアスな表情も惹きつけられます。💛
「アラジン」は主人公だけど、映画化されると何故か魔人の方が圧倒的な存在感があって魅力的です。

歌やダンスをふんだんに取り込んで明るい前半と比べ、アラジンの両親の死の真相や、ジーニアスとリングマスターとの過去の因縁が明かされ、リングマスターと対決する後半はガラッと雰囲気が変わります。
ジャスミンも加わり、リングマスターの手下たちとのバトルも繰り広げられ、ダメダメだったアラジンがジーニアスの命を救います。
ジーニアスはリングマスターを鏡に閉じ込めた上でその鏡を破壊してやっつけめでたしめでたし。

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