月の晩にひらく「アンデルの手帖」

writer みつながかずみ が綴る、今日をもう一度愉しむショートショート!「きょうという奇蹟で一年はできている」

午前3時にご用心

2020-07-29 22:27:00 | コロナ禍日記 2020
 

 



 

 ある日。

6月3日(水曜日)晴

 

 朝8時に起きる。昨晩、パパさんがしくしくと鼻をすすって泣いている声で目覚めてしまい、もしやと胸に手をあて、自分がよくないことをしてしまったのじゃあないかと、思いめぐらす。昨晩の些細なことが思い出されてきて、隣のベッドから寝息が聞こえてきたころには、すっかり目がさえてしまい、リビングで水を飲み、寝室に置きっぱなしになっていたパソコンを移動させ、このまま起きてしまおうかと時計をみたら、まだ3時だった。

 3時という時間は不思議。よく昔、夜中にできない原稿をもったままソファに横になって、ハッと目覚めるのが大概が3時。3時半から朝まで書き始めると、びっくりするほどすらすらっと書けてしまうのがこの時間。深夜とも早朝とも違う、別次元の時空が流れている気がした。起きて机の前に座っているが、なにを始めてみる気になれなくて、ソファにごろんとなってぽーっと回想のひととき。格言めいたことを思いつく。ベランダから空をあおぐ、もう4時頃だろうか。鳥が鳴き始めた。あまりに気持ちよくて、鳥の声をBGMに、しらぬ間にソファで眠ってしまった。

 

 きょうは、パパさんはスーツ姿だ。プロポーザルのプレゼンへ行くのだという。全く知らなかった。先晩のすすり泣きの理由をたずねるが全く意識ないという。やはり!

 

 わたしは起き抜けの頭で、ジュンパラヒリさんの「セクシー」という短編を読む。体にじわじわと浸食されていくような言葉の置き方。

 ブラック珈琲をいれる。さらさらという音がすると思ったら、外階段を掃いているよう。掃除のおじさんが箒でレンガタイルをサーサーと擦る音だ。涼しげ。こういうのを朝の贅沢というのだとおもいながら、心地よく読書していたら、結構な時間になっていて、あさってまでの締め切りの原稿にかかる。

 

 お昼は、ひとりなので冷たいおそばで。ネギ、ブロッコリースプラウト、みょうがなどをいれて、固めのところをスルスルッと口に吸い込むと、さっぱりして喉ごしもいい。野菜もたくさんとれる。

 

 6時まで仕事。足腰をのばすため、簡単なスクワットをして、散歩へ。帰宅して、ヌワラエリアにレモングラスの乾燥した茎をもみしだいて加える。チョコレート2粒。タンニンが疲れた頭をすっきりさせる。湿っぽい梅雨時期にぴったりのお茶に。

 

 夕ご飯には、鯖の塩焼きと蒸し野菜料理(4品、カリフラワーにんじん、空豆、じゃがいも)。納豆。

 

 夜。プリンターの調子が悪く、原稿がうまくひきこまれず、何度やり直してもうまくいかなくて、イライラ。仕事道具が破綻しかけると、こちらの調子まで最悪指数を示し始める。

 パパさん帰宅。プロポーザルが終わって、飲み会帰り。無理を承知でお願いしてみてもらった「いや、わからんから。無理やから」と拒否される。両手にパソコンを抱えて眼前までもっていってパソコンの蓋をあけてみせる。

「どうせ、ホコリが原因でローラーがまわらないだけやて」といいながらしぶしぶ、中をあけて点検、基本的なところを1つ1つ確認しながら掃除をしてもらった。ふっふっと息をふきかけたり、綿棒と雑巾で部品やローラーをふいたり……あぁ額に汗が出ている。かわいそうに、と同情した。15分後。祈るような気持ちで電源をオン。何度も行き帰りをした末に、ローラーが回り出したようで8枚の原稿を全て排出してくれた。

 おそくなって2時就寝。

 

 

 

 

 



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