月の晩にひらく「アンデルの手帖」

writer みつながかずみ が綴る、今日をもう一度愉しむショートショート!「きょうという奇蹟で一年はできている」

東京遊覧日記 2日め上野&麻布十番で

2020-02-29 01:07:28 | 東京遊覧日記
 雨音で早い時間に目覚める。昨晩、ウイルキンソンの強炭酸と知多のウイスキーソーダーを飲んだせいか、夜中に何度もおきたせいか、気分が晴れない朝のスタートだ。

 
 Nが福岡で買ってきていたタラコがあるというので、日本酒(鬼ころし)とバター、醤油、マヨネーズでタラコのスパゲティをつくって食べる。

 
 それから傘をさして駅にむかい、東急電車と山の手線を乗り継いで上野まで。西洋美術館で日本・オーストリア友好150周年記念の「ハプスブルク展」を観た。
 
 本場のウィーンの美術史美術館やシューンブルン宮殿でハプスブルク家の人の肖像画はみていたので珍しくもないはずなのに、展示の仕方が違うと印象も違う。日本の展示法は絵と絵の間に、感情を込めるだけの余白をつくる。何らかのストーリーに沿って、みせていく動線。やはり見やすかった。解説もあるし、華麗なる一族のうつろいが理解しやすい。
 対して、パリやウィーンの美術館はもう少し哲学的(博物館的)なのかもしれない。(歴史や地理などに基づいて自分がみたい対象を自分で掘り当てていくスタイルのように思う)


 特に、マリアテレジアの威厳。青いドレスの王女マルガリータ・テレサ。ユピテルとカリスト。薄幸の王妃エリザベトなどなど。どの人物についても興味津々。人物にまつわる秘話など。深く知りたくなって、あとで本を購入したほど。


 美術館をあとにして、東京で好きな甘味処「みはし 上野本店」。
 
 クリーム白玉あんみつ。寒天、求肥、あん、さっぱりクリームに、すっぱいイチゴ。缶詰みかん。黒糖みつもおいしかった。
 Nは冬期限定の「粟ぜんざい」をうまそうに食べていた。汁気のまったくない、餅と粟のおぜんざい。シンプルな良い味。
 昭和っぽい、日本画のような空気が漂う。上野にきたらここだ。あと、御徒町の、「うさぎや」という店のどらやきは、美味い。




 気をよくして、麻布十番のそば処『川上庵』(表参道店にも以前いったことがある)。階段を降りて、隠れ家風の店の中はとてもにぎやか。女の人の笑い声や男性の乾杯の発声、音響が地階からぼわんと響きわたる。


 もずくの酢の物。半熟うまき。鴨の照り焼き。天せいろ。(くるみだれ)純米日本酒を2杯。

 誰も彼も日本酒をのみながら、一品料理をうまそうに食べていた。若いカップルが1組。あとは、各国大使館、総領事館の駐在員がお喋りに講じる姿が目につく。大人の少し怪しい雰囲気。江戸の蕎麦はうまいというが、わたしには少し甘いし、福井で食べた細い頼りない蕎麦にはおよばないが。関西にはない、いかにも東京らしい一日の〆。

 








資生堂パーラーの洋食のあとは「ブェンキ銀座店」

2020-02-05 00:18:40 | 東京遊覧日記


1月14日(火曜)

再び、機上の人である。夕方の4時。
「8K」という窓のない席。前席から半分みえる窓の外は、水色の中にうっすら赤みがさして、明るい。雲まで茜色だ。まるで湖面をすべっている。伊丹空港から羽田まで、空に浮かぶ時間は50分。もう1時間くらいどこの国にも属さない、浮遊旅行もいいなと思う。


京急線で蒲田までいき、新橋駅でおりる。交差点の信号を待って、銀座方面へ。
歩きながら、なにげなく首に手をやると、さっきまで飛行機の中で鳴り響いていた、BOSEノイズキャンセリングの残像がない。え! 鞄、コートの中、体にまとわりついていないかも探すがない。信じられない。新橋からの道のりを引き返して探す。が、跡形もなかった。


Nが駅係員の人に聞いてくれたり、道の隅などを探したりしてくれるのをみて、これはいかんと落ち着いた。落ち込んでも仕方ない。ないものはない。明日、手当たり次第、駅や電車や忘れ物センターに電話してみよう。と腹をくくり、気分よく歩きだした。


むかったのは銀座の資生堂パーラーだ。エレベーターで4階まで。







銀の食器がふれあう音。白のテーブルクロスとハイチェア。イエローの壁。
隣には、おじいさまと夫婦と子ども、孫たちが秩序正しくコース料理を味わっていらした。ボーイが席のところまでメーン料理を運び、丁寧にとりわけて各席に配る。本当においしそうである。
部屋の佇まいもきれいで、ここはテイストを変えない。銀座といえど、こういう店があるといいなぁ。ほっとする。


私は伝統料理からのメニューで「ミートクロケット」。Nは、「海の幸のグラタン」をオーダー。











オレンジのトマトソースがとろりとして艶やかだ。ナイフをいれるとサックリ、と切れ味よく、中はとろり。舌触りのいいクリーム系。食べ応えがあるのは、ハムとボイルした仔牛の肉をさいの目にカットしてあるそうだ。料理にあわせると白ワインが妥当だろう。
それでも、ブルゴーニューの赤を愉しんだ。何を話したのか、すっかり忘れたけれど。おそらくNの近況を面白く聞いたのだ。きっと。


光の洪水がキラキラする夜の銀座を歩いたあと、Nの推薦でチョコレートとジェラートの店「ヴェンキ 銀座店(Venchi Ginza)」(中央区銀座4丁目3番2号 )
まだ昨年12月にオープンしたばかりという。








イタリア・トリノ生まれ、創業して141年。合成香料や着色料、添加物の使用を控えた、鮮度のいいジェラートを提供。
店内は量り売りの高級チョコがずらり。

私たちが選んだのは、
ヘーゼルナッツとチョコレートを混ぜた「クレミノ」、「マンゴー」!
ほんのりお酒のはいった体にひんやりとして、いかにもフレッシュ。
さすが、チョコレートはしっとり濃厚、ビターでおいしかった。    







このままバーには足をむけないのが、まあいいんじゃないだろうか。すぐそばの銀座3丁目にある珈琲三十間へ。地下へ降りていく、隠れ家風。長く真夜中までいられそうな秘密基地みたいな安らぐ、静謐な空間だ。スピーカーがそういうくぐもった音で響く、まるでジャズの調べだ。


ファイベルカスティーロというキャラメル風味のコロンビア豆をつかったコーヒーを飲み、Nのマンションへかえった。


さて。Nの部屋で年末の仕切り直しですか。ウィーン産やフランス産のチーズを4種類アテに、彼女が録画した紅白歌合戦を観ながら、「知多」+ウィルキンソンの強炭酸で割った香りのいいハイボールをごちそうになる。なにも生み出さず、発見もなく、でも気楽で心地いい明るい話しばかりがはずんだ。1月のことである。








不倫疑惑にもいろいろあるのだ

2020-02-02 19:42:12 | writer希望を胸に執筆日記

        
11月12日(日)

朝9時。Nがリーガロイヤルホテル大阪に昨日から宿泊しているというので、
「お昼ごはんを一緒に食べましょう」と。車で会いにいく。


着いたらすでに11時前。12時半には、ホテルを出発して空港にいかねばならない。大急ぎで「オールダイニングリモネ」でブランチ。

合ったときには、なつかしい!となるが、15分もともにしていると、すっかり我が家の子の顔になる。
話を聞きながら、ちらりちらりと時計をきにしているN。まあ、ゆっくり。といっても無理か。

Nは、リーガロイヤル特製の海の幸のピラフを。(曰く、宴会ではコーナーができるほどのホテル自慢の味らしい)





私は、エビフライをメーンにした。相方はビーフストロノガフ。



12時半。いよいよ出発らしい。

クルー10人の中にいるNをみた。幼稚園でお芋掘りの時に園児たちに囲まれていた姿。小学生の時の参観日での落ち着かない様子とだぶって。親というのは、いくつになっても昔の記憶のかなたと二重三重にして、いまをみてしまうものなのだ。

そんなことを、ぼんやり思いながら。乗務にむかうNを見送った。


食事のあと、リーガロイヤルホテルの「グルメブティック メリッサ」で沢山のおいしそうなパンを買って帰る。特にミルクフランスとカレーパンがおいしかった。






宝塚でいつものように買い物をしていると、普段とかわらない、夫婦、ふたりっきり。
Nとの一抹のひとときが幻だったよう。



1月13日(月)祝日 晴

午前中は仕事。
午後1時、ご近所でコピーライターの先輩、Fさんが車で迎えにきてくれた。今週の日曜日に開かれる餅つき大会の買い出しだ。

近所のJAでもち米。業務スーパーでおつまみ類やジュース類、あんこ(半生)、きな粉。調味料など。
格安ホームセンターのジャパンで焼酎や日本酒(鬼ころし)、酎ハイ(黒霧島、レモン缶チューハイ)など酒類を買う。
ロイヤルホームセンターでは餅布、軍手、紙コップや紙皿など日用品も。私もついでに、携帯の保温ポットを自分用に購入。

これで、外出時にペットボトル飲料を買わずにすむ。好みの銘柄の珈琲や紅茶、煎茶、中国茶などをつれて外にでられる。ペットボトル飲料は好きではないので半分以上、すてることになるのだ。


買い出しついでに、Fさんとともに牧場直営の精肉店でコロッケ、すき焼き用を買う。前の店で、北海道ほっけ、舌平目を買う。帰宅途中、カフェで一服。Fさんの話。


「私の友達の話しなんだけどね。長いことかくしていたけれど、ゲイであったことをカミングアウトされたのよ。25年もよりそった夫にそんなこと、いわれてもね。まだ、愛する人と一緒に住みたいなんてことはいわれていないらしいけれど。その友達、離婚したいんだけど。認知症のお舅さんのお世話を長年してきたからそれが一番心配でというのねどうしたものかしねぇよ」


「カミングアウトをすることすら、甘えているのかしらね」。

自分ならどうするだろうか。夫の態度が いかに、という点が重要に思う。それでも家族になったなら、易々と解消できないのではないかしら、と私は考える。

親も子も選べないように、すぐに他人になれるものだろうか。知ってみぬふりはやはり無理なのだろうか。なんだか、ひと事というきにもなれない問題だ。



江國香織の「きらきらひかる」は、よく似たテーマを扱った小説。
<笑子はアル中、睦月はホモで恋人あり。セックスレスの奇妙な夫婦関係から浮かび上る誠実、友情、そして恋愛とは。>

家庭不和は幸せではない。家内平穏あっての自立した人生がある。

このところ、新型コロナウイルス肺炎もあって、ざわついた2020年の睦月だ。



夜ごはんは、Fと牧場直営の精肉店で買った神戸ビーフで簡単すき焼き、ピーナッツ豆腐、菊菜とレタスのサラダなど。






芦屋ウーフ(Uf-fu, Ashiya)の紅茶と湯たんぽと 

2020-02-02 18:56:26 | writer希望を胸に執筆日記

1月10日(金曜日)


朝から夕方まで、家で原稿を書いている。
このところ、2日続けて湯たんぽをしているので、昼間もつかってみたくなった。

鉄瓶でわかした熱湯をそそぐ。薄手のブランケットで、ぐるぐるにして着膨れさせてから、足元へ。
最初80度のお湯が2時間で50度くらいになる。
これまで、机の下には温熱式のスリッパ(電機)だったが、お湯なら子猫1ぴきが自分の足の下へいるみたい。自然なぬくもり。
交感神経から副交感神経にきりかわって、たちまちリラックスしてしまえる。


心地よい湯たんぽのせいか、正月ぼけでエンジンがかからない。
夜、7時くらいになると、そわそわ。おいしい食事をつくり、お酒を選ぶことばかりに気合いが入るこの頃である。


夕ごはんは、コロッケ。緑の葉のサラダとトマト。大根と壬生菜のみそ汁。香物。



1月11日(金曜日)

朝10時より地域の自治会に参加。私、担当の活動報告のあとで、来週、日曜日の餅つき大会の詳細を皆で決めた。


昼すぎ、西宮神社(えべっさん)に参拝。残り福で人が少ないという予想に反して、ものすごい人波だ。
商売繁盛と自分の家の景気を願い境内は、人の欲と希望、願望、夢などで埋め尽くされ、身動きがとれない。


正月4日に、出雲大社さんに初詣をして、今日はえべっさんに参拝。
なんと、福々しい気持ちに満たされた2020年である。こう人が多いと背の低い子供は全く前がみえない。

私の前にいた小学2年生くらいの子供が、「座りこんでもいい、ねーー。座りたい」とお母さんに訴えかけていたのをみて、背が低い私(うん、気持ちわかるよ、そうだね)は激しく同調していた。

神様の前にようやく進み出たら、軽く緊張し、たどたどしいご挨拶とありがとうございますを申したら、退散してしまうのが通常である。

ある本によると、住所や番地をお知らせし、誰であるかをお伝えしたあとで、感謝の言葉を述べるようにするとよいとあった。
また「神様は、あなたの心のちょっとした隙間にはいってこられる」。ぼんやりと隙間をつくることが大事なのだ。自分の願いごとをいわなければ!と一心不乱なではいけないそうだ。


あぁ、風が吹いてきた。うん、いい天気だな! と穏やかな気持ちの中に、神仏はご加護をくださるそうである。
西宮神社、大国主神社、荒魂神社にも。おかめ茶屋で一服。名物は甘酒とゆで卵。あまざけは、麹でつくられるから幸事(こうじ)、卵は、一年がまるく、という意味とか。

参拝のあと、阪神百貨店で食料品を買う。3千円以上ならなら、駐車券がでるので、ほうれん草や白菜やきのこ類など。ちょっと高めの鮭、お揚げや、日本酒、なんやかんやと買う。


芦屋のウーフ「Uf-fu, Ashiya」に立ち寄り、ダージリン2種。アッサム1種を購入。






自分は雰囲気だけじゃなく、性質もリスっぽい。と、我ながら思う。

一体、年末からいくら紅茶を買い占めればいいのか。昨年末からウィーンのホテルザッハでも紅茶を買い、芦屋のムジカさんでデラックスデンブラとヌワラエリア、和紅茶の3種の紅茶を求めたばかり。

チョコレート、紅茶、ワイン(嗜好品)。ショールや心地いいホームウエアなどなど(ぬくそうなもの)。いくらあっても、さらにいいもの、もっと置いておきたい。と欲が吹き出して、またまた買ってしまう。一生懸命、自分の巣穴にほしいものを集めるリスの様相と変わらない。

夕ご飯は、湯葉とうふ、豚肉と椎茸入りゴーヤチャンプル、本鯛のかまぼこ、まぐろの造り、金柑煮、トマトとレタスのサラダ、赤ワイン。

食後のおやつは、出雲の花びら餅。