月の晩にひらく「アンデルの手帖」

writer みつながかずみ が綴る、今日をもう一度愉しむショートショート!「きょうという奇蹟で一年はできている」

大阪城公園の梅を愛でにいきました。

2018-02-28 02:28:16 | 春夏秋冬の風




一日ごとに春めいてくるのが実感できるようになってきました。

今日の夜で、とりあえず今かかれる仕事は全てやりきってしまった。
追われていないという状況は実に久しぶりなのでありました。
土曜日には、学生時代の友人が予約してくれたイチゴビッフェへ行き、

大阪城公園へ梅を愛でに。



梅というと、日本画家・小倉遊亀さんが晩年に描かれた幾枚かの梅の絵が頭に思い浮かんでしまうのですが、2月の土曜日終わりの梅苑はシンと冷えた空気の中で梅園を鑑賞できるとっておきの時なのであります。
こちらの梅苑の素晴らしさは、100品種1270本を超える様々な種類の梅が楽しめること。
低木が多いのも都合がよいのであります。

鶯宿、鹿児島紅、緑萼、冬至、南高…
紅千鳥、おもいのまま…






















紅梅は白梅に寄り添いてますます赤く
白梅は紅梅に寄り添いてますます白く

ささやかな蜜の匂いをあたりへ漂わせ、凜とした姿やふわりとした姿、
そして、開花した花の近くに丸く固く閉じた愛らしいつぼみも姿にも。

梅の素晴らしさは、風に乗って運ばれてくる蜜の香りもそうなのですが、
細く黒々とした枝や木々が、極寒のなかで身をよじりながら上へ上へと
延びていくさまに一番に心ひかれます。
3分咲き、5分咲きの梅苑でしたが、すでに開花している品種もあり、
植物たちに希望をもらったようなひとときでした。









毎日鉄瓶をのぞく、ほんの些細な時間の中で

2018-02-02 00:56:55 | 今日もいい一日




<釜定 サイトからお借りしました。15年間、1号、2号とも愛用品>



かれこれ15年くらい前から鉄瓶を使うようになっており、
チンチンの熱い鉄瓶から白湯やら岩茶やら紅茶、珈琲、時々抹茶を煎れるなど、
信じられないくらい原稿の句読点的なティータイムをしているため、
喉や口元あたりを頻繁にやけどする。

おそらく、鉄瓶の湯というのは普通の薬缶より数℃は高いと信じている。

朝の白湯は、とろみのある綿菓子に糖分をぬいたようないい具合に仕上がるし、
アッサムやダージリンは、鉄がもつ情熱的な熱さと芳香が加わって、
上品ではないが熱い国の飲みものとなる。英国ではなくて、インドやスリランカの紅茶の味に。

それが、今年になって15年使ってきた釜定の鉄瓶に穴が空いてしまった。
(実はその10年ほど前にも釜定の鉄瓶に同じ穴を空けていた)。

一体が2万5千円くらいするので、(現在は3万以上)ショックで泣きそうになった。
おそらく、火をかけたままにして原稿に集中しているので空だきし、また数カ月後に空だきしと、数回繰り返すうちに鋼鉄の耐久性も損なわれて、鉄が裂けるのであるらしい。
そう正確には穴ではなく裂けているのだ。

昨年暮れから、この状態で2週間くらい使い続けた。
私は思う。鉄瓶は自然の産物であるから、生き物が自力で蘇生したり快復(修復)したりするうちに、いつのまにか湯垢で裂けた穴が自然に蓋がされないのかと、ずっと見守りながら使い続けたのだ。それくらい微かな裂け目。30秒に1滴2滴しか漏れないほどの穴なのである。

しかし、鉄瓶が自力で快復するより早くガスレンジがいかれてきた。
今度はガスレンジが一回で着かなくなってきた。
鉄瓶からこぼれる湯がガスの点火部分に注がれているらしい。
火がしゅるしゅる!!と音をたてて沈黙する(消える)事が頻繁になった。

こりゃあ、無理だ。共倒れ。
そう思って、釜定さんに修理を依頼し、盛岡までわが愛する鉄瓶を送りつけたが「小さな穴なら塞げますが、裂けているのは無理なんです」と15年前と同じ理由で丁重にお断りされた。

やっぱりと落胆しながらも、「では新品をお送りいただけませんか」と即お願いした。だが
「すみませんね、お待ちいただいているお客さんが大勢いらっしゃいまして1年半待って頂いてもよろしいですか?」と電話口の上品なおばさまはお話しになった。
1年半…!そんな、無理でしょ。

1年半の間、ホーローの薬缶でも買おうかしら、柳宗理の薬缶もシンプルでいいわね。などと思ってみる。が、結局、一番近いかたちの鉄瓶をアマゾンサイトから購入した。


しかれど、である。
使い続けて10日目。
鉄の味が激しすぎて、湯がまろやかにならない。紅茶がびつくりする尖った味。飲めたものではない。
小鍋で沸かしたほうがいくらかおいしい。

それで毎日、毎日3回・4回鉄瓶の状態を眺めては辛抱づよくお茶を煎れ続けている。
先日、辛抱しかねてミネラルウォーターを1リットル投入した。
ミネラル分が鉄瓶につくとサイトの情報で知ったのである。
そして数日。湯垢どころか、鉄瓶の中は真っ赤に腫れ上がってくるばかりだ。
化膿してるみたいな内部の色合いである。

信じられない。と嘆きつつ原稿に今日も追われる日々。

そして、2月1日。今朝のこと。
乳白した空から雪まじりの小雨が降る無声映画のような静かな朝に、ようやくちょっとはましな白湯を頂戴できたのある。
ほんま、急に上手にならはったのかしらん。
明日の朝が来るのが待ち遠しいようなちょっぴり怖いような。