月の晩にひらく「アンデルの手帖」

writer みつながかずみ が綴る、今日をもう一度愉しむショートショート!「きょうという奇蹟で一年はできている」

台湾っぽさを食す ある日の外食日記

2020-08-31 23:41:00 | 大阪ごはん

        



6月24日(水曜日)

 きょうから、パパさんは出張なので私とNとお留守番だ。

午前中は仕事にあてる。

 お昼はNが卵焼きとビシソワーズ(じゃがいもスープ)、わたしが空心菜の味噌炒めをつくる。

 午後4時を過ぎたあたりで痺れを切らしたNが「もう閉まっちゃうわよ。お目当てのものは食べられないよ」と部屋に乱入、急いで用意して出かけた。

 

 自宅からJRに乗り、東梅田から谷町線にさらに乗り継いで天神町筋六丁目まで。歩いて10分の「南所豆花」。台湾スイーツの専門店へいく。

 台湾や香港、あるいはベトナムでのアジアスイーツには目がないのである。

 


 わたしは、南所豆花を、Nはレモン愛玉ゼリーを注文した。


(南所豆花)




 お好みのトッピングを4種類からチョイス。どれもおいしそうで迷うがこの日は緑豆、仙草ゼリー、ピーナッツ、タロ芋を選んだ。

 素朴で素糖のシロップ、蜜がさわやか。後味すっきり。ピーナッツは柔らかく煮てあり、仙草ゼリーは漢方薬やハーブの香りがさりげなく、舌の上にシンとした特有の芳香、ひんやりする。緑豆はカルシウム、鉄、ミネラル分も豊富だとか。

 

 Nのレモン愛玉ゼリーも、夏らしいのんびりとした味。愛玉子というイチヂク属の身を砕いて固めたプルプルのゼリーでレモンがいい仕事をしている。

 

 カウンターに陣取っていたので、ガラス張りで外をながめながら食べた。台湾のスイーツ。

 自転車にのって、流れていく小太りのおばちゃんや日に焼けた60歳くらいのおじさんがゆらゆらと転けそうになりながらゆっくりペダルを漕ぐ(脚をがに股にして)ところや、南国風に全く手いれされていないのび放題の荒れ果てた巨大な観葉植物などをみながら食べた。ここは、都会じゃない。不思議な拠点であるのだった。大きな倉庫のような会社から人が1人、2人と出てくる。

 遠く台南に想いを馳せる。

 

 再び、電車で梅田まで戻り、阪急百貨店や、ハービス界隈などをみて歩く。ベルギーブリュッセルのブランド、レザーメッシュのドラゴンの鞄を、再びみていた。熟練された職人による手編みの鞄。いいなぁ。高し。(6万くらい)

 

 帰り際。再び、台湾っぽさを味わいたくて「台北餃子帳記」で軽くたべることにした。台北の西門近くにある人気店。熱気むんむんで大にぎわい。すごく3密な空間。大丈夫か! 出ようとしたが、「大丈夫どうぞ」の声につられ、ほぼマスクを外さないで、器用にささーと食べる。あとは通路側の下を向いていた。

 オーダーには、張さんの、棒焼き餃子。水餃子。蒸し鶏のネギ塩まみれ。魯肉飯(ルーローハン)






 ライチ酒のレモンスカッシュをぐびぐびと飲みながら、手軽につまむ感じが、店の雰囲気に合う。ああ、台北に、台南に行きたい。

 ソーシャルディスタンスはなく、猥雑な空間で、心からくつろぐことはできなかったが、味はまずまず。このライチ酒の心地よさにいやされて、どれもおいしくいただけた。

 


 夜。最寄り駅へ。わざと遠回りをして、梅雨の晴れま、ひやっとした森っぽい夜の風と月を楽しみながら家路につく。

 

 


うまい日本酒で清められ

2018-11-07 19:14:20 | 大阪ごはん

(先週末。ノマドではじめて書いた日記)

お酒の話をしてみようと思う。
先日。といっても10月の終わり頃。同業種の友達kさんと久しぶりに食事にいく機会があった。

午後からの打ち合わせを3本終えて、待ち合わせの場所に。
途中、メールを入れると「大急ぎで向かっている最中」とあったので、それならとゆっくりとトイレにも行って服装のチェックも済ませ、のんびりと歩いていくと、谷町線の東梅田駅からほど近い派出所の扉の前で、すでに待ってくれていて、変わらない笑顔で迎えてくれた。



「リール食堂」という名の隠れ家バーへ。
まずは生ビールで乾杯。アテには脂のりのよい鯖サンドと生白肝など。
ここは全国の日本酒とともに、稀少なワインを備えているという。










隣のKさんは、実に旨そうに「にいだしぜんしゅ」(仁井田本家)を飲んでいる。



近況の仕事を報告し合うが、プロローグから第1章のところまで。とりたて理由はないが互いに深いところまでは語らない。
仕事というのは日々、変化し、やり方も状況も対峙の仕方さえ、常に動いていくものだ。

彼女も、主軸とする日本酒での媒体やこだわって書きたい内容の原稿をしっかりと書けているよう、とても平和な良い顔で、日本酒をくいくいと飲んでいた。
さすがに気持ちのいい飲みっぷり。


タクシーを捕まえて、福島の「日本酒弘大」という店にむかった。
こちらもKさんのお勧めの一軒。
玄関からの佇まいからして、好きなタイプの店だとわかる。





カギ型のカウンターに、男女揃っての飲兵衛たち、外国人の姿もあった。

最初に彼女に選んでもらったのが秋田の「ラピス」(瑠璃、新政酒造)という日本酒。


なんといったらよいのか。みずみずしくありながら芳醇な酸味があり、果実味(果実ではない米なんだけど)を含んだ白ワインのような味。おいしい!
最初は微弱の酸がたち、飲みすすむにつれて深みが広がる。とてもエレガントで、綺麗な日本酒だった。










こちらは、仁井田本家「穏」。純米吟醸酒。キレのある静かで、おいしい日本酒だ。








Kさん(利き酒師の免許をもっている)曰く、「ここの蔵は無農薬で栽培した米を使うなど、ケミカルなものを一切排除した自然な酒づくりをしている。だから界隈で見かけたら必ず飲む。それが蔵の応援になる」。


酒肴には、ほうれん草ルッコラお浸し。
お造り3種盛り、生ゆばウニ乗せ。

どの料理も店の雰囲気に合う、日本酒と料理が違いを引き立て合う。














帰って原稿を書くことを自分に課していた私は、もう1杯、違う日本酒を飲みたい!という熱い気持ちを飲み込み
ここは、ぐっとこらえて白ワインを注文。(白ワインなら基本は酔わない)
「和牛カツ」と合わせた。これがとても良かった!追加で、おでんも注文した。





今回の再会で一番、笑ってしまったのはこんな1シーン。

私はいつものごとく。一口、もう一口と酒を体いれるたびに、話にだんだん熱がおびてくる癖がある。
今の仕事観の思うところを切々と述べている時、「ほんとうにごめん!もう限界。本当にいい話しの途中で…申しわけない。
でも我慢できない」とヒョーッとトイレに駆け込んでいった彼女。
へ!とキットンとしたが。今思い出しても吹き出したくなる。なんて可愛い人なんだろ、と改めて思った。

こういう飾り気のない、面白い人が好きだ。


満足のいく酒で心満たされ、流暢に会話も弾むので、仕事の話から家族談義へ、テレビの話題、最近読んだマンガの話と、いくらでも続くが。こと、テレビとマンガに関しての情報量は、私のほうが圧倒的に希薄である。

しかし、うまいもの、美しいものを感じる好奇心は共通して持ち合わせている、というところに免じて許してもらい、
また会ってもらおう。

後日談)
この日は結局、夜はできたところの原稿を読んだだけで寝てしまったが、翌日はすこぶる快調で仕事もはかどる。いつもより早くに雑誌社に送信する。

旨い酒に「体が洗われた」のだろうと勝手に解釈している。


安くてインパクトのある骨太ビストロの味が恋しくなったら、大阪・野田の「大西亭」。

2014-05-02 23:59:23 | 大阪ごはん






安くて、ガツンとインパクトのあるフレンチ(お肉がおいしいバスク料理)が食べたくなったら、
大阪・野田(JR海老江駅)のビストロ「大西亭」! 

先日は、西宮のおとな女子3人で、久々のランチ会でした。
今年に入って行こう!行こう!と言っていてようやく実現。次から次へとおしゃべりを講じながら、
うまいバスク料理をお腹いっぱい頂きました。


オーナーズシェフ・大西敏雅氏は、フランス各地、リーガロイヤルホテルのシャンポールなどを経て、独立。
転居を重ねての3件目にあたるこちらは、大西さんのお婆さまが住まわれていた築100年の長屋を改修した一軒家。
カウンターをメインとし、その高さは顧客の年齢も加味して、ほどよい位置に。
あいかわらずオシャレな男性客が多かったです。





お料理はコース1本。フランス産チーズのアミューズ+前菜、メイン、チーズまたはコーヒーでナント1500円(夜は3500円~)の安さ!
デザート(+500円)、素材に応じて(+500)もチョイスできます。

アミューズのフランス産チーズにはじまり、






タマネギのムース(前菜)。
ポットからお皿にそそいで、4杯もいただきました。

オムレツ(前菜)や伊賀豚のサラダ




伊賀豚のパートブリック包み、
甘鯛と白アスパラガスのポワレ、
仔牛のパテとオムレットなど、豪華絢爛。


「家賃や人件費など固定費を削って、やりたいもんを出す。料理にすべてを注ぎます」。
毎日市場に通い、直接見た素材しか使わない。タイマーもなく、火入れの確認は手の感触のみ。
「泥臭い、アナログな料理かもしれないけど、新規のお客さんも増えましたよ」とシェフ。

2年前に訪れたのは6月。
プロヴァンスの陽光と大地を感じさせる骨太で田舎的な味に驚いたあの日を思い起こしました。
北海道産仔牛のロニョン(腎臓)のパイ包みや、伊賀豚ローストもよかったけれど、一番のインパクトは「ガスパチョ」!!!
五臓六腑にしみわたる濃密なスープで夏野菜が実に爽やか。
赤黄ピーマンや朝どりコーン、ナス、トマト、セロリなどの濃い野菜をたくさん味わって、感激したことを彷彿。
今回も、新タマネギのスープはごくごく飲めるほどにおいしかった。

(こちらは以前のお料理写真)










近くにオフィスがあれば、時々はふらりと訪れたいかも。

帰りはガールズ。お腹を抱えながら、ふーふー。テクテクテク。
海老江から、福島、西梅田まで。
途中、長屋の通りや昭和な医院などもあって、大阪北区の下町散策も面白かった。
私、饒舌すぎたかも。ストレスがたまっていたのでしょうか。といいつつ、ゴールデンウィークもお仕事三昧であります。




ホコリっぽい異国の風吹く小食堂。スリランカ料理「ワーサナ」。

2014-03-30 00:50:46 | 大阪ごはん



今年は早くもサクラシーズンに突入らしい。この冬は、お籠もりの仕事が長く続いたので、もう春?という気がする。
心の準備がまだ出来ていない感じ。
春になるまでに、あれもしよう、これも片付けてしまおう、あの人にも会いたい、などと予定を決めていたのに。
出来ず仕舞いです。

それでも、ようやく一段落。来週の半ばまでは急ぎのお仕事もなくて、少しだけゆっくり出来そう。
明日は母が実家からこちらへ出てくるというので、京都を案内することにしました。



さて、そのまえに。今回はこんなお話を。
だいぶ前のことなのですが、スリランカ料理を食べに行った時のこと。

福島の「ワーサナ」は、広告代理店のクライアントさんに教えてもらった小さな店です。
当時その方はベトナムや韓国、アメリカに仕事でよく行かれていて。今度「おいしいスリランカのカレーの店があるので、ぜひ行きましょう」と、
だいたいの日程まで連絡を頂戴していながら、すっかりお忙しいようなので。
とうとう待ちきれずに行ってしまったのでした。

早い時間に入店したのでダイニングには私達の組だけ。

聞くところカレーが評判!と後で知ったのですが。
この日は、スリランカ家庭料理とは一体どんなものかしら、と気になって仕方なく
「わが心のスリランカ家庭料理コース(2500円)」を、オーダーしました。
お料理がくる間、店内をぐるりと見わたす。
うーん、全く気取りないこの雑然さ(片付いていないところ)がいいねー。



店の雰囲気は、テーブルが3卓くらいのこじんまりとした店ながら、国旗や調度品やスパイスやらが
たくさん飾られ、派手さいっぱいのインテリアは、
まさにアジアの食堂。
バリ島のワルン(ローカル食堂)を彷彿するものがありました。

お料理をこしらえるのは、店主のラッキーさんただ一人。ほかにお手伝いもいず…。





だから、お料理にも当然時間がかかるのけれど、慌ただしさがなく、
ゆっくりマイペースなところもよく。
こちらも、ビールを飲みながらリラックス。

うーむスリランカ。スリランカ。と気分はすでに空を飛んで。
(昨今、とてもめざましく発展を遂げてホテルやビルの立ち並ぶ建設ラッシュだと聞くけれど)。
もし、インドに行くことができたなら、ぜひ足をのばしたい小さな島なのであります。
(紅茶の名産地だからね。スリランカ産の紅茶には毎朝のようにお世話になっている)

さてさて、前置きはさておき。メニュー。
サラダ、ロティ、ピクルス、チキンマサラ、キリホディ
ベジタブルサンバル、イディアッパー、デザート、紅茶というラインナップであります。


まずは、ピクルスやサラダ。
この味付けなら、うん!いけると確信。
(やや甘めのカレー味で食べやすい。



「ロティ」はノンイーストで仕上げたパン。
甘いメープルシロップをかけたり、
野菜のピクルスをのせて食べます。





続いては、「チキンマサラ」。




こちらも、インドのそれよりは辛くなく。マイルドな味付けながら多種にわたるスパイス使いがユニークで。
現地の味さながら、庶民的な味。

「これはうまい!と」思わずライオンビールをオーダーです。
ああ~アジアの料理はなんてワクワクするのだ。


そして「キリボディ」。
現地でのスリランカ料理は一つのお皿に様々な料理を混ぜながら盛るらしく、
そんな時に辛みを和らげたりコクを引き出すのが、
この「キリボディ」。
ココナッツスープのようでちょっとクセになる味付け。コクがあってバター風味。
様々なお料理とともに、いただきました。



いよいよ、野菜のココナッツミルク煮「サンバル」が登場。

スリランカの主食のひとつ、「イディアッパー」(米粉のヌードル、写真の茶色い麺)に、たっぷりと混ぜていただきます。
「サンバル」だけで食べるのとは、また違った風味と食感が楽しめて、口が飽きない。






「イディアッパー」は、これまで食べたことのない不思議なもの。
うまい比喩だとはいいがたいのですが。ソーメンをゆでて、そのまま2時間くらい放置していたような感じ。汁けはなく、少しだけモチッと感があって。
ソーメンとざるそばの中間といったところ。
(味はないので、乗せるお料理をひきたてる)。
ヌードル特有の食感が面白く、個々のお料理のクセを緩和させ、素朴感たっぷりのヌードルでありました。


そして、インドでは祝祭に登場するというビリヤニ(ごちそう炒飯)も。





細長いタイ米ながら、野菜のコクとココナッツの甘味と辛みが複雑に絡みあい、おいしかった。

しかし、これらのローカル料理。
沢山いただくと、すごく癖があって。様々なスパイスやソースの独得の匂いにやられそうでした。
このチラチラと揺れる赤い電球が飾られた店内といい、
ラッキーさんの温かい笑顔といい。

まるでバリのホコリっぽい道路脇のワルンでローカルフードをいただいている心境に。

外に飛び出したら、ものすごい交通量でオートバイが走り抜けてガジュマルの木が屋根の下までたれ下がっていて、
亜熱帯な熱さと匂いと人のおしゃべりと。太陽の強い光線に額まで汗するような。
そんなアジアな錯覚まで思い起こした、ちょっと変わったディナーでありました。


おしまいにラッキーさんと少しだけおしゃべり。

私が「スリランカの紅茶はおいしい!大好き」と褒めると、
すごくうれしそうな顔でこんなパフォーマンスまで披露してくれました。






この紅茶。お砂糖をたっぷり入れるので甘いのですが、キャラメルのようなコクがあるミルクティーで、味もさすが。
何杯でもお替わりできるほど。
私は結局、デザートをいただきながら3杯もいただきました。
ラッキーさん曰く「酸素をたっぷり含んだティーは最高に味がよい」のだとか。








おみやげに紅茶と赤いろうそくまで頂戴して親切な方でした。また次はカレーをいただきに行きますね。
ごちそうさまでした。

WASANA(ワーサナ)

大阪府大阪市福島区福島6-4-5

電話:06-6342-8813

日曜定休  営業時間11:00~22:00


日本とフランスの贅と美、極まる世界に震えた夜。

2013-10-12 19:47:58 | 大阪ごはん


台湾旅行記をアップしようと思いながら、忙しさMAXで全く余地なしである。


しかし、週半ばにはまだ余裕があって、インターコンチネンタルホテル大阪の20階フレンチ「ピエール」にてリッチに女子会。




WEB上で知り合ってブログを交換し、
以来はじめての顔合わせである。

ドレスコートがいる高級レストランなんて久々なので超緊張するが、
想像以上にリラックスした雰囲気のなか、Smileを交わし合う。
ここは高層階とあって眺めは最高。
淀川の流れとラグジュアリー度満点の大阪駅周辺を壮観でき、いい気分。
黒服のサービスはクオリティ高く、ほか若いスタッフも感じよかった。


最初のアミューズは手でつまんで頂く。こんなかわいらしいお皿。



アンティチョークのスティック。
イカスミのカナッペ。エビの包み揚げ。キウイの下には濃厚チーズがサンド。こんな想像以上に楽しい前菜からスタートする。



パンもかたちはユニークだし、種類違いの小麦で3種類。
噛むごとに小麦の不思議な香りと豊かさが味わえる。
チーズも岩塩をいれたものが登場。





次いで鴨肉のジュレ、水茄子添え。(写真なし)

島根県産のカキとアワビにマスカット(果物)をちりばめて、
クリームとシェリーのソースで味付けた一皿。
海の幸が、シュリー酒とよくあい、こちらも驚きの味。愉しかった。





一口のソルベ。お口直し。





次いでニュージーランド産の子羊を香草と甘酸っぱい茄子で包んだメーン。
臭みも全くなく、不思議な口当たりとソース使い。あっという間に胃袋に
ストンと落ちる。





(下の一皿は、友人の子牛のソテー)


次いでコンテンポラリーなレモンタルト。




タルトといってもロール状のお菓子がヨーグルトのソースで包まれていて、
これまた洋酒使いがおもしろい。
エディブルフラワーなどがあしらわれてキレイ。



最後はコーヒーに、ミニャルディーズ。



見た目だけでなく味もキュートで。
マンゴーソース入りのチョコやマカロン、キャラメルなどが一皿に盛られて。楽しかった。
帰りには桐の小箱にはいった、おみやげも渡された。すごく居心地のいいサービス。娘のNもよい環境で働かせてもらってよかった、よかった。

リッツカールトンのフレンチ「ラベ」のようなもてなし方だと想像したが、こちらのほうがずっとカジュアル。
ゲストも若い人が多くモード感がある。



お友達とは、初めてあったとは想像できないほど、話ははずみ愉しい時間はアッという間。
彼女は英語が堪能でそのほかに中国語も習いはじめたとか。
娘さんは西大和の高校に通うエリートさんで、私が台湾の話をいろいろ紹介するとものすごく喜んでくれ、ノリで西天満の中国茶の店へも案内(笑)。
再会を約束して分かれた。




普通はコレで自宅へ帰り仕事するでしょう…。
しかし私ったら
そのあと、なぜか宮崎駿監督の「風立ちぬ」、を観たくなって、一人でステーションシネマへ。
なぜなのかな、あまりに優雅で豊かな心地に包まれすぎて、感性が敏感になっていたのかもしれない。
それか、堅実で人の手のぬくもりのする、
温かい世界に居たかったのかもしれない。

「風立ちぬ」。いきねば。


田園風景や、軽井沢も昭和レトロなところも、
そして大切な愛するを思う純情というか、
こころとこころの、純粋な結びつき方があまりに美しくて、いい世界だった。

ずっーといつまでも観ていたかった。

宮崎監督がホントに描き残しておきたかった世界観。
飛行機は夢だ、映画も美しい夢だ、とあるように、
日本の(戦争の悲劇はもちろんあるけれど)輝くドリームがそこには描かれていた。

「風立ちぬ」は、ジブリ作品のなかでは、「トトロ」や「ポニョ」「千と千尋の神隠し」に並ぶ、好きな作品となるかもしれない…。
元々、堀辰雄は好きなんだけど。
あれほど、日本の美しさ(田園、軽井沢、汽車等)が描けるアニメーターは
やはり宮崎監督の他にいないと思う。昭和レトロな大好きな時の日本。
大人のアニメでもあった。

それは紛れもない真実、空想なんかでは決してない。あの日の日本の姿。
日本人は規律正しく、勤勉で、そして誠実。あんな風にクリエーターは仕事して、高度経済成長を勝ち取ったのだ。日本の技術力はそうやって伸びたのだ。
宮崎監督は、本当に素敵だった日本のありし姿を残しておきたかったのかもしれないと思った。

そして宮崎監督自身が「死」というものを視野にいないではいられない年齢。心はまだ夢を追う少年のようでありながら、
あの日。戦争時代にいつでも死が隣り合わせであったように、監督自身もいま死が親しいものとして、存在するのだろう。
人生は、まだあんなに美しく、生気にみちて輝いているというのに…。



本当にこの晩は、日本とフランスの贅と美、極まりない世界に震えた夜だ。


そして。

この晩の、1本の電話からはじまって、翌朝には電話で打ち合わせ。

昼からは3本の電話と2本のメールなどによって、一気に仕事が動き始めた。

これまで聞いていた案件や、止まったままになっていた案件も含めると、お断りすることもできず、あー、こんなに沢山のものをクオリティを落とさずに出来るかしらと、
ちょっとしたプレッシャーに打ちひしがれそうになりながら、仕事をしている。

台湾紀行、続きを書きたいけれど、いつになるかなぁ。
もし、続きをはやく読みたいと思ってくださっている方があれば申し訳ないです。ヒマを見つけては更新します。



フレンチレストラン「ピエール」
06-6374-5700
大阪市北区大深町3-60 インターコンチネンタルホテル大阪20階
11:30~15;00、18;00~23;00









mamaの会

2013-08-07 23:59:32 | 大阪ごはん
わたしにはママ友と呼べる友人がざっと20人くらいいる。
でもそのなかで週に1度ほど連絡を取り合う仲となると、4人くらいかな(ママ友とは、勿論、娘のNのお友だちのママ)。

同じ街に暮らし、共通の友人を持ち、同じようなとこで買い物して、Nのことを幼少の頃からずっとずっと知っていてくれている稀少な存在。

ママ友は、仕事をするわたしを全く知らないので、いうなれば女×女、いや母×母の関係性だ。

いろいろなことを相談しあったり、助け合ったりして、愉しい間柄を構築していきたい。
素の女同士として。どこまで、お互いの心をホット(快楽)にさせるかが勝負だね。

本当をいえば、自分が培ってきた友達とは違い、少し気を遣ってしまうところもあったのは事実。

私の優柔不断さが直接、Nの評価につながってしまうところが怖かったのかな。
ジェジェジェ!と驚くこと、勉強することも多々。賢いママは世の中にいっぱいいて、感動のあまり観察者のように口ぽっかーん、すごーの状態もよくあること。

子育てのあれこれや、今晩の夕食のことまで影響し合うママ友は、もはやなくてはならない存在だ。

なにかあればすぐ連絡をとりたくなり、食事の冷めない距離にいてくれるという意味では、もはや身内に近い。

それに子どもができてからは、よその子までカワイくなってきて。
いつしか子どもスキスキに!

ましてやNのお友達なら、なおさらである。ママ友に子どもたちのことを聴く時間がいちばん愉しい。



さて、ママ友といえばランチ。
そしてお茶会だ。
わたしも月2度くらいはママ友ランチに行く。

先日は、グランフロント大阪の「「code kurkku+IL GHIOTTONE(コードクルック プラス イルギオットーネ)」へ。

このところ、グランフロント大阪はハズレ続きだったけれど、ここはどうかしら…。
京都の本店で笹島オーナーシェフにお話を伺ったのは、はるか昔だけど…。

さてさて、「全国各地の生産者から届く新鮮な食材をベースに、日本料理の技法を取り入れた新しい切り口のイノベーティブ・イタリアン」。
新境地はいかに!

ナチュラルな木のテラスを通り抜けて、扉をあけるとおぉ~う、いらっしゃいました、笹島オーナーシェフ。
満面の笑顔で迎えてくます。

最初はグリッシーニ(棒状の細長いカリカリのパン)と飲み物をサーブ。
私は白ワイン、友達はシャンパンやビールを注文。



ひと皿目は、「ホタテ貝とトマト、弓削牧場モッツアレラのカプレーゼ」だ。



引き出しをあけると、カトラリーがズラリ。パンは木箱に入って登場する。
 



続いて、「初カツオのタタキに、柑橘類とたっぷりのイクラをのせた前菜」。
花穂じそ、ウイキョウの泡がアクセント。



前者はホタテ貝の火入れ加減もよく、酸味のあるトマトとモッツアレラとの相性はバツグン。食欲をそそる。

続いての皿はおそらくクーラーが効いた室内で頂くことを想定のメニューなのだと思う。実際にはガラス越しに照りつける太陽は容赦なくて、
せっかくの和歌山産のカツオはぐったり。
身の締まった初カツオがキンと冷え、ツルンと口のなかへ飛び込む鮮度がほしかったなあ。
そういう意味でもイクラと柑橘類、ういきょうの演出も同様。夏のさっぱり感が乏しかった…。

やっぱり、これがいちばん美味しかったね!自慢のパスタだ!(撮影は無し)
平打ち麺に、ナスやアスパラ、などの夏野菜が入ったオイル系で、ほんのりジュノベーゼで香り付けをしていて
麺とソースの一体感が素晴らしかった。あっという間に胃袋に滑り落ちた。

メインは、「豚ローストの炭火焼き」。クリーミーなソースとともに。



ナイフを入れると、パリッと音がするほどに、高温で一気に焼き上げたとあって、香ばしさが違う。中は肉汁たっぷりでやわらかい。
3切もあり、見た目よりもボリュームがあった。

最後はパンナコッタのデザートと珈琲で〆。



う~ん。やはり心に残ったのは、パスタかな!この店のパスタは裏切られたことがない。
ディナーは10500円~とお高めだが、おそらくシェフの感性が炸裂する品々が登場するのだろう。機会があれば記念日でも予約してみたい。

このあと、香港発のデザインジュエリーの展示即売会をホテルで観て、ほっ~とため息をついて。
チョコレート専門店「ショコラティエパレドオール(CHOCOLATIERPALETD'OR)」へ。
活気たっぷりのJR北側を望ながら、いつまでも弾丸トークは止まらない。



これが、いま話題になっている「ショコラネスパ」。
炭酸の泡とチョコレート感が同時に押し寄せる不思議なドリンクだ。



甘いものがいくらでも食べられるママも、チョコレートケーキとともに食べると、甘さが鮮明すぎて…。OMGといった印象のよう(笑)。

私の注文した「カカオ水ようかん」+苦めのエスプレッソは、餡とショコラが溶け合って、
なかなか面白かった。和スイーツ好きにはオススメ。




さて、朝から夕方7時まで延々とお買いものして、おしゃべりして…。ナンとはや9時間も。
これだけ一緒にいて話すネタが尽きないというのは気のあう証拠だね。

ともに19歳の娘たちをもつママたちは、4カ月前の受験の話に花がサクサクッ!脇役であってもともに難関をくぐりぬけた戦友のようだ。それぞれによく頑張りましたネ!
ちなみに、全員娘たちが一人っ子で夏にちなんだ名前なので、「Summer Girls mama」と命名!

これからは、子どもたちに負けないように、時には弾けちゃおう!と意気投合である。
今後とも、よろしく末長~くお付き合いくださ~いませ♪




白ワイン、赤ワイン、赤ワイン…、そして赤ワイン

2013-07-10 01:14:17 | 大阪ごはん


好きなお酒はなに?と聞かれたら一番はワインをあげるだろうか。
飲み口がくっきりして、体にスッーと浸み入るような…例えばフルーティーな味わいのものが好きだ。
育った土壌や作り手を感じられる質のものが、特に素晴らしいと思う。

夏場には、太陽を感じながら(夜でも)、
シャンパンを飲むのも、ものすごく贅沢な気持ちになって、
たまらなく好き(めったに飲まないけれどね)。

いつだったか、真夏の奈良ホテルで蝉しぐれを聞きながら「ローラン ペリエ」社のシャンパンを3杯飲んで、
その晩は夢にまでシャンパンの香りが忍び込んで…、鹿と仏像とシャンパンの残像に圧倒されるすごいパワフルな
ものを見た。以来シャンパンのすごさも理解する。

おいしい冷えた純米酒と和食という取り合わせもまた、年齢を経るにつれて好きになった。


さて先日、といっても少し前のことになるが、ライター友達のかおりさんと
「おいしいワインのお店をハシゴ」という、愉しい試みを企画した。

夕方6時に待ち合わせて、まずはかおりさん馴染みのフレンチ居酒屋「ブラッスリー・ランコン」ヘ。
お初天神にあるこの店は、私は全くのお初だったのだが、
その雰囲気のよさに、すでにいい気分🎶



黒板に書いてあるオススメのワインを見て、さらにワクワク。
シニアソムリエの方がワインの好みを聞いて、的確にアドバイスをくれた。
1杯目、かおりさんは、ドイツのビール「エルディンガー」を。
私はイタリア産の白ワインからスタートする。
好みのとおり、くっきりした飲み口で、香りがよく、爽やかな夏らしい白だ。
食欲がムクムク花ひらく。

お料理メニューを開くと南フランス風の家庭料理というラインナップになっていて、おいしそうな予感。

まずは「海老とアボガドのサラダ」、そして「キッシュ」、
「ルーム貝の香草焼き」…と出来上がっていくお料理を愉しみながら、
赤ワインを2杯飲んだ。








キッシュはふわふわの生地で卵とチーズの風味がよく調和していた。
ヨーロッパのワインに合わせるなら、やはりルーム貝かエスカルゴを食べたい。なので、
この日はルーム貝を選ぶ。
パセリやバジルの香草がよく効き、新鮮な味わいに、またまたワインが進んだ。


最初は少し軽い、みずみずしいものを選び、
土っぽい果実味の深い赤ワインへと移っていく。



チリ産、南フランス産の赤へと。
お酒が変化するにつれて、舌がどんどん柔軟になって、
迎える料理のレベルや懐を、広く深くしていくようで、
ちょっと素敵な気持ちになっていく…。

赤ワインのおいしさに誘われて「枝付きレーズン」もオーダー。



かおりさんは、非常によく飲める人で(ワインなら2本は友人とあけるらしい)。
お酒の謂われについても深い。一緒に飲んでいて、安心する。お酒について
いつも教えてもらうことが多いし、愉しい。
この日新しい仕事が飛び込んできたらしく、
(ずっと長くやりたかったこと)そんな朗報も聞くことができてよかった。


二軒目は、わたしのオススメの店ということで、
堂島までぷらりぷらりと歩いて「グロリエット」へ。


ここはかつて「キュニエット」を取材した時の印象があまりに鮮明だったので、
いつか訪れたいと思っていた店である。



「キュニエット」とは堂島メリーセンタービル4階にある。
稀少なビオワインを150種扱う大人のビストロ。
オーナーソムリエは今城賢さんという人である。

「ウソ偽りのない本物のビオワイン
(酸化防止剤、農薬・化学肥料なしでブドウを育成し貯蔵するワイン)、
フランスの土壌の匂いを感じられるワインを供するのが自分の使命」と語る彼の話は熱く…。

当時、おそらく真夏の昼下がりだったと思う。
ガラス越しに照りつける太陽を感じながら、
ズッキーニ・ナス・ゴボウ・モロッコインゲンなどでグリエされた「野菜のテリーヌ」を食べ、
黒豆枝豆とトマト仕立てのコンフィを食べ、
素晴らしくみずみずしい口当たりの、酸味・果実味が鮮やかな白ワイン。
野いちごをかじったようなやさしい味の赤ワインをいただいた。

料理のレベルも高く、ワインの味もキリッとしていて本当にびっくりした。

そして味わいだけではなく、オーナーの今城さんの語りに感動し、
私は聞きながら涙が頬に落ちたのを慌ててぬぐったのを覚えている。


彼はフランスのプロヴァンスで自然派ワインづくりを2年以上経験し、
食事もワインも共にし、早朝から夕方まで農園に出て、ぶどうの生命を尊び、
子どもを慈しむように愛情をもってワインづくりに尽くす農夫の生き方に心底から敬愛を抱いていらっしゃった。
そして、その情熱の冷めままに、
きちんと日本に持ち帰って、
生産者を応援するために、フランス産ビオワインを地道に
コツコツと伝道し続けている方であった。

「グロリエット」は、1号店に比べてカジュアルライン。

店の造りはいたってナチュラルで、若い人でも躊躇なく入れそう、
いわゆるカフェ風というバーである。

ボードに書かれたメニューから、私たちはまず「水ナスとトマトのサラダ」。
そして水牛だったか羊だったかの「自家製ソーセージとポテト添え」をオーダーした。

ワインは、赤を。
かおりさんは白からはじめた。




フレッシュ感があって、
体に深く自然にしみ入る素敵なワインだった。
あまりに好みのものだったので、オーナーに質問してみると、
やはり風貌は違ってみえていたのだが今城さんその人だった。

私の隣にいたかおりさんは、数年前、日本酒の利き酒師の資格を持つほど日本酒を、
そしてお酒を心から愛する人だ。当然のことながら、彼女は本当によくオーナーと話しがあったようで、添加物を加えず一切天然酵母でつくる考え方や、
農家や造り手の姿勢のようなものを共感しあい、いくらでも話は続いた。

おいしいワインを傍らでぐいぐい飲みながら、そんな酒談義に耳を傾けているのも、とても心地よいものである。

思いのほかワインが進み、2軒目でありながら4杯は軽く飲む。かなり、ご機嫌な時のピッチである。(普段はもうそんなに飲まない)




彼女のワインは、土っぽいスパイシーな味わいでセクシーなものを。

私はぶどうの香りが柔らかい、すっきりとしたナチュラル感があって
ごくごく飲める赤。雨の街灯とシャンソンを連想させるような酒場っぽさが隠れているようなワインを次々に用意してくれた。



帰り際には、お腹が空いてきて「チーズ盛り合わせ」まで食べた。

(2軒目にしては高いお代だったのだ)

この次、訪れたなら絶対に好みのワインをあまり語るまいと思う。
オーナーの勧めるこの日のおすすめを、先入観を持たずに飲んでみたい。
そのほうが未知の扉を叩けるだろうから。


わたしが聞いたのは「なぜ2号店を立ち上げようと思ったか」、ということ。近すぎる距離で、どういった違いをどんな意図で作られたのか知りたかった。

「1号店は、本格的なビストロ。おいしいお料理にあわせてワインを飲むという方がやはり多いです。
だから、もっと普通の人たちが、フラッと来てビオワインを飲んでほしい。
ワインって、本来はもっと気軽なもの。フランスでは日常の飲みものです。単純に、酸化防止剤が入って翌日頭が痛くなるようなワインでなく、
フランスの土壌に根付いた、作り手の真心が入ったいいワインがあるんだよと。そん風にビオワインの良さを知ってほしいとを思って立ち上げたんです」
そんな風におっしゃっていたと思う。

記憶しておきたいと思ったので、ちょっと詳しく書きすぎたのかもしれない。
(コマーシャル的になってしまったことは勘弁である)

ともかく今後の私たちの仕事のこと、好きなものを伝え人の役にたつ仕事をする人の生き方に、
ハッとするものがあったし、すこぶる心地よい熱い、夜。
おいしいワインのハシゴだった。




ホテルでの接客を学ぶために

2013-06-14 23:54:16 | 大阪ごはん


4月から大学生になったばかりの娘のNが、ホテルの宴会やレストランでアルバイトをはじめた。
「セントレジスホテル大阪」や「インターコンチネンタルホテル大阪」がそのホテルである。


これまでの人生で労働をして報酬を得た経験のないNにとっては、いろいろ刺激のある日々のようだ。
大学の話や友人たちの話より、ここ数日はアルバイトのことで頭がいっぱいのよう。

たとえば、
「○○さん、今何しているの?」と女性上司からよく質問が飛ぶという。

「はい、3番のお客様へのナイフフォークのセッティングに行こうとしていました」などと受け答えをするN。

「そうじゃあすぐに行って。帰ったらすぐにこれもやって」と
彼女の答えに、必ず、お土産付きで返す上司。

要するに一瞬たりとぼさっとしていないで。常に目配りして労働をしなさいね、という意味なのである。

何事も勉強だわ。ふむふむと話を聞きながら傍観していた私だったのだが
先日ついに口を滑らせてしまった。

「それじゃあお客様側の立場からホテルの接客というのを観察してみたらどう?
スタッフや人の動きを心おきなくみれるわよ。なんたってお客様だもの」。

そう、言ったあとにすぐに後悔した。
こういった提案は本人がしてこそ意味があるのだ。
「ねえ、どうしてもみたいのよ。お願いどこかのホテルへ連れてって」と
必至に拝まれて、しぶしぶ重い腰を上げるのが筋!そうでなければ 半分も効果なし。そう理解はしているのだが…

しかし、気付いた時にはすでに時おそし。

ということで、
先週日曜日に朝6時~昼1時まで労働していたNと待ち合わせして、
「リッツカールトン大阪」(三ツ星サービスで有名)へ出掛けた。



日曜日のホテルはどこも満席。
当日の予約で間に合うレストランはどこもなかった。
それで、Nの希望もあって「スプレンディード」のデザートバイキングに侵入する。

ここは、私がかつて広告代理店に常勤していた頃、側にいてやれない母の
せめてもの償いに、と幼稚園や小学校時代のNを伴って、3・4度ほど訪れている。

数年前に東京のお友達とも立ち寄ったりしたが、
やはり幼年の頃のNとの想い出のほうが深い。




この日も、ケーキ類はもちろん、

シェフがその場で焼いてくれるクレープやワッフル、石窯から出したばかりのピザ、パスタ数種、
特製マカロン、チョコレートなどを、すこぶる落ち着いたヨーロピアン空間のなかでいただいた。









珈琲、紅茶は好きなモノを何杯でもお代わりできるので、

最初はリッツで一番好きなブレックファーストをストレートでオーダーし、
アッサム、ダージリン、さくらティー、珈琲と2時間近くも甘いものを食べ続けた。
ま、経験上、それほどケーキは欲張らず、ナッツやチーズ、
サンドイッチ類をメインに時間を構成したかな。






そして思う。ホテルのよさって何かしら。と。
空港(ターミナル)もそうだが、旅の途中にある各国の人と同じ場で過ごせること。
いろいろな人の人生がほんのひととき、かいま見られるのが愉しい。
そして飛行機に乗らなくてもちょっとしたリゾート気分に浸れるのも愉しい。


たとえば、家のなかだって朝夕の照明を落としたお風呂とか、
オレンジ色のライトだけにしたベッドルームでの読書とか、
朝のベランダで風にあたっている時とか、
ほっとできる異空間はあるのだけど、やっぱりホテルの時間は時の流れが違う。
時間軸が、世界のビジネスというか社会にむいていながら、
そこで食べたり飲んだり、くつろいだり出来るのが愉しいのだと思う。

(わたしの実家が旅館業をしていたせいか、飲食店やホテルはなんだか
もうひとつの居場所のような気がしてしまうのである)。

さてさて、肝心の接客スタイルは学べたのだろうか。

スイーツやサンドイッチを何往復もして、沢山ほおばっては、お喋り三昧のNだったので。
その効果はどうなのかは、はっきりわからない…(涙)。
しかし、スタッフの歩きが早い。行動も早い。瞬足で働きながら、表情は優雅で笑顔。という気が私はした。


帰りにグランフロント大阪に立ち寄って、
「インターコンチネンタル大阪」のエレベーターを20階まで上がりきって



モダンなロビーや、プール、ジム、バイキングレストランの
「NOKA(ノカ)」などをチラリとのぞく。

このホテルは6月3日にオープニング前夜祭で、世界のVIPが集合したと聞くが、
ある意味、リッツとは対極だ。シンプルでモダン。
完璧にビジネス(VIPビジネス)でosakaを訪れる客層をターゲットにしているようだ。





さて、今週の水曜日から真夏のように関西は暑い。梅雨宣言から一転、湿気の多い日本の夏。
でも、夜になると少し風がやわらかくなる。

きょうは夕方まで仕事をして、
それから車で今日まで上演している映画をみるために近くのシネマへ…。






おいしいものと、素敵な1周年の同院会

2013-06-11 20:30:27 | 大阪ごはん


このところ5月からずっと仕事が混んでいて、おいしいお店へ行ったり日々の発見も更新できないでいたが、今週末から落ち着く予定。
なのでそれらを紐解いていくなかで、この日のことだけは先に「アンデルの手帖」にメモしておこうと思う。

6月1日(土曜日)、大阪中央病院にて10日間共に入院生活を過ごした時のメンバーと
1周年の同院会(同窓会と違うから 笑)だった。
本来は6人で集まる予定だが、Oさんはお母様の体調が思わしくなくて欠席(明るく気丈な人で、自宅で誠心誠意の介護をされているという)。
それでも約9カ月ぶりにみるメンバーの顔。
懐かしくてすぐに意気投合した。


北浜のライオン橋(京阪電車26番出口)で待ち合わせをして、
この日は北浜の「エッサンシエル」へ。



ご存知の方も多いが、ここは大阪「ル・コントワール・ド・ブノワ」にてエグゼクティブシェフを勤めた大東和彦シェフが独立後、
はじめて自分のスタイルでフレンチレストランをオープン。
無駄な装飾を排除した引き算の料理を志しておられるそうで、修業されたフランスにはない、
日本における日本人のための、フランス料理を表現したいというのがコンセプトである。


エレベーターが7階に到着すれば、いきなりのダイニングだ。

カウンターで窓際の席をリザーブすれば、堂島川と土佐堀川を見下ろす圧巻のロケーション。
そして、オープンキッチンの臨場感まで味わえる構成である。


一見は割烹のようになっていて、シェフとの距離が近く、料理の行程がよくみえるのがいい。
もちろんステンレス製のキッチンはよく磨かれてピカピカだ。
ガスは使用せずIHだけで調理しているのには驚いてなぜ?と聞かずにはいられなかったが、
丁寧に理由を教えてくれた。
(10年近く、往来の店がそうだったから。掃除の手間はかからないし、便利極まりないという)



まず、アミューズは小鮎のフリッタータから。お箸でいただく。



旬の鮎だけに、ほんのり鮎の苦みと香ばしさがいい感じ。
サクサクッと一瞬で口の中に入ってしまった。

この時、柑橘のパンとともに、軽めのボルドー(赤ワイン)を注文。
お友達は白ワインを。



皆さんで乾杯!再会の喜びとお料理への期待感に高揚してきた。
おしゃべりも一気に弾む。



次は、熊本のフルーツトマトと白トマトをメインに、
フランス産のロメスト(レタスの一種)などの葉野菜や
ハーブをつかった爽やかなサラダ。



トマトがおいしい!こんなに甘いなら、冷えた器でキリッと冷たいトマトで食べたかった気も。
(おそらくフライドした野菜の印象も残したかったに違いない)


続いて、絶品!ふわふわの枝豆のスープ。



しっかりとコクを残しながら、
ふわっふわの舌触りとやさしい味わい。
これはおいしかった!器(日本の現代作家もの)も素敵。
この日いちばんときめいたお料理でした。



次はフォアグラとびわ、はちみつのソースで。



フォアグラの火入れ加減がよく、臭みも濃すぎる感じもない。
すっとした端正のなかに、口のなかで味わいが広がっていく。
びわのやさしさに包まれて、
デザートのようにフォアグラを食べたのは面白かった。


メインは、豚肉のローストだ。



フランス産のアスパラとの彩りがきれい。
これはさすがにお箸でなく、ナイフフォークでいただく。
ワインの効いた軽いデミグラスソースがよくあっていた。
肉質もよかった。

メインということはもう終わりだね。
沢山いただいたのに、まだまだお腹に余裕のある気がするのはフレンチには珍しい。
きれいなお箸と洗練された器で、少しずつ様々な素材感をあわせるところは、
和のテイストを随分と意識されているようである。


デザートはシュークリームだった。



ナイフで半分に切ると、なかには抹茶とあずきの餡子が顔を出す。
漆器の器で登場した珈琲とともにゆっくりといただいた。


帰りには、大東シェフ、快く記念撮影まで参加してくださり、感謝・感謝!

オープンキッチンを意識するあまり、下ごしらえされたお料理をすべて
目の前でソティなり、フランベなりの火入れをするサービス精神があって。
欲をいえば、お料理の温度の変化、
味わいの強弱、が少しあってもよかったのかな、と思いました。
でもとても気持ちよく過ごせるいいお店でした。
また時期をかえて訪れてみたい。お料理はお昼コース4500円でした。


さて、本当はこのまますぐそばの「モトコーヒー」でセーヌ川(堂島川と土佐堀川)気分を味わって
個室で談笑しようと考えていたのだがあまりにお料理の満足感があって、
もう少し歩きたい気分に!そこで急遽、老松通りにある中国茶館「無茶苦茶」まで足を延ばすことに…。





ここは本当に私の好きな店のひとつである。
オーナーの黄さんは美しくて、茶の作法においては一流の腕前。
お店やライフスタイルを取材させてもらったこともある。
大阪綿業会館でお茶会のイベントにも参加させてもらった。



明前黄山雀舌(青茶)

安渓鉄観音春茶(青茶)

白毫銀針(白茶)

の3種のお茶をいただきながら、
黒胡麻白玉団子と
5人前のドライフルーツで。







ああこの店はいつ訪れてもくつろぐなあ。
湯気がしゅんしゅんと吹く音を耳で感じながら、青々とした茶の香りに酔いしれ、
黒胡麻餡がなかに包まれた白玉をパクリとやる快感は他の店では無理。
築100年の一戸建て日本家屋がかもす独特の雰囲気と、派手すぎないがセンスのいい中国調度品とがよくあっていて、
空間・茶・もてなしと、なにもかもがしっくりと溶け合っているのだ。
だから、混んでいなければゆっくりと自分たちのペースで会話できるのがいい。



この日もお互いの近況をのべあい、最近いった素敵なところやお互いの未来の夢、そして悩み、将来の不安、子供たちのこと、
老後のあり方にまで話しがずんずんとエスカレートし、有意義な1周年の同院会となった。

同じ痛みをわけあった仲間たち。
まるで大学の合宿生活のような愉しい(?)日々だった。
病を通して知り合った私たちなのだが、病というほど暗い関係ではなく
年齢も個性も様々で生きてきた道筋もなにひとつ共通点はないけれど、
なんだかいつも懐かしい存在。
元気でいらっしゃるかしら、
と日常の句読点で、季節折々に、思い出す不思議なお友達である。

●「エッサンシャル」
06-4963-3767
大阪市中央区北浜1-1-28ビルマビル北浜7階
ランチ12;00~
ディナー17;30~
日祝休


あの日のosakaは異国のような美しい街だった

2012-11-07 00:48:53 | 大阪ごはん


その日は、薄曇りの少し寒い日で小雨が降っていたので、傘を持たねばならなかった。

電車のなかは、生ぬるく中途半端にエアコンが効いていて、乗り合わせた人々やその街の匂い、雨の湿気が入り交じった、特別な冬の匂いが漂っていた。

私は、本町駅の7番出口で降りて、地下鉄の階段を駆け上がり待ち合わせのホテルまで急ぎ足で向かった。

と、ここまで読んだら、あら、どんな衝撃的なお話が続いていくのかしら、と思うのかもしれないが、その期待には反して、ごく普通のありふれた、ある休日のことをこれから書こうと思っているので
肩の力を抜いてホットココアでも飲みながら、少しくだけたくらいの調子で読んでもらっていっこうに構わないから、(余計なお世話よね)と言っておこう(笑)。

セントジレス大阪。

御堂筋の通り沿いから見えているのは、パリのカフェテラスのような籐の椅子とテーブルが並ぶフレンチビストロの「ル ドール」だ。

私はそこからぐるっとホテルを半周して船場センタービルの方角であるメインの玄関口から入り、案内に従って1階のエレベーターの前に置かれた
長いすの前で友人を待っていた。
3分ほどすると、彼女はやってきた。

ブルーグレーのワンピースに軽いコートを颯爽とはおり
「すいません、お持たせしてしまいました?」と。

ここにも以前書いたことがあるコピーライターの元同僚である。
ふたりで向かったのは、セントレジス大阪12階のイタリア料理「ラ ベデュータ」。

広告・印刷業界は通常、11・12月が一年中でも指折りに数えるほどの忙しさなので、ここは、「秋休み&クリスマス休暇」を兼ねるくらいの勢い(の、つもり)で、
女ふたりちょっぴりセレブなランチを予約してしまったのだ。

セントジレス大阪といえば、
昨年船場のレストランで夜のごはんを食べた後、クリスマスツリーを見るためにわざわざ立ち寄ったほど、
好きなホテルだ。というのは、以前に家族でバリを旅したとき、私はセントレジス・バリリゾートにてスパ(ルメードゥ) スパ」を体験し、
興奮と歓喜に充ち満ちた素敵な思い出などもあったりして、

勝手に幸福な妄想がむくむくと膨らむ特別なホテルなのである。

イタリア料理「ラ ベデュータ」。


イタリアの田舎地方にある別荘を彷彿させるというコンセプトの空間は
外からの光をたっぷりと取り入れ、開放感のあるダイニング。
天井から吊された照明や狩猟モチーフのあれこれなど調度品が重たくていい。

ちょっとした小さなところにも、ヨーロッパのエスプリが仕込まれ、でも豪奢すぎるところが全くない
温かな造りのレストランだ。

さあ、今日は「トラディッツィオーネ」(3,800円)をオーダー。

まずは再会をシャンパンで乾杯!
臨場感あふれるオープンキッチンをチラリとみながら、いろいろ話した。

一皿めは、「サーモンのマリネ 赤パプリカのセミフレッドを添えて」。


ジュノベーゼソースをチョンとつけて頂いた軽やかな食べ心地のマリネ。
冷製だから、新鮮さが際立っていた。

次は、温か~い北イタリアの、家庭的な味わいに仕立てられたスープ、
「野菜たっぷりのミネストローネスープ ラ べデュータスタイル」で、
この季節にぴったりの、やさしい味わい。

パスタはそれぞれチョイスし、
私は「ムール貝のグラニャーノ産リングイネ」を、



友人は、「イタリア産黒オリーブのトマトスパゲティ、魚介を添えて」。

そしてコーヒー&紅茶とともに
好きなデザートをいくらでもオーダーバイキングで召し上がれる、フィナーレという構成である。



アールグレー紅茶のソースがかかった
「柿といちじくのデザート」は最高においしかったな。
「三種ジェラートとフルーツの盛り合わせ」もよかった。

お料理としてハッと意表をつくほどの斬新さは正直なかったが
あくまで基本に忠実に、家庭的なあたたかい味つけが施されている
居心地のいい安らかなレストランだと思った。

接客は自然で、笑顔と親切心が感じられて、それらが行き過ぎないところにも好感がもてた。

周りの雰囲気も手伝ったのか、旅先のどこかで友人と再会して
ゆっくりごはんを食べているような錯覚になったのが面白かった。

ホテルを出ると4時少し前。
歩きたい!という衝動にかられて、
本町から北浜までOSAKAの街を散歩
する。

友人は事務所も自宅マンションもここOSAKAの中枢にあって、
都心生活を謳歌して暮らしている。
だから抜け道やセンスの良いショップの情報にも詳しいのである。


この日は、北浜プラザ1階の「リネンバード」と「エヴァムエヴァ」をひやかして、
温かそうなカシミアのスヌードやホームウエアなどに心惹かれながら、

インテリアショップ "Visions(ヴィジョンズ)"へ!
〒540-0039 大阪府大阪市中央区 東高麗橋6-2-1 F 06-6944-4777
http://www.v-i-s-i-o-n-s.com/


ここは、フランス(南仏)を中心に買付けた食器やアンティーク・ブロカント、アート、バッグ、小物雑貨が実に美しくコーディネートされていて、
見ているだけで吸い寄せられるような素敵なモノたちに、癒された。


そして、な、なんと衝動買いしてしまったのがこのバッグ。




ブルーグレーのような、薄いラベンダーカラーのような微妙なニュアンスが
きれいだなあ、と思って手にとってみたら離れがたくなってしまったのだ。

本当に私自身の欲しいモノを買ったのは久々。夏以来かも。

神様ごめんなさい、受験生の親として全く自覚がない、不甲斐ない私なのであります。

この日のOSAKAはいつもと違う。

灰色の空と濡れた道路に、冬仕立ての
イルミネーション。

きっと12月まであとわずかという、華やかさやドキドキ感が街に溢れていたように思う。

仕事で歩く時とは別の顔をもった、
異国のようなしっとりとした表情で
迎えてくれていた。



いろいろな思いが駆け巡っては消え、泣いて、反省して、感動して

2012-10-31 01:01:16 | 大阪ごはん


空気が乾いてきた、と思ったら紅葉が進み「落ち葉の季節」になっていた。
風がさーと吹くと、カサカサと葉がこすれる音とともに、
黄色に色づいた葉っぱたちが順々に落ちたり舞っていく様子が、
デスクの前のガラス窓をとおして見ることができる。
なんて贅沢なことだろう。

寒くなってきたら、いやがおうでも受験を意識することになる。
いよいよ、センター試験まであと81日だ。


なっちゃんは先週に引き続いて、学校が終わってから、
毎日4時間の「秋期講習」(研伸館)を受けて、へとへとになって帰ってきて口数も少ない、かと思いきや、
これが相変わらずよくしゃべること。

「今日は誰それが、こんなこと言って面白かった!」とか、
「今日の昼休みはこんな冗談を言い合ってみんなで笑っていたんだよ」
とか、愉しい話題が多いことにホッとする。

昨日は帰宅後、国語の赤本を必至で解いている凛々しい姿を
ほんとうに久々に目にして、
ああ、こんな真剣な目をしているなら大丈夫、良かった!と
思い数日ぶりに朝まで熟睡できた。


さて、

週の半ばでは念願の「びりけん」へ。
最も親愛なるライター友達のSさんとも再会することができた。

北新地の真ん中にある「びりけん」。

店主が料理を並べたり切ったりする小さな厨房をぐるり囲むようにして配する「木」のカウンターは、日本酒愛好家や食通たちが足繁く通ってくることもあって、厚みと包容力のあるいい表情をしている。



この日に頂いたのは店主お任せの
秋の味覚三昧。

特に印象に残ったのは、 
「ムカゴ、黒豆枝豆、オニグルミの付きだし」。



ムカゴはやっぱり塩ゆでが一番だと、(絶妙な塩加減の品々)食べながら思った。

「鰻の白焼き」も、健康な脂がのっていて身の締まり弾力ともに申し分なし。

鰻のイキイキとした生命力を頂いているようで、美味しかった。
これらが鮮明に記憶に残る。




「イチジクとカキ、ブロッコリーのグラタン風」もサッパリして、
素材の味ひとつひとつが愉しめたし、



それに「手羽の照り焼き」も、
野菜ベースの「椀物」も、
どれも余計なものや雑味の一切ない素直な味。よかった。美味しかった。






ほかにはこんないろいろも。





写真がピント外れなので添付できないがアジのムニエルもあった。

私はここへ来ると普段はあまり飲めない日本酒のペースが加速してきて、
くいくい飲めてしまう。

この日も5杯くらい頂いただろうか。
一緒にいたS さんが心配するくらいに飲んでしまっていた。

いい調子になって飲んで食べて、おしゃべりをしていたら、
帰り際になってから、ひとつ店主からご忠告を受ける。

「大阪人やろ(本当は兵庫県民)。
東京の人じゃないんだから、
さあ、さあ言うてしゃべったらあかん。損や」と。

びっくりした!当の本人は全く意識していなかったことなので、耳を疑ったほどで。

というか、どっかの、見知らぬ誰かが「さあ、さあ、」と語尾につけて話している際に耳障りに思ったこともあるほどだから、本当に驚いた。
そのあとも、ご主人の話は続くのだが…。

同席していたSさんが、隣で一生懸命に言葉を尽くし、
全身でかばってくれていたので、
その気持ちの熱さに圧倒され、打たれ、なんだか泣けてきたほど…。

確かに職業柄、言葉づかいには十分に気をつけないと、いかん。

この店の主はヒーラーなのである。

まあ、その後の話しはともかく、
翌日にさっそく私の友人や仕事仲間の何人かにこっそりと聞いてみたのだ。

「わたしって、さーさーって言う?」と。

「さあー、さあーは方言のひとつみたいなもの、と受け取っていたわ。気にならないけど」

「言うでー、結構言うで。でも気にならん、あなたのサーは全く嫌みには聞こえんけど」

「そういえば昔から、よく言っているね~。ぼくは気にならないけどなんて説教されたの(笑)」

「ああ、そうですね。私も結構言うかもしれないわ。でも、これを言ったら傷つけるとか人に迷惑をかけるような言葉じゃなきゃあ、いいんじゃないですか。
話される状況とか人とかはみて話さないといけないかもしれないけどね」

みんなやさしいね~。
いい人たちに囲まれている。

この日同席してくれたSさんも。
人への熱さだけでなく、仕事や好きな事に接するときの
真摯な姿(情熱)というのに、私は打たれるんだなあと、後で気づいた。

情熱のある人、無垢な人、
ユーモアのある人に
私は本当に昔から弱い。うん、弱い。

まぁ、ともあれ、
大阪で仕事をして生きていくなら、「さあ、さあ」とか「マジ?」とか
多発するのは要注意!だね。

いろいろな思いが駆け巡っては消え、泣いて、反省して、感動して。
心が波のように鼓動した、「ある日」のことであった。

●酒人肴 びりけん
大阪市北区曽根崎新地1-11-20 たかがわビル8かい
06-6361-3312
16~24
日曜・祝日休(土曜日は前日までの予約してから来日)