月の晩にひらく「アンデルの手帖」

writer みつながかずみ が綴る、今日をもう一度愉しむショートショート!「きょうという奇蹟で一年はできている」

秋ナラの絶景。「談山神社」「大神神社」コース。

2014-11-30 23:39:16 | どこかへ行きたい(日本)



2014年の紅葉も、いよいよクライマックスに入ってきたので、
そろそろアップしなければ。

仕事の合間を縫いまくって、今年も紅葉散策を実は密かに実施していた。
私が全く秋の山々や社寺を歩かないわけはない。
最初のモミジは大好きな「奈良」からのスタートでした。

青モミジの大海に、黄や朱色が混じりはじめた11月初旬、
古い友人を訪ねて、弾丸で桜井市まで行ってきました。

曲がりくねった山道に寄り添って走る、細い川のせせらぎ。
落葉樹で湿った土の匂いまで清々しい。

山は鬱蒼と深く、神々しくて。
そこに佇む小さな桜井の町は、温かくも牧歌的で、哀愁すら感じる昔の山里なのでありました。

時間がサラサラと流れてはいるけれども、決して過ぎ去りはしないところNARA。
草原(くさはら)をぐるぐる、ぐるぐるとゆるい風が流れては舞い戻ってくる、まほろば。
時代に迎合しない、小さな里山でありました。

最初に訪れたのは、「談山神社」。
一の鳥居は、こんな村の中の原っぱの空き地に出現しているのです。





そこからずっとずっとハイカー気分で上がっていくと(車で約10分)、談山神社の麓に。

木の門跡をくぐると参道は、くねくねの山の道。
歩くこと15分。






藤原鎌足をお祀りする本殿、室町建立の十三重塔が見えてきます。
緑の葉っぱの匂い。朱の葉っぱの匂い。黄色の葉っぱの匂い。

江戸時代に建立した本殿は、厳かな森の中にありました。





源氏物語ゆかりの絵巻や、百味の御食も。

帰りは、端正な木のような、佇まいの美しい檜皮葺きの塔(十三重塔)を仰ぎ見て。










沢山のドングリや杉の森や紅葉の谷、苔の石にも
生命の息吹を感じながら、またテクテクと山の路を下っていきます。






そして、三輪山に抱かれた「大神神社」へ。

二の鳥居をくぐると神の神々に招かれるようにして、
境内に近づいていきます。
砂利をキュッキュッと鳴かせながら社殿の奧に。






全山が杉と松とヒノキに覆われた三輪山は、太古より神が静まる聖なる山と仰がれた聖地という。
大国主神が自らの魂を大物主大神(おおものぬしのおおかみ)の名で鎮めたことが、神話に記されている社なのです。

拝殿に参拝し、「巳の神杉」にも参拝(三輪の大物主大神の化身の白蛇が棲むことから名付けられたご神木)。
頭上のはるか上から木々がカサカサ、サワサワと音で手招き、
三輪山におわす神々しい強い視線と、崇高な気配すら感じてしまいます。
















知恵の神様である「久延彦神社」を参拝。




山辺の道をつらつらと。無心にひたすら歩きます。
野にすっくと立つ、柿の木の美しいこと。きれいな葉っぱの彩。
クスクスッと笑っているような葉や木々たち。









気持ちいい~。
朴訥とした秋色の風景に、ただただ心和ませながら歩く幸せ。


社寺に誂えられた展望台から眺める、清々しいまほろばの夕景。雲間からは光が何筋に差し込み、これもまた奇跡のような絶景に。




ふと頭を横切ったのは、堀辰雄の「大和路」。

こうやって、約半月1人で山辺の道や飛鳥路を歩いたのだな~と、そう感慨深く思い起こしながら、
黙々と。
ひたすら歩きます。




すると、ひょっこりとお見えになったのが、
こんな小さな仏さま。誇らしいお顔。その可愛いらしいこと。
こうやって、偶然、お目にかかれるのが、小さな旅の醍醐味ですね~。







それから、三輪の神様の荒魂を祀る「狭井神社」にも。
万病に効くという薬水が湧き出る井戸でおいしいお水を飲み、三輪山登拝口を仰ぎ見て。




たっぷりと、山辺の大和美を味わった後には、
テクテクと元来た道を歩いて帰ります。






途中には卑弥呼ゆかりの
はしたか古墳へも足をのばして。








途中に立ち寄ったのは今西酒蔵。ここで純米酒と甘酒をお土産に。
それから、名物の「みむろ」本店で、おぜんざいをいただきます。
購入した「みむろ」。
あんこの甘さが濃く、薄皮が風のように軽く、おいしい!







宵になると、三輪山から近くの肴のおいしい居酒屋でビールと純米酒で一献。




そして2軒目は、スペイン風のバーカウンターでワインをクイクイーーッ!と。3杯ほど。
ほろよいの、心地よさのなかで。
奈良の夜は更け、近鉄電車に揺られて帰路にーー。
私にとっては忘れられない快復の想いが凝縮した1日なのでありました。






ある仕事現場から。 ~CMプランナー「中尾孝年さん」を取材して。

2014-11-23 22:23:53 | 執筆のおしごと(主な執筆原稿、最近の公開できるもの記録)


コピーライター出身で、文筆家(ライター)という二足のわらじを履いてきたが、
ここ数年は後者の仕事のほうが多い。
(仕事はコピーが好きだけど)

「ライター視点」という理由だけで
1人の人物や、はたまた人の普段の生活を取材させてもらえるなんて、
申し訳ないけれど、ありがたい職業だな~といつも思う。

昨今にも宣伝会議発行の「ブレーン」12月の連載記事で
私のクリエイティブディレクション論「中尾孝年」、





宣伝会議創刊60周年記念「100万社のマーケティング」(11月29日創刊)の巻頭レポート
(なぜ、お客様の気持ちが見えなくなるのか。“顧客視点発想”こそ、マーケティング実践の原点)、





「広告界就職ガイド2015」などの取材と原稿執筆を
担当させてもらった。


特に、ブレーンの記事、CMプランナー「中尾孝年さん」は
飄々として明るく、本当に面白い方だった。
私の仕事への考え方を、180度変えてしまった。
江崎グリコアイスの実「江口愛実」や、大阪道頓堀に綾瀬はるかを起用したグリコの看板などを実現させた広告界の仕掛け人である。


本誌のキャッチコピーは「世の中の常識に縛られずクリエイティブの魅力で勝負する」というという言葉を採用したように、
彼の仕事のモチベーションは、この言葉に凝縮されている、といってもいい。









少年のように鋭く、冒険心に満ちた瞳を輝かせながら
「担当者だって所詮1人の人間。その人が素の自分に戻った時、
あ~やりてぇ~。おもしれ~と、ぞくぞくさせるような魅力のあるクリエイティブにしなきゃあ」と。

「妥協しちゃあいけないよ。絶対に。ほんまに良い仕事をすればね、
雪だるま式にね、(魔法みたいに)良い連鎖が起きるんだよ。
そしてね、自分が本当にやりたい仕事が出来るようになるんだよ」

中尾さんは、広告界のみならず、「プロダクトデザインや芸術家の仕事。
また徹底してアーティスティックでありながら売上げを背負わされているもの。
日本のアニメやゲームなど、世界的に評価されているものは、ちゃんとリサーチしておく必要がある」、といわれていた。




以下は、本誌より一部抜粋する。
(今月初旬発売スミ)


「いつもロジカルに突き詰めて、吐くくらいに考えるんです。
そして壁にぶちあたりすぎて途方にくれていると、突然違う方向の答えがバキューンとひらめくー。
それが絶対にいいアイデアです。あとはそこにロジックをどう接着させるかです。キーワードは「常識にとらわれないこと」かな。


「コピーって、自分と向き合うから孤独だし、内に向かってひたすら削って削って、尖らしていくようなところがありますが、
CMは対照的です。発散しながら考えるんですよ。」







そのほか、消しゴムで消した言葉の数々。それらのテープ起こし原稿もなくさないようにしなければ。
クリエイティブとは何か。
どうすれば成功することができるのか、を。
大らかに、冗談を話すような気軽さで
教えてくれた人だった。




秋半ば、「むかご」の季節です。

2014-11-06 23:32:00 | あぁ美味礼讃

今日でノンストップで走り続けた原稿が、とりあえず出し終わりました。
ホッとひと息。月曜日提出が、今日に速まった時は焦ったけれど、やればできるではありませぬか。




さて、これはナンでしょうか。河原で見つけた小石(!?)






いえいえ、こちらは、「むかご」です。
10月後半。武田尾・武庫川廃線跡の道端(でっかい岩のような御影石と武庫川の濁流の景観が美しい渓谷沿い)で収穫したもの。
毎年秋になると家の誰かが真っ暗なトンネルを5つ6つと、くぐり抜けて採集に行きます。

写真がないのが残念ですが、春夏秋冬のそれぞれが素晴らしい。
ゴツゴツした自然がむき出しになった、ありのままの風景。
電気のない真っ暗なトンネルを抜けると、そこは「雪国」ではなく
現実の太陽の光が眩しくて、明るくて、
一体自分はどこの世界へ行っていたのだろうか、と首をひねりたくなるような不思議さがユニークなのです。

さて、「むかご」のお話でした。
山芋の蔓の地上部分にできる直径1センチくらいの大きさの球芽です。




山芋はご存じのように、地中にのびていく作物ですが、
地上では、にょきにょきっと長い蔓がどんどん、どんどん伸び、沢山の枝分かれをして葉っぱを付けます。
その枝分かれした部分に、ぽちっと生まれるのが、小さな粒々の「むかご」。
山芋より若干高い栄養価。
鉄分やカリウム、マグネシウムが豊富で、皮ごと食べるので繊維がたっぷりと摂取できるとも。
いかにも栄養豊富そうな自然な味。

舌上にのせるとぬめっと!とした少し粘りのある食感。
のどかな里山風情を彷彿させる、淡泊な味わい。里の味ですね。

料理法はいろいろ試してみたけれど、
やっぱり2分ほど茹でて、ゴマ油で軽く乾煎りして塩をふっていただくのが
一番シンプルでおいしいでしょうか。




さてさて今晩は、新米に新ショウガ(種子島産)を混ぜて秋の味覚「むかごのご飯」をいただきました!
いよいよ、秋が深まってまいります。