月の晩にひらく「アンデルの手帖」

writer みつながかずみ が綴る、今日をもう一度愉しむショートショート!「きょうという奇蹟で一年はできている」

祇園祭と、老松の夏柑糖

2022-07-28 08:56:00 | コロナ禍日記 2022











東京から、Nが帰省した。

「ことしは祇園祭が3年ぶりにあるというので、祭気分を味わいに帰った」という。仕事の都合で、3日しかいられない。そこで後祭の宵山には一日早いが、炎天の京都へ繰り出した。

出町柳界隈を歩き、糺の森、下鴨神社を参拝。氷室の氷が自慢の「さるや」のかき氷を食べて、イラストレーターの知人が催している「草と本」のイベントへ。








夕方。風がふわりふわりと吹く。駒形提灯に赤い灯が入る四条烏丸の烏丸通りや堺町へ入る。

3年ぶりとあって、人出も多く、地元の保存会の衆も気合いが入り、いつにもまして、人の姿に活気がある。

北観音山・南観音山の山鉾をみる。浴衣姿の男や女が、わらわらと山鉾のまわりで歓談中。きょうは、山鉾の曳き始め。せいぜい鉾がみられたら、と思ったら、白地の浴衣姿の男たちが次々に鉾へ乗り込む。祇園囃子の演奏がはじまった。能や狂言を演じたことの名残ともいわれる、太鼓(締め太鼓)・笛(能菅)・鉦(摺り鉦)の生演奏。古から聴こえる和の音色。青い水色の町に、火のようにゆれる提灯。


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ソーレー♪ モヒトーツ♪ヨイヤなどの合いの手も、いい雰囲気。

「やっぱりええなあ」この祇園囃子、鉾の絢爛豪華の雰囲気は。空をつく矛先が鉾からあがる、潔さよ。京都の夏は、これでなければ。

路地裏に入り、屏風祭の家々をのぞく。だんだん、薄暗くなってきた。

鯉山、浄妙山、黒主山、八幡山へ。そして大船鉾についた。てぬぐいや、ちまきを販売していたので、さっそく購入した。

 

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45. 祇園祭と、老松の夏柑糖。|みつながかずみ|writer 
 
 
 

あおい水の時間 ブルーモーメントに呼ばれて

2022-07-27 23:31:00 | 随筆(エッセイ)

 

 

 

蒸し暑い日中、今年はまだクーラーをつけずにいる。宵の時間がくると、やっと本来の自分になるようだ。日没の時刻、その少し前をみはからって散歩に出る。

きょうはリゾート地で買ったオリーブ色のビーチサンダルにした。脚をいれた時には、親指と人差し指の真ん中らへんが擦れて、鼻緒が少し痛かったが、履いていると慣れてきた。足裏の神経は、脳に直結しているというが、ぺたぺた歩いているうちに、その辺の草の茎や花の匂いが風に運ばれて、鼻孔に届く。 

眺めのいい場所をみつけて、月を仰いだ。魂の強さが抜け出たような、聡明な光。夏の月は、不思議なくらいひやっとする冷たい光である。

遠くが見晴らせる丘の上にのぼった。

眼を移せば、山と山の間から、宝塚や大阪平野の灯りがちかちか動いている。光に灯のなかに、ビルの頂上に付いた航空機に知らせるための赤い灯が混ざる。瞬いている。じっとしていないことが、さらに美しく魅せるのだろうなと、思った。

そして、ブルーモーメントがやってきた。

蒼い時刻だ。眼を凝らしていると、自分まで蒼く染まっていくのがわかる。光の渦に彩られた都市が、いつのまにか湖の中に沈んでいくようにみえる。水の都市になる

夏は夜。月のころはさらなり。やみもなほ、蛍の多く飛びちがひたる。また、 ただ一つ二つなど、ほのかにうち光りて行くもをかし。雨など降るもをかし。


枕草子でも、都人は、夏の夜を讃えている。そういえば。わたしがかつて住んでいた温泉街の川のほとりでは、真っ暗のなかに蛍がふわりふわり飛ぶさまを、目にしたことがあった。父親が獲り、虫籠の中に移し、庭で光を囲みながら家族で瓜を食べた。

きらっと水粒の光るなか、蛍の灯りは、息しているみたいで、はかなく、か弱いからこそ美しいのだと思った。朝、飛び起きたらすぐに蛍を見に行ったが、たいてい動かなかった。死んでいる? 幼なごごろに、光はみるもので決して捕まえてはいけないのだとこの時に悟った。あれから、何年か。時は変わったが、それでも夏の宵はうつくしい。

散歩からかえっても、陰翳礼賛よろしく、リビングではランプだけ灯した。

 

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薄暗い部屋で眼を凝らしていたら、ふと思いついたことがある。いつかの丑三つ時のことだ。

わたしは提出前にも関わらず、思った原稿があがらない場合、時々ふて腐れて、寝てしまうことがある。たいていはソファの上で、ごろんとなりそのまま寝る。そうして、2時半から3時半くらいの間に目を覚ます。

しまった! 机の電気はそのままだ。やり残した原稿が気になり、えいやっと起きる。寝落ちしてから、2時間半か3時間経ったころである。

机の前にしばらく座っていたら、しんとした室内に、誰かがいるような見守られている空気を感じ、そういう時、外はたいてい水っぽい墨色だ。

不思議なほどに原稿がたたたっと書けてしまう。寝るまでの、まんじりと書きあぐねていたあの、わからなさはどこにいったのだろうか。なんの迷いもなく、パソコンのデジタルの光のなかに言葉を連ねていく。かちっと、頭のネジが宇宙とつながった。そう信じられた。そんな時に書いた原稿は、たいていクライアントに驚きをもって迎えられて、新連載につながったり、数人で担当した本ならライターのリーダーにさせていただいたり……、普段は起こらないことがあり得た。

 

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44. あおい水の時間、ブルーモーメントに呼ばれて|みつながかずみ|writer|note

44. あおい水の時間、ブルーモーメントに呼ばれて|みつながかずみ|writer|note

蒸し暑い日中、今年はまだクーラーをつけずにいる。宵の時間がくると、やっと本来の自分になるようだ。日没の時刻、その少し前をみはからって散歩に出る。 きょうはリゾー...

note(ノート)

 

 


あの日の北海道 (2) 小樽編

2022-07-23 11:27:00 | 北の大地へ















 
弾丸の北海道、二日目は小樽へ! ミシュランの握りを食べに行く。
 

42.小樽で「伊勢鮨」そしてなにを思うのか|みつながかずみ|writer @k_anderu #note #旅のフォトアルバム
 
 
 

あの日の北海道

2022-07-23 11:19:00 | 北の大地へ











 
 
北海道、食三昧の旅。はじまり、はじまり!
 
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41.食の北海道へ、ひとっ飛び!|みつながかずみ|writer @k_anderu #note #おいしいお店
 
 
 

アネモネのおしゃべり

2022-07-23 11:06:00 | 随筆(エッセイ)
 
 






 
 
 
草花を育てることは、生活に明るさをもたらしてくれます。
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39.  おしゃべりなお嬢さんたちのおはなし|みつながかずみ|writer @k_anderu 
 
 
 

家族の話

2022-07-13 18:38:00 | 随筆(エッセイ)
 







北海道に向かう飛行機の中で、ぱたぱたと下書きを書き、千歳のホテルで推敲してアップしたあるエッセイです。


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40. 「二流でいいのよ。二流がいい」厳しい母の言葉とは思えなかった|みつながかずみ|writer