月の晩にひらく「アンデルの手帖」

writer みつながかずみ が綴る、今日をもう一度愉しむショートショート!「きょうという奇蹟で一年はできている」

ミニマムな暮らし

2010-07-27 23:57:40 | 今日もいい一日


先週、宝塚・安倉の『ブックオフ』に、私がもっていた貯蔵本とCD、VHAビデオなどを整理して、
段ボール5箱に詰めて持ち込んだ。

学生時代の莫大な時間とともに費やした青春や汗、笑顔、感動、涙なども一緒に
ページの中に織り込まれたまま、
荷造りを済ませる。

『ブックオフ』で手にした金額は1200円だった。

そのお金で小川洋子の「妖精が舞い降りる夜」、
庄野潤三の「貝がらと海の音」を買った。

自宅に帰った時、そして翌朝、
スッキリとして、気持よくなる。

自分の住む環境を整理するということは、大切なことである。
持ち物を把握している、ということは幸せなことだ。
身軽だから、旅立つことができる。
そのために、大切なものだけ、少なくもつ暮らしがいい。



「ミニマムな暮らしがしたい」。


「妖精が舞い降りる夜」は、その後、重要な意味をもつ読書となった。
この本の中に登場した
金井美恵子の「愛の生活」を2日後、アマゾンに注文。

言葉はそうやって、自分のなかで淘汰され、積み上がる。
ほんの整理は、一番苦手。

目指すは、断捨離よりも、ミニマムな暮らし。





満月を見上げて

2010-07-26 23:52:07 | 今日もいい一日



今宵は満月である。
月と語りたい気持ちにかられ、ベランダに出て空を見上げた。
月は青みをおびた乳白色で、吸い込まれるようにキレイ。
平安の頃、明治、昭和…、その頃と変わらない同じ月をみているのだな、と思う。

世界各地の人々がこうして見あげている月も、やはり同じ月。
海外の、旅の途中でも、
この空は、彼方の国まで続いていると気付いて
月を見上げ、
快くなったことがあった。

上(空)を見あげることは、悪いことじゃない。
今踏みしめている
大地の美しさも、忘れてはいけない。

今日は、ライターの友達と出かけた際に
山崎ウイスキー工場にて買い求めた「山崎」を、
麦茶で割って飲んだ。
東側の眼下には、六甲山脈の山間に街の灯が、海面にうつりこんだように輝いて
キラキラと光っている。

どうしても夜と朝には
東の眼下 に広がる街が、街という姿を彩った湖じゃないかと思えてならない時がある。
それくらい、キラキラとして美しいから。

清少納言は枕草子の一説にこう書いている。

「夏は夜。月の頃は更なり。闇も猶ほ螢飛び交ちがひたる。雨などの降るさへをかし」

同じ頃、ライターの友達も同じ月をみたとメールで聞き
とてもうれしかった。