月の晩にひらく「アンデルの手帖」

writer みつながかずみ が綴る、今日をもう一度愉しむショートショート!「きょうという奇蹟で一年はできている」

2019年4月 綾小路御幸町へ移転オープン京都「酒処てらやま」

2020-08-15 23:27:00 | 京都ごはん

どれもひとひねりした旬の酒肴「酒処てらやま」

 

6月16日(火曜日)曇り時々雨(2)

 細い雨が降る中、少し濡れながら歩く。界隈の文具店を3件まわる。文庫本カバーにするための、洋物のペーパーを買いたかった。

 「The writing shop」(ライティングショップ)、京都メイドのペーパーアイテムショップ「ROKKAKU」をまわったところで、予約していた夕ご飯処に。

 

 京都・藤井大丸の間をまっすぐ中へ姉小路御幸町、さらに細い路地へはいる。先斗町から移転してから始めて来訪する「てらやま」(2019年4月にオープン)

 



 

 カウンター席、大きめのテーブル席1つ。2階席。と以前より広くなった。

アルバイトの女性は2人、マスク姿。てらやまさんは、マスクなし。額に汗をかきながら、きびきびと料理づくりに奮闘されていた。

 私たちはカウンター席のコーナー位置に座る。まずは、スパークリングワイン。Nは、レモン酎ハイをオーダーする。背中から心地いい梅雨の風がはいってくる。久しぶりの外食だ。

  

「藁焼きかつおのお造り」

 


 

にんにくチップスとわけぎ、スライスしたオニオンをたっぷりのせて、ぱくっと口にいれた。次のひとくちは練り辛子ものせて。

 

 おーー!ひんやりとした赤身で、血合いの部分など深みのある味わい。なのに、さっぱり、清涼感があるように感じる。最高!といいながら、これまたスパークリングワインを一口やる。

 

次は「手羽先の唐揚げ」



 

 カラッ衣がしっかり揚がり、中はアツアツ。ジューシーな鶏肉。身が熱いので、ハフハフといいながら。塩やレモンをちょんちょんとつけて、またパクリとやる。持ち手が付いて食べやすい。

 

ここで、野菜を。「つる紫のぬた」。


 しっかりと香りのある酢味噌とこんがりとしたアーモンドの衣をかぶった、つる紫はこれまたうまい。たこも添えてある。

 

「はもの天ぷら」には、

 土佐のスダチをぎゅっぎゅっと搾って、こちらもさわやかに、肉厚のはもをいただく。身の締まりと甘みがいい。

 

ここで、同じスパークリングワインをお代わりした。





 

 

「かも茄子と、白えびの酢醤油」。



 

 ほくほくのかも茄子だ。舌の上で踊る味、食べごたえのあるかも茄子に和風だしが浸み、富山の白えびがさくさくと踊る。これまた最高の酒肴。

 

 もう私はこれで十分に満足をしているのだが、Nが締めにはやっぱり、ここの定番を、というので「和牛炭焼きサンドイッチに行きますか」というと、






「へしこチャーハン」

 というのである。




 滋賀県のへしこ。

 ほどよくピリッと辛味があって、お腹のどこに余裕があったのか、スルスルッっとはいる、軽い食べ心地のチャーハン。締めには至高。

 

 思っていたお会計より2割安かった。これは予約困難な人気店であるのは、仕方ない。


 お隣には京都在住の外国人の姿が。

 大学生っぽいお姉さまといらしていて、すごい大食漢である。横目でちらちらと偵察したところによると、だしまき、手羽先のからあげ、お造りの盛り合わせ、酒処カレー、和牛炭焼きサンドイッチなどを食していらした。

 

 ソーシャルディスタンス、もそこそこに。当然のごとく、席はほぼ埋まっている。いつもの食処、京都の姿がそこにあった。


 コロナ後、しみじみとそぞろ歩き、河原町ではおなじみのフランソワで。クラシックを聴きながらコーヒーで一息。満足のいく一日で、阪急電車へと急いだ。

 



 


出町柳の小さなイタリアン 「カンティーナロッシ」

2017-12-13 14:24:14 | 京都ごはん






 今日は京都で好きな、イタリアンの店を紹介したい。

「カンティーナロッシ」は、京都・出街柳にある一軒家一部をリストランテに改装した、こぢんまりとした店だ。
 扉をあけた入り口から、不思議だがすでに居心地がいい。
 飾られえた絵や小さな調度品にもイタリア現地のものがさりげなく置かれているせいか、異国にすむ近親者の家に遊びにきたような、そんなワクワクする気分で迎えられる。


ダンディなオーナーシェフのご主人と、おっとりとしたマダムの二人で店を切り盛りされ、
つかず離れずのいい距離感で調理・給仕の一切をされるのも、気に入っている理由の1つだ。


この日は、前菜の盛り合わせから。
赤と黄色パプリカを、軽く焼いてソテーし、モッツアレラチーズと合わせた一品や、
野菜を香ばしく焼いてオリーブオイルを合わせたもの。
ひよこ豆のトマト煮。
じゃがいもとタコのサラダリグーリア風には、オリーブオイルとレモンがほどよく利いている。
どれも素材以上の力を感じられるおいしい前菜だ。




 ここのトマトとモッツァレラのカプレーゼ(前菜も)も私の好きな一品。
野菜の甘みとチーズのまろやかさが、すっきりとした味にマジアージュされている。
ともかく、オリーブオイル使いはもちろん、素材の下ごしらえの仕方がうまいのだろう。とても爽やかな前菜である。



 

 次は、パスタ2種。
 カラスミのパスタと、
 お気に入りのゴルゴンゾーラパスタ。










カラスミもゴルゴンゾーラも上質な素材なのか、麺の弾力とほどよく絡み合い、文句なしに「ヴォノ!」家庭的で温かいパスタだ。

ゴルゴンゾーラと生クリームの調度は濃厚で、まさにチーズを堪能できる1品。


メーンは、子羊の炭火焼き
おそらく冷凍の子羊だろうが、臭みはなく骨の随までしゃぶりたい!とはこのこと。
スパイシーなちょっぴり重めのワインでもスイスイと軽やかに喉に吸い込まれて。
いつ頂いても、おいしい。







小さなデザートとエスプレッソで締めた。




 
お料理がすべて済むまで話しかけてこられたないご夫婦なのだが、お勘定の頃になると、
いつも2・3こと言葉を交わして、ご挨拶をして退散する。

気をてらった感が全くなく、王道の調理法をさりげなく客人に供してくださる京都のイタリアン。
京都大学の学舎に近いことから、大学教授が奥様や娘さんをつれて、
ご家族で利用されるところも時々伺う。こういった客筋がいいのも、落ちつく理由。

今年はこの店に、今回で3回通うことができた。
来年もどうぞご夫婦ご健在でよろしくお願いします。


 


京都のビストロ シトロンブレ

2017-11-06 00:31:34 | 京都ごはん







フランスの小さなビストロを思わせる隠れ家的な雰囲気、ワインのおいしい店をみつけた。


(フランス人と日本人のカップルのささやく、フランス語をBGMにしていたので、ちょっぴり旅情的な気分で食事をいただいた)

この日は「山羊のチーズをつかった温かいサラダ」に
「北海道十勝ハーブ牛ランプステーキとポテトフライ100g/¥2400〜」など。

私はオクノタ(奥野田)ロッソという山梨県産の赤ワイン(850円)、
Nはスパーリングワイン(900円)をオーダーする。



まずは乾杯だ。

スモーキーな風味のなかに、ミネラル分をたっぷり含んだナチュラルな赤ワイン。ぶどうの鮮度を感じた。

温かい山羊のチーズをのせた軽い前菜と見事にマッチしている。
最高のマリアージュや









続いて、メーンの十勝産十勝ハーブ牛のランプステーキ。
しっかりと仕込みの届いた熟成牛だ。
岩塩をたっぷりかけて、外側はカリッと香ばしく、噛むごとに雄々しい肉質と旨みが口の中にパッと広がる。

熟成牛はおいしい! これは何ヶ月くらい寝かせているのだろう。

アメリカで食べた豪快なステーキを彷彿したが、
さすがは十勝牛それより繊細。青々とした牧草とハーブを食べた北海道のお肉はサッパリとして爽やか。

次は、ワインを軽くいただきながら、いくつかの前菜と肉の煮込み料理などで再訪してみたい。




●「シトロンブレ」
京都府京都市中京区麩屋町通四条上ル桝屋町514 コリスアルタス1F
075-708-6664





嵯峨野への小旅。シメは、うなぎ廣川で。

2014-09-11 18:06:59 | 京都ごはん


(前の続き)





うなぎ「廣川」は想像どおりの良い店だった。
天保年間(江戸の後期)、埼玉県熊谷市で創業したうなぎ屋「廣川」ゆかりの店という。

数寄屋造りの1軒家。
元は京都市内にあった評判の店が、嵐山に移転。
江戸前のうなぎを昇華させて、紀州備長炭をつかった技法と秘伝のタレで、
注文をうけてから職人が1尾1尾、じっくりと焼き上げるのだという。

この日、嵐山の夏みどりを満喫するために、
嵯峨野路を大覚寺から、祇王寺、あだし野あたりまで歩きまわってお腹はぺこぺこ。日焼けしたかな、と心配するほどにカンカン照りで、心地よい疲れを感じながら、
満席の待合席で座ったり、近場のお土産物屋をひやかしたりして、待つこと2時間(名前を名乗れば、席をはずしてOK)。



本来ならこれほどは待たないのだが、
次々に店に吸い込まれていく人達を横目でみるや、
観光客はほとんどいなくて常連風の京都人ばかりのよう。ベンツで乗り付ける人もちらほら。
そして家族連れか、大人な女性を連れた2人連れ…。
これは相当に旨いな、というアンテナがびびっと来たのであった。

5時~店がオープンして、すでにこの満席ぶりである。
6時になるまでに「当日の予約はもう受け付けられません」と次々来る客に向かって、断りを入れているのをみて、本当に商売する気あるの?
と思ったりもしたが、8時頃になってようやく客人も数えるほどになった。


ようやく、私達の名前が呼ばれた。
落ち着いた木の香り漂う店内。坪庭が、みわたせる。



ほっと席について、まずは生ビールが喉をとおった。
「あーー、美味しい」。
思わず声が出た。
グラスをしっかりと冷やした格別の泡味だ。

私達は「うな重定食」をオーダーした。
ほかの客人は定食というより単品志向の方が多いようで
柳川(1500円)や、きも焼きを単品で食べてから、
うな重(2900円)、きも入り吸い物(400円)、へと進んでいるようだ。

前の男性。ふらりと1人で訪れては、席にすわるや竹の筒にいれた純米酒を飲み干して、
次は柳川を美味しそうに食べているのを、
ビールを飲みながらしばし観察。次に、うな重…。(凄いな~)。
時折ゆれる肩。くっくっと笑っているかのように見える。
背後のオーラをみるだけでその人の旨そうな感動が伝わってくるようである。



さあ、私達のお料理がきた。
まずは、うざく。






キュウリを加えて酢でしめた、細切りのうなぎ。
口にいれると、サッパリとしているがお酢の具合がほどよい。

さてうなぎ。しっかりと肉厚の身で、歯をたてるとホロッと崩れるが、
白身魚特有の味を、
舌の裏でころがしながら、よく味わう。

つづいて
鯉の洗いを、自家製タレで。こちらは、まあ普通。(臭みはなく上品だが)。


そして、いよいよ、うな重の登場だ。



待っている間、サライや婦人画報をみながら
本日のうなぎ静岡産○○と宮崎産○○と、うなぎの銘柄が黒板で書かれていたのを何度も読んでいただけに、よけいに期待感がつのる。

たっぷり厚みのある身は、口にいれた途端に淡泊な味ながら
ほどよい自家製タレの香ばしさが香った。ただ、うなぎの味を引き出し、脇役に徹するタレの味だ。
身は内側は柔らかいが、余計な脂は一切ない。
上品でいて端正な味。
美味しい! なにこれ!と思わず目を見開く。

疲れていたし、お腹も減っていて、体調的にうなぎを受け入れる準備万全で臨んだこともおおいに関係していたはずだが、
それにつけても、柔らかいのに身がしっかり。

これぞ、本物のうなぎ!という味だった。

川魚の臭みが微塵もないのは、
自家製の井戸水で、何日か泥を吐かせている、からだろう。
また脂は、何度も何度も丁寧に焼きながら湯をかけて、
洗い落としながら、タレをくぐらせて焼いているはずだ。

今回は取材ではないので詳細はわからないが、
それにしても、嵐山でこんなに格別のうなぎに出会えるとは…。ここでも京都の粋にふれた。




帰り際にはもうすっかり日は落ちて9時頃だった。

真っ暗な墨のような夜に、山の稜線が影を落としている。寺院前と何度か過ぎると、昼間の雑踏はどこへやら。
静かで、闇に吸い込まれていくように、ただ寡黙でいて、風格をたたえている。

ほてった肌に風が冷たい。駅前の草の陰には
蝉ではなく、鈴虫がたくさん、たくさん鳴いていた。

川の流るる音も、来る時と同じように、どーどーとしていて勇ましく。
それもまた、心地よいのだった。

八坂神社にほど近い「水円」でランチ(1月末)

2014-02-19 12:01:22 | 京都ごはん






今年は、京都に縁がある。
1月末に京都へ行って以来、毎週のように都へ出掛けている。
今日もこれから木屋町で取材だ。(といっても人物取材)

そう、今年最初の京都は開運パワースポットの「日向(ひむかい)大神宮」へ。
ここは昨年秋から友達から勧められていたのだが、ようやく実現した。


その前に、八坂神社にほど近い「水円」でランチ!

このあたりは冬だというのに打ち水を忘れない名料亭が細い路地に続く。
舞妓さんの姿も。
あー京都。その清々しい雰囲気だけで、心がほころぶ。






「水円」である(意外にも奥まった場所ではなく、表通り)。




ここは高台寺「和久傳」さんの総料理長・岩崎武夫さんが20年務められた末に独立された店。
(まっすぐ路地を上がれば高台寺「和久傳」まで徒歩2分)

(そうそう「和久傳」さんの名をよく書くのは、ここの娘さんが私の高校時代のクラスメートだから。
うちの実家は旅館だったので私の父と、Kさんのお父様は交流もあり。Kさんとは何やかんやとその昔、愉しくお付き合いしていたから…。なんとはなく今も気になるという塩梅である)

前置きは、さておき。
本日のメニューは「八坂」(3850円)
大福ゆ でほっこり。梅味だ。
先付けには、鯛昆布〆なます和え、揚げ海老芋ゆばあんかけ。




京野菜を昆布〆して、ほどよい加減の酢で味付け。なます和え、お正月料理だな~。

海老芋のねっとりした甘さと淡いゆば。
これはいい味!やはりおだしの良さが極まっている。温かいほっとする。


本日のお造り 寒ブリ、よこわ。うに。



こちらも、うまく包丁をいれていて、おいしい。
寒ブリが特にいい。


続いて白味噌煮麺、と飯物(私は鯖寿司をチョイス)。
(同伴者はカニのお丼)






1月だからこその出会えた椀・白味噌だ。本場の味はさすが。
カツオのおだしと白味噌のあわせ方がうまい。甘すぎず実に上品で、ニューメンをスルスルッと喉まで運ぶ役割を正統に果たしている。
最後の1滴まで白味噌がおいしい。

こちらのお漬物も。




デザートは「焼きれんこん」&ほうじ茶






夜に比べてお値段が張らないし、
とりたて高価な素材はないが、おだしの勝利だ。
素材の良さとだしだけで十分に満足のいくお膳に仕上がるのだということを証明したようなランチだった。
和久傳さんのお料理は、峰山が母体だけあって冬がよくにあう。
媚びることなくキリッとしていて、素朴ななかに品がある。


席からは坪庭がみえた。
小さな京の自然。







食事のあとはいよいよ、「日向(ひむかい)大神宮」へ。
そして、哲学の道を歩く予定だ。





祇園のグリル「大仲」でワイン&ビーフカツレツを。

2013-11-11 18:57:22 | 京都ごはん


きょうから季節が変わった。
冬の到来。
よく知っているキーンとした清々しくも、冷たい空気だ。
いよいよ紅葉の季節を迎えるのだなと思う。

朝、窓の外の山が動いた、と気づく。
山が木々が、色づく準備をはじめたのだろう。
木々のかたちが昨日よりも、まるまるとしている。
繁るはずもないのだから、山々もちぢこまっていられるのかしら。またまた、愉しみな季節がやってきた。



さて、先日の土曜日。
Nのお友達と、そのママと4人で京都へ出掛けた時のお話を。

娘のNは春留学の最終面接で大学へ。私は昼前に大学そばに行き、近くのカフェでランチを食べた。

ここ「バザールカフェ」は、ライター友達に教えてもらったとても気持ちいいカフェだ。





ヴォーリズ建築の建物らしい。テラス席には椅子が置かれ、りんごだろうか。果実の木がうっそうと茂っている。
なんだか異国っぽくて京都の喧噪は聞こえないカフェだった。
こちらは店内。土曜日だというのに大学生がやはり多い。それに外国からのお客さんも。





私はタイのランチ(500円)を食べる。



蒸し鶏にサラダ、そこに目玉焼き。それだけのシンプルなものだったけれど、
エスニックなソースがたっぷりかかっているのが、美味しかった。家庭的なタイごはんの味だった。


それからお友達の家族と合流して、再来年用の振袖を見に行く。
私たちは古典柄の振袖ばかりを4・5点選び、娘らに試着させては、互いを褒め合った。きれいなものを見るのは、心うきうき。
貝桶や貝あわせ、御所車、辻が花、花丸文、立桶、花菱…など。

娘らがはおる、由緒ある古典の柄を見ているだけで素敵な気持ちになった。


このあと、甘味処の散策コース。
京都御池の「ミディ・アプレミディ」でタルトを買って、
私の大好きな店「ぎおん小森」に(ここは甘味処のページでいずれ紹介します)。

祇園を流れるせせらぎを感じながら食べる甘味のおいしいこと。
ここは昔は由緒あるお茶屋さん、 というだけに、京都の陰翳というか、
遊び文化の名残が店の雰囲気のなかに残像として溶け込んでいて、そこに妙に惹かれてしまうのである。

せっかくなので、夕ごはんも食べましょう、ということに。

木屋町の「めなみ」と三条の「御幸町つばき」に予約をいれたが、あいにくの満席。
それで、辰巳橋のここから近い、グリル「大仲」さんへ。


(ホームページから)

グリル「大仲」を始めて訪れたのは5年ほど前の冬だった。初詣に寄った帰りに木枯らしのなか「洋食みしな」でタンシチューを食べたいと、予約するも、すでに満席で。
次なる店を探して求めて、たどりついたのがここ「グリル大仲」。

よく気のきく接客と落ち着いた座敷。「和牛ほほ肉の赤葡萄酒煮(ブラウンシチュー)」の香りのよさと味にビックリして、
以来ファンとなり、時々訪れる店なのだった。

母親の代までお茶屋を営んでいたという佇まいは昭和54年の開店という。
その時代からある暖簾をくぐって店にあがると、一見敷居の高そうなお茶屋さんの建物とはうってかわって、コの字型のカウンター(8人用)で寛げる。






奥は畳の間で、テーブルは2卓ある。

今晩は、鴨肉のパテやローストビーフ、サーモンなどを盛り合わせた
「オードブルのバリエーション」と「オニオングラタンスープ」から。



冷製でさっぱり味わえ、でも肉質のよいことが噛むごとにわかる。
皆で少しづつ取り分けたのでほんの一口という感じだったが、赤ワインのおいしさがいっそう引き立つ味だ。

スープのほうは、オニオンの甘みはさすが。チーズがよくきいていた。
温かいのを一気に食べたかったけれど。





続いてコンビネーションサラダを注文して、メインは、自慢の「ビーフカツレツ」である。



3,800円と少し高めだけれど、ここへ来ると必ずオーダーする一品だ。
和牛ステーキ肉を衣でつつんでバターで味付けしてあるそうだが、

サックリあがった衣から肉汁がジューワーとこぼれ、 そのお肉のおいしいこと、やわらかいこと。
本当に、シンプルかつ王道のカツレツだが、最後のバターが隠し味程度に香るのが上品このうえない。
いつ食べても満足で、安心する味である。


続いて「牛肉の森のキノコ煮」(3,400円)。





こちらは、マッシュルーム、シメジ、しいたけなどの秋のきのこ類と和牛のサイコロステーキを、
デミグラスソースでサッと煮込んだもの。
さっばりと煮込んだお肉がいい。正統派のデミグラスソースはおそらく、バケットに浸けてもおいしいと思う。

ほかに、「エスカルゴブールギニオン」や
「エビのアメリカ風」やワイン蒸し、「笹巻きピラフ」などもおいしい。

コースにすると、サラダ仕立てのオードブルに、季節のスープ、
肉と魚料理、笹巻きピラフ、デザートやコーヒーなどが付いて5,500円なので
お得感があり、予約客はほとんどこのコースを食べていらっしゃる。


このあとレトロな喫茶室でお茶やデザートを食べ、遅くなってから家路に。
2家族で。4人で散策の京都も愉しかった。

「グリル大仲」
京都市東山区祇園町北側347―11(阪急河原町から徒歩約5分)。
12:00~14:00(LO13:30)
18:00~23:00(LO:21:30)。
日曜休。