月の晩にひらく「アンデルの手帖」

writer みつながかずみ が綴る、今日をもう一度愉しむショートショート!「きょうという奇蹟で一年はできている」

夏日記 ここ最近のこと(8月第2週目)

2019-08-14 01:20:01 | writer希望を胸に執筆日記




8月5日(月)晴 

午後4時に原稿2本提出。一文節につき1つに特化して書いてみた。
書く必要のあること、書かねばならないことだけに限定すると、伝えたい主張が一本の線のように浮かび上がってきた。
夕方、買物へ行くと、インドの女性が斜行エレベーターに乗ってこられて、あまりの美しさに釘付けになる。
彫刻のよう。
土色の肌、縮れ毛をアップにした横顔に見惚れた。
隣では中年サラリーマンが宙をみてふと噛み殺した笑いをしていた。
なんて面白い、心からそう思った一抹の時間。






8月6日(火)晴

昼、仕事も読書も中断して三井住友銀行へ。
数週前から執拗に何度もアポをとってこられていたのだ。2階の個室でアイスコーヒーを頂く。
銀行はもはやコンサルに特化している。驚いたのは私の個人情報のみならず、相方の会社のことなど、色々と把握なさっていたことだ。
双方にとって有益な情報を探ること2時間半。
疲れたので退散。帰宅後、原稿を書く。読書して寝る。



8月7日(水)晴 

盆までの案件をほったらかして午後から千早茜さんの「魚神」読了。
読んでいる最中、私はここにいない。作家がみている世界を脇役の一人として見て、呼吸し、同じスピードで伴走する。
江戸末期、日本の廓。それともアフリカの孤島か。
ピュアにして濃密。
一途な愛のかたちに心うばわれる。雨極の森の美が瞼からしばらく消えなかった。






8月8日 晴
夕方まで原稿。7時半から兵庫・川西の一軒家イタリアン「Bottega DAI」。
料理にあわせてペアリングワインを楽しむ。
白のスパークリング、ロゼ、白、赤、デザートワイン…。
オーナーシェフとイタリアの修行時代の話などを聞いて盛り上がった。
けれど、朝には何一つ思い出せないのが哀しい。

















8月9日晴

最近、夜明けとともに目が覚め、5時半には寝室側の雑木林のセミに起こされるので朝散歩。
一日の終わり、映画『#桃さんのしあわせ』アン・ホイ監督 。
料理の腕や家事能力が高い人はそれだけで崇高、尊敬に値する。
続けて、テレビで放映中の「旅猫レポート」。
どちらも良い映画だった。
映像の世界を思いだしながら眠りにつく至福。




8月10日(土)晴

朝からガス工事の人がきて、レンジフード、ビルトインコンロ、食品庫などの機材を入れ替え。
プチリフォームである。
日本の技術の進化よ。
コーヒーやお菓子などを用意するふりをして、60代のガス職人のおっちゃんの器用さと働きぶりを感心して眺めていた。
夕方、地域の夏祭りの会議に夫婦で出席。
当マンションの住人、皆25年来のお付き合い。
良い年齢の重ね方をなさっている。25年後の夫婦の移り変わりの姿が興味深い。




8月11日(日)晴

かつての会社時代のクリエーターが一邸に集まって、夏の猪鍋と手作りの和食を囲んで、しゃべる会を催す。
家族やご近所、仕事仲間以外の、こうした集いこそ、貴重で愉しい。面々は多趣味、才人。
いつかは追いつきたいと思いつつ、あの頃の役柄から抜け出せない。
帰路、美しい星空を見上げて。










夏日記 ここ最近のこと(8月第1週目)

2019-08-14 01:14:01 | writer希望を胸に執筆日記





8月3日(土)快晴

1日仕事の原稿を書いて過ごす。
昼過ぎ夫婦で同じ歯医者に行き、私は歯の検診と歯石取り。
背後で、麻酔をかけて治療をしている夫。
少しびびっている様子が先生のドリルづかいと空白の時間から読みとれて、おもしろい。
帰りにスーパーを2軒はしご。
果物どっさり。
帰宅後、夫に前髪を短くつんでもらった。
「あ!いい感じ」と褒めたら真剣なまなざしでさらに短くつまれた。
前髪が芝生にも似て、ジグザグで
ツンツンした印象。




8月4日(日)晴
60分の対談をそもそも2千字にするなんて無理があるのだが、ひたすら削って過ごす。
まだこれから千字削らなければならない。
それでも今日一番よかったのは、80分もソファで眠り、目覚めた時の子供のような気持ちだ。
夜中。ポストに届いていた#田中泰延氏「読みたいことを書けばいい。」を読み始めた。
眠れないほど突き刺さる言葉たち。
コピーライターの語り口調。
隣で大声で叫ばれているような衝撃。