再び、那覇。猥雑でノスタルジックな沖縄へ帰ってきた。三月とは思えないギラつく日差し。青い空、入道雲に導かれて歩く。壷屋やちむん通り、器屋さんの店の前にやってくると、ベンチのうえに荷物をおいて、手ぶらで店内へ入る。手にとって、自分の眼のあたりまでもっていき、器のお尻の佇まいや色合いや口をつけるところの厚さや滑らかさ、などをみる。
ふむふむ、なかなか。個性的なものがほしい。沖縄の母さんみたいに温かくて、まるっこい、けれど自然を写した色がいい。お目当ての品をみつけるのはとてもむずかしく、楽しい。
ガジュマルの木や、ハイビスカスやブーゲンビリアが、ぶどうのようにたれ下がった家々や。民家の佇まいが、映画的でうっとりする。
お腹が空いたので、器の店のオーナーに聞いて、ランチは琉球料理「ぬちがふう(命果報)」へ。
琉球の瓦に国有文化財に指定されている、新垣住宅の古民家だ。玄関口では猫が、お昼寝中。暖簾をくぐれば、もうそこは、ゆるると沖縄時間。
お座敷へ上がって見渡す。客人はわたしたちの他に一組。
親戚のおばあちゃん家で寛ぐような、懐かしい風が部屋の中をぬけていた。やさしそうな、沖縄ことばで、オーダーを聞いてくださった。
わたしは、ぬちがふう御膳。Nは『ソーキそばセット』で。
ここでも沖縄料理を食べ続ける。飽きない。沖縄天ぷら、ゴーヤチャンプル、きびまる豚のソーキ、三枚肉の煮付け、もづく酢、こんぶの煮付け、黒米いりのごはん。デザートにはちんすこうのアイス付き。ここの味は、素材本位の薄味で、おいしかった。
植物園のような庭のむこうには、やちむんを焼く、登り窯もみえるそう。再び、器を探して歩く。汗がつーっ!と肌をつたう。琉球らいしお茶碗などを購入し、タクシーを飛ばして那覇空港まで。
弾丸の沖縄旅は、これにておしまい、おしまい。Nと別れて、手を振る。わたしは伊丹、あの人は羽田。また夏の終わりにでも、この島を旅してみたい!