月の晩にひらく「アンデルの手帖」

writer みつながかずみ が綴る、今日をもう一度愉しむショートショート!「きょうという奇蹟で一年はできている」

黄色いテニスボールを追いかけていた

2020-07-11 23:13:36 | コロナ禍日記 2020
 
 

ある日。5月22日(金曜日)

 きょうはテンションが低い。昨晩はNと筋トレ大会をしてジャレあっていて、その後、2時まで本をよんでいて、4時に目がパチッとあいてそのまま起きようとしたけれど、結局はベッドへ戻ってきて二度寝をしたので睡眠不足。一日中、眠い。

 

 7時に起きて、日光金谷ホテルのトーストと珈琲で朝食。

10時。Nとパパさんがかかりつけの歯医者に。その間、海外文学の短編小説を1本読む。

 本に感化され、コラムを1本つくる。

 

 お昼ごはんは、さわらの塩焼き、おみそ汁、ほうれん草と玉子の炒め物、

 

 2時半。外で運動をしましょう!というNの提案。家から5分のガゼボ広場に行き、黄色い硬球のテニスボールとラケットを持参し、Nが壁打ちをするのを隣にたってみる。犬のようにボールにくらいついていってラケットにあて、壁からはねかえってくるのを打ち返す。いつまでも飽きずに、球に夢中で繰り返す。隣ではNと同世代の男の子が、サッカーボールを蹴っては壁にあてて、遊んでいる。男の子はこちらの親子を若干意識しているようで、格好いいシュートを決めたらチラリと私達をみる。

 小学校組の男の子たちは、マスコットゲームみたいなことをしている。コロナ感染など、ない頃のようだ。

 一度、Nが大きくふりかぶったところで、コンクリートの壁を飛びこえて、遊具のある公園のなかにはいってしまい、階段をあがって上の公園へ。草茫々の中にとりにいく。沢山の子供たちにまじって母親たちがおしゃべりに講じていた。テニスラケットをかついで、サークルに通っていたあの頃のNを思い出していた。

 

帰宅後。ティータイム。ウーフのアッサムティーでミルクティーに。

 薄切りトーストをホットサンド風にして、アサコ・イワヤナギさんのジャムをつけていただく。キウイの甘酸っぱさに、タイムの草っぽい香りがミックスされて、ふつうのジャムとは、ほんの少しだけ違う。上品だ。

 

 夕食はジンギスカンにした。家族全員、ラム肉ファンだ。鉄板の上に、ラム、もやし、ネギ、ニラ、タマネギなど野菜をふんだんにいれた。

 

 夕食後。8時。レンタルビデオとして、「存在のない子どもたち」「リヴァプール最後の恋」を借りてきていたので、部屋を真っ暗にしてソファに座って、お菓子まで準備。ついでにワインも。





 いざ!とオンエアしたのに、家族の集う団らんタイムにはどうも合わなかったようで、3分の1のところでNもパパさんも散らばってしまった。2本とも受けなかったのだ。おまけに「暗すぎるテーマね」「好きな映画は偏りすぎたものが多いよ」など、非難をうける。よい映画なのに。ゆっくり今度一人でみよう。

 

 12時。ひとりお風呂へ入り、1時に就寝。

 

 

 

 


香りの花園でピクニック

2020-07-11 00:05:00 | コロナ禍日記 2020

 

ある日。(5月21日(木曜日)

 

 7時に起きる。ムジカのヌワラエリアをのみながら、ジュンパ・ラヒリさんの本を読んでいた。パパさんが起きだして、朝のミーティングを開始。私は短編小説の中にいたので、しばらく顔をあげることができない。切りのいいところで、阪急百貨店で求めた日光金谷ホテルのロイヤルブレッドをこんがり焼く。このトーストは密度があり重みがあると気づく。横浜の珈琲、ゆで卵、サラダでホテル風の朝食を意識してつくる。

 

 インターネットにつないで、仕事のやりとり。ゴミを出して、神棚にごはんと米、水をいつものように供して、仕事部屋で瞑想。そのままこもる。

 

 Nが起き出してきたので、再びトーストを焼き、同じ朝食を食べさせ、そこで少し話す。

「スコーンも食べたい」と要望。一昨日にこしらえた内田真美さんレシピのスコーンにクロテッドクリームをたっぷりつけて、手作りのブルーベリージャム、夏みかんジャムで楽しむ。粉も爽やかな素朴な英国風スコーン。

 

 4時まで仕事をした。

 台所のほうから、ガチャガチャと音がする。引き出しをあけたり、冷蔵庫をあけたり閉めたり。どうやらお弁当をつくっていると思われる。が、ノイズキャンセリング中なので、沈黙して原稿を書いていた。

 

「もう限界。はやくいかないと真っ暗になっちゃうよ!」とNが仕事部屋の中まで飛び込んできて、パソコンのキーボードを打つ私の手の肘を捕まえられた。

 

 荒牧バラ公園に到着したのは、4時40分を過ぎていた。

 公園には20人くらい人がいて、思い思い公園散策を楽しんでいる。芝生広場で、野球をしている人、ダンスを踊る若者。母と娘。バラはいま真っ盛り!



 







 

 赤いバラ、黄色いバラ、オレンジとピンクのバラ。

 モニュメント棟がたっているところを拠点に花の海を見下ろす。迷路のように、バラの花びらの世界に潜りこんでかくれんぼうができる。

 Nが小学校の頃に訪れたことがあるものの、記憶はすっかり薄れており、はじめて訪れた場所のよう。

 

 公園広場から階段状になった芝生公園で、ピクニック弁当をひろげる。丹精込めて手づくりしたNも誇らしげ。卵焼き、からあげ、肉だんご、小松菜のシーフード炒め、おにぎり2種。いなりずし。飲み物にはルイボスティー、デザートには、タピオカ入りマサラチャイをつくってくれていた。ストローも持参していて配る。

 ズズーっと吸うと大粒のタピオカに届き、くちゃくちゃと噛む。

 



 

 頭上を、飛行機が1機、2機と通過していくのをゴーっと音がするたびに見上げながら、遠くに近くに、種々の薔薇をみて食べるお弁当の満足のいくこと。人の作ってくれたものを頂くありがたさ。

 Nは一年に3度はこうしたピクニックをするという。家の近所の公園で、内外の名所・パークで。


 立ち上がると、公園内を散策。新芽の生えそろったグリーンと薔薇の香りに包まれて家族皆でポートレート撮影会。

 タイムレス、グランドアモーレ、花露、と名称の名札を読み上げては、香りを嗅ぎ、品種見物する。黄色と白のバラに特に心奪われた。上階には、ヨーロッパの公園のような場所も。香りの花園だ。毎日でも来たい!パパさんとふたりでは味わえない、ギュッと濃い時間だ。





 

 

 夕ごはんは、2種類のそばを食べ比べ。長芋と大根おろし、しょうが、わさび、のり、みょうが、ねぎ、大葉などを用意して、好きな風に食べてもらう。

  

 食後。カンブリア宮殿をみる。

 巣ごもり生活が続く中、兵庫芦屋にある食のセレクトショップ「グランドフードホール」の岩城紀子社長がゲスト。食品添加物を使わない、安心で日本一おいしいと思ったものを目利き。





  岩城社長は、以前働いていた添加物を扱う食肉加工の工場長「妻にはうちの商品は買わせない」という言葉に衝撃うけ、安心・安全な食を届ける担い手になりたいと決意したという。百貨店バイヤーとして、次いで食のクリエイティブディレクターを兼任し、スマイルサークル、グランドフードホールの代表に就く。

  「おいしいのは当然だが、原材料をまずみる。自分たちがたべたい商品にスポットをあてる」

 「消費は投票!」

「わたしたちの体はたべものでつくられている」

「1食たりとも、おいしくないものは食べたくない」とする姿勢に共感した。

 娘を産んでからというもの、添加物をできるだけ廃し、加工食品には気を配り、貪欲に、純粋なおいしさを求めてきた。

 

 5年前、食のコラムで、グランドフードホールの「ハニーローストナッツ」を取材させてもらった日のことを思い出す。近いうちに、再来したいグラホ!

 深夜1時。お風呂にはいって就寝。