月の晩にひらく「アンデルの手帖」

writer みつながかずみ が綴る、今日をもう一度愉しむショートショート!「きょうという奇蹟で一年はできている」

研究家・内田真美さんの英国スコーンでティータイム

2020-07-19 23:33:14 | コロナ禍日記 2020

 

あの日、あの時間。  5月27日(水曜日)

 

 7時半に起きる。5時半に目覚めておきようとしたけれど、「睡眠がいちばん。免疫力を上げるには一番は睡眠というでしょ。がんばって早起きしても、一日中眠かったら、能力あがらないのよ」と昨晩にNが力説していたので最もだと思い、こうして最低7時間、理想は8時間の睡眠を確保する。

 午前中、依頼原稿に手をつけ、あっという間にお昼。

きょうは、アジのフライ、いちご入りのサラダ。タケノコの煮付け。お味噌汁。

 

 午後2時。先週のリベンジで、スコーンづくりをした。NHKグレーテルのかまどで紹介していた料理研究家の内田真美さん直伝の朝吹真理子(作家)さんの本に登場するスコーン!

 

(作り方)

 

①フードプロセッサーに小麦粉、バター、グラニュー糖、塩、ベーキングパウダーを入れ、全体が黄色っぽくなるまで混ぜる。

 

②溶いた卵と牛乳、プレーンヨーグルトを加え、一部粉気が残る程度にフードプロセッサーで混ぜる。

 

③作業台に出し、粉気が無くなるまでまとめ、手で潰すように4cmほどの厚さに伸ばす。練ってしまうと膨らみにくくなるので、生地をまとめる程度で止める。

 

 

④抜型で抜き、はけで表面に牛乳を塗り、オーブン用の紙をしいた天板に並べる。

⑤190℃のオーブンで20分ほど焼く。

 

(クリームづくり)

★クロテッドクリームとサワークリームをよく混ぜ、そこに液体の生クリームを溶きのばすように入れ、程よい固さになるまでよくまぜる。

 

 よい匂いがしてきたところで、クロテッドクリームとキウイジャム、ブルーベリージャムを用意してスタンバイ。紅茶も、ディンブラとダージリンの2種用意した。紅茶茶碗は、フォートナム&メイソン。ポットはレギーナ・アルテールさん(スイスの陶芸家)

 





 

 スコーンをふたつに割ると、「赤ちゃんのにおい」とまではいかなったけれど、今回は小麦粉に全粒粉を混ぜたので、癖がなくて、素直な味のスコーンができあがり。ここに、クロテッドクリームとブルージャムをたっぷりのせて、紅茶を何杯でもお代わりした。スコーン自体がシンプルなので、ジャムや紅茶のおいしさが引き立つ。2個ペロリ、である。

 

 夕方から、Nの部屋にある2つのクローゼット(私物部屋)なかを断捨離した。

 わたしの、パパさんの、そしてNの。過去にみていたものなど。あれもこれも、放り出していたもの、蓄積していたもののパワーで疲労困憊した。普段、Nは東京にいて不在なので、クローゼットは、魔の匂い。

 もの、もの、ものが固まりとなって、集団化した威力は脅威だ。古い雑誌や過去の仕事の印刷、ぺらぺらのフィルムや写真、書類、ゲームなど。多いのは紙ばかり。

 

 ふと。Nがどこへ行ったのかと探していると自室にこもり、ものすごい集中でなにか読んでいる。私が数十年前に、パパさん宛に書いていた手紙を発見し、一心不乱に目を皿のようにして字を追っていた。焦って取り返す、「いいやん」と押し問答。書かれている内容より、あの頃の文章力と構成のまずさが気になった。ああ、文才など元々なかったのだ。


 Nは感慨深げ。わたしは、うなだれた気持ちのまま、過去のじかんをまた机の中にしまいこむ。気持ちいい初夏の夜風を顔に感じながら、黒ビニールに10袋を往復して、捨てにいった。

 

夕ご飯は、すき焼き。山の芋のすりながし。生野菜サラダ。ししゃも。

 

 9時。Nとともに外に飛び出して全速力で50メートル走る。家のまわりを散歩。どこからか、澄んだ空気の中にジャスミンの色濃い香りが流れてきて、思わず立ち止まって2回ほど花びらに鼻をちかづける。違う。ピンクの薄い小さな花なのに。周りからのお花の香りが邪魔して、いろいろ合わさった複雑な香りになってしまう。ジャスミン、急にどこから香ってきたのか。。。。夜の湿気に似合う花だ。

 お風呂で本を読み、1時に就寝。