月の晩にひらく「アンデルの手帖」

writer みつながかずみ が綴る、今日をもう一度愉しむショートショート!「きょうという奇蹟で一年はできている」

くじら飛行機を見ながら

2020-07-25 23:24:00 | コロナ禍日記 2020

 

ある日  <5月31日(日曜日)>

 

 午前から2時半まで月刊雑誌の原稿のためテープ起こしと資料収集。

 

 お昼はタケノコご飯。小松菜に、にんにく、しょうがをいれて、ちりめんじゃこをいれた炒め物。お味噌汁。水ナスのおつけものがおいしい。

 

 夕方。パパさんと買い物へ行き、コーヒーが切れていたので、ヒロ珈琲の伊丹いながわ店まで足をのばしてみた。河原の堤防をこえたら、伊丹空港とあって、横目にみて車をはしらせると、翼を休ませた飛行機が何機も並んでいる。コロナ前の日常なら、頭上を赤い翼や、青い翼が過ぎていくはずなのに、一機もみない。

 ここは、お世話になった広告代理店のクリエイティブディレクターK氏が偏愛する店で本人曰く、「伊丹のホテルカリフォルニア」と名付けた店

(エアフロントオアシス下河原の郡行橋対岸)。

 クリーム色の外壁に、白枠の窓。オリーブの木をモチーフにしたイラストが目印だ。気になったのが、駐車場の上階(2階)テラス席。屋根のある席と、屋根のないオープン席がある。



 

 ブラジル郊外にある建物をイメージしたとされるカフェで、最近ではちょっとない雰囲気。ブラジルにいったことがない私には、黒人のマスターでも現れそうな重たい空気を感じた。

 1階には珈琲焙煎工房、ケーキや、珈琲豆を販売するショップ。幅の広い木の階段をあがると2階で、2つの部屋にわかれる。ソーシャルデスタンスを保ために、席は1席ごとに空席がはさんでいて、人は少ない。が、ゆったりとしたソファや木のイスが置かれた空間が、いかにも寛げそう。ワイルド、そうビッグ。全てにゆとりをもって設計されている。





 案内されたのは、テラス席がみえる革張りのイス席。2シート。ここで、トランジット(講談社)の雑誌を読む。(パパさんはネットでニュース)

エストニア、ラトビア、リトアニアのバルト海沿岸からの景色や手仕事を紹介していて、非常に興味深い。特にリトアニアでは、松田沙織さん(・LT shopオーナー下記)のリトアニアへの旅の追憶がかかれていて、雑貨の可愛さもさることながら、センスのよい文章に想いが溢れていた。今度、東京でぜひ訪れよう。







 珈琲は、キリマンジェロだった。窓外には雨がふりそうな雲の下、オープンのテラス席でのんでいた2組のカップル。風雨をよけながら、それでもしつこく珈琲をのんでいた。なんか、いいな。

 

 コーヒーを買って帰り、車に乗り込む時に遂に来た!ゴーゴー、ゴー!!すさまじいエンジン音。頭上、約10メートルに鉄の塊が。真っ白なクジラのような腹が、頭上を過ぎていく。手を高くあげて伸ばしたら、届きそうな距離に思えた。

 

 帰宅後。夕食には、はもの梅ジャムづけ、たけのこの若菜煮、コロッケ、鳥の肝を炊いたもの、サラダ、味噌汁。

 深夜まで仕事。

 

文中のリトアニアの雑貨店