飛行機は、キャセイパシフィック航空(CX)565便。
関西国際空港を11時15分にフライト。
キャセイは初めての経験だ。日本航空のように機内でシネマをみている人は誰もいない。
皆、新聞や雑誌を読んでいるか眠っているか。小声で話しても目立ってしまう。
前シートの背がモニターになっているようだが、どうやっていじっても香港のニュース番組にしか映らない。
それでずっと陽気なポップスを聴いていた。(クラシックはなんとなくこの飛行機に合わなかった)。
途中で1時間くらい空を飛んだら食事が運ばれてきた。
豚肉の薄切りをのせた丼のようなランチ。小さな器には蕎麦。
サラダとお菓子付き。これに赤ワインを注文する。
機内食はなし、とパンフに書いていたので、クッキーくらいサービスされるかなと思っていたが、
これが予想に反して、ちゃんとした軽食。とても美味しかった。味がいい。特に丼が最高。
どんな調味料で煮込んでいるのだろう。おそらく干し貝柱などが入っているのだろうか。
さすがは香港の航空会社。
サービスは日本の航空会社の接客乗務員にはおよばないが(笑顔も少なく、何かお願いすると少し面倒な感じの対応)、
機内食はキャセイのほうが上だと思った。インスタントっぽさが全くなかった。
さて、台湾へ到着して、
市内を一望しながらリムジンで向かうのは「九フン」という街。
今回の旅は全てフリープランなのだが、「九フン」だけはオプショナルを日本から予約した。
現地のガイドさんも人のよさそうな親切なおばさんで、
店の宣伝や買い物のことなどをしゃべりすぎないのがいい。
他に同乗者もなく、自分たちのペースで車を走らせて台湾市内の高速を一直線に山の方へ向かう。
台湾の住居らしきアパートメントも見る。超高層で窓が小さい、ベランダがないので洗濯物が窓枠にロープを吊り、
ヒラヒラとはためいている。
排気ガスや埃をかぶっているのだろうという色…。
あ、あれはグランドホテル(圓山大飯店)!
さすがに目をひく中国宮殿風の建物で威厳高い。
台北101の高層塔も見つけた。
さっきまでピッカーンの青空であったのに、霧雨が降ってきたのかしら。
空がみるみる曇って灰色の雲が重たく、あたり一面を覆いはじめる。
九フンの市街地にさしかかると、原色の看板や蛍光灯が増えてきて、観光客もちらほらと。
おじさんがタバコをくゆらしている光景などが見える。
茶商やモーターバイクの店、コンビニなどが車窓の横を流れていく。
もしかして突然の雨は幸運かも。
雨で曇った台湾の街に、この原色極まりない電光看板や提灯の灯りが映えてカッコイイではないか。
小さな漁港のむこうには
ゴツゴツした山々、温泉街のような町が山の岸壁に貼り付いている。
今は観光地っぽいが、ここらは昔は炭鉱の町だったという。
九フンに到着したのは4時半頃だ。
傘をさして、チャイニーズ街のような細くまがりくねった商店街(基山街)を歩いた。
細くて、舗装されてなくて、狭い道に地元の名物やピーナッツや臭豆腐や甘味物、革製品、
刺繍物、靴屋、雑貨の店がギッシリ。
鮮やかな傘、傘、傘が商店街を行き交う。
「ノスタルジック、九フン」。ガイドブックなどにはそう紹介されているが、確かに夕方の街の光景は、
赤や青や黄色の灯がたくさん出て、日本の地方に見られるお祭りのような賑わい。
テントの店も多く沖縄の夜市とも少し似ていたりする。
私たちは、土産物の店をいつくかひやかした後で、茶藝館「九フン茶坊」へ行った。
ここは、洪志勝氏さんというアーティストが石造りの建築物をリノベーションさせた店だ。
茶壺に茶器、絵画そして木のテーブル、椅子も全て中国のアンティーク風で素敵。台湾のレトロ。
テンションが一気にあがる。これは期待できそう。
頂いたお茶は梨山の高冷茶だった。
茶藝の作法のとおり、シュンシュンと湧く鉄瓶から、茶海へ移し、可愛い茶器へと注いでくれた。
中国茶や台湾茶、岩茶など飲む機会があればこれらのお茶が好きで口にしてきたが、
それでもやはり本場で高揚しているのか、清涼感と青々しさが澄みわり、
すばらしいと思わず声が出た。
コクもありながら甘味もあって、苦みが少ない。 1煎ごとに味は深まるが、清々しさというかお茶の透明度は変わらない。
8煎ほどいただいたが全くお茶酔いせず、おいしい。
聞くところ、梨山とは台湾で最も海抜が高く2500mもあるとか。最高のクオリティのお茶だったらしい(日本に帰って調べたら、80gで1万円ほど)
お茶請けには、烏龍茶の葉を浸したシロップに浸けた梅の実や
凍頂梅茶とピーナッツ菓子、草餅などがセットになっていた。
ゆっくりと1時間くらい居た。 お喋りも弾む。
トイレへ行こうと地階に降りると、館のなかを鯉が泳ぐ池がありヨーロッパ茶器や家具などが並ぶギャラリーになっている。
裏のテラスからは、「阿妹茶酒館」の灯りまで見わたせ、
景観もよかった。
店を出て再び、基山街を歩くうちに夕刻になる。
それで基隆湾が見下ろせる石畳の階段で写真撮影。千と千尋の神隠しの舞台にもなった「阿妹茶酒館」も風情があっていい。
非情城市という映画の舞台になった街。思い出そうとするが、ストーリーを思い出せなくて残念。
台湾へ旅立つ前にもう一度見ておけばよかったと思う。
前の店で梨山烏龍茶を購入しようとすると150gで1万円と少し。高~い!
それで20%ほど値を下げ「阿里山烏龍茶」を購入。それでも高いなぁ、と思いながらも美味しかったので満足。
ユアンの石けんなども数種買った。皮製品のブレスレットも買った。
曇った夕景は寂しげで、やはりノスタルジックだ。
海が見えた。
九フンを後にして、台湾市街へ再び車を走らせて今回の旅で宿泊する「シェラトングランデ」ヘ。
最上階まで吹き抜けになっているアナトリウムや広々としたレストランなどが素晴らしい。
ヨーロッパとモダンチャイナをミックスさせた近代様式な良いホテルである。
部屋からは街の灯が見渡せる11階。シャワーブースとバスタブが別々で、お風呂がきれいで広いのが気に入った。
荷物を置いてすぐに向かったのが
圓山駅から徒歩15分の「丸林魯肉飯」である。
玄関口は予約しないとはいれないようで並んでいる人も。車の中で予約しておいてよかった。
翡翠の置物や美術品がある踊り場をぬけて、
円卓が整然と並ぶ2階へ。
地元で人気店のようで、台湾人たちのグループ客や家族連れですごく賑わっている。
今日は平日の金曜日。それでも親戚一同集合といった光景。そこがすごい。
やはり台湾ときたらローカルフードを食べなくっちゃね。
九フンの街と同じような不思議なにおいがあたりを包んでいた。
まずは台湾産ビール!
そのお話はまたこの次に。
(台北旅行記 2はこちらへ)