「日本版」 服部 さやか
前回の論文では日本とバンクーバーを比較し、日本がバンクーバーから学ぶべき点について論じた。今回はその続きとして、日本はなぜ政府・企業・市民の繋がりがこれほどまでに希薄なのか、また何をすればこれを改善しバンクーバーのように3者が協力してまちづくりをできるような関係を築けるかについて述べようと思う。
まずこのような日本の現状を作ってしまった原因を考えていく。日本では、政府・企業・市民の中でも特に、政府と市民の繋がりが薄いように思える。ここを根本的に見直していかないと、三つのつながりを形成することは不可能だ。逆に言えば、ここが治れば政府・企業・市民の間に少しずつ理想の関係ができていくのではないか。ではこの政府、市民間の繋がりが薄いことの理由を考える。私が理由として考えたのは、市民の政府や政治に対する興味関心の薄さである。選挙の投票率も問題になっているように、日本国民は基本的に政治に対する関心があまりない。もちろん全員が全員そうとは言わないが全体を平均的に見ると、海外諸国と比べても日本ほど国民が政治に興味のない国はかなり少ない。この問題は都市を運営していく上で政府と市民の繋がりの薄さ(今回論文)や、法と社会の乖離(第4回論文)など、様々な問題を引き起こしている。政治に対して興味関心がここまで薄いのは言うまでもなく、政治に興味を抱くほどの知識が私たちにないからだ。政治に関する教育は義務教育の9年間で社会の授業などに取り入れられているが、日本が他の国と違うのはそこまで実際の政治に踏み込んだような教育をしないことだ。表面的なことばかりで、今の政治体制がどうなっているか、どのような歴史を経て今の状況が作られているのかなどを学べない。するとどうなるか。義務教育を終えた政治に関しての知識のない若者たちが世に放たれ、政治に関心のないまま生きていくのだ。すると今のような政府と市民の繋がりが極めて薄い、非効率的な社会が形成される。全てが悪循環だ。根本から見直していかなければ日本が海外のシステムを真似ることは意味を成さない、そう私は思うのである。
そしてここからがバンクーバーのようなシステムを目指すために必要な事柄であるが、重要なのは国民の政治に興味を持つという姿勢とそれを手助けする日本の教育制度である。Greenest city 2020の取り組みは世界的にも大きな注目を集め、日本でもお手本にしていきたいところであるが、そっくりそのまま日本で同じことをしたってうまくいくわけがない。いくら政府が市民に呼びかけたって市民にそれが届かない、もしくは市民が取り組みに興味を示さなければそこで流れはストップしてしまう。だからまず同じことをするのではなく、原因を探り解決法を見つけて社会に反映した上で日本流の形に直して取り組むべきなのだ。この方法は今回のような都市計画のことだけでなく、多くの物事に共通するでろう。つまり言いたいのは、私たちはもっと考えて考えて考え抜いた上で物事を判断、選択すべきなのだ。そしてこれこそが私の考える解決法である。
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