細田暁の日々の思い

土木工学の研究者・大学教員のブログです。

豊穣な社会研究センター つながり方研究所

2023-04-15 17:25:06 | 職場のこと

YNUに、豊穣な社会研究センターが設立されました。その中に、「つながり方研究所」が配置されています。センターのヴィジョン、そしてセンターの中にある3つの研究所について、以下の図に示されています。豊穣な社会研究センター長は私が務めます。立ち上がりの時期は、つながり方研究所の所長も私が併任します。



さて、つながり方研究所、とは何をどのように研究するところなのでしょうか。

私としては、本当に研究したいことを、本当にやりたいと思う方々とともに研究する、そういう研究所にしたいと思っています。現代の社会において、このようなやり方で研究することはそう容易ではありませんが、「役に立つ」とか「研究費を獲得できる」とか「レベルの高い論文集に論文が掲載される」とか、世の中から求められがちなたぐいのことは別の研究所や別の組織でやることにして、この研究所では、本当にやりたいことを追求してみたいと思っています。

(「役に立つ」「研究費を獲得できる」「レベルの高い論文集に掲載される」というようなことも、それなりに重要と思っており、私はこちらの軸も持ち合わせた人間です。要は、どっちもやります。)

さて、前置きはよいとして、

「つながる」「つながり」という概念は、極めて根源的で、本質的な概念である、と思っています。

3月に、「自由ではないのだけど、やたら暇な時間がある」という大学教員には想像が付くであろう特殊な時間がありまして、そのときに紙一枚とボールペンで、いろいろと考えておりました。「何のためにつながるのだろう?」

その時間に私が考えたことは、およそ以下の6つの群で、「つながる」ということを分類できるのではないかというものでした。

第一群:生物(生命が生きのびるため)
つながりの例:絡合、細胞、生命体、DNA、交配、生物の群れ、種(しゅ、たね)、進化、血管、神経、脳

第二群:物理、化学(真理)
つながりの例:原子の結合、分子、電気的・磁気的な結合、物質・物体の結合、素粒子、ゼロ・ポイント・フィールド

第三群:心理的なつながり(幸せのため)
つながりの例:愛情、恩、感謝、同胞意識、祖先崇拝、宗教、哲学、道徳

第四群:制度(効率的、安全に、衡平に、快適に、便利に、・・・)
つながりの例:社会、組織、マネジメント、マイノリティ、社会的弱者、コミュニティ、孤立、国家、同盟、グローバリズム、ナショナリズム、国際、市場

第五群:技術(効率的、安全に、衡平に、快適に、便利に、・・・)
つながりの例:インフラストラクチャ-、交流、公共交通、ライフライン、ネットワーク、IT、インターネット、データベース、エネルギー、資源、土木技術・材料

第六群:時間軸でのつながり、持続的発展(幸せのため)
つながりの例:文化、伝統、世代間・世代を超えた継承、歴史、文明の連続・断絶,持続性、環境、資源、エネルギー、食糧、食事、言語、文学

以上のようなことを考えました。こう考えると、つながり、とはこの世のほとんどすべてのことをカバーできる概念と思えます。

また、特に第四と第五群のものは、その目的(例えば、効率的、安全に、衡平に、快適に、便利に、など)が怪しい場合が特に現代は少なくなく、目的から考え直さないと、制度や技術が社会を豊穣でない方向に導いてしまうことが往々にしてあるのだとう、と思っています。

さらに、私の考えで六つに分類してみたのはよいとして、研究所メンバーの真鍋先生(経営学)からは、六つの群の間のつながりについても、考える必要があるかもしれませんね、と言われています。

さて、つながり、がこの世のほとんどすべてのことをカバーできる概念だとして、つながり方研究所で何をどのように研究するか、ですが、

(1) まずは、つながり方研究所に集まる方々自身が、「知らないことをよく勉強する」ことが大事であろうと思います。「何をどのように勉強すれば知識を得られるのか」ということを体系的に整理する、ことも後輩の方々への参考になろうかと思います。専門バカでありたくないですね。

(2) 日本という国の正確な理解,抱える課題の的確な把握をしたい。この国が豊穣な社会に向かっていく必要がある、ということ、現状が「豊穣でない」ということです。豊穣でない、という状況がどういう状況なのか、を理解することが重要と思います。
 そして、この国の状況をマクロな視点で理解できれば、そこからBreakdownした形で、組織・制度の課題を把握することができ、改善のための診断、対策の検討・提案・実施などが可能になると思います。

(3) そして、個々人が幸せになるための処方箋を手にし,個々人が幸せに生きることに貢献したい。幸せな個人がつながって,全体が幸せに。(これは、順序が逆かもしれません。全体の中で個人が幸せになる、のかもしれません)

以上が、「つながり方研究所」の大きな方向性で、すでにメンバーが集まって創造的な議論を開始しました。具体的にどのような活動が実践されていくか、ご期待ください!ぜひ皆さんと一緒につながって、豊穣な社会を目指したいです。


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