Me & Mr. Eric Benet

私とエリック・ベネイ

重たい扉

2014-11-20 14:04:22 | ボルドーへの旅
その後、Lとのメールのやり取りが10日ほど続いた。
向こうがフランス語でぎっしりと書き込んできたものを辞書を使って読むのに1時間、
返事を書くのに2時間、そんなことを続けている内に私はほとほと疲れてしまった。

その内、小賢しい手段を私は発見した。
日本語からフランス語に自動翻訳を使うととんでもない文章になるが、
英語で文章を書き、フランス語にするとそれなりの輪郭が出てくる。
もちろんフランス語で必須の女性形、男性形が英語にはないので、
この部分を直す、有り得ない動詞は使い得る動詞に変える、
部分的な補正を加えることで最もらしいフランス語になる。
こんなことをやっていたらLから「文章がずいぶん上手ね。」
とメールに書かれて慌てる。
「話すのは苦手だから。」と返信する。
しかしこういうメールのやり取りを重ねたことで、
お互いに相手の性格や考え方の一端を知ることができたのは間違いない。

一通りのことが一段落したと思っていたら、
出発3週間ほど前になり、いよいよ詰めの段階に入り、
まだ何も始まってさえいなかったことに気付く。
エージェントを通さずに個人でこのような滞在型の旅行をする、
たいへんさを思い知った。

費用の払い方、現地で現金で欲しいとのこと、
空港から家までは、バスかタクシーで来てほしい、
授業は一日三時間のフランス語のレッスンと料理のレッスンをどう組み合わせるか。
また滞在中のスケジュールについて問い合わせるのだが、
詳細を中々教えてもらえず、現地に同時期に旅する友人と会う予定が立たない。
折悪しく二人はバカンスでコルシカ島に出掛けてしまい、ますます連絡が取れない。
はてはタオル類や石鹸、シャンプー等は持参するのか、備え付けがあるのか、
そんなことまで疑問に思えてきた。
どういう生活になるのかわからないものに飛び込んでいく、
一人旅において絶対に避けてきた二つのこと、
高額の現金を持ち歩く、夜に見知らぬ地に着いてタクシーに乗る、
を今回はしなければならない。
さまざまな気掛かりが生じてきた。

70才を過ぎたT子さんとお友達は空港までのお迎えがあったそうで、
私が家まで自力で行くことになったのを心配し、
同じような石造りの建物が両脇に並ぶ私道に添っていて、
特徴もなければ表札もない、ベルはあるけれど場所はわかりにくい、
詳しくその辺を聞いて出発までに確かめるようにとアドバイスをくれた。


ふと私の中でほんとうにこの二人は私を受け入れる気があるのかな、
航空券だけキャンセル料が掛かるけれど今からやめてしまってもいいのだし、
と心がザワザワしてきた。

その時に相談した人に言われたことが、
疑問に思えたことはその都度、確認をし、
不安になったことはできる限り事前に準備をする、
そして「人の心の中にある優しさを見出していく」
悪い方に取ると何もかも信じられなくなる、
物事を良い方に捉えていく、ということだった。

現地で現金で支払うというのは、万が一キャンセルすることになった場合、
払い戻しなどの煩わしさを省くことになるし、
地元の人が空港からバスやタクシーで自宅まで来いと言っているからには、
安全な地域に違いないと。
またそれ位のことができないようでは、行くだけの資格がないとも取れた。
しかしボルドーという都市、フランス語を学習している人達には、
行った経験がある人が多い場所なのに、
出版されているガイドブックでは「フランス」編において
たったの4ページというのにも、困惑させられた。



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