Me & Mr. Eric Benet

私とエリック・ベネイ

旅の始まり

2014-10-24 17:47:17 | ボルドーへの旅
それは今年の初めのフランス語の第一回目の授業でのことだった。
先生の「今年の旅の予定が決まっている人は?」との問いかけに、
何人かが答えた。
70歳過ぎた女性の一人がブラジル、もう一人はパリにアパルトマンを借りてひと月、
そして私の隣の席にいたT子さんは「ボルドーへ。」と。

次に先生は「まだ旅の予定が決まってない人の行きたい場所は?」
と全員に端から振った。
どこも行く当てのなかった私は「T子さんと一緒にボルドーへ行く。」と答える。
すると先生は「T子とT男(先生は自分の名前をもじってこじつけた)とボルドーへ行く。」
と私に言い直させ笑いを取る。

その後、T子さんとは良く一緒にお昼を食べたり、お茶を飲んだりした。
彼女の旅の予定が順調に決まっていく中で、
私も「自分だったら?」とシュミレーションをしていく。
彼女の旅のスタイル、欲張って乗り換えで通るパリで降りたりせずに、
ボルドーだけ10日間で行って來る、
お友達と二人で以前にフランス語を教わり、
今はボルドーへと帰っているL先生の家の近くにホテルを取り、
語学のレッスンを受け、観光に案内してもらい、食事もそこの家でする、
という話に共感した。

6月に入り、出発間近となったT子さんから、
L先生のアドレスを教えてもらったので、取敢えずメールだけ送ることにした。
先方からはすぐに返事が来た。「8月の末か10月なら空いているけれどどう?」
私の場合は一人なのでぜひ、そこの家に泊まるように、個室には浴室が付いているとある。
また授業の進め方などの提案があった。

8月の末、飛行機は取れるかと席の確認をネットでしてみる。
飛行機が苦手な私は一番前の通路側の席が空いているのを見て安心した。
先生の家を出た後、どうするかを考え、市内のホテル選びが始まる。
「三部屋のみ、優しい女主人、猫二匹、美味しい朝食」
と書かれたプール付のペンションに惹かれた。

6月中に航空券と先生の家を出た後のホテルの予約をした。
L先生、T子さんは2年も教わったそうだが、私はたったの6時間のみ。
それでも素晴らしい教師だということは良くわかった。
それだけでは向こうには私の印象は残ってないと思うが、
2011年3月の震災の後にフランスに帰っていたL先生とパートナーのMが、
品川駅で成田エクスプレスから降りてきたところで私は偶然に鉢合わせした。
二人ともとても心細そうで日本に戻ってきて大丈夫なのかと心配していた。
その後、二人と学校で顔を合わせると挨拶するようになったのだった。

言霊、ものごとは言っているとその通りになるという説があるが、
私は今までそんなことを信じたこともない。
しかし新年早々の授業で言ったことが形になっていく、
LとMとの出会い、T子さんと会わなければ、そこに繋がらなかったことなど、
人の縁とはつくづく不思議なものだと思う。
また自分よりも若い人ではなく、70歳過ぎた女性が、
旅へと一歩一歩計画を進めていく様子は出不精になっていた私を、
多いに刺激したのだった。


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