Me & Mr. Eric Benet

私とエリック・ベネイ

Ryu's Latin Night 2012

2012-11-10 16:23:03 | その他のライブ


スィートベイジル、STB139、行くのは10年振りくらい?
かつてはブルーノートのようにここでも海外からの来日アーティストのライヴが多く開催されていた。
ここでフィリップ・ベイリーのライヴを2回観た。スタイリスティックスも。
その後、コットンクラブ、ビルボードができたためか路線が日本のアーティストへとシフトし、
すっかり足が遠のいてしまった。

久々のSTB139、この日は友人が申し込んでくれたイベント"Ryu's Latin Night"
会場に15分ほど前に着いたが既に行列が入り口付近にできている。

中に入ると以前の見慣れた設えとは違う。
テーブルが長く並び、白いカヴァーの掛かった椅子とテーブルクロス。
一気にハバナのクラブの雰囲気に入り込む。
飲み放題、ビュッフェで\3,000というイベント。

作家・村上龍、キューバにのめり込んで久しいとのこと。
約20数年通い続けて来ているそうだ。
まず挨拶があり「目標を決めて達成するとかではなく、
自然と波に乗る、今はそんなことが大切なのかと思う。」といったお話をされた。

いつものライヴハウスとは違う客層。
何気なく申し込んで来てしまった人とサルサを踊ることを楽しみにしている人たち。
一人では適当に踊れるが二人一組で踊るサルサには手も足も出ない。

ライヴハウスに行くことが多いので服装がR&B向けの動き易いパンツ&チュニック、
などが多いが、こういうイベントはドレス、しかもスカートが動きのあるような、
タイトではなくて、足裁きができるような女っぽいものが似合いそう。

バンドに関しての知識はなく、全く期待していなかったのに、
ボーカルの女性二人、Tania Pantoja(タニア・バントーハ)、Haila Mompie(ハイラ・モンピエ)
タニアは情感溢れ、ハイラはアップテンポが冴え、また二人のコンビネーションも完璧だ。
ホーンセクション、パーカッション、ベース奏者、キーボード共に高いレベルの演奏を聴かせた。

タニアの歌う「愛の賛歌」鳥肌が立ち、涙が出そうになった。
日本語でも歌ったが、暗譜していて、言語が変わってもその魅力は褪せない。
フランスの歌がラテンのフレーバーが付き、更に哀愁を帯びたものになる。

帰りにお土産の紙袋を出口で頂くとずっしり重い。
中を見るとキューバのラム酒とタニアのCD。
どこまでも大盤振る舞いのイベントなのだった。

友人がこの雰囲気のまま、もう一軒行こうと、
イベント終了後はグランド・ハイアットのバー、マデュロへ。
ここではボサノバの生演奏が入っている。
モヒートを注文するとライムとミントがたっぷり。
バーカウンターでは葉巻をくゆらす人も何人かいて、すっかり気分はキューバなのだった。

バンドにボーカルの女性が登場し、歌い始めたのは"Feel Like Making Love"
エリック・べネイが今年5月の来日で歌った時の記憶が甦ってきた。

画像は村上龍氏と:

マサ小浜スペシャル、Inter FM『ソウルフレンズ』で放送

2012-10-07 16:51:37 | その他のライブ
10/1に目黒ブルースアレイで行われた「マサ小浜スペシャル v.8」
http://blog.goo.ne.jp/ak-tebf/d/20121002
本日10/7、インターFM「ソウルフレンズ」にて午後2時半より30分間、
ライヴの様子が紹介された。

前回の"Masa's Lounge"の時の放送、その音源をネット上で聴けるようにしたところ、
今までにない多くのアクセス数を記録したとのこと、
今回もラジオを逃した方達も後程、ネットで聴けるはず。

音楽評論家・吉岡正晴さんより、このマサ小浜のライヴについての説明。
目黒ブルースアレイにて「マサ小浜スペシャル」というタイトルでライヴを8回、
(マサズラウンジも含めると9回)行なって来て回を重ねるごとに完成度が高まっていると。

30分の枠の中でどの曲が聴けるかと思っていた。
吉岡さんもそうとう迷われたそうだ。
できれば1時間でも放送したいくらいだと。
当日も「どれが良かった?」と尋ねて下さったが即答できず。
「エリックべネイ2曲は別として。う~ん。」とうなったまま答えられなかった。

その後、ラジオを聴きながら振り返ってみて
ブルースがマサ小浜やこの時のメンバーにぴったりはまり、
おまけにジーノ日野賢二の父、日野皓正も飛び入りで加わった"Stormy Monday"
ギターを落とした後のチューニング、レッド・ツェッペリンのメドレイ、
これが最初は軽く始めたのがマサ小浜がどんどんと弾き出し、そこにドラムスや
ベース、キーボード、歌まで加わってしまって圧巻だった。
そして意外なことに「赤いスイートピー」の優しい音色が後々まで印象に残った。
(エリック・べネイ二曲は別として)
放送されなかった曲ももう一度、全曲通して聴き返してみたい。

放送された曲は:
George Benson"Turn Your Love Around"
James Ingram"100 Ways"
Seiko Matsuda "Akai Sweet Pie"

バックグラウンドに流れた曲は:
"Stormy Monday"
"Purple Rain"

お話の中ではとても4人だけで演っているとは思えない音が作り上げられていること、
選曲が多岐に渡っていて誰にでもなじみやすい、それでいて曲の中にいろいろな仕掛けがあり、
コアなミュージックファンにとっても魅力が尽きないものがあると。

ライヴの中にいろいろなコーナーがあり、「マイケル・ジャクソンコーナー」
「昭和歌謡コーナー」そして更に「エリック・べネイ」もほぼコーナー化(?)して、
今回は2曲も演奏したことなど。

観たライヴをラジオで聴くと純粋に音のみが浮かび上がってくる。
そしてその場にいて雰囲気を知っているだけに感慨深い。
マサ小浜のギターの調べが鮮やかに甦る。
力強さと繊細さ、様々なテクニックに彩られた豊穣な音の洪水だ。
こうして聴いてみるとマサ小浜、まさしく天才ギタリストだと思う。

吉岡さんから「赤いスイートピー」では途中からジョー"I Wanna Know"
に変わっていくと説明があり、「こういうところがファン心をくすぐるんですよ。
お客さんたちも歌っていたけれど、音に入ってなかったですね?」

はい、私達付近のテーブルはほとんどクワイヤー。
大合唱となっていましたが、途中から余りの美しいハーモニーに聴き入り、
ジーンとなってしまったら、サビの部分でマサさんは「あれ、歌わないの?」
という表情でにっこりと客席に視線を送っていました。

次回の「マサ小浜スペシャル」第9回、もう既に日程が確定したそうだ。
12/6(木)、またブルースアレイでマサ小浜の演奏が聴ける。

Masa Kohama-Masa's Special Part8 @ Blues Alley Japan 10/1

2012-10-02 14:05:02 | その他のライブ
マサ小浜さんとシェリル・リンのライヴでお会いしたYukaさん、J.Iさんから、
マサさんが次回の"Masa's Special"で再びEric Benetの曲を演奏する予定と聞き、
今回のライヴ、早々と予約を入れる。

マサさんからも「今回は2曲やりますよ。定番化するかも?」とメールを頂く。
皆で選曲予想。ギターが映えてボーカル&キーボードのケイリブが歌える曲、
と最初考えていたが、ボーカルなしインストのみもありかということになり、
"Why You Follow Me""I'll Be There""Sometimes I Cry""Chocolate Legs""Sing To Me"
などが候補に挙がる。

前夜は台風の渦中、昨年9月台風6号のために多くの方が来場を諦めたエリックべネイ、
ブルーノートライヴの最終日を思い出した。
明けて10/1、夏の日に再び戻ってしまったような30°を越える蒸し暑さ。
そしてライヴもこの日の気温通り、熱く燃え上がった。

席はステージ真ん前、中央からやや左寄り。
マサ小浜さん、ジーノ・日野賢二さんの様子を間近で観ることができる。
音響も最高の位置だった。

最初は手ぶらだったのが、始まった途端、セットリストをメモしたくなる。
バッグを探っていると同じテーブルの皆さんが
目の前にあるアンケート用紙と鉛筆を取ってくれる。
その上、始まってからも、余りの演奏の迫力に圧倒されて
ぼっとしていた私のためにそれぞれセットリストやリフで挟んだ曲、
廻しながら書き込んでくれた。

以下はchanparaさん、Aさん、J.Iさん、Yukaさんに教えていただきながら、
できあがったセットリストです(笑)
いずれ正式な物を明日頃にはソウルサーチン、
吉岡正晴さんがブログで書いて下さることでしょう。

1st、一曲目はサンタナ。
ラテン系の曲でがっつりと観客を捉える。

2曲目はDoobie Brothers"Minute by Minute"
前回の"Masa's Lounge"のベース、ソクサイさんも巧かったが、
やはりマサ&ジーノのあ・うんの呼吸、そしてそれを支えるキーボードのケイリブ、
ドラムスのジェイのコンビネーションが堪らない。

次は定番になっているマイケルコーナー。
Michael Jackson"The Lady In My Life"
ここに途中でAl B Sure"Nite & Day"(これは私もちょっと分かりました)
そしてドナ・サマーの"Hot Stuff"が挟まれていたそうです(こちらは気づきませんでした)

4曲目はGeorge Benson"Turn Your Love Around"
(曲は知っているけれどタイトルは出てこないと思ったらchanparaさんが、
しっかりと書き込んで下さいました。笑)

次は映画のテーマソングを二曲とのこと。
何が出るかと思ったら「フットルース」
この辺りから場内がヒートアップ。
マサさん曰く、この曲は楽しい曲だけれど、合わせるのが難しく、
リハーサルでかなり時間を割いたそう。

そしてここのところ、アシストとしての来日が続いているレイ・パーカーJrの話から、
「ゴーストバスターズ」
私の周りのテーブルは皆、スタンディングで一緒に歌い始める。
私が若干スタンディングの強要、スタハラをしたかも。

ジーノがウッドベースに持ち替える。
マサさんはここに至るまでほぼ毎回、ギターを替えている。
意外な曲、レディーガガ「バッドロマンス」
ケイリブがキーボードからアコーディオンの音色を出し、ぐっとタンゴ風。
しっとりとした雰囲気に場内は包まれる。

私の大好きな曲、James Ingram"100 ways"
この曲が聴けるとは思わなかった。
雪の日にブルーノートでジェームズ・イングラムのライヴを観たのは何年前だろう。
「彼女に喜んでもらえるなら何でもしよう、
バラも送る、ヴァイオリンが聴きたいのなら聴かせる、
歌も捧げる、星を望むのなら取ってこよう、
僕はチャンスは逃さないよ、彼女の心をつかむ100の方法があるなら。」
という女心をくすぐる選曲。

次の曲のためにギターを替えようとしてホルダーが緩んで一度床に落ちてしまう。
簡単なチューニングをするマサさんに客席から「それで大丈夫?」と声が。
すると最初はツェッペリンのチラ弾きだったのが、
そこからハードロックの大ヒットメドレーへと展開してしまった。
これは大受け、かなり面白かった。
そのまま、ずっと弾き続けるのかと思ったらあっさり中断。
これ、もっと聴きたかったかも。

1st最後の曲はビートルズ"While My Guitar Gently Weeps"
低く唸り泣くようなギターの調べ。
この曲の間でシカゴ「長い夜」が挿入されたかに思うが、
記憶は定かではない。

1stが終わり退場するマサ小浜さん「エリック、後でやるからね。」と声を掛けてくれる。

2ndはブルースで始まる。
ここでサプライズがあった。
客席に姿の見えた日野 皓正さん、ステージへと登壇したのだ。
後でジーノさんに「パパは凄かった!」と話すと「そうでしょ?
天から何か振ってきたって感じでしょう。」
父と息子、そして息子の友人のマサ小浜。
三人がそれぞれお互いにリスペクトしながらの演奏。
ケイリブとジェイの三人への畏敬の念も伝わってくる。

途中、ジーノが皓正さんのために半音上げて欲しいとサインを送り、
それを受け止めたマサさんがケイリブへと合図する。
目線がキーボードだったケイリブが気付かず、改めてマサさんが伝言する。
そんな流れがほんとうにスムースに行われていく。

2曲目、"Stormy Monday"
ブルースの定番だがCreamも演奏している曲。
「嵐の月曜日」曲のタイトルのようなライヴにならずに台風が過ぎ去ってくれた。
この曲では三人のセッション、最後の〆をマサさんと日野 皓正さんが
お互いに譲リ合っている内に、とうとう日野氏がトランペットではなく声で締め括った。
これもとっても良かった。

日野皓正の去ったステージ、
「この雰囲気の後でやり難くなりましたが、恒例の昭和歌謡シリーズから。」
松田聖子「赤いスイトピー」
私の周りは全部歌える人ばかり。
ブルースで全開になった場内、今度は優しい曲に思いっ切り和む。
マサさんに向けてポイントアウトしながら皆で"I will follow you!"と歌う。
ジョー通のJ.Iさん、Yukaさんからこの曲の間にはJoe"I Wanna Know"
が挟まっていたと教えていただく。

さて「今日もエリックべネイファン達が来ています」とマサさんから。
"Spiritual Thang"
またしても私達のテーブル付近はスタンディング。

次の曲はなんと意外なことにEric Benet 3rd アルバム"Hurricane"から
"I Wanna Be Loved"
この曲、以前エリックは会場を女性と男性に分けて"I wanna be loved"と
"Be loved by you"と合唱させていた。
この日はケイリブのボーカルと共に私達が唱和。

そしてGeorge Bensonでもう一曲。
次の曲は時間が押しているので飛ばそうということになると、
ジーノがやっぱり演奏しようと。
マサさんは「ではショートで。」とのことでしたが、
演奏している内にしっかりフルヴァージョンに。
ディアンジェロ"How Does It Feel"(Aさんから教えていただきました)
これもとてもバンドの雰囲気に合っていた。
飛ばさないで演奏してくれて感謝。

その代わりにカットされてしまったのはサンタナの"Black Magic Woman"
これは前回のMasa's Specialで聴いているものの、また聴いてみたい曲。

最後はプリンスの「キス」
客席を練りながら観客の目の前でギターを聴かせる。
手を取ってギターに触らせたり、ナイフを使ってギターを弾いたり。

いつもの定番のお別れのアンコール曲"Purple Rain"で2ショウが終わった。
今年に入ってからマサ小浜「13日の金曜日スペシャル」
「Masa's Lounge」と観てきたが、今回は選曲の流れ、観客、
何もかも最高だった。

このシリーズ、これからもずっと続けて欲しい。
We will follow you, Masa!!!


(G)マサ小浜 (Key/Vo)Kaleb James (B)日野JINO賢二 (Ds)Jay Stixx

Giovanni Mirabassi @ Cotton Club Tokyo 9/25

2012-09-26 11:24:46 | その他のライブ
いつも応援している金子三勇士君、そして三勇士君の尊敬するツィメルマン、
それ以外でプロのアーティストのピアノソロリサイタルに行くのはほんとうに久しぶりだ。
しかも大きな会場ではなく、ライヴハウスの中でも抜群の音響のコットンクラブ。
どのような演奏が聴けるかと心待ちにしていた。

コットンクラブのプロモーションページのタイトルには
「感動ふたたび!『こころ』の叫びを静かにときに強く、
歌うように奏でるジャズ・ピアノの貴公子がソロで再登場」

更なる解説として:
昨年11月、コットンクラブに初登場。
繊細かつダイナミックに鍵盤を操る圧巻のステージで
会場を感動の渦に包みこんだイタリア・ペルージャ出身、
現在はパリを拠点に活躍する人気ジャズ・ピアニスト、ジョヴァンニ・ミラバッシ。
民衆歌や革命歌を取り上げた2000年録音の名作『AVANTI』から10年以上経過した昨年、
「閉塞感が漂う世界で、ピアニストとしての私が伝えなければならないメッセージがある」
という強い思いを胸に、“革命”をテーマにキューバの首都ハバナで
「インターナショナル」「リリー・マルレーン」ピアソラの「リベルタンゴ」などを録音。
ソロ・ピアノ・アルバム『ADELANTE』(“前へ”の意味)として発表し
話題を呼んだジョヴァンニがふたたび会場を沸かす。
(コットンクラブのHPより)

3歳からピアノを学び、10代でジャズへと傾倒し、
パリに移り良いメンターとの出会い、また作品が評価されたこと、
日本においてもプロモーションに積極的なレーベルの尽力もあり、
ここ数年、毎年来日が続いている。

東京でのリサイタルの前には福岡にある古民家で限定50名の会場にて、
3日間ソロでの演奏を行ってきた。

日本びいきだということが良く分かる。

ピアノはスタインウェイBタイプ。
ステージの中央に置かれている。
MCはイタリア語かフランス語かと思いきや、英語だった。
半ばうつむき加減で演奏しながら自分も唸るように曲を口ずさんでいる。
CDには情熱的な曲や哀愁を含んだ曲もあるが、1stでの演奏は、
甘美で心が潤う曲が続く。
そのクライマックスは"Libertango"だった。
いつも聴いている金子三勇士君がリスト型だとすれば、
ジョヴァンニ・ミラバッシの作り出す音はショパン型とでも例えられようか。

アンコールで戻ってきたジョヴァンニ、
「演奏し過ぎて時間をオーバーしてしまったみたいなんだ。
だからアンコールは短い物を。」
来日回数が多いだけに和風の旋律もところどころに挟んだりする。

終わって思ったことはたぶん2ndではかなり違ったセットリストになるのではないかと。
1stで優しくウォーミングアップしたジョバンニ・ミラバッシ、セカンドでは、
情熱的な曲を持って終わるのではと思うと、更に2ショウ続けて聴きたい気持ちになった。

会場の隅でサイン会が始まる。
私の前に並んでいた人が「どのCDがお勧めですか?」と尋ねると、
「どれも自分にとっては子供のようなもの。一つを選ぶことなどできない。」
最新のCD"Adelante"を購入後、少し話をすることができた。
真面目でシャイな性格、ここでもショパンを思い出してしまった。
語学は英語、仏語、イタリア語、スペイン語が話せるそうだ。
福岡、日本の地方都市での滞在を楽しんだとのこと。
イタリア人でありながら、完璧にフランス人的なキャラクターだと思った。

帰宅後、購入したCDを聴きながら余韻に浸った。
ソロのみのリサイタルとは違い、CDにはヴォーカルやバックバンドも入った曲もあり、
それぞれが趣がある。

永遠のモータウン Standing in the shadows of MOTOWN

2012-07-18 10:04:35 | その他のライブ
モータウンのファンクブラザーズで活躍したベーシスト、
ボブ・バビットが亡くなったというニュースが昨日入ってきた。

2006年4月、コットンクラブにThe Funk Brothersの来日することが決まり、
「永遠のモータウン Standing in the shadows of Motown」
映画館では観られなかったのでDVDを購入した。

その中で最も印象に残っているインタビューは、
Meshell NdegeochelloがBob Babbitに
「黒人ばかりの中に入っていて、逆差別を受けなかったか?」と問い、
「皆、いつも良くしてくれた。」と言葉を選びつつ答えながらも、
声を詰まらせてしまうところだった。

私の思い違いかもしれないともう一度、このシーンを観てみた。
ミシェル・ンデゲオチェロはボブ・バビットに
伝説のベーシスト、ジェームズ・ジェマーソンの後釜になった重圧、
またキング牧師が暗殺された後の暴動などもあり、アフリカ系アメリカ人に交じって、
アフリカ系の人たちの集まる場所で演奏することに問題はなかったかと聞いている。

映画として通して観るとずっとクリアだった映像がこのシーンだけ、
ガサガサとした雰囲気の中でざらついた不明瞭な音声と映像になる。
そして質問されているボブの落ち着かない様子、手や表情のアップになる。
「親しみを皆、示してくれたよ。」と言いながらも
それは真実ではなかったことが容易に推測される。
(これはメンバーではなく観客のことを指している)
それまで淡々としていたミシェルも気持ちを抑えられず、
顔をくしゃくしゃにしてボブの体をさすった。
私は以前観た時に、ボブが泣いているように思えてもらい泣きしたのだが、
ここのシーンだけ見た人はそれを感じないかもしれない。

この映画はモータウンの楽曲に貢献しながら知名度のなかった
ファンクブラザーズにスポットを当て、
多くのエピソードやゲストアーティストにより往年のヒット曲を再現している。

ベーシスト、ジェームズ・ジェマーソンがモータウン25周年の時に、
招待されることもなく自分で2階席を買って見にやってきて、
その2か月後には故人となったというエピソード、
ギタリスト ロバート・ホワイトが、
ダイナーでオーダーしようとした時にちょうど"My Girl"が流れてきて、
ウェーターに「この曲のイントロのギターリフは自分なんだよ。」
と言いかけてやめてしまった、どうせ信じてもらえないと思ったから、
そんなエピソードが散りばめられている。

この映画に出てきたファンクブラザーズで既に他界した人も数人いる、
そしてゲストスターとして出演しているジェラルド・レヴァートも。
歴史に残る名曲数々の作詞作曲をしてきたアシュフォード&シンプソン、
ニコラス・アシュフォードも昨年他界した。
二人の2009年の来日時のブルーノートのライヴの様子は忘れられない。
振り返ればモータウンの歴史には、
タミー・テレルやマーヴィン・ゲイの悲劇的な死もある。

ファンクブラザーズの来日(この時にボブ・バビットは同行しなかった)
生きる歴史を観る思いで、個人的には感動したが、誘った何も知らない友人は、
ゲストとして参加したヴォーカリストの方に注目してしまっていた。

映画の最後はチャカ・カーンとモンテル・ジョーダンの歌う
"Ain't No Mountain High Enough"で終わる。
最初にこの映画を観た時にチャカとモンテルがなぜ座って歌っているのかと思った。
今はそれがわかる。
立って動きながら歌ったらチャカとモンテルのショウになってしまう。
ファンクブラザーズへのリスペクトとして座ったまま二人は歌ったに違いない。

映画はミシェル・ンデゲオチェロの言葉で締め括られる。
「ピッツビルとは建物ではなくて、そこの中にいる人々のことだった。」

マサ小浜 Masa's Lounge 7/11 blues Alley

2012-07-13 07:10:08 | その他のライブ
MASA`s Lounge
(G)マサ小浜 (Key/Vo)Kaleb James (Ds)Jay Stixx (B)息才隆浩
Special Guest (Vo)露崎春女
「マサ小浜、新シリーズ MASA`s Lounge
時にアダルトなアコースティック、時にブルージーで
ソウルフルなサウンドをお楽しみ下さい。」
とブルースアレイの案内にある。

恒例の「マサ小浜スペシャル」13日の金曜日シリーズでは、
ロックからR&B、歌謡曲まで網羅するのに対し、
今回初の試み"Masa's Launge"こちらはぐっとディープな匂いがする。

マサ小浜さん、ブルースアレイでスライのトリビュートでお会いした時、
「次回はエリックべネイの曲をやろうかな。」
その後、5月のエリック・べネイ来日の折にもいらして下さり、
「今回、Eric Benetの曲をやる予定です。」とメッセージも頂いた。

早速エリックファン達に声を掛け、マサさんがエリックのどの曲を演奏するか、
選曲予想でfacebookのウォールが盛り上がる。
私はギターのイントロが印象的な"Spiritual Thang"
あるいはアコギでメロディアスな"Sing To Me"
どちらかと思っていた。
マサさんもウォールに「当日のお楽しみに」とコメントをくれる。

用意されたギターの様子は壮観。


一曲目からIsley"Summer Breeze"で会場は沸く。
暑さの続いていたこの日にぴったりの涼やかな曲。

次はアコギに持ち替えてマイケル・フランクス"Lady Want To Know"
アル・クルー"Last Song"
柔らかな調べにうっとりと聴き入る。

その後、エレキギターでマイケル・ジャクソン"The Lady In My Life"
マサさんはマイケル・ジャクソンの曲に独自のアレンジを加えてシリーズ化している。

ヴォーカルの露崎春女さんが登場してロバータ・フラック"Killing Me Softly"
アカペラで始まった曲にマサさんのギターが歌うように重なっていく。
続くミニー・リパートン"Loving You"では、歌詞の"La la la la la"
という部分を奏でるマサさんのギターの優しい音色にとろける。
こういう弱音の時には、演奏者の繊細な心が滲み出る。

一部で何の曲だったかな?
マサさんはギターリフでナイル・ロジャース"Le Freak"を挟んだ。

二部の始まりはベッド・ミドラーの"Rose"
「傷つくことを恐れていては何もできない
寂しくて道が遠く感じた時、
愛は自分には訪れないと感じた時、
雪の下に眠る花の種を思って欲しい
春には美しいバラが咲くことを。」
ベッド・ミドラー主演映画のテーマソング。

ここから「リクエストが多かったことからエリックべネイを。」とマサさん。

"Spiritual Thang"のイントロに私は飛び上がる。
私達のテーブルから始まり、周りの人も徐々にスタンディング。
「僕と君にはスピリチュアルな通じ合えるものがあるよね。」
というエリックの曲は"Rose"からの流れにぴったりだった。
場内から次々とスタンディングする人が出る。
エリックのライヴでもお見かけした方が何人もいる。
マサさんとエリック、両方のファンがかぶっているということ、
二人には何か通じるものがあるに違いない。

そしてマイケル・ジャクソン"You Are Not Alone"
ウィスパース"Rock Steady"
露崎春女さんとのヴォーカルを2曲挟んだ後、
ジェフ・ベック"People Get Ready"
やはりこういう曲はマサさんの最も得意とするところ。

次の曲でまた私達のテーブルは皆飛び上がった。
プリンス"Kiss"
会場もスタンディングで盛り上がる。
そこからゲストを迎えてマーヴィン・ゲイ"What's Going On"
観客も皆、コーラス。

最後はジミヘン"Voodoo Chile"
マサズ ワールド全開。
ギターの唸るような泣くような響きに圧倒される。

「マサ小浜スペシャル」シリーズも良いが、
今回のような全体の流れに統一感のある"Masa's Lounge"
まさしくそのタイトルの通り、マサさんのラウンジでゆったりと寛ぎつつ、
ギターに酔いしれる、そんな一時を堪能した。



PS:ソウルサーチン吉岡正晴さんが「マサ小浜ライヴ」についてのブログで、
この日の私達の様子を書いて下さっていました。
http://ameblo.jp/soulsearchin/entry-11300757410.html

マサ小浜 Special Part8 http://blog.goo.ne.jp/ak-tebf/d/20121002
マサ小浜 on InterFM http://blog.goo.ne.jp/ak-tebf/d/20121007
マサ小浜 Special Part9 http://blog.goo.ne.jp/ak-tebf/d/20121207
マサ小浜 on InterFM http://blog.goo.ne.jp/ak-tebf/d/20121217

Ledisi @ Billboard Tokyo 3/22 2nd

2012-03-23 14:22:07 | その他のライブ
平日のセカンドショウ、開場は20:45、開演は21時半。
早めに会場に着くとS氏は既に到着している。
建物内の喫煙室で会い、LedisiTシャツを手渡す。

ビルボード・フロント前に戻ると、
1stから観ていたnkmrakikoさんも既に出てきていて、
2ndからのchanparaさん、K君、Yukaさんともお会いできた。

これから始まる東京最後のセカンドショウ、
nkmrakikoさんは4回目、私達とchanparaさん、K君も2回目になる。
この日は皆さんは自由席、私たちは指定席のシートカウンターL。
時間に余裕がなかったのでこの席を選んだ。
先日のアル・ジャロウ&ジョージ・デュークではカウンター左端だったが、
今回は中央を押さえることができた。

バンドのメンバーと共にレディシが現れる。
おっ、今日のレディシの髪型はダウンスタイルだ。
人の顔も下から見上げるのと、上から見下ろすのではかなり印象が違う。
今日のLedisiは前日にも増して美しい。
スポットライトにアイシャドーと鮮やかなリップが映える。

やはりこの位置は視界、音響共にベスト。
しかしながら、客席が見えないので観客との一体感は薄くなる。
アーティストの傍に座る臨場感にも欠けるかもしれない。
それでも立ち上がっても歌っても周りが気にならないし、
個人的にガシガシ歓声を上げるにはもってこいだ。
全体の動きも観ることができるし、Ledisiとも正面から向き合い、
視線を合わせることもできる。
自由席の先端、指定席の中央、どちらの席にもそれぞれ良さがある。

バックの女性二人が秀逸だ。
レディシは二人にステージを預けて退場する時に、
「思いっきり歌って。でもこれは私のショウだってこと忘れないで」
お決まりのセリフかもしれないが、それぞれ高音、低音を聴かせる。
レディシと三人で並んでダンスする時も大柄の二人がレディシを囲んで踊るのは、
観ていて声援を送りたくなる。

「女性たちのための歌よ。」とLedisiが"Pieces Of Me"
を歌い始めた時に、なぜだか目が霞んできた。
それに続く"What A Wonderful World"昨日に続き涙がどっと出てくる。
この流れ、どうしてこんなに泣けるんだろう。
悲しい曲じゃないのに涙が出てくるのは、
レディシの歌の持つ力強さや感情の豊かさに魂が揺さぶられて、
自然と涙腺が反応してしまうのだろうか。

"It's All Right"の前コメ、レディシは昨日とは違い、
「私がたいへんな思いをしている時に、ママがこう言ってくれたの。
"It's all right"って。その言葉でとても楽になった。
だからこの曲はママのお蔭でできた曲。ママは今回初めての日本なのよ。」
昨日のように客席の端にいるママが立ち上がって手を振る。

最後にバンドのメンバーを紹介し、この曲を終えてレディシは楽屋へと向かう。
シートカウンターの端を通るので、駆けつけるとハグ、
"Muah!"という言葉と共に頬にキスをしてくれた。
夫も後ろから手を伸ばして握手。
レディシはやっぱり熱くて素敵な人だ。

ブレンダ・ヴォーンが私の前を横切る。
お別れコンサートに先月行ってるので、声を掛ける。
「日本にもういないのかと思った。」
「まだ少し滞在しているのよ。
でも今日のショウ、あなたどう思った?
ほんとレディシって最高よね。」
そう言えば自分のコンサートでブレンダが
Ledisiのファンと言っていたことを思い出す。

終了後、ママに昨日撮った写真を渡す。
ママはとても喜んでくれて、夫とサインの交換をしている。
nkmrakikoさんは大阪も行くからね、と伝えると「大阪でまた会いましょう!」
きゃっ、きゃっと飛び跳ねながら楽屋への階段を降りて行くママ。
やっぱりこのお母さんがいてレディシがいると思わせるものがある。
Sさん、chanparaさんも一緒に見送る。

家に帰ってもこんなに凄いショウを観た後は、簡単には眠くならない。
それでもLedisiのCDは敢えて聴かない。
耳に残った音や印象を大切にしたいから。
頭の中でレディシの曲がループしている。

明日の大阪のショウ、東京からnkmrakikoさん、J.Iさん、Hさんが向かう。
大阪でも観客を吹き飛ばすショウを観せてくれるのに違いない。

Ledisi @Billboard Tokyo 3/21 1st

2012-03-22 15:01:16 | その他のライブ
一昨年、年末にブルーノートでのカウントベーシーとの共演でLedisiは来日している。
その時にはライヴに行けなかったので、Ledisiを観るのは2010年のビルボード以来、
約2年振り。

事前にnkmrakikoさんから教えてもらったLedisiのサイトで、
それぞれTシャツやパーカーなどを購入。
またLedisiのホームタウンはニューオリンズなので、
私たちはニューオリンズのビーズネックレス、キャップなども合わせてコスプレ。
総勢6名での鑑賞となる。
こちらのテーブルは合い席なので、ご一緒した女性お二人に始まる前に一言、
「騒いで煩いかもしれないけれどよろしくね。」
「一緒に騒ぎます。」
「連れて行ってください。」との心強いお返事を頂きました。

久しぶりに見るレディシはトサカヘア。
黒のタンクトップと膝丈のスカート風パンツ、
ゴールドともベージュともつかぬレザージャケット。
ゴールドのかなりヒール高めのサンダル。
相変わらず元気いっぱい。
最前列が皆、LedisiTシャツなのに目を止め、
「ちょっと、あなたたちったら・・!」と喜んでくれている。

さてここから先はレディシご専門の方が東京にはnkmrakikoさん、
関西にもいらっしゃるので、私の個人的なハイライトに絞ります。

ここのところ、来日アーティストは今の日本への応援歌、
あるいはホィットニー・ヒューストンのトリビュート曲を歌うことが多い。
どちらにも触れない人もいる。

Ledisiはこんな風に話し始めた。
「日本の人たちはたいへんな中から、しっかりと立ち上がって、
また以前の状態へと復興しつつある。
その様子を見聞きしつつ、自分の故郷のニューオリンズのことが重なって・・・」
ここでレディシはそんな風に日本のことを思っていてくれたんだと思い、はっとした。
レディシと目が合った。
レディシの目から涙が溢れている。
「この曲はあなたたちのために。」
"What A Wonderful World"
歌おうとしつつ、いろいろな思いが押し寄せてきたのか、言葉に詰まる。
気持ちを落ち着けながら、レディシは歌い始めた。
この曲で私も隣のテーブルの皆も泣いた。

「この曲もあなたたちのためよ。
あそこにいるのが私のママなんだけど(立ち上がって皆に手を振ってくれる)
日本に来ることを心配したの。
だから『もう大丈夫よ』って言ってあげた。」
"It's All Right"

Ledisi、とっても綺麗な人だ。
歌う時にちょっと上顎と下顎をずらし、口をゆがめたり、すぼめたり、
こんな表情や動く姿は観ているだけで楽しくなる。
お腹や二の腕はお肉が付き気味になっているけど、
そんな小さなことなんてどうだっていい、と思わせるだけのおおらかさがある。

サイン会は毎回ないけれども、ステージの左右、後方、
指定席、そしてカジュアルの左右、後方、すべてに挨拶をして行くレディシ。

終わった後もお母さんが「サインしてほしいCDとか預かるわ。
娘が服を着替えたりしているけど、その合間にサインさせるから。」
とやってきてくれた。

「今もニューオリンズに住んでいるんですか?」と聞くと、
「娘の仕事に合わせてあちこち移り住んでいるけれど、
またニューオリンズに家を持つことも考えているのよ。」
お母さんも皆とお揃いのパーカーを着ている。
きさくでサバサバした感じの良い方でした。
一緒に記念撮影に収まる。


終了後、セカンド目指してきた方達とエールの交換。
LedisiのLoveとSoulの引き継ぎをして、
また2ショウ続けてみる方達を客席へと見送る。

今日もセカンドを観る予定、昨日の席から見えなかったもの、
聴き取れなかった部分をしっかり聴いてくるつもりだ。
昨夜は「レディシと一度もアイコンタクトが成立しなかった。」
とこぼしている夫。
今日はレディシと視線を合わせることができるのか?

BEN L'ONCLE SOUL after the show

2012-03-20 10:31:57 | その他のライブ
ブルーノート東京、3/17 2ndショウの後、
ステージに向かい左後方ではベンロンクルソウルのCDやポスター、
Tシャツが販売されている。

Nさんのお嬢さん二人はブックレット付き、ポストカード付のCD、
ポスターを手にする。
Tシャツを買うのを楽しみにしていた彼女たちなのだが、
残念ながら残っているのは、子供用のピンクとイエローヴェージュ1着ずつのみ。
背中にあててサイズを見てあげるが、いかんせん小さい。
二人とも中高生だがこのTシャツは小学生用ぐらい。
それでもせっかくだからと諦めがつかずに記念に一枚買っていた。

私たちは夫がポスター、私はポストカード付の大判のCD、
あるいはDVD付きか迷ってDVD付にする。
このDVD、おまけのようなものかと思っていたら、
フルのライヴインパリばかりか、
特典映像:ツアーの道中とバックステージの様子も含まれていて
かなり充実したものだった。

さてサイン会が終わると、今度は順番に撮影会が始まる。
Nさんのお嬢さん二人、フランス人のファンの子供たちの前だと
ベンの様子が変わる。
それまでオスマシして撮影に応じていたベンロンクル。
次々と変顔、そしておかしなポーズを取り始める。
フランスではコミカルなキャラクターとして親しまれているようだ。

家に帰ってから買ってきたCD&DVD、早速観始める。
特典映像の中で、ベンがケースに並べたメガネと蝶タイを持ち歩き、
ライヴの前に気分と雰囲気で選ぶ様子がある。

またツアーで各地を廻る時、ツアーバスの中での様子など、
エリックべネイのツアーの時と似ていて、
みんなでふざけたり歌ったり、話し合ったり。

そしてライヴが始まる前は、ストレッチをする人、筋トレをする人、
楽器演奏者たちは音を確認している。
ベンも発声とウォームアップに体を揺らしている。
それぞれがお互いの身だしなみの点検と手伝いをする。

皆で集まり手を重ねて"Rock!" "Soul!""Music!"と掛け声で気合を入れる。
ステージへと一人一人が飛び出していく様子。
観客を喜ばせ最高のショウをするという
BOSのメンバー達全員の意気込みが伝わってくる。

ライヴDVDの映像も素晴らしかった。
フランスでこんなに大きな会場を一杯にするアーティストを
ブルーノートで観ることができた。

Nさんのウォールに「忘れられない最高のショウだった。」と書き込むと、
「月曜日もあるから行けば?」と返事が。
「行きたいけど行けない。次回の来日を楽しみにしているわ」と書くと、
「私達もよ。でも来年かしらね?」

昨日の観客たちもきっと満足して楽しい夜を過ごしたに違いない。
Ben l'Oncle Soul、また近いうちにぜひ来日して欲しい。

Ben L'Oncle Soul @ Blue Note Tokyo 3/17 2nd

2012-03-18 12:06:27 | その他のライブ
ずっと好きで観たかったアーティストのライヴに行き、がっかりすることがある。
反対に余り知らないで行ってしまったアーティストのライヴが想像を絶する素晴らしさだった、
こんな日の驚きと嬉しさは言葉にならないほどだ。

知人のフランス人ファミリーがBen L'Oncle Soul、通称BOSのライヴに誘ってくれた。
R&B通のS氏にも「えっ、行かないの?」と聞かれてYouTubeの映像を次々と観ると中々良い感じ。
にわかファンとなり、曲の予習をいくつかして整理券配布の10分前ほどにブルーノートに到着。
整理券は19番、開場は8時10分前と言われた。
既にロビーでは売っていたBOSのTシャツをグループで買って着始める女性たちもいる。
いつものブルーノートとは違う雰囲気がある。
ベンロンクルソウルのコスプレをしている男性も何人か見かける。
バタフライタイ、アーガイルのセーター、ハットなど。

時間が1時間余りあるので食事に出かけることにした。
雨が降っているので余り遠くには行きたくない。
隣のアディングブルーをのぞくとウェディングパーティー中。
私の利用できる福利厚生施設、青山クラブに行くことにする。
ブルーノートの待ち時間までの折に何度かここを訪ねたことがあるが、
週末は貸切だったり、予約が一杯だったり。
今回はすんなり入れて、しかもオーダーストップが7時50分。
時間がちょうど良い。

和食を食べながらビールと日本酒で二人とも出来上がった状態で、
ブルーノートへと戻る。
場内は人で溢れている。
1stが終わったばかり、まだ呼び出しは始まっていない。
Nさん一家ともほどなく会える。
彼女たちの番号は13番。
お嬢さんたち二人は大ファンだそうで、もう目が輝いていて、
ウキウキしている様子が可愛い。

ステージに向かって右最前列をNさん一家。
私たちはその後ろのテーブルの角で隣り合わせになる。
メニューでその日のベンロンクルのドリンク『ソウルビーチ』があり、
彼のサインがプリントされている。
Nさんのお嬢さんのSちゃんは早速それをカメラに収めている。

ステージ右横はDJがいて客席を温め始める。
9時少し前だろうか、BOSのバンドメンバー達がステージへと登場。
ホーン2人、ギター、ベース、ドラムス、キーボード、
全員ネクタイでスーツ。
バックボーカル&ダンサー二人が現れる。
二人ともタイをしているが一人はパンツが短いのが映像で見た通り。

ベンロンクル、ベストにタイ、ジャケットをジーンズの上に着てやってくる。
MCは英語で通す。
ステージに向かい左端の方の席から「フランス語で喋って!」と仏語で掛け声が。
ちょっと仏語で返事をしてまた英語で「フランスの人達も来てるからね。」

場内は2曲目位からほぼオールスタンディング。
BOSは観客を取り込むのが上手だ。
簡単な歌詞や単語、音階を客席へと振ってくる。
またそれがフランス人の英語なのでみんなにも良くわかる。
歌だけではなく、振りやダンスも次々に要求してくる。

Nさんから課題を頂き、自分でも予習しておいた曲"Petit Soeur" "Soul Man"
一緒に歌えるのが楽しい。
大好きな曲、"Come Home"では歌いながら思いっきりアイコンタクト。

歌手でありながら、コメディーっぽい要素も多く、
コント風の動きもやってみせる。
スティーヴィーの"Superstition"
先週のフランク・マッコムに引き続き聴くことになるが、
どちらも原曲をそれぞれ自分の曲へとアレンジしていて、それぞれの良さがある。

後半からは「僕がなぜソウルミュージックが好きになったか知ってる?」
「お母さんがね、マーヴィン・ゲイやスライ、ダニー・ハサウェイ、レイ・チャールズ、
そんな人たちが大好きで僕はそういう曲を聴きながら育ったんだ。」
そこからは"My Girl"に始まり、オールドスクールのヒットメドレーになる。
メインの人はバックに歌わせると、休憩したり、舞台を離れたり、横で見ていたりが普通だ。
エリックべネイはこういう時に音に身を委ねつつ、楽しそうにしている。
私はそういうエリックの姿を観ているのが好きだが、
なんとベンはバックにメインを歌わせる時、真剣に自分がバックコーラスでダンサーをする。
恐れ入りました!

エリックべネイはライヴ中にお水を飲まないことにびっくりする人が多い。
スタイリッシュなステージ、ステージ上にいる以上は自分は演技者でもあると認識するエリックべネイ。
ペットボトルの水を飲むという動作が彼の美意識に合わないからだ。
一度だけエリックがお水を飲むところを見たことがある。

反対に一曲ごとだけでなく、歌いながらも曲の途中でも何度も水をガブ飲み、
それどころかリップクリームまで塗る人もいて、こういうのはちょっといただけないと、
エリックファンの私は思ってしまう。

Ben L'Oncle Soulのお水の飲み方はとっても素敵だった。
小さなボトルを話しながらショウの流れにあった自然な雰囲気で、
口元に運びちょっとだけ飲む。

ベンはあちこちのテーブルの上にも乗り歌い続ける。
ステージ左右、ステージから遠いテーブルにも手を振り、
近づこうとする。
ハンドクラップ、片手を上げる、ピース、ラブ、ソウルのサインを皆で一緒にする、
この日の観客たちは心から楽しむ人ばかりだった。
ベンロンクルもこの辺りから半端じゃなく乗ってきた。
日本でこんなにも歓迎されるとは思っていなくて観客の反応に感極まっているのが見て取れる。

「みんな、最後にまだやってないことがあるからやろう。」
何をさせられるのかと思ったらジャンプだった。

アメリカ系のアーティストを観ることが多いので、
たまにそれ以外の国のアーティストのショウを観ると違った雰囲気が新鮮だ。
今のアメリカのアーティストが歌うオールドスクールには懐古的なイメージがあるのに対し、
フランス人の彼はこれを現在も旬な曲として捉えている気持ちが伝わってくる。
アメリカの60年代、70年代のR&Bが現代のフランスのアーティストによって再現される。
BOSの愛と情熱がソウルミュージックへと深く注がれているのがわかる。
昔ながらの曲が新しい曲としてベンロンクルを通して生き返る。

最後は全員で肩を組み、観客へと挨拶。
「今回が初めての来日だけど、また戻ってくるからね。」
胸が熱くなるようなライヴを久々に観た。

終了後サイン会、その後待っていたファンとの撮影会。
ジーンズをオーバーオールに着替えて登場。
「素晴らしかった。日本に来てくれてありがとう。
またぜひ近いうちに来てね。」と何とか仏語で挨拶。
ベンも「いやー、もうオーディエンスが素晴らしくて感動したよ。」
「それはね、あなたが素晴らしいからよ!」と言うと
にっこり笑ってくれた。
写真を撮るときに「疲れてない?」と心配すると「全然!」
また新しい応援したいアーティストと出会ってしまった。

ここ数日、いろいろな出来事があり、この日のライヴは諦めることになるかと思ったが、
ベンロンクルソウルのライヴ、行くことができて良かった。
やはりライヴハウスは私にとってのパワースポットだ。

Ben L'Oncle Soul

2012-03-15 00:00:19 | その他のライブ
フランス人の友人Nさん、
彼女と一月の初めに話した時に、
3月のBen L'Oncle Soulのライヴに家族で行くと言っていた。
その時はフランスの人気歌手かと思ってさほど気に留めなかった。

その後、ファンク&ソウルに造詣の深いS氏から、
このライヴに行くと聞き、
調べてみるとフランスの歌手でも60年代のR&B、
モータウンのサウンドに近い曲からそのカヴァー、
そしてオリジナル曲などを歌っていると知った。

けっこう面白そうと思っていたところ、
Nさんからも改めて誘われ、快諾する。
ほどなくNさんや彼女のお嬢さんから
ベンロンクルソウルのバナーが
私のfacebookのウォールへと次々送られてくる。
何だか盛り上がってきた。

「土曜日のための予習よ!」
とフランス語の歌詞が出るYouTubeも張り込んできた。
私にとっては歌の予習ならぬ語学の宿題のようで笑える。

Ben L'Oncle Soul、通称BOS、
フランスにおいてはブルーノートのような小振りの場所で、
中々観られない歌手のようだ。
フランス産R&B、初めて聴くだけに楽しみにしている。

3/17(土)と3/19(月)二日間の公演。
それぞれDJが変わる。

Ben l'Oncle Soul - Come Home (Live in Paris)

Frank McComb-The Wedding Song

2012-03-13 10:43:49 | その他のライブ
3/10、横浜モーションブルーにてのフランク・マッコム セカンドショウ。
ライヴが終わり、サイン会が始まっていた頃、
ソファー席に座っていたカップルにスポットがあたり、男性が跪く。
アーティスト達も私達もプロポーズしていると思った。
もしかするとお誕生日だったのかもしれないけれど。

サイン会を中断したフランクはグランドピアノへと向かい、
二人のためにプレゼントする曲の演奏を始めた。
夫がそれをiPhoneで撮り始める。
目の前にはフランクのプロモーターの方、お店のマネージャーやスタッフもいて、
その様子を見ていたが、全くお咎めなし。
ビルボードだったら厳重注意、ブルーノートだったら退場かもしれない。
夫の説では「これはライヴ中ではなく、サイン会で撮影も始まっている時間内での
フランクの好意だから堂々と撮って問題ないと思った。」

フランク・マッコムにも「映像をYouTubeにアップロードしたけど、
もし差支えがあったら消去するからね。」とメール。
消すことになるかもしれないので、今の内にご覧ください。

最初は曲のタイトルがわからず、歌詞もフランクが二人のために、
アドリブで歌ったのかと思っていた。
フランクのアルバム"Love Stories"の中にこの曲はあった。
"The Wedding Song"

歌詞も読んでみたが、まさに結婚を決めたばかりの人へのはなむけの曲だ。
自分のショウでプロポーズしているカップルがいると思ったら、
コットン3日、モーション1日、8ショウ続いたツアー最終日、疲れていても、
この曲をどうしても二人のために歌いたくなったフランクの気持ちが良く分かった。

There was a proposal of marriage on Frank McComb show.Frank dedicated this song for the couple.

Frank McComb @Motion Blue Yokohama 3/10 2nd

2012-03-12 10:30:45 | その他のライブ
横浜駅に着いてタクシーに乗ると車は地下道へと滑り込んでいった。
その様子はまるで香港の街にでも降り立ったかに思えた。
みなとみらい、三菱重工の跡地に建つマンション群を通過していく。
その地域から見る観覧車やベイブリッジの眺めがエキゾチックこの上ない。
普段、都会と言えば東京しか知らない私にはこれだけでワクワクするに足りる。

横浜赤レンガ倉庫、夜にライトアップされている様子、
この町独特の美しい風情がある。
「モーションブルー横浜」エリック・べネイの昨年9月のライヴで初めて来た。
低いステージ、間隔が充分に取られたテーブル、
ブルーノートやビルボードよりもぐっとアーティストとの距離を近く感じる。

開場前に着いたので赤レンガ倉庫内で軽くビールとガレットを摘まむ。
モーションブルーへと戻ると既に入場は始まっていた。
席の選択肢はアリーナ内のステージに向かい左後方中程テーブルか、
あるいは、一番後ろの左端の壁際のカウンター風の席。
ずいぶん迷って後者を取る。
厨房の出入り口の脇だ。

8時半を回ってほどなく、この出入り口から、
余りにもさりげなくフランク達が出てきた。

キーボードに向かうと、"Cupid's Arrow"
続けて新しいアルバムから"Spiral"

YAMAHAのグランドピアノへと位置を変える。
ロマンティックな曲も彼の雰囲気に合っている。

数日前にビルボードで聴いたジョージ・デュークから、
歌ってグランドピアノへと向かうアーティストという流れが続いている。

"Time and Time Again"
甘く切ない曲だ。
ピアノを離れると今度はスティーヴィー・ワンダー"Superstition"

気候のせいで喉を傷めてしまったこと、
日本は今、いろいろとたいへんなのに
自分のライヴにお金と時間を使って来てくれたことに感謝の言葉。
"Contact"

私のちょうど脇を通っての退場なので、挨拶する。
ビルボードで会ったことを覚えていてくれて、
来たことを喜んでくれた。

その後、その横のテーブルでサイン会が始まるが、
スタイリスティックスの"Betcha by Golly Wow"が店内に流れ始めた。
ビールを片手にベースとドラムの二人が歌いだしたので、
私達も一緒になって歌っていると、
スポットがソファー席のカップルにあたり、
男性が跪いてお花を渡している。

もしかするとお誕生日のお祝いだったのかもしれないが、
「プロポーズしている!」と私達は思い、アーティスト達もそう思った。
フランクは「それなら君たちのために曲をプレゼントしないとな。」
とサイン会を中断してステージへ。

"The Wedding Song"
12年くらい前に作った最初のアルバムの曲、
いや作ったのは18年位前だったかなと。
「たくさんの幸せで二人が満たされるように、世界中が二人を祝福しているよ。
ハネムーンも楽しんで、いつまでも愛を大切に。」そんな歌詞だった。
歌い終わるとカップルのテーブルへと行きお祝いの言葉を掛けたフランク。
そのまま一度楽屋へと戻る。

サイン会が今度はステージに向かい右後方で始まる。
Tokuさんも来ていて「今度、一緒に何かやろうよ。」とフランクに話している。
「次回はぜひトクと共演して。」と言うと、
「日本のファンに言われたなら、やらなくちゃ。」とにっこりするフランク。
疲れているはずなのに笑顔を絶やさず、ほんとうに感じの良い人だ。

フランク・マッコム、昨年のコットンクラブで観て、
今年は同じ週のアル・ジャロウ&ジョージ・デュークに行くことにしたので、
諦めていたところ、アル&ジョージのショウでフランクと偶然会い、
こうして横浜まで足を運ぶことになった。

「次回の来日は?」と尋ねると「えっ、今来たばかりなのに次の事?」(笑)
近くにいたスタッフが5年後かもしれないし、半年後かもと。
「なるべく早く戻ってきてね。」と伝える。

帰りにステージ上の機材を片付けているフランク。
「気を付けて帰ってね。」と声を掛けると「二人も気を付けて。またね。」
どこまでも心配りのある人だ。
でもステージの上では自分の世界に入り迫力の演奏を聴かせてくれた。
歌う声も少し掠れていたが、それもまた耳に心地よく魅力的だった。

Frank McComb(vo,p,key)
Anthony Crawford(b)
Robert Miller(ds)


Al Jarreau and George Duke @ Billboard Tokyo 3/6 2nd

2012-03-07 16:26:16 | その他のライブ
アル・ジャロウ、夫は最初に観たのが30年前だそうだ。
私は確か10年前位にブルーノートで観ている。

エリック・べネイが音楽活動から退いていた時期、
アルバムのヴォーカルで使ってくれたジョージ・デューク。
金子三勇士君ともローランドVピアノのコマーシャルで一緒に出演している。
応援しているアーティスト二人とゆかりのあるジョージ。
ライヴでぜひ、生の演奏が聴きたいと思った。
ジョージ・デュークを観るのは今回が初めて。

二人ともジャカルタジャズフェスティヴァルに出演した。
どうせ乗り換えるのだから帰り道に東京で1日だけでも、
ということになったのでは。

この日の客層はここのところ行ったライヴとは、かなり違った感じがした。
ジャズ、フュージョン系のファンの方達、
また一日だけのライヴということもあり、多くのアーティストを見かけた。
その中にTokuさんも。

今回はデラックスシートカウンター・ロウの左端。
席に着いてから、カウンター・ハイ、
あるいはデュオシートの中央の方が良かったかな、と左端という位置に戸惑う。

アル・ジャロウ、ジョージ・デューク、マイクを持って軽く歌いながら、
バンドのメンバー達と気さくに登場。
指定席カウンター、座るのは約3年振り?
階下の自由席の様子は見えないが、音響が抜群だったことを改めて思い出した。

アルはカジュアル席にも「僕のクアイヤー達、よろしく頼むよ。」
と声を掛ける。
カジュアル右手の人たちとアルのコーラスの練習が始まる。
みんな、しっかりと歌い返していた。

ジョージはキイボードとスタインウェイBタイプを弾きつつ歌う。
生で聴く"Sweet Baby"の曲にうっとりした。

アルは体調が悪いのか、何度か中座する。
腰が痛そうに見える。今月で72歳。
ジャカルタから東京に来て、時差はそれほどなくても、
移動の距離、温度差などは厳しいと思う。
それでも退場する時もリズムに乗りながら、
サインを求められれば気軽に応じる様子はさすがだ。

スタンダードなジャズ、80年代に馴染んだフュージョン系の曲が中心。
アルのヒット曲、たとえば"We're in this Love"も原曲ではなく、
デュークとのアレンジになる。

アルがしばらく出てこない間、楽器を弾きつつ歌い、
キーボードをバンドのメンバーに預けつつ、
スタンドマイクの前にも移動して歌ったジョージ。
「アル、もう声が出ないんだけどそろそろいい?」
「あ~い、今、そっちへ向かうところだよ。」
そんなやり取りがある。
アルが「この曲を歌いたいんだけど?」とジョージにフレーズを聴かせると、
「それだったら、全然問題ない。一緒にさんざんやって来たじゃないか。」
そんな二人の会話が和気藹々としていて微笑ましい。

「マシュケナダ」で会場は熱く盛り上がる。
ブラジルではなく、ジャカルタからの熱風を二人は持ち込んだ。

ベースマンがふるっていた。
ウッドとエレキベース、二つを持ち替えて演奏するがどちらも最高。
ドラムスもいい。

アルは日本語も良く知っていて歌の中に「イラシャイマセ。」なんて挟んでくる。
前列中央中心にとてもノリの良い女性たちがいて、アルも嬉しそう。

10年前と較べると足腰が弱り、声量も落ちたかもしれない。
でも魂の若さ、エンターテイナーとしての底力を観た思いだった。
ジョージの演奏も力強く、アルが歌う時は彼を引き立てる。

さて、終了後のサイン会、販売と同時に全員のサインがカウンターで貰える。
30分ほど待ったが、列はいっこうに短くならない。
一人一人が長いのだ。
それだけ多くのコアなファンがいて、
ジョージもアルもミート&グリートを丁寧にしてくれているのがわかる。
諦めて帰ることにした時に、
長身のキャップを被ったアフリカ系男性が立っているのをみつけた。
サイン会の様子をニコニコしながら眺めている。
大勢の中に紛れていても、オーラが出ている。

「あなた、もしかしてFrank McCombよね?」と聞くと、
「うん、そうだよ。」
「うそでしょ?どうしてここにいるの?信じられない!」
「僕も明日からコットンで三日間ショウをするんだ。」
もちろん、それは知っている。
しかし、この日にこのライヴに来るために、
フランクのライヴは一年前にコットンで観ているだけに諦めたのだ。
「あら~、そうだったの。」
「行くわ!」と言わない私にフランクは
「横浜モーションブルーも土曜日にあるよ。」
「あー、そうなんだ。」と頷くのみ。
「日本にまた来てくれてありがとう。」と言うと、
「こちらこそ、どうもありがとう。」

この日にライヴに来ていた人で彼に気づく人が少なかったからなのか、
声を掛けたことを喜んでくれた。
写真を撮る時に「レディーが真ん中だよ。」と言うので、
「やっぱり、フランクが真ん中でなくちゃ。」
「いやいや、レディーが・・・」
「だめ、フランクが真ん中!」

一緒に写真を撮ってくれて、その上私たちがエレベーターに乗るまで、
手を振って見送ってくれた。
"See you soon!"と言われてこちらも"See you!"とだけ返事を返す。
"See you at ~~!"とは言えないところが心苦しい。

何て感じの良い人なんだ。
というか、マダムキラーと言うべきか。
エリック・べネイのファンにフランク・マッコムファンが多い理由が良く分かった。
コットンクラブには行けないけれど、横浜モーションブルー、
行かずにはいられない気持ちになる。



アル・ジャロウ / Al Jarreau(Vocals)
ジョージ・デューク / George Duke(Keyboards)
ゴーデン・キャンベル / Gordon Campbell(Drums)
マイク・マンソン / Mike Manson(Bass)

Betty Wright @ Billboard Live Tokyo 2/28 2012

2012-02-29 13:02:45 | その他のライブ
大御所の女性ヴォーカリスト達には何回かライヴで裏切られてきている。
そんな苦い経験からベティ・ライト、楽しみだけど、がっかりしないためにも、
期待しすぎないようにしようと思っていた。

結果から先に書いてしまうと実に素晴らしかった。

黒いパンツにフリンジの付いたロングカーディガン、
腰回りには光物系のストールというか、スカート。
グレイのヒールの高いショートブーツ、髪は強烈なアフロ。

バンドのメンバー、キーボードはプエルトリコ、パーカッションはハバナから、
ギターは兄、バッグコーラス、三人の内、向かって右が長女、左が末っ子だと紹介。
ベティーの娘たちは謙虚で歌も上手、可愛らしい。

"That's the way I like it"と観客に歌わせる。
一番前の女性、最初はためらっていた。
次に小さな声で歌う。納得しないベティー。
彼女に4回歌わせる。最後は会場全体に響く歌声を聴かせてくれた。
さすがベティ。歌える観客を見抜いている。

"Tonight Is The Night"
高音から低音まで音域が広く、どの音階も完璧に歌いこなす。
ステージを圧倒的に支配している。
カジュアル席から下を見下ろし観客の様子を観察すると、
誰も食べている人はいない。
じっとベティーの歌に聴き入っている。

「グラミーの前日に私たちは大きな存在を失った。
この曲を彼女に捧げたい。」
Whitney Houston"The Greatest Love Of All"
最初は娘たちに歌わせ、途中からベティーが入ってきたが、
歌い終わって、バックヴォーカル達も涙。
やっぱり巧い人は何を歌っても巧い。
こうやって多くの人が歌っている曲を歌うと、よりそれが明確になる。

「自分はカラードだけど、あなたたちもそう。
違うカラーが集まってカラフル。
違うカルチャーをもつ同士が集まって音楽に共感する。
それってすごく楽しいと思わない?」

「昔は良かったっていうのは好きじゃないわ。
10年前は良かったではなく、10年後により良くありたい。
10年たって悪くなるんじゃなくてね。Keep love, keep in new!」
"Keep Love New"

新しいCD、スヌープ・ドッグ、ルーツととコラボした映画の宣伝も。
映画の中の曲から"Surrender"

バンドのイントロとともに客席はいっせいにスタンディング。
"Clean Up Woman"
彼女は13歳からスタートしてこの曲をヒットさせたのは17歳?
芸歴は55年位だろうか。
でも10代のベティー・ライトとは違う"Clean Up Woman"
昔は良かったんじゃなくて、確実にずっとずっと良くなってきているはず。
そこからジェームズ・ブラウンの曲へと流れ、観客は熱狂する。

"No Pain"
しっとりと歌いかけてベティは楽屋へと戻っていった。
年齢が高い人は出たり、戻ったりの手間を省いてアンコールなしが多い。
最後の曲がアンコールのつもりかな、とも思ったが、拍手は止まない。
隣の二人組は「アンコールないよね。」と席を立って帰ってしまった。
ずっと拍手が続いている。
カーテンが開き、窓の外には六本木の夜景が映る。
「本日のライヴは終了」のアナウンスが会場に流れた時だった。

楽屋口付近から歓声とひときわ大きな拍手が拡がっていく。
バンドメンバー、そしてベティーが出て来てくれたのだ。
靴はフラットシューズ、目には老眼鏡らしきメガネ。

楽屋で寛ぎかけたところ、止まない拍手をずっと聞いていて、
娘たちが「ママ、行こうよ。皆、こんなに喜んでくれているんだし。」
「じゃあ、何を歌う?」
そんな会話があったのかもしれない。

歌ってくれたのはマイケルの"Rock With You"だった。
自分の曲じゃなくて、この曲で戻ってきた彼女の心意気に感服した。
会場の皆も大喜び。
ステージを去っていくベティー・ライト、
彼女もショウの途中からどんどんのってきているのがわかった。
会場の盛り上がりとベティーの気持ちの高まりが生んだ思わぬサプライズ。

実は前々日、気が滅入るような芝居を観てしまい、それを引きづっていた。
そんな気分を一掃してくれるような爽快なステージだった。
対象は違うが同じようなことを会場で会った女性も言っていた。
先週に失望するライヴを観ただけにこれですっきりしたと。
やはりライヴパーフォーマンスが観客に与える影響は大きい。

今日は大雪。
昨晩も寒かったはずだが、良いライヴを観た後はいつも心身ともに温まる。
今日もベティのお蔭で気分は最高。

ベティ・ライト / Betty Wright(Vocals)
アッシャー・ウィリアムズ / Asher Williams(Background Vocals)
アイシャ・”ボンブシェル”・ライト / Aisha ”Bombshell" Wright(Background Vocals)
アシャーラ・ジェンキンズ / Ashaala Jenkins(Background Vocals)
エイベル・パボン / Abel Pabon(Keyboards)
チャールズ・ライト / Charles Wright(Guitar)
アンジェロ・モリス / Angelo Morris(Bass)
イグナシオ・ヌニェス / Ignacio Nunez(Percussions)
ジェラルド・ワーレン / Gerald Warren(Drums)