行雲流水

阿島征夫、一生活者として、自由に現代の世相を評す。時には旅の記録や郷土東京の郊外昭島を紹介する。

世界が歓声を上げたタイ洞窟少年救出成功

2018-07-12 21:22:56 | 海外
6月23日に行方不明となった12人の少年と一人のコーチ、10日後に英国ダイバーにより発見されてから、世界各国の協力で8日後に無事救出された。毎日各国のメディアは報道していたが、ニューヨークタイムスでは、海軍潜水部隊の経験のある記者を派遣し、毎日の救出対策、状況を克明に伝えた。
 
各国の特殊部隊でも潜水の訓練でも洞窟での潜水は未経験で、少年救出には急遽知恵を出し合ったようだ。最も安全なのは小型潜水艇に少年を入れて救出ということでプールで実験までしたが、洞窟の狭隘で断念せざるを得なかった。通常の潜水道具では危険すぎるので、頭から顔をすっぽり覆う用具を使い、救出途中で脱げない工夫をし、酸素ボンベも背中に背負うと危険なので脇に抱えるように工夫した。タイの子供は泳ぎを知らない(子供の溺死が多く、川には近づかないように教育したため)ので、ダイバー2人が確実に身柄を確保して、休憩を取りながら命綱に沿って救出し、水から出てからはタンカーで運んだ。
 
主役の救出ダイバーはタイ海軍の特殊部隊が行ったが、上記のサポートは沖縄からの米軍特殊部隊や各国の専門家が行い当にグローバル協力体制の成果と言えよう。ボランティアで参加していた前タイ海軍特殊部隊出身者38歳が作業中に死亡したのが残念だったが、貿易戦争だとか、中東危機など、政治面では対立が激しい中、このグローバル協力は素晴らしい成果で、トランプ大統領をはじめ政治家は見習ってほしいものだ。
 
これからは、閉じ込められた少年達の精神ケアが重要だが、これもグローバルな協力体制がバックアップする。10日間暗闇の中で過ごした彼らの精神的な負担は計り知れない。引率者のコーチはミャンマーからの移住者で地元の僧院で修行を積んでいるので、瞑想などで少年達をケアしていたようだ。少年の中にもミャンマーからの移住者で国籍を持たない少年が複数いる。その内の一人14歳は英語、中国語、などで意思疎通が出来て、当初発見した英国人ダイバーは驚いたと語っている。
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西日本豪雨災害からの教訓

2018-07-10 22:26:55 | 生活

西日本を襲った記録的豪雨による死者は10日までに12府県で計147人となった。今回の特徴は西日本と言っても瀬戸内海に面した広島、岡山が特に被害が大きい。私が中学生の頃は瀬戸内気候と言って小雨で、塩田が昔から多かったと教わった。今回は放送でこれまでにない豪雨と繰り返し、早期の避難を呼びかけていたが、予想以上の災害となり、被害も甚大だ。住民はここは雨の少ないところだったと、想定外の災害だったとのべている。

日本は山が多く、河川は短く集中豪雨がひとたび襲うと土砂崩れや洪水となる。高度成長期に列島改造のかけ声で公共投資を集中させたが、これまでの土砂止めや堤防強化などは今や無力となった。これまでにない豪雨、台風、高波は気候変動による自然の猛威と考えるべきだ。1980年代、私も環境問題の運動に関わったが、当時「アマゾン流域や東南アジアで熱帯雨林が減少し、CO2が増え、地球は温暖化し、巨大な台風や洪水が襲う」と聞いて、電機連合で広報のビデオを作成したが、今や現実となっている。人間の無力さを感じる。

新たな国土対策が当然必要だが、改めて温暖化対策を地球規模で行う国連での対策を日本は先頭に立って行うときだ。身の回りで言えば自治体に木を切らさない、庭に木を植える運動が重要だ。政府は石炭火力建設への支援を止め、国内でも廃止に向け行動を起こすことだ。再生エネルギーの重要性をもっと認識し、欧州並みの対策が必要だ。今回の災害の被害者は温暖化が原因だということはなかなか理解しづらいが、これまでの歴史で無かったことが起きてることを直視すれば解ってくれるだろう。

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勤労統計と役員報酬

2018-07-08 22:09:15 | 労働
 
何故賃金が上がらない

有効求人倍率は1.49倍1974年2月以来の高さでバブル期を超え、新規求人倍率は2.13倍と経営者は口を開けば人手不足と言っている。確かに数字上は100の求職者に対し求人は149人......
 

2018年5月の「毎月勤労統計調査」結果(速報、事業所規模5人以上)は春闘の結果が入っていると思うので注目したが、現金給与総額は、一般労働者(352、273円)が前年同月比1.9%増、パートタイム労働者(97,544円)が同0.9%増だった。連合の最終春闘結果も平均賃上げ方式をとる組合が2.0%アップなので、昨年(1.9%)よりやや増しだが、政府のかけ声3%に届かず何とも言いようのない惨めさだ。上場企業の役員報酬では一億円を超えたのが530人と史上最高の人数となっているのに較べると、首をかしげざるを得ない。

かつて、米国の労組の大会に招かれた時、組合員からGEの会長は組合員の400倍も報酬をもらっている。人間の働きの差はそんなにないと意見が出ていたが、日本の会社も頭を冷やして考えるべきだ。ソフトバンクやトヨタ、セブン&アイなど、社長の何倍も報酬をもらっている副社長や役員がいる会社が続出しているがどうゆう根拠なのだろうか?社長の働きがそれほど悪いのだろうか?まして組合員から見れば一生働いても届かない金額だ。

ソフトバンク アローラ副社長64億7800万円 
セブン&アイ デビント取締役21億8700万円
ソフトバンク フィッシャー取締役20億9600万円
トヨタ ルロア副社長6億9600万円

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年金生活者のマネー 巧い儲け話は無い

2018-07-06 23:08:33 | テレビ・映画
最近の気になる報道
1,国内29の銀行で投資信託を買った個人客の半分近くが、運用損失を出していることが金融庁の調べでわかった。運用成績は銀行ごとに大きな差異がみられたといい、各行の販売・運用姿勢や商品の品ぞろえが、顧客の資産形成に影響を及ぼした可能性がある。
 
 銀行によって差があり、もちろん成績の良い銀行もあるが、名前は発表されてない。銀行からは投資信託お薦めの電話が最近多くなった。これまでの銀行の主要業務融資が低金利で儲からなくなったことで投信の手数料で稼ごうということだが、かつて証券会社が取っ替え引っ替え顧客に投信を買わせ、手数料を稼いで不評をかったことを思い出した。
 この時期、10年近く持ってれば先ず損失は出ないが短期だとこの1年では良くてトントンだろう。このブログで紹介したが、投信の商品は実績のある(残高が多い)、手数料が安いものを長期に持っていることが基本だ。銀行の窓口の推奨は手数料が高いものが多いので要注意だ。
 
2,証券取引等監視委員会はネット経由で小口資金を集めて融資を仲介する投資募集会社「maneoマーケット」(東京・千代田)を行政処分するよう金融庁に勧告する方針を固めた。投資家に事実と異なる説明をして資金を集めた金融商品取引法違反行為が見つかったため。集めた資金は100億円規模とみられ、本来の目的以外に資金が流用されていたという。
 
太陽光発電やバイオマス発電に投資するからと言って、集めた資金を目的外に使用して損を出し、約束の配当が払われないので、バレたのだろう。金利4.5%以上などの条件で1万円くらいから小口資金を集めて、不動産投資をするクラウドファンディングがはやっているが、やめておいた方が良い。ブログでも紹介したがリートでも4%ぐらいの配当があるのでこちらの方が安全だ。

 5日にはバリ島への投資名目で、元本保証と年利10%で140人から11億円集めた詐欺事件が報道されている。
こんな話、ちょっと考えればおかしいと思うが、大手生命保険会社の代理店などと名のなれたたら信用してしまう。グロソブのような有名投信でも利回りは2%弱、うまい話は絶対にない。
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自分の体型に合った服が安価で買える

2018-07-04 18:43:11 | 生活

3日の朝日で、捨てられる新品の服、年10億点に達し、その負担はバングラなど途上国生産工場労働者の低賃金となっていると報道された。買い取る専門業者はブランド品はブランドが外され、通販で再販されるが、倉庫に置いとくと税金が掛かるので中には焼却処分される。資源の無駄と環境破壊につながる。
ところが何とタイミング良く、昨夜のテレビ報道や今日の紙面をZOZOタウンが消費者一人ひとりのサイズを、スマホで採寸し、オーダースーツを生産すると発表した。これなら無駄な商品が生産されないことになる。自分の体型が独特?なのか、ワイシャツやスーツは全てオーダーで不経済だった。定年後は何とかシャツやジャケットに身体を合わせるようにしてるが着心地は良くない。

テレビ放送に登場したZOZOタウンの前沢社長のインタビューを聞く限り、革新的な若い(42歳)経営者が出てきたと感じた。従業員は900名とまだ少ないが、社員一体感を重視する姿勢や、競争に対する考え方「独自の商品を作り、競争する商品は作らない、真似されたらそれより先のものを作る」に共鳴したい。米国企業の革新性に劣らない企業となるように期待したい。アパレル界では大量生産大量消費で成功したユニクロがあるが、当にこれに対するアンチテーゼを掲げた企業だ。6月のユニクロの売上げ不振が報道されてるだけに、これからのZOZOスーツ(39900円)シャツ(4000円)の売れ行きに注目が集まる。

この革新的販売もスマホという電子端末が普及したおかげで、これからもどんな商売が出てくるか楽しみだが、食料品の大量廃棄も課題でこれも何とか解決できないものか?

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働き方改革には意識改革で対応

2018-07-02 21:48:45 | 労働

働き方改革関連法は29日午前の参院本会議で可決、成立した。しかし、過労死の遺族達がこぞって反対をしている中での強行成立は何を意味しているのか?また、労働者は今後どう対応していくべきか?
残業時間の上限規制といっても世界的に見ても非常識な月100時間規制ではほんとに健康が守られるか厚生労働省は大きな責任を背負った。お隣の中国では月36時間規制で、それを超えて残業させているとして、アップルのサプライチェ-ンが問題視されている。外国人労働者に100時間も時間外労働をさせたら当然国際的に問題となるだろう。

高収入の一部専門職を労働時間の規制から外す「脱時間給制度(高度プロフェッショナル制度)」の導入は安倍首相が以前から狙っていたホワイトカラーイグゼンプション制だ。国会審議では年収1075万円以上の専門職というだけで、どういう職種が対象になるのか明確ではない。具体的には省令でということになるのだろうが、この法案に対する厚生労働省の自信のなさが示されている。かつての労働省では考えられないデータの不備など失態も繰り返され、経団連の圧力で出来た制度といわざるを得ない。

この高プロ制では本人の拒否権が入ったのが唯一の救いだが、「自分の健康は自分でまもる」という強い意志を持つことが必要で、これは他の労働者全体にも言える。日本人は会社のためとか、同僚に迷惑を掛けられないといった意識が強かったが、今後は働き方改革には自己の尊厳をまもるという意識改革が伴わなければならない。経団連の経営者の狙いは、生産性向上といいながら、100時間規制という常識外れの長時間労働や高プロ制の導入で、相変わらず長時間労働の罠から抜け出せないでいる。

今回の法案では正社員と非正規の不合理な待遇差を解消する「同一労働同一賃金」が唯一改革と言える。

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