これまでのブログで強調したのは、年金生活者は分配金なり、配当を比較的安全な運用で得なければならないことで、そのためには個別の株を持つよりも投資信託なり、ETF(上場投資信託)で分散投資をすることが基本だ。では数ある投資信託、ETFを選択する基準だが、運用費用の最も安いもの、即ち販売会社へ払う手数料はゼロ(ノーロード)で信託報酬が1%以下の最低のものの中から運用成績の良いものを選ぶ。以前にも触れたが、米国では安いコストのETFに人気があり、信託報酬は0.5%前後のものが多い。ネット証券会社では米国株、米国ETFが買えるので円をドルに変換する手間があるが夜でも買える。日本では今のところETFは証券会社しか買えないが、いずれ銀行や郵便局で買えることになるだろう。
日本株では日経なり、TOPIXにインデックスするETFがふさわしいが、大型株よりはるかに成長してる新興市場小型株となるとやはり、専門家が個別の会社を訪ねて分析をして投資信託を組むアクティブファンドを買わざるを得ない。この点基本からはずれるが、3%台の手数料を払い、1.6%台の信託報酬を払っても得られる利益は大きい。
米国株は世界の中心であることは歴史を見ても変わらない。米国企業は確かに自動車など日本やドイツの後塵を拝しているが、IT産業でのグーグル、アップル、アマゾン、Netflixなどの成長で、その存在感は突出している。又スイス、ドイツ、フランスなど欧州企業のグローバル化による堅実性も評価できる。日本のETFで米国、欧州を組み込んだ多くのETFを買える。日本を除く先進国市場の主要企業を網羅したMSCIコクサイ指数にインデックスしたETFもいくつかある。
途上国の株は日本の新興市場と同じく千差万別でよく判らないが、その成長は素晴らしいものがある。米国のMSCI社が新興国21か国の株式市場の主たる企業からなるインデックスを作っており、それに沿ったETFを買えばリスクが分散される。
資産の安定性を確保するには債券ファンドが重要だが、世界的に低金利なので日本国債をはじめ、社債でも最近のはうまみがない。米国国債が安定性からこれを組み込んだETFが安心だ。かつてアルゼンチン国債がデフォルトとなり、日本でも大きな被害を被った。途上国の債券はなるべく多くの格付けの高いものを組み込んだETFが望ましい。
リートは比較的新しい金融商品で、住宅、ビル賃貸、ショッピングモール、はては温泉ホテルまで各種の賃料をもとに分配するファンドで、少額投資で家主になって家賃としての分配金を貰うという仕組みだ。現在リートの価格はかなり低水準で配当率は4~7%とかなりの水準で、年金生活者としては有り難い。有名企業のリートなら安心感もある。
興味の尽きない投資信託だが、これらをどう組み合わせるか専門家でも意見の分かれるところだ。投資信託ではバランスファンドといって全てをリスクに従って組み合わせたものも数多くあり、面倒くさいならそれを買うのも方法だ。モーニングスター社は金融製品の評価を含めあらゆるデータを無料で提供してくれるのでこれを大いに利用し、判断出来る。