思いつくままに書いています

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『眠らない男-ナポレオン』は『愛あれば命は永遠に』の進化形?

2014年01月31日 | 宝塚

某日、台所で夕食の後片付けを終えて、食器を食洗機にセットしたりしていたら、ヨメさんが見ている居間のテレビからなんとも懐かしい歌声が。で、「ひょっとしたら高汐巴?」と聞いたら「そう」との返事。なにかなとテレビを見に行くと、なんとこれがナポレオンもの。
ナポレオンは当時花組トップの高汐巴が演じていて、ジョセフィーヌは若葉ひろみ。ジョセフィーヌの愛人シャルル大尉には大浦みずきが演じていました。それで私もそのあとも家事をしながら(故あって主夫してます^^;)チラ見していましたが、話のあらすじがかなり今回の星組公演と重なっているので、手すきになったときにスカステのホームページで番組の説明を覗いてみました。

それによるとこれは『愛あれば命は永遠に』という'85年花組の公演で、正式の題名は『愛あれば命は永遠に-ナポレオンとジョセフィーヌ』というものでした。「稀代の英傑ナポレオンと奔放に生きる社交界の名花ジョセフィーヌとの波瀾の恋を描いたロマン大作」だそうです。

まあ見たところ、脚本・演出担当の某理事お得意の説明台詞多用のお芝居。どこかで見たような場面も多いです。そして今となってみれば衣装や舞台装置もなんともほほえましく、時代を感じさせます。
でもあらすじを見ると、今回の小池作品に大きく影響を与えたことがよくわかりますね。

以下Wikipediaからの引用です↓
1795年暮。パリ・オペラ座に政府軍総司令官バラス将軍をはじめとする社交界の名士が顔をそろえていた。そこには若き軍人ナポレオンの姿もあった。ナポレオンは、社交界の花とうたわれるジョゼフィーヌの虜となる。バラスをパトロンとしていたジョゼフィーヌには、年下の無骨な軍人ナポレオンの愛は重荷なだけ。だが、その一途さにやがて心を打たれる。バラスのとりなしもあり、2人は1796年に結婚する。だが結婚直後からナポレオンは遠征に明け暮れ、パリに残ったジョゼフィーヌはシャルル大尉と浮名を流す。ナポレオンは愛と憎しみにさいなまれる……。

ところでご存知の方も多いと思いますが、高汐巴の歌とかセリフ、きわめて個性的でしたね。歌はうまい下手を超越した(笑)独特の味があって、誰でも一度聴いたら忘れられないと思います。
まあ息が少し漏れているというか(殴)、独特の発声で、でもそれがそこはかとなく哀愁とか憂いとかを感じさせて個性になっていました。
とはいえ私は彼女の舞台については『琥珀色の雨に濡れて』しか観ていませんが、これが絶品。今でもこの演目は高汐巴バージョンが一番だと思います。歌唱力でいえばのちの春野寿美礼などのほうがはるかにいいのですが、でもその歌がきれいすぎて、この芝居の主題に合った味には合わなかつたのが難点です。

ただ、高汐巴もナポレオンとなるといささか無理がありました。特に今回の柚希ナポレオンを観た後では、精悍さとか成り上がっていくギラギラした野心とか、戦上手らしさなどがまるで感じられない、やさしそうな高汐ナポレオンでした。(笑)

逆にジョセフィーヌのほうは若葉ひろみがピッタリで、持ち味の姉御風なキャラクタがよく似合っていて、いかにもという感じでした。

この放送を見て、はじめて100周年にあたってナポレオンを取り上げた理由がわかったような気がしました。小池修一郎は今回の公演にあたって、いくつかの題材を用意したと語っていますが、その中からナポレオンが選定されたのは植田理事サンの意向がかなり強く働いていたのでしょうね。そう思って見たら、昨年から今年の公演ラインナップに占める「化石芝居」の量で感じた違和感も納得でした。
まだまだ植田理事サンの天下が続きそうです。

今回の「眠らない男‥」と「愛あれば‥」を比べたら、完成度の違いは明らかです。なんといっても前者には、ナポレオンの時代を俯瞰する脚本家の歴史観が全編に貫かれていて、それを最も体現しているのがタレーランですね。
それと狂言回しのマルモンとがあいまって、ナポレオンにより沿いながらも、彼を客観的に描こうとする意図がよく表れていました。小池先生の手にかかれば同じテーマでもいかに変わるかという見本になっていました。
(ついでに「風‥」とか「ベルばら」も存分に料理してほしいものですが)
もっとも後者については、放送ネタが昔の関西テレビから提供されたものらしく、当時の放送時間の制約からダイジェスト版になっていて、オリジナルそのものではないので正確に出来不出来を語れません。ですが、それでも今回のナポレオンと比べたら密度の低い脚本であることは明らかです。

本当に今回の放送を見る前は、「眠らない男‥」のベース作品があるとは全く知りませんでした。番組ガイドによれば1月に3回も放映されていたとのことで、観劇の前に見ていたらまた違った楽しみ方もできたかもしれません。
せっかくスカステに加入していながら事前に見られなかったのが少々残念でした。

今回のナポレオン以外にも、例えば「スカーレットピンパーネル」と1979年の「紅はこべ」など、同じ題材でも違った形で舞台化されている例がけっこうありますね。
そう思って宝塚100年の公演史を見てみるといろいろ発見があるかもしれませんね。

スカステさん、もう一度よく見たいので、また「愛あれば‥」を放送してくれませんか?








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宝塚星組公演「眠らない男-ナポレオン」を観て その2

2014年01月22日 | 宝塚

約十日ぶりのナポレオンとの再会。
木曜日なのに立ち見の出るびっくりの盛況ぶり。幸先良いスタートでご同慶の至りです。

で、再度観劇した感想ですが、やはり二度観ると、新たに見えてくるものがありますね。記念すべき年の年頭を飾るにふさわしいいい出来栄えでした。宝塚ならではの豪華な舞台装置と衣装は何度見ても圧倒されますが、それよりなにより、オリジナル脚本としてよくできていたと思いました。
それと、この観劇後にスカステのNow on Stageを見ましたが、そこでもトップコンビをはじめ出演者全員の苦心と頑張りがよく伝わってきました。
以下の画像は全てスカステNow on Stageより

前回はかなり醒めた感想だったヨメさんも、今回観劇して評価を大幅にアップしていました。

以下、今回の観劇とスカステの上記番組を見て、それに出演しているメンバーを中心とした感想です。

やはり最初の印象どおり、この芝居に出てくる人物のキャラクターとしては、ジョセフィーヌが一番勝っていますね。
ねねは役作りに際して小池御大から「オカミさんを入れて」と言われたそうで、そのとおりこれまで演じてこなかった、したたかなバイタリティと奔放さを持った強いジョセフィーヌをうまく演じていました。
自分が女王になれるという予言を信じつつ社交界で浮名を流し、そこで有望株のナポレオンに目を付けてまんまと結婚した後も、臆面もなく愛人を連れて歩くなど奔放さは治まりません。一方で姑や小姑などとの葛藤もあり、最後には落魄したナポレオンの配流先についてロシアの将軍に嘆願するなど、人間的なエピソードも豊富です。


それに比べると、主人公のナポレオンはいささか影が薄いです。(笑)というか、ジョセフィーヌ以外はみんな役を際立たせるエピソードが少ないので、それぞれ役作りに苦労しています。

ナポレオンの基本的な性格としては、即断即決・直情径行なのはわかりますが、彼が波乱の人生をどういう思いを持ちながら駆け抜けていったのか、一介の軍人から究極の栄誉を得たのちの敗北と挫折、そこでの葛藤とか苦悩については余り描かれていません。このあたり、叙事詩的・年代記的に描こうとした脚本家の意図からくるものかもしれませんが、もう少しナポレオンの人間像がわかる材料などがあれば、観客ももっと感情移入しやすかっただろうと思いました。
でもそんなナポレオンを、柚希礼音はさらにがんばって演じていました。今の宝塚のトップでは最も安定した力量がある存在だといえると思います。

↓冒頭の空飛ぶ勉強机。結構揺れていて、まるでダンプの運転席(殴)。

精悍な風貌で迫力があります




他の出演者の感想ですが、今回とくに印象的だったのは真風涼帆でした。

役そのものはそれほど目立つものではないのですが、それでも光る演技と歌で印象に残りました。特に声の質が歌にしても台詞にしても耳に気持ちよく響いてきて、思わずオペラで確認したことが何回かありました。

北翔海莉のタレーランも、革命後の無政府状態の中で、王党派を抑えながら同時に民衆の蜂起も押さえ込むために巧みにナポレオンを利用し、果ては退位を迫るという新興ブルジョア階級の時代と利害を象徴する存在として、出色の演技でした。これまで見た彼女の演技のなかでは一番印象に残りました。

ちなみに髪型は演出家の注文だそうです。


フィナーレではなんとエトワールまで


余談ですが、彼女の専科への移籍を聞いたとき、私たちはかなり落胆したものですが、その後の活躍を見ていると「これでいいのかも」と思えてきたりしました。さらに先日、スカステ・ニュースで『THE MERRY WIDOW』の千秋楽での星条海斗の北翔への感謝にあふれた挨拶と、それに対する北翔海莉の飾らない感謝の様子を見てからは、これがベストなのだと思いましたね。そして今回の公演での歌劇団の配慮ぶり。いいポジションに落ち着いたと思います。

真風と対比すると、紅ゆずるは歌が少々物足りなく思いました。今の組でのポジションに見あうように、かなり精進してもらう必要があると思いました。Now on Stageでは歌や役作りについて努力していることがわかりますが、今はまだそれが結実していないように思えました。今後に期待したいですね。




十輝いりすのジョセフは今回の公演では兄弟姉妹の諍い以外はあまりしどころのない役で気の毒でした。なので、民間人のはずなのにあちこち顔を出しています。前半はただそこにいるだけみたいな感じが多いですが。^^;





つぎに音楽について。
二度目の観劇なので、ストーリーを追うのに余念がなかった前回と違って、今回は曲を楽しむ余裕がありました。
で、まずオープニングのコーラスがよかった。すぐ口ずさめるほどではないですが、いい曲でした。
今回一番耳に残ったのは「嵐のように生きた男」です。これはROM化できました。(笑)
その他の曲も、みんな歌いなれてきたのか耳によくなじんできました。ただ、さすがにプレスギュルヴイック!と絶賛するまでには至らなかったですが。

歌といえばウジェーヌ役の礼真琴の歌もよかったですね。新公ではナポレオンをやるとのことで、小柄なので適役かと思いますが、他の役になるとその点がちょっと難しいのが残念ですね。
それに対してアレクサンドルI世の麻央侑希は長身を生かしてなかなか見ごたえのある姿でよかったです。最後しか出てこないのが気の毒ですが。逆に彼女の場合は、ルックスは申し分ないので、もっと歌や芝居で伸びてくれればと思いますが、なかなかうまくいかないですね。

レティツィアの美穂圭子や、テレーズの音花ゆりの歌はさすがの出来。安心して浸れます。前後しますが、夢咲ねねの歌も本人比さらにうまくなっていて、前回みたいに思わず体を固くして緊張しながら聞く(笑)といったことがなかったのは良かったです。セリフの声もよく通って耳になじみました。

さて、二回の観劇を終えて、今回の公演について振り返ってみると、なんといっても今の星組全体の充実した力量を感じました。
レオンとねねを先頭に頑張っています。それに加えて専科のみなさんの文句なしの好演で、重厚なナポレオン年代記になっていました。

ただ、劇化しているタイムスパンが長いので登場人物も増え、さらに楽曲が多いのでその分台詞が減って、結果的には話の掘り下げが足りなくなった感じです。もう少し場面を整理して、とくにナポレオンの人物像を描くことに注力したほうがよかったのではないかと思いました。
革命後の混乱と無政府状態のなかで、王党派の台頭を封じながら「革命の守護神」として登場(まさにボナパったわけですね)しながら、だんだん軸足を「民衆」からブルジョア階級に移していく変節の過程、そしてロシア遠征の敗北後タレーランから退位を迫られていく落魄の末期まで、彼がどう感じて生きてきたのか、その折々の内面の葛藤、そして歴史における彼の役割などについて触れるストーリー展開があればさらによくなったと思います。

ともあれ、今回の観劇で、久しく考えたことのなかったナポレオンとその時代について、あれこれ私なりに考えることができてよかったです。王と皇帝の違いなども面白かったです。

宝塚らしい豪華な作品なので、ぜひ皆さんもご覧になってください。
↓プログラムより


今回も拙い感想をご覧いただいたき、大変ありがとうございました。


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宝塚星組公演 『眠らない男・ナポレオン ―愛と栄光の涯(はて)に― 』を観て その1

2014年01月13日 | 宝塚


今回はいつもと違い、久々の家族4人での観劇。ですが、チケット難のため二手に分かれて、いずれも座席は1階席後方でした。でも豪華な舞台装置の全体が見られたので、これもアリかなとも思ったり。

劇場までの道は順調で、予定時刻前に到着。工事中だった正門は完成していました。スペイン風というか、アーチがアクセントのなかなかの出来です。


13時公演なのでまずは腹ごしらえ。正月で食べ過ぎ気味だったので、↓の親子丼で済ませました。

でもこの丼、コスパ抜群、おいしかったです。

あと、時間つぶしに見て回ったら、劇場内はいろいろ配置換えがあったりで、いつものフイナンシェの売り場も移動していました。

例によってフィナンシェと天下もちをゲット。(笑)

新たに売り場が設置されたジェラートが高価でも納得の美味でした。



というわけで退屈な前フリはこのぐらいにして、観劇の感想です。いつものとおり敬称は略させていただきます。


でいきなり結論ですが、私は良くできていると思いました。小池修一郎の歴史観にも同意できました。
ナポレオンが文字通りボナパって行く過程がよく描かれていました。革命で打倒したはずの王政を民衆が再び熱狂的に支持する歴史のアイロニーがよくわかります。

ただし、同行のうち二人はそういう感想ではなくて、一人は「ええことないわ」、一人(ヨメさんです)は「まあ及第かな」という辛口の評価。でも詳しいことは聞いていません。

それはさておき、私の全体としての印象では、まず一番感じたのが100周年の年頭にふさわしい超デラックスな舞台であること。
舞台装置も衣装も超豪華。相当手間暇かけて作っているのがよくわかります。ただ、あとで書きますが使い方がもったいない。
それとトップ二人をはじめ、星組全員の頑張りと、専科の四人の演技も好印象です。中でも美穂圭子と北翔海莉の歌が光っていました。もちろん一樹千尋と英真なおきも安定した演技で芝居に厚みを与えていました。

芝居としては、華麗なラブロマンス!・大恋愛劇ではなくて(笑)、「ナポレオン年代記」あるいは「ナポレオン伝」、そして演出家自身が言うように叙事詩といった仕上がりになっています。このため史実にも忠実で、不学な私にはこの芝居を観て初めてわかったこととかたくさんあって、なにやら井上ひさし風な味わいも感じたりしました。初歩的なことですが、ジョセフィーヌがバツイチで、先夫との間に二人の子供がいて、ナポレオンより年上だったとか、初めて知りました。
総じてオリジナルの脚本として、ナポレオンの生涯をよく劇化していると思いました。

ただ、年代記として描くためにタイムスパンが長くなって、よく言えばスピード感のある展開ですが、その分ナポレオンとジョセフィーヌの恋愛感情のディテールや、本当に二人がお互いの関係をどう考えていたのかといった部分の描写は弱かったと思いますね。
ナポレオンはもちろんですが、ジョセフィーヌもかなり上昇志向の強い野心家だったようで、ナポレオンに接近したのも単なる恋愛感情にとどまらない打算や手練手管が見えてきたり。簡単に調べてみても、この二人の関係はなかなか複雑ですね。
で結果的に脚本が長くなって、舞台進行に無理が出たのか、場面のカット割に疑問を感じたところも何箇所かあり。

それと最大のガッカリだったのが劇中の楽曲。
今回の公演でのウリの一つが、「ロミジュリ」のジェラール・プレスギュルヴィックが作曲するということですね。私もそれを期待しての観劇でしたが、観終えて帰宅する途中にメロディを口ずさめるような歌、例えば「ヴェローナ」みたいな曲はなかったです。これはかなり痛かったです。やはりミュージカルはまず歌ですから。
歌劇団も大枚はたいたであろうに、当てが外れてガッカリしているだろうと思います。でもまあもう一度観るので、そこで耳に残る歌が見つけられることを期待したいですが。

これらのことについては、公演プログラムで小池修一郎みずから語っていることがすべてですね。
詳しくはプログラムを読んでいただければいいのですが、要するに「50曲になんなんとする楽曲に台詞を嵌め込みつつ稽古も、舞台の制作も進めねばならな」かったこと、「上演時間オーバーでの度重なるカットや、歌詞の変更に」よって生徒たちに多大の負担をかけたと率直に語っているところが印象的です。
結果的には座付作曲家のみなさんを起用するほうが、すべてにわたって良かったのではと思ってしまいますね。

さて、今回は主な配役限定の感想です。もうすぐ2回目の観劇なので続編を書く予定ですが、時期はあまり期待しないでください。(笑)

オープニングはロミジュリとかエリザみたいな感じです。

まずは柚希礼音。頑張っていました。やはり眼にチカラがあり、地方の貧乏貴族から這い上がろうとするギラギラした野心が全身からあふれ出ています。本人が目標としていたロミオとの違いがはっきり体現出来ていて、いつものことですが演技力のダイナミックレンジの広さではピカイチですね。
個人的にはこの人はショーブラン役が一番のアタリ役で強烈なインパクトがありましたが、今回はそれに次ぐ出来だと感じました。
以下画像はすべてスカイステージの初日映像から




ジョセフィーヌに出会って




そしてパリの役所で婚姻届にサイン


ただ、このシーン、思わず↓を思い出してしまいました。こういう演出がお好みのようで(笑)


圧巻だったのが戴冠式。これが今回のクライマックスで衣装も舞台装置も圧倒的な豪華さ。




ところが、この場面が拍子抜けするほど短い!えっ、もう終わり?と誰もが思ったと思います。ローマ法王を呼びつけながら、ナポレオンが自らの手で式を行うところなどでもう少し展開があるかと思ったのですが、なにもなし。ちょっともったいない使い方でした。
そうそう、舞台装置といえば最初のクレーンを使った登場が面白いです。ただ、油圧コントロール?がぎこちなく、アームの動きがカクカク気味だったのはご愛嬌。(笑)

しかし柚希礼音の演技と歌は本当に大したものです。100周年という節目を飾るのにふさわしい存在だと思いました。

次はジョセフィーヌ夢咲ねね
彼女もジュリエットの超ブリブリとは好対照の、海千山千の大人の女になりきっていました。台詞も低い地声が新鮮な印象です。
歌も本人比長足の進歩が見られました。けっこう音域の広い歌を何曲もがんばって歌っていました。
ただ、今回の話はジョセフィーヌのほうがナポレオンより何枚も上手のしたたかさで、なかなか2人の関係を純愛風に描くのは説得力がなく難しいですね。もっと二人の性格などを強調したほうがいいと思いました。


どう見てもジョセフィーヌがたぶらかしているとしか見えない(殴)


夢咲ねねも芸のダイナミックレンジが広いです。ロミジュリや第二章、そして今回のジョセフィーヌ、どれが彼女の地に近いのか私にはわかりませんね。(笑)

マルモン紅ゆずるは晩年を英真なおきにバトンタッチしていて、この芝居の狂言回しでもありますが、この老若の組み合わせはかなり無理筋です。(笑)
老けたらこうなるといわれても、なかなか同意しがたいですね。
マルモンはナポレオンとは士官学校で同期とかで、ずっと一緒に各地を転戦していきますが、最後は袂を分かちます。
青年将校らしいさわやかさが印象的ですが、老いたらあの変わりようとは‥。(まだ言うか)





紅の歌は今回は歌い込みの時間が足りなかったのか、やや消化不良の感がありました。これは回を重ねることで解消されるでしょう。
次回が楽しみです。

歌で私が注目させられたのがミュラの真風涼帆。ますますよくなっていて、目立つ存在でした。

これは↓フィナーレ。


歌といえばなんといってもナポレオンの母レティツィア役の専科・美穂圭子ですね。今回最も印象に残った歌でした。今回は楽曲があまり耳に残らないといいましたが、彼女は別格。すごい感情表現で客席を鷲掴みにしていました。


今回随一のおいしい役回りだったのが北翔海莉。もちろん歌は定評があるところで、今回も美穂圭子と共に目立っていました。それと私が見直したのは演技の方。腹黒い黒幕で、ナポレオンを利用しつくして、最後には退位を迫るという役を抑えた演技(いつもはやり過ぎ感が強いですが)で好演していました。以前のカサブランカでの演技もよかったですが、私的には今回が一番いい演技だと思いました。
なにしろ稽古に途中参加ですから、よく入り込めたものだと思います。これも人柄でしょうか。それにしても歌劇団の配慮もかなりのものですね。




専科ではあとのお二人、バラスフランツI世一樹千尋と老マルモン役の英真なおきも星組公演にはなくてはならない芸達者で、今回も存在感はさすがでした。専科ここにありといった感のある芝居でしたね。
存在感ではメッテルニヒシェイエス美城れんも眼が行きました。

あと、歌で忘れてはいけないのがテレーズ音花ゆりです。この人が歌いだすと場が締まりますね。画像がないのが残念。

ちょっと書ききれないのでその他の出演者の感想は次回観劇の感想にまわしますが、群衆シーンも迫力があってよかったです。

フィナーレは割とあっさり目でした。芝居本編の方で時間がとられて配分できなくなったのでしょうね。






トップのデュエットは黒を基調とした衣装で落ち着いた印象でした。






最後のパレードでは、北翔海莉のエトワールがよかったです。なにせ贔屓なもので(笑)。

以上簡単な感想です。いろいろ書きましたが、リピートの価値は大アリな大作でした。お勧めです。

次回はもう少し前の席になりますので、もっと出演者の表情なども見られると思います。今回の舞台は日々かなり変化し続けているとのことですから、楽しみにしています。

去年同様のつたない感想をここまでお読みいただいき、ありがとうございました。

今年もどうぞよろしくお願いします。


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