思いつくままに書いています

間口は広くても、極めて浅い趣味の世界です。
御用とお急ぎでない方は、ごゆっくりどうぞ。

兵庫県立美術館で「ホドラー展」を観て

2015年02月18日 | 美術館を訪ねて
2月某日、NHKなどでも宣伝している「ホドラー展」を観るため、兵庫県立美術館に出かけました。
平日の木曜日でしたが、高速道路は超空いていて、1時間で到着。
会場は立錐の余地のない超満員!なわけなくて、珍しく少なめな観客。車椅子での鑑賞には願ってもないことですが、チラっと不安も。(笑)
館内で記念撮影↓


今回は鑑賞に集中できるようにヘッドホン・ガイドは借りませんでした。ヨメさんは借りたそうでしたが、あえて気付かないフリ。(笑)
余談ですが、あのヘッドホンはどれも使い勝手が悪いですね。絵の前に立ったら自動的に音声が流れるようにしたらいいのにといつも思います。操作に気を取られて集中出来なくなるのが嫌ですね。

今回の展示会場は7つのセクションに分かれています。最初は「光のほうへ-初期の風景画」。
↓こんな絵が架けられています。

あと《インターラーケンの朝》とかも平凡ですがいい感じでした。

ところで今回も、展覧会に行こうと言い出したのはヨメさんです。
彼女はNHKの「日曜美術館」をいつも見ているので知っていたようですが、私はその時間帯は夕食の後片付けや風呂の準備で忙しくて見られず。なので、ホドラーなる画家の作品は全く知りませんでした。
ただその番組で、スイスを代表する画家とかの紹介がちらっと聞こえたので、2011年に観たあのセガンティーニみたいな画家かな程度に思っていました。

で、最初のセクションではそういう風景画もあったりしましたが、次の「暗鬱な世紀末?-象徴主義者の自覚」では一転して《死した農民》とか《病み上がりの労働者》などの暗い題材へと変化。
別にそういうモチーフでもいいのですが、なんか画風が私にはあわないなと思い始めました。描き方がどうも手抜きな感じ(殴)で気になります。ええ、単なる好みの問題なのですが、その好みが、実は私にとって決定的。(笑)

そういう違和感を抱きながら次のセクションの「リズムの絵画へ― 踊る身体、動く感情」に移動。
なにしろリズムの絵画!そして  踊る身体、動く感情ですからね。期待しながら絵に向かいました。

そして冒頭の展示は《オイリュトミー》↓

男たちがみんなうなだれて歩いています。葬送の列みたいです。(殴)
ちなみにオイリュトミーとは「良きリズム」だそうですが、よくわからなかったですね。鑑賞眼ナシですね。

でも次の《感情 III》はちょっと動きがあるかな。

でも顔をそむけながらなにかから逃げていくようで、あまり良さがわかりません。

そして《夕べの休息》↓

踊る身体とか動く感情とは対極の絵だと思って観ていました。

唯一テーマの意味が伝わってきたのが《恍惚とした女》↓

宣伝でも使われていますが、これだけは踊っていますね。モデルは画家の愛人でモデルを務めたヴァランティーヌ・ゴデ=ダレルでしょうね。

次は「変幻するアルプス ― 風景の抽象化」というコーナー。
ミューレンからみたユングフラウ》です。↓

荒々しいタッチで、インパクトがあります。画家はユングフラウやシュトックホルン山群、レマン湖といったアルプスの風景を繰り返し描いていますが、みんないわゆる風景画とは異なって変わった絵が多いです。どれもユニークですが、も一つピンとこないです。

で、そんな乗れない気分のまま「リズムの空間化 ― 壁画装飾プロジェクト」で《木を伐る人》とかを観てから、「無限へのまなざし ― 終わらないリズムの夢」と回って、最後は「終わりのとき ― 晩年の作品群」。
ここでヴァランティーヌ・ゴデ=ダレルの癌発症後の肖像の習作や、死後の痩せ衰えた姿の絵を観せられてとどめを刺されました。(笑)
自分の子までもうけさせながら、冷徹な観察眼で突き放したように描く一連の絵にはちょっとついていけない感じでした。
画家とはそんなものだよと言われるかもしれませんが、私はダメですね。
観ながらちょっと小野小町の九相図を連想したり。まあそこまでグロではありませんが。

ホドラーは装飾画家からスタートしたとのことで、それが終生画風にあらわれていますが、彼のいう「パラレリズム」の原理とか、よくわかりませんでした。絵は理屈で描くものではないと思いますが、浅学菲才の私が分らないだけかもしれません。

観終わってから、阪神・淡路大震災から20年の節目となる日を含むこの期間中開催されている↓の展覧会を観ました。

震災をテーマに、コレクションを軸に借用作品も交えて展示されていて、
第1部 自然、その脅威と美[常設展示室6]
第2部 今、振りかえる-1.17から[常設展示室1・2・3]
第3部 10年、20年、そしてそれから-米田知子[常設展示室4]
という三部構成になっていました。

とくに第1部では、震災発生当時無防備に展示されていたコレクションがどのような被害にあったのか、その修復と展示方法の改善手法などがよくわかって興味深かったです。

常設展示も口直しに最適で(殴)、ホッコリした気分になっていつものカフェへ。

私はコレ↓

まあ値段相応で納得。

でもヨメさんのコレはちょっと落ちている感じ↓


まあ今回のホドラー展、混雑も他の展覧会ほどではなく観やすかったですが、知人には勧めなかったです。でも個人的な感想で、あくまで好みの話なので、今後展覧会に行かれる予定の方はぜひお出かけください。
ヨメさんは「変わっていて面白かった」と言っていました。(笑)


さて、いよいよ星組のサヨナラ公演観劇です。どうなりますやら。













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雪組公演『ルパン三世-王妃の首飾りを追え!-』と『ファンシー・ガイ!』を観て

2015年02月03日 | 宝塚
宝塚大劇場で、雪組公演ミュージカル『ルパン三世 ―王妃の首飾りを追え!―』とショー『ファンシー・ガイ!』を観てきました。
といってももう先月の話で、大劇場は終わっていますが(笑)、ついアップが遅れていました。^^;

平日なので阪神高速の渋滞が心配でしたが、出発前に報じられていた事故渋滞も通過時には解消していて、順調に大劇場に着きました。前回宙組観劇時と同様、今回も高校生?らしい団体の観劇があり、そのせいか立ち見の盛況ぶり。


という前置きはこのぐらいにして、いつもの薄味・塩分控えめの感想です。少々ネタバレアリです。

例によって敬称は略です。
今回はネット予約で何とか確保した8列目・上手側端での観劇。やはり前は快適ですね。でも下手側を観るにはオペラも必須。

開演前に客席がにわかにざわめいたので、見れば龍真咲と轟悠両人のご観劇でした。

で唐突ですが、いきなり結論です。

面白かった! 

芝居は新トップコンビのお披露目公演+101年目の正月公演にふさわしい内容で(ハッピーエンドがなにより!)、ショーのほうも奇をてらわず正統派の構成で観応えがありました。トップも仲が良さそうで一安心。(殴)

幕が上がってしばらくは、観ていてなんだかドタバタ続きで、これは安手のギャグ連発のスラプスティック・コメディかとちょっと引きそうになりましたが、18世紀にタイムスリップ後は俄然面白くなってきて、一睡もせずに(殴)最後まで舞台に見入ってしまいました。この芝居は、お気楽モードで観ないとダメですな。演じるほうはかなりアニメを意識してやっているので、そう思ってみないと入りこめないということがわかって、早急にモードを切り替えました。(笑)

荒唐無稽な話ですが、それを細かい伏線をちりばめて無理なく展開、なにより今の雪組メンバーに宛書したような配役の妙で、最後はうまくハッピーエンドが用意されていて、コメディ巧者な小柳奈穂子脚本・演出ならではのさすがの出来でした!
現代のヴェルサイユ宮殿から一気に18世紀にタイムスリップして、タカラヅカお得意のロココ調の時代へと土俵を移すあたり、演出家の話づくりのうまさが冴えていました。
過去を変えてしまって、劇中でもチラッと話が出てきたタイムパラドックスの危惧はどうなったの?と言いたくなりますが、それは野暮というもの。肩の力を抜いて楽しんで観ることがこの公演では必須です。

出演者では、まずルパンの早霧せいながよかった。心配していた歌も十分許容範囲内。身を固くして歌の終わるのを待つ(殴)などということにはならず、普通に聞けました。それよりもこの公演がトップ就任初とは思えない軽妙で自由な演技で、タカラヅカ版ルパンとしてまったく違和感なく、頑張っていました。
画像は当日購入したプログラムの画像から部分スキャンしたものと、スカステのナウオンステージの動画をキャプチャしたものです。なので後者はピンボケ満載です。




それと、脚本が下級生にまで台詞を与えていること、組子の個性をよく引き出す配役が効果的で、以前の地味な印象だった雪組を見直しました。
壮一帆から組の雰囲気が明るくなったと思っていましたが、今回の観劇でいっそうその感を強くしました。

ショーのほうも変化に富んだ展開で飽きさせず。私たちの世代にはなじみの名曲のメドレーといううれしい構成で、いい作品に仕上がっていました。前回の雪組『My Dream TAKARAZUKA』以来久しぶりに楽しめたショーでした。

ただ、ショーは場面が次々に流れていくので、私には作者の意図などたった一度の観劇で把握するのはとうてい無理です。(笑)
どうしてもそのあたりの予備知識が欲しいという方は、ぜひスカステのナウオンステージを事前にチェックしておくことをお勧めします。私たちは観劇後にそれを見たので、「ああそういうことだったのか」と事後納得。(笑)
でも当然ながら、見ていなくても十分楽しめます。客席降りもあって大サービスです。

以下、芝居のほうから、出演者別の感想です。

早霧せいなのルパン三世。


この人は私はこれまでほとんど注目することはなかったです。最近観た舞台奥村助右衛門役でしたが、なにかというと寂しく笛ばかり吹いていて(笑)、最後は裏切るという陰気な役(殴)であまりインパクトがなくいい印象なし。その前のダンスの教師役もちょっと感情移入できない役だったので、正直言うとトップ就任は大丈夫かなと思っていました。

でも、今回は余計な心配が軽く吹き飛ぶ楽しいルパンで、ちょっと前田慶次のときは聞き取りにくかったセリフもスッキリ明瞭。舞台狭しと駆け回る姿が新鮮でしたね。コメディセンスが光っています。見直しました。

漫画やアニメそっくりなほど足細いです。↓ 衣装もセオリーどおり、赤いジャケットに黄色いネクタイ。









余裕のアドリブで、随所で笑いをとっていました。これでもう少し歌が強くなればいうことなし。今のままでも充分私の許容範囲内ですが。

続いてマリー・アントワネットの咲妃みゆ


この人の舞台は、スカステで報じられていた『THE MERRY WIDOW』の千秋楽の様子を見て、初観劇を期待していましたが、それに違わず、いい娘トップでした。
インタビューやナウオンなどでは、か細い声で今時ありえないほどブリっ子な感じ(笑)ですが、話の内容自体は極めてしっかりしていて、よく考えながら演技していることが伝わってきます。
相当な年の差カップルですが(殴)、よく息があっていました。


そして一たび舞台に上がれば、童顔に似合わず、歌も演技も台詞も実力充分というギャップが面白いです。





ただ、ショーもそうですが、もっと歌を聞きたかったですね。

そして銭形警部の夢乃聖夏


若いと思っていたのにもう退団とは‥。
改めて歳月の移り変わりの速さに驚きます。もっと活躍する姿が見たかったのに、本当に惜しいです。

最初に彼女を見たのは、スカイ・フェアリーズに選ばれてスカステに登場した時です。(そういえば早霧せいなも沙央くらまも同時期に選ばれていましたね。)
正直言ってその時はファニーフェイスだな程度の印象でしたが、いつのまにか安定した中堅どころになっていて、とくに眼の力のある演技で、最近では往年の鳳蘭を髣髴とさせるパワフルな舞台姿で私たちも注目していました。
なのにもう退団。惜しいです。今は退団後の活躍を期待したいですね。

で、今回は銭形警部ですが、もう弾けまくっていました。出てくるだけで笑いを呼ぶ演技。パワフルでキレのあるエネルギッシュな身のこなしで注目の的でした。






おまけですが、ナウオンステージの最後では、恒例となった花束贈呈がありましたが、周囲の表情が温かいです。






次は新メンバーになった望海風斗のカリオストロ伯爵。

彼女のルッキーニが歴代の同役でも出色の出来だったので、これまた期待しての観劇でした。そして予想通りの堂々とした詐欺師・ペテン師ぶりで(これ、褒めています^^;)、安定感と迫力がありました。歌も演技もすでに老成した感すらあって、いうことなしです。

カリオストロ伯爵は実在した人物だそうで、もちろん原作の漫画でも登場しますが、漫画では精巧なニセ札づくりとして登場しています。まあ錬金術師も現代ではニセ札づくりということか。






続いては峰不二子役の大湖せしる

彼女も他の生徒同様に事前にアニメなどで研究したといっていましたが、ナイスなバディを生かしてまあなんとも色っぽい不二子です。ただ、ちょっとクネクネし過ぎな演出で、まるでプログラムの壊れたアンドロイドみたいで(笑)ちょっと過剰な気が‥。








男役経験を生かして立ち回りもド迫力。ルパンより強そうだったりして(笑)


でも最近の彼女を見ていると、どの公演でもいい役続きで、転向が奏功して本当によかったですね。
そういえば他の組でも、男→女の転向組はみんな成功しているような気がします。逆パターンはありませんが、あっても面白いかも。(笑)


ルパン一味では石川五エ門役の彩凪翔と次元大介役の彩風咲奈も面白く演じていました。どうでもいいですがこの二人、彩凪彩風で字面のよく似た芸名ですね。

石川五エ門役の彩凪翔です。









私は他の芝居でも、刀を鞘に戻す場面に出くわすと、ちゃんと入るかなとつい見入ってしまいますが、今回ももちろん注目。(笑)
で結果は、早いとは言えませんが、うまく納めていましたね。ナウオンでは、本人も毎回気にしているとのことでした。

次元大介役の彩風咲奈です。素顔では女顔&童顔なのに、舞台では男っぽい次元大介になっていました。タカラヅカ化粧は怖いです。(笑)







ショーでのイリュージョンもびっくりでした。

歌で目立っていたのがマリー・ルゲイ(一座の主演女優)の舞咲りん。怪演ぶりもうまく、面白さでは一番のツボでした。
こういう場面を入れるところがコメディ巧者な小柳奈穂子の本領発揮です。


あと芝居では画像がなくて残念ですが、ジャンヌ・ド・ラ・モット伯爵夫人の透水さらさもいい感じでした。歌では舞咲りんとともにショーでも大活躍でよかったです。


ルパンを漫画を読んだのははるかな昔で、アニメはほとんど見ていませんが、そんな私でも面白かったので、舞台作品としての完成度は大したものです。いつものことですが、原作を読まないとわからないような作品ではいけませんね。
破天荒ですがその展開には無理がなく、配役も多彩で、下級生までセリフが配分されているのは民主的です。(笑)

続いてショーのほうです。
でも、細かいストーリー設定とかは覚えていません(殴)。というか、わからなかった。(笑)
なにせ次々に変わっていく場面を眺めて、歌とダンスに浸るだけですから。
でも、プロローグの機関車のようなフリの場面の衣装の色だけはちょっと抵抗があったものの、全体として好みにあった佳作になっていました。

使われている曲の選択も名曲ばかりでいいし、しっとりとしながらも爽快感があって、新トップのお披露目と101周年の幕開きにふさわしい作品でした。

以下、ショーの様子です






いいメンバーなのでもう一度↓^^;


プレスリーが繁殖していました




ピンクスポットを浴びて登場








トップのデュエット場面もピッタリ息が合って麗しく、














最後のパレードは夢乃聖夏のエトワールで


いつもの締めくくりとなります





以上で感想は終わりです。ここまで忍耐強くご覧いただき、ありがとうございました。

感想のアップをさぼっていたらもう大劇場は星組公演。
こちらはファイナル公演ですね。有終の美となることを期待したいですが。

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