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フランス版「ロミオとジュリエット」 感激!の観劇メモです

2012年10月28日 | 観劇メモ
大阪公演は10月26日から11月4日までで、私たちが見たのは10月27日の12時半からの公演でした。
地下1階の珈琲館でサンドイッチのセットで昼食にしてからメインホールに向かいました。


劇場には観客用のエレベーターがないので、事前に連絡した係りの人に案内されて楽屋のエレベーターで劇場に入ります。途中楽屋のほうからフランス語が聞こえてきたりして、期待も高まりました。(笑)
席は17列のセンターブロックでしたが、結構私たちよりもいい席が空いていたのがびっくりでした。
ヨメさんは頑張って席まで杖でたどりつきました。

幕が上がって、タカラヅカ版でもおなじみの「ここはヴェローナ~」という曲とともにキャピュレット家とモンタギュー家の長年の憎しみの歴史を紹介する場面になると、その迫力ある歌唱力に圧倒されました。
スキンヘッドの大公がリードしながら、全員がダイナミックな群舞とともに歌うパワフルな舞台に、タカラヅカ版とは全く別の「ロミジュリ」であることがはっきり印象付けられます。


舞台の展開は全体に象徴的というか抽象化されているというか、細かいセリフや描写は省かれて、圧倒的な歌の力とダンスでぐいぐい引っ張っていく感じでした。
毒薬の説明もたった一言で、それぞれの人間関係などもあっさりしていて、小池バージョンの丁寧なせりふや描写は大幅に省略されています。話を知らない人はタカラヅカ版のほうがわかりやすいかもしれません。とにかくフランス版は、ダイナミックに、メリハリを効かせた場面展開で、両家の憎しみと抗争の不毛さをストレートに訴えかけてくる感じです。キムシンの「王家‥」に通じる強いメッセージ性が現代にマッチしていると思います。

その歌ですが、みんな実にレベルが高いです。もうただただ感嘆するのみ。

大公もロミオも、ジュリエットもベンヴォーリオも、ティボルトもキャピュレット卿もキャピュレット夫人も、モンタギュー夫人も乳母もロレンス神父もみんなうまい!(笑) 大したものです。歌だけでも十分元が取れます。(笑) 生ではありませんが、演奏も大迫力。
それと作者のジェラール・プレスギュルヴィックが作詞作曲しているので、当然ながらどの曲も歌詞とメロディがぴったりあっていて、意味が分からなくても(舞台左右に字幕が出ますが)心地よく耳に入ってきます。

あとはダイナミックなダンスですね。切れがよくパワフルで、アクロバティックな振り付けを楽々とこなして迫力があります。

ただ今回の公演でのロミオ役はシリル・ニコライですが、彼はやはりこれまで演じてきたベンヴォーリオ役のほうがいいと思いますね。少し顔が長く、なんだか弱弱しい感じです。(笑)まあそれがいいのかもしれませんが。個人的な感想ですが、風貌からしたらベンヴォーリオ役のステファヌ・ネヴィルのほうが適役だと思いました。


繰り返しますが、歌は全員本当にほれぼれします。特に印象的だったのは最初の群衆場面での大公役のステファヌ・メトロと、ティボルト役のトム・ロス、キャピュレット卿のセバスティエン・エル・シャト。特にセバスティエンの娘を思って歌う場面は聞かせどころですね。心情が切々と伝わってきます。でもそのほかの俳優も個性が際立っていて、聞き惚れます。

上記以外のタカラヅカ版との違いは、話の流れをリードするのが「死」だけで「愛」は出てこないところ。その「死」は、タカラヅカ版の男役ではなく襤褸の白衣をまとった女性になっています。

舞台装置は3種類の塔と、背景にローマ時代の水道橋か回廊のような建物が斜めに配置されて、効果的に奥行きを出しています。
バルコニーでのあいびきなど主人公二人の関係の描写は淡泊で、この点でもタカラヅカ版とは異なっています。


上演時間は途中の10分の休憩を入れて、約3時間半。
事前に劇場に聞いたところでは終了予定は3時20分ということでしたが、カーテンコールがもう予想外の大サービス。
出演者全員での「祈り」(On prie)から「二十歳とは」(Avoir 20 ans)、「世界の王」(Les rois du monde)、「ヴェローナ」(Verone)と合唱が続き、最後には大公役の日本語での呼びかけに応えて、観客全員がスタンディングして手拍子するなど、大いに盛り上がりました。コンサートに行ったような気分で大満足でした。私たちも「ヴェローナ」を口ずさみながら駐車場に向かいました。(笑)

今回時間がなく見られませんでしたが、公演終了後に出演者がホールでお見送りしてくれるなど、サービス満点です。このお見送りは全公演実施する予定だそうです。


最初に書きましたが、素晴らしい公演なのにチケットの売れ行きが思わしくないようで、空席が目立ちました。
そのためリピート客には大幅値引きのサービスもしています。ネットで見ても良席がかなり残っています。
せっかくの来日公演なのにもったいないと思います。私たちも「四谷怪談」など見なければすぐリピートしたところですが(笑)、今ちょっとリピートするかどうか日程など検討中です。

まだ見られていない方は、ぜひご覧になってください。いい席が残っています!そして絶対満足されると思います。
タカラヅカ版との違いもよくわかって、楽しみもさらに増えると思います。ぜひぜひ!







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