思いつくままに書いています

間口は広くても、極めて浅い趣味の世界です。
御用とお急ぎでない方は、ごゆっくりどうぞ。

シアタードラマシティで「レティスとラベッジ」を観て  傑作コメディに拍手!

2016年11月19日 | 観劇メモ
まだ「幽霊」のショックが残ったまま(笑)、10月23日にドラマシティで「レティスとラベッジ」を観てきま
した。

ちなみに10月は怒涛の観劇月間で、10月27日は宝塚大劇場で「ケイレブハント」、2日後にはまた兵庫芸文センターで「雪まろげ」、そして11月5日も同センターで「マーダーバラッド」観劇で、本当に疲れました。
家計への負荷も高いです。^^;

それはさておき、前回と打って変わって「レティスとラベッジ」は満員の盛況でした。
おまけに大千穐楽とあって、アドリブの応酬も楽しめ、大いに盛り上がりました。
でも、これは観終えての話で、もともと私にとって全く気の進まない観劇でした。

ヨメさんは麻実れいさん目当てで早くから観る気満々。いつもなら私も、彼女の舞台はアリですが、なにせ今回は黒柳徹子さんが主演と聞いたので、気持ちが萎えていました。
というのは、3年前の「<ahref="http: blog.goo.ne.jp="" air_cool2510="" e="" b171394123d67128a685bf35b539ff4f"="">兵庫県立美術館 奇跡のクラークコレクション

やはりこれまで何度も上演されているだけに、面白さ満載で、よくできた脚本でした。それに加えて、大千穐楽で黒柳徹子もリラックスしたのか、団時朗に太鼓をたたいて歩かせる特訓場面でアドリブ炸裂。(笑) 

団時朗に「タン、タタタ、タン」と太鼓をたたかせる仕草をしながら歩く練習を何度もやらせてから、「あなた、京都出身でしょ、京都弁しゃべりなさいよ」とか、自分も関西弁で漫才よろしく突っ込みを入れたりで、さすがの団時朗もいじられっぱなしでタジタジ。

団時朗が長身をかがめながら黒柳徹子のアドリブに応える姿と、黒柳徹子のコメディエンヌぶり全開で客席はもう大爆笑。
そして、そんな二人のやり取りを、舞台後方に腰かけて、ほほ笑みながらやさしく見守る麻実れいの姿も、普段の舞台では見られない光景でした。

そして最後のカーテンコールとなって、客席は全員総立ちの拍手。私ももう滑舌はきれいさっぱり忘れて、それに加わっていました。

本当に黒柳徹子の演劇センスは大したものでした。初演と前回の舞台が観たかったです。

私が彼女の名前を初めて知ったのは、NHKのラジオ番組「一丁目一番地」の「さえこ」さんから。
毎回さわやかなセリフを聞いて、子供心に淡い憧れのような感情を抱き続けていたのですが、後年テレビで初めてお顔を拝見して、そんな思いは一瞬で消え去りました。(笑)

でも今回の初めての観劇で、私が知らなかった、役者としての豊かな才能を目の当たりに出来て、本当によかった
です。

というわけで、次は「ケイレブハント」。まだまだ忙しいです。
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兵庫芸文センターで「幽霊」を観て感じたことなど

2016年11月15日 | 観劇メモ
10月某日、兵庫芸文センター・中ホールで、幽霊を見てきました。
いえ、中ホールに幽霊が住み着いていて、それを見てきたとか、そこが心霊スポットだとかという
類の話ではありません。(殴)
シーエイティプロデュース企画・製作、
朝海ひかる主演の「幽霊」です。

演出:鵜山仁

出演:朝海ひかる 安西慎太郎 吉原光夫 横田美紀 小山力也


以下、超短い感想(というか感想モドキ)です。いつものとおり敬称略です。

原作がイプセンということで、これは睡魔との闘いかも、と覚悟していきましたが、やはり定評ど
おり(でも
海の夫人』は良かったですが)、観劇しながら重い瞼を持ち上げ続けるのに必死でし
た。(殴)

しかし、問題はそれではなかった。^^;

今回も席は最前列だったので、幸せな観劇タイムのはずが、そうではなかったのです。

まあとにかく、入りが悪かった。

これまで数えきれないほど通ったこの劇場で、ほぼ半分が空席というのは空前絶後、初めての体験でした。

大体開場前のロビーがすでに虚ろで、開場時間となっても客が少ない。

客席に行っても、観客はまばら。

開演時間が迫って、ヨメさんが「ちょっと後ろの座席を見てくれない」というので振り返ると、一階
席上半分がほぼ空席という恐怖の現実。もちろん2階は‥。^^;

舞台の出し物が怖いというより、空席が怖い。(殴) 
見なければよかったです。とくに客席後半下手側はゴッソリ空席で、そこに三脚を付けたカメラが入っ
ていて、ずっと撮影していました。

でも舞台が始まって、朝海ひかるが登場したときは、さすがに舞台映えするなーと感心したりして、
しばし舞台に見入っていました。

朝海ひかるの
ヘレーネ夫人は晩年のエリザベートを思わせる衣装に身を包み、
存在感のある演技でよかったです。



国語元年」では控えめな役でしたが、今回は堂々の主役で、さすがに大劇場を背負っていただけに
見栄えがするなあとか感心しながら観ていたのですが、それも束の間(殴)、やがて、意味がありそう
で頭に入らない台詞の応酬と、起伏の少ない展開で、また空席のことが頭に浮かんできました。(笑)

私たちは後ろを振り返らない限り見なくて済みますが、舞台からは丸見えのはず。「こんな状態で、
よくめげずに芝居できるな」(殴)とか、あらぬことを考えてしまいました。なので、けっこうこちら
も辛い観劇となってしまいました。

でも2幕から3幕に進むにつれ、話の芯が見えてきてようやく面白くなってきました。

最後は満足して、カーテンコールではこちらも懸命に拍手して、逆境の出演者をねぎらったのですが(笑)、
やはり朝海ひかるは2回とも硬い表情のままで応えていました。無理もないですが。

ということで、まことに居心地の悪い観劇でした。こんなこともあるものですね。

ちなみに「海の夫人」も今回の「幽霊」も、主演が宝塚雪組トップというのが面白いです。

ともあれ、朝海ひかるの今後に期待したいです。


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兵庫芸文センター阪急中ホール『DISGRACED/ディスグレイスト−恥辱』の観劇メモ  感動の舞台でした。

2016年11月11日 | 観劇メモ
10月1日に兵庫芸文センターで『DISGRACED/ディスグレイスト−恥辱』を観てきました。
最近はとくに兵庫芸文センターには良く通っていて、9月は「頭痛肩こり樋口一葉」、このあと10月13日に
朝海ひかるの「幽霊」を観て、10月29日は「雪まろげ」、11月5日は「マーダーバラッド」と我ながら感心
するぐらいの精勤ぶり。

で、感想ですが、非常にいい舞台でした。見ごたえたっぷりで、超満足でした。

現在アメリカのみならず、全世界で進行している、宗教・人種・政治が絡んだ深刻な社会対立という重い
テーマを、リアルな会話で見事に演劇化していました。
初めは退屈な話かなと危惧しながら観ていましたが、途中からグイグイと引き込まれて行って、終わってみ
れば感動のスタンディングオベーション。

原作は2013年のピュリツァー賞(戯曲部門)を受賞した、パキスタン出身の脚本家アヤド・アフタル。

それをおなじみ栗山民也さんが演出し、演じるのはベテラン小日向文世・秋山菜津子をはじめ安田顕・小島
聖・平埜生成の5人の役者さんです。
ということで、中身も知らないまま、この顔ぶれだけで先行販売で早々にチケットをゲットしていました。

以下ネタバレありです。いつもの通り敬称略。

ニューヨークの高級アパートに暮らすパキスタン系アメリカ人弁護士アミール(小日向文世)と、その妻で
白人の画家エミリー(秋山菜津子)、アミールの同僚の黒人弁護士ジョリー(小島聖)、エミリーの知人で
ユダヤ人の美術館キュレーター・アイザック(安田顕)がホームパーティで繰り広げる会話劇がメインです。

それにアミールの甥エイブ(平埜生成)が絡んで展開します。
舞台に据えられたセットは高級アパートメントの一室で、セレブな主人公の暮らしぶりがよくわかるリアル
なものでした。

主人公アミールは、企業専門の弁護士事務所に所属する優秀な弁護士。
パキスタン移民としてのハンディを負いながらも、優秀な仕事ぶりで頭角を現したいわば勝ち組。

ある日、甥のエイブが訪ねてきて、逮捕されたイスラム教の指導者の審問に出て助けてほしいとアミールに
頼みます。
最初は拒否したアミールですが、妻のエミリーも助けるべきと口添えしたこともあって、結局、アミールは
審問に立ち合うことに。
しかしそこから彼の人生の歯車が大きく狂い始める‥というストーリーが、前記の4人によるホーム・パーティ
の場面を軸に進行していきます。
はじめはパーティの準備などの夫婦の会話から始まるので、舞台もまったりした雰囲気でしたが、やがてパー
ティとなって会話が進むにつれ、スリリングな展開となっていきます。

まあとにかく、台本がいい。

2013年ピュリッツァー賞受賞・2015年トニー賞ノミネート・ニューヨーク、ロンドン上演の話題作、というのも
納得の脚本でした。

アメリカをはじめ現代世界に蔓延する宗教的・民族的社会排外主義の病巣が、リアルにまた自然なストーリー展開で
私たちの前に示されます。
でもこういう話は、脚本家の体験がベースになっているので書けるのだろうと思います。まず絶対に日本人には書けない
リアリティのある舞台でした。

ちなみに“disgraced”は、辱める、地位や名誉などを失わせる”という意味です。

ということで役者さんごとの感想です。

まずアミール役の小日向文世


先に書いたようにアミールはパキスタン出身の優秀な弁護士です。

故郷と宗教をすてて、財産と地位を得るために渡米し、血の滲むような努力の末やっと手に入れた敏腕弁護士の地位
と生活。そんな得意満面の成功者が、捨てたはずの宗教が絡むトラブルから破滅していく役を、見事に演じ切ってい
ました。

この人の舞台を見るのは今回が初めてですが、「真田丸」での秀吉の怪演(笑)に驚かされた後なので、今回の観劇を
期待していました。
そしてやはり期待通りで、才色兼備の白人の妻と高級アパートに住む、セレブなパキスタン出身という弁護士ぶりが
まずリアル。でも、その彼が、最後は何もかも失って尾羽打ち枯らして部屋を出ていくという姿が印象的でした。
セリフも膨大なのに、それを苦も無く(本当は大変でしょうが)見事にこなしていて、大した役者さんでした。

画家エミリー役秋山菜津子も、いまさら言うまでもないですが、予想通りの演技。
良かったです。


しかしこの人の演技の幅は本当にすごいですね。

私が見ただけでも、『キネマの天地』・『藪原検校』・『鉈切り丸』・『きらめく星座』・『8月の家族たち』と役柄
が実に多種多様多彩。
もちろん今回の『DISGRACED』も、この人のエミリー以外考えられないと思うほどのはまり役。小日向アミールと
がっぷり組んでのセリフの応酬が見ものでした。

エミリーの知人で、ユダヤ人の美術館キュレーター・アイザック役の安田顕は初めて観た役者さ
んです。


でも小日向アミール・秋山エミリー夫婦の会話バトルに臆せず割り込んで(笑)、いい演技を見せてくれました。台詞も
明瞭、後半エミリーとの微妙な関係もわかりますが、そのあたりもうまく演じていました。

黒人弁護士・ジョリー役の小島聖も今回初めて観た人ですが、長身で黒塗りメークで目立ってい
ました。舞台に出てきたときは初めて観る顔なのでビックリ。

でも、アミールが審問に出てから弁護士事務所での立場が危うくなり、その座をジョリーが奪うという展開でしたが、
そんな訳アリな役どころをうまく演じていました。

初めて観るといえば、アミールの甥のエイブを演じたの平埜生成も同じでした。


イスラム教への純粋な信仰心から、指導者の救済のために奔走する姿をよく演じていました。でも今回はそれほど出番
が多くなかったので、演技についてはまだわからないところもありますが、来年のこまつ座第116回公演
『私はだれでしょう』にも出演決定とのことですから、関西で上演されたらぜひ観たいですね。

というわけで、事前によく調べないまま出かけたのですが、完成度の高い台本と、それを生かす巧みな演出、そして俳優
陣の熱演で思わぬ収穫となった舞台でした。

もし再演されたら、こんな感想など忘れて(殴)、ぜひご覧ください。おすすめです。



さて次は朝海ひかるさんの「幽霊」の感想ですが、別の意味でかなり怖い(殴)観劇でした。

10月から11月はそのほかにも空前の観劇ラッシュだったので、早くアップしないと賞味期限切れ続出となりそうです。(殴)
頑張らないと。^^;




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