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宝塚花組公演「邪馬台国の風」&レビュー・ファンタシーク「Sante‼」 観てきました

2017年06月23日 | 宝塚
花組新トップコンビの大劇場披露目公演「邪馬台国の風」(中村暁作・演出)とレビュー・ファンタシーク「Sante‼」~最高級のワインをあなたに~(藤井大介作・演出)を観てきました。
当日は道路の渋滞もなく、一時間余りで劇場駐車場へ。売店でいつものタカラヅカ・フィナンシェを買ったり、郵便局で切手を買ったりした後、開場となり、客席へ。11列の上手端の席でした。修学旅行生も観劇していて、立ち見とまでは行かなくても、ほぼ満員の盛況でした。

という前置きはこのくらいで、例によって薄い感想です。でもネタバレあり&芝居のほうは絶賛モードには程遠いので、未見の方はここで華麗にスルー!が吉です。いつもの通り敬称略。
 画像はプログラムとNow on Stageの画面撮影です。

「邪馬台国~」は、邪馬台国と狗奴(クナ)国との抗争を軸に、明日海りおのタケヒコと、仙名彩世演じる巫女マナ/女王・卑弥呼との出会いと別れの物語です。まあ史実そのものがわかっていないので、かなり自由に創作されたお話でした。


幕が上がって白装束の邪馬台国の兵士たちが登場、そこに黒い衣装の狗奴国の兵士が乱入、激しい戦闘場面が展開するというところから物語は始まりました。

そのあと狗奴の兵士に追われて、森に逃げ込んだタケヒコ少年(華優希)が、渡来人の老人李淵(高翔みず希)と出会い、生活の知恵を習得し、棒術もマスター。でしばらくして突然タケヒコは成人した姿に変身。まあ「ベルばら」でおなじみの演出で、「あっという間だったな」という李淵の台詞が笑わせてくれました。
でもヨメさんは「やっぱり少年役は要らんと思うけど。」(笑) 

それと李淵が武術の達人のはずがあっさり殺されてしまうのもちょっと残念でした。それと李淵の「自身の宿命は変えることができないが、自分の生きる道は自分で切り開いていける」という言葉も、はじめはなるほどと思ったのですが、よく考えると意味が???。(笑)

それはさておき、話はタケヒコとマナの運命的な恋(といってもあまり絡まない^^;)と別れ、タケヒコに信頼を寄せる邪馬台国の兵士たちとのエピソードなど、破綻なく話は進んでいきますが、なんとなく「ベルばら」と「王家~」をミックスしたみたいな香りが各所に漂っていてややデジャヴ感も。

一番残念だったのは、役も多く、盛り沢山な話なのに、それが最後に大クライマックス!!な場面に収斂していかず、終わってみればやや平板で、あまり気分が高揚しないまま終わってしまったことです。

私は狗奴国の大軍勢が、最短距離の峡谷を通過して邪馬台国に攻め込もうとしたものの、まんまと邪馬台国軍の術中にはまり、カスター将軍と第七騎兵隊みたいな敗北を喫する大スペクタクル殲滅戦(まあ映画ではないのでそこまでは無理かな^^;)を期待していたのですが、見事にスルーされていました。(笑)

狗奴国の首脳部は、何度も峡谷を通るかどうかで議論が分かれていたので、映像表現でもいいから、決戦シーンが欲しかったですね。
そして最後も「え、これで終わり?」みたいな地味な場面で幕となったのもビックリ。

明日海りおのタケヒコは、この人の持ち味のさわやかさと凛々しさ溢れる青年で、安定した歌唱力と演技で好演していました。






カリスタ~」の主人公にも通じる、辛い過去にも挫けず、強い信念を秘めつつひたむきに生きる青年という役どころがぴったりでした。棒術もマスターしていて見ごたえがありました。
しかしこの人、ナウオンでの対談を見ていると本当に民主的な(笑)トップさんです。
よくある、自説を延々と開陳して止まらない、といったトップ(誰とは言いませんが(笑))とは真逆で、組のメンバーに対してもあくまでも控えめで謙虚なので、「もう少しアグレッシブにしてもいいのでは」といつも歯がゆく思ったりします。(笑)
ナウオンです↓


今回がトップ娘役の大劇場お披露目公演の仙名彩世は、やはり定評のある歌で、演技も自然で、明日海りおとのバランスも良くいいコンビでしたが、意外に台詞の声はかわいらしくて(殴)、ちょっと私のイメージとは違っていました。なにしろ私的にはあの「ファントム」の新人公演でのカルロッタのインパクトがあまりにも強烈だったので。(笑)


狗奴国の将クコチヒコの芹香斗亜は、あまり私は見たことがない黒い役ですが、ますます逞しくなっていました。



でも二番手の重圧なのかちょっとやつれ気味に見えるのが心配ですね。しかし前から何度も言いますが、数年前のおとなしめな雰囲気から別人の成長ぶりで、憎々しい敵役を好演していて存在感も十分。歌もよかったです。

邪馬台国の兵士たちも、邪馬台国の兵の長・アシラの鳳月杏をはじめ、フルドリの柚香光とツブラメの水美舞斗がいい役回りで目立っていました。


専科から特出の星条海斗も、いつもと変わらぬ堂々たる偉丈夫ぶり(笑)の狗奴国の王ヒミクコを演じていて、期待どおりの存在感。


美穂圭子の大巫女もさすがの歌で、こちらも圧倒的な存在感でした。


あとは、私が勝手にひいきにしている花野じゅりあのアケヒも頑張っていて、出番も多くて満足でした。(殴) 

でも何度も言いますが、盟神探湯(くがたち)とか日食とか、結構エピソードが多く、ちゃんと伏線も張られていたりして、展開に破綻はないのですが、ここ一番の山場というか見せ場に欠けていて、幕が下りたら淡々とした印象しか残りませんでした。
でも、個性の際立つしっかりした役作りで、登場人物も多いので、一度は観ておくべき作品です。(といってももう手遅れか(殴))

一方「Sante‼」はよかったですねえ。
ショーでこんなに楽しめたのは最近なかったです。
大体、以前に大階段出しっぱなしという横着なショー(笑)を観て大ガッカリだったので、藤井大介作・演出というだけで全く期待していませんでした。m(__)m

でも、今回はそんな先入観は粉砕されました。

オープニングで芹香・瀬戸・鳳月・水美・柚香(5大ワインだそうです)が女装で登場したのにまず意表を突かれ、そのあと明日海りおのバッカスが天使を従えて登場。ワインでこの世界を幸せにすると歌ったあと、今度は一転、バッカスはマントを脱ぎ捨てると最高級ワインに変身(おいしそうなブドウがぶら下がっていて面白い!)、周囲も一気に同じ衣装に変わって群舞となります。
ここでもう完全に舞台に引き込まれてしまいました。







明日海、芹香のしゃれたダンス場面も魅力的で、そのあと「モン・パリ」や「ラビアンローズ、柚香が加わった「カン・カン」をアレンジしたラインダンスなど、まったく飽きさせない構成で見惚れます。




専科の美穂圭子のエディット・ピアフも大したものでした。

芝居でも聴かせてくれましたが、ショーではまさに水を得た魚、これぞシャンソンという美声を披露してくれました。星条海斗もマルセル・セルダンに扮して頑張っていました。(笑)

フィナーレのトップコンビのデュエットダンスも、ANJUの振付と芹香の歌でショーのいい締めくくりになっていました。明日海りおが細い体でリフトを頑張っていて、ついこちらも落としはしないか(笑)と、ハラハラして肩に力が入ってしまったり。(笑)



エトワールは珍しく3人組。人材豊富です。

幕が下りたら、私たちだけでなく周りの皆さんも「良かった!よかった!」と大絶賛!
客席全体がこんなに盛り上がったショーは本当に久しぶりでした。

目新しい場面とか、奇を衒った演出とかがあったわけではなく、まっとうな正統派のショーでしたが、どの場面も魅力的で、歌とダンス、衣装のセンス、豪華な舞台装置のすべてがしっとり美しくて飽きさせない。もともとショーの良さなどわからない私ですが、今回だけはずっと「すごいな、きれいだな」と感動しっぱなしでした。

こんなショーはそうそうお目にかかれませんね。
ヨメさんは「ショーだけ、もういっぺんみたいな」と言っていましたが、まったく同感。

オススメです。




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兵庫芸文センターで『フェードル』を観て 大感動の舞台でした

2017年06月15日 | 観劇メモ
兵庫芸文センター中ホールで、『フェードル』を観てきました。
といっても、ひと月前の話ですが。(殴!)

『フェードル』はご存知17世紀フランスの劇作家ラシーヌの傑作戯曲。そのベースは古代ギリシャの詩人エウリピデスの悲劇『ヒッポリュトス』です。

演じるのは大竹しのぶ、平 岳大、門脇 麦、谷田 歩、斉藤まりえ、藤井咲有里、キムラ緑子、今井清隆と豪華メンバーなので、これは見ない手はないねと、2016年12月に先行予約でチケットを確保しました。

観劇当日は、2017年4月の東京公演から始まった全国ツアーの大千穐楽とあって、満員の盛況でした。ホールには花も飾られ、開場前から活気がありました。

で感想ですが、まあ何とも凄いものを観た、の一言。

とにかく大竹しのぶが圧巻の演技。かねがね只者ではないと思っていましたが(笑)、もうバケモノです。

私たちの席はB列のセンターブロック、そして舞台には三角形の、手を伸ばせば届きそうなところに張り出した箇所があり、その上で彼女をはじめ主要な役者が熱演する姿は超ド迫力でした。

大竹しのぶの演劇は、これまでにも2009年に観た『グレイ・ガーデンズ』(若い時期の大竹しのぶの役を彩乃かなみが演じていたのも良かったです)や、最近のこまつ座『太鼓たたいて‥』でその演技力はわかっていたつもりでしたが、今回の「フェードル」はもう別格の出来。
舞台に登場した姿は貫禄十分で、一目見てジュディ・デンチを連想してしまいました。(笑)
姿だけでなく台詞も終始低い声で、これまで見たことのない大竹しのぶでした。

大竹しのぶの役は、クレタ島の王ミノスの娘で、ギリシャの英雄テゼの妃フェードルです。しかしフェードルは、やがて国王となる継子イッポリットへの道ならぬ恋に悩んで病に陥り、それが発端となってすべての歯車が狂い始めるという話ですが、そのフェードルの懊悩ぶりが超リアル。本当になりきり芝居でした。

ヨメさんは、「台詞をいうときに唾が見えるほどの至近距離に私たちがいるのに、ようまああんな演技ができるもんやね」と観終えて感心しきり。(笑)

イッポリット役の平 岳大もよかったです。

シンプルな舞台セットなので台詞命の舞台ですが、フェードルの不義への悩み、父テゼへの尊敬の念、そしてアリシーへの愛という三つ巴の感情に苦悩する姿がよく表されていました。
濡れ衣を着せられたまま死地に赴く彼の姿が悲愴でした。

しかし彼は、最近ますますお父さんに似てきましたね。(笑)

アテネ王テゼ役は今井清隆

初めてお目にかかった役者さんですが、これまで「レ・ミゼラブル」や「オペラ座の怪人」、「美女と野獣」など多くのミュージカルで主演されている有名な方です。^^;

その経歴通り、アテネ王としての堂々とした威厳と存在感、そして讒言を信じて息子イッポリットを死地に追いやる人間臭い弱さも持った役どころを見事に演じていました。まだまだ知らない役者さんが多いです。

乳母のエノーヌ役はキムラ緑子です。

フェードルの罪をイッポリットに着せて、テゼの怒りの矛先をそらそうとする悪い女。

でもそれもフェードルを何とか守ろうとする気持ちから出た行動ですが、この芝居では一番黒い役です。

テレビドラマで観るのと違った緊張感がみなぎるシリアスな演技で、見直しました。

今回の舞台では、相手とのキャッチボールではない一方的な長台詞も多かったのですが、あまり滑らず(少しはあったけど^^;)語り続けていたのは大したものでした。

イッポリットの恋人でアテネ王族の娘アリシーは門脇 麦

この人も初めて見ました。役としてはアイーダみたいな境遇の不幸な娘です。
でも境遇に負けずに誇りと信念をもってイッポリットに接している姿が印象的でした。この人も出番は少ないですが、存在感がありました。

あとの谷田 歩斉藤まりえ藤井咲有里といった俳優さんも、ベテランの面々に伍してしっかりした演技と台詞でわきを固めていて見ごたえがありました。

ストーリーとしては単純なので、脚本的には登場人物それぞれの内面を如何に役者が表現するかが問われる舞台でしたが、全員の好演で、ラシーヌの傑作戯曲にふさわしい重厚で奥行きのある作品になっていました。


終わって感動のカーテンコールとなりましたが、これがまた面白かった。

というのは、カーインコールにこたえて舞台に出てくるたびに、大竹しのぶがフェードルが抜けて、素の彼女に戻っていく様子が見られたこと。(笑)

客席は大熱演に全員スタンディングで万雷の拍手でしたが、最初出てきたときは大竹しのぶも硬い表情のままでした。
二回目も同じように顔はこわばっていて、笑いもなくただ頭を下げて拍手にこたえるだけ。

でも三回目になって顔に笑みが戻ってきて、ぴょんぴょん跳ねたりして、明るく拍手に応えてくれるようになってきました。

そして四回目にはもう満面の笑みで拍手にこたえ、大千穐楽の挨拶もして、最後は出演者全員手をつないでジャンプ!!で終わりました。

この過程を見ていたら、役に入って瞬間的に涙を流せるといわれる彼女でも、逆に憑依状態(笑)から現実に戻るには、それなりの時間がかかるのかなと思ってしまいました。面白かったです。

とにかくこの舞台を観られてよかったです。これは今年一番の収穫かもと二人で話しながら、帰途につきました。

さて次は花組公演の感想です。意外にも(殴!)、藤井大介さんがGood Job!!なのがうれしい番狂わせ。早くアップしたいのですが、いつになりますことやら‥。
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