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宝塚月組公演 『1789 -バスティーユの恋人たち-』を観て 感想その2

2015年06月11日 | 宝塚
5月30日に2度目の「1789 バスティーユ‥」観劇してきました。

今回も大した渋滞はなく、約1時間10分で駐車場に到着。大劇場に行くと、意外にも人影が少ない感じ。あれ?売れてないのかなと思いましたが、チケット売り場でチェックすると完売・立ち見のみとなっていました。まあ千秋楽間近なので当然ですが。

今回の席は前回より後方の16列です。でも通路側でセンター寄りと見やすい席で、舞台全体をよく見渡せました。途中の客席降りも楽しめてヨメさんも大満足。どういうわけか結構男客も多かったですね。

以下、感想です。もう話の筋はわかっているので、前回観られなかったディテールに眼を向ける余裕がありました。
いつものように敬称略です。

全体としては、やはり大作ですねぇ

ナポレオンがかなり期待はずれだったので、小池氏久々のヒットという感じです。やはり、全くのオリジナル作品というのは難しいということですね。
それと前回でも書いたように、ロミジュリと比べるとかなりフレンチミュージカルに寄っている演出でした。ダンスの振り付けがダイナミックで、音楽も生演奏とコンピュータ音源とのミックスで実にパワフル。

二度目の観劇でも印象的だったのがなんといっても愛希れいか
歌はもちろんのこと、演技もすっかり女役が板について、貫録さえ感じられる佇まいに感心しました。
画像はすべてナウオンステージから切り出したものです。


でも、例のルーレットでは思わず笑いました。あのベルばらの白馬車を見たときの、わけもなく笑いたくなる感じに似ています。
いったい何メートルくらいの直径になるのか、ドでかいルーレットです。

その軸になっているアントワネットが、通常のボールではなく直接チップを投げているところがヅカ風。細かいところまで手が込んでいて「ようやるわ」と思いながら見ていました。

本当に凝っていて、ルーレットが割れてアントワネットが別の衣装になって出てくるなど、意表を突く演出です。

小池一流のおもてなし精神全開でした。

ちなみに、この公演のナウオンステージで、専科に移籍する星条海斗がその心境を語っているのを横で聞いていた愛希が、ついホロリとする姿もよかったですね。さらに好感度アップです。(笑)

星条海斗が移籍について語っていると、

思わず涙ぐむ愛希↓


その星条海斗の立ち姿、ド迫力でした。専科にとどまってくれてよかったです。




今回注目していたのは役代わりのオランプ。今回は観たかった早乙女わかばでしたが、「第二章」で観て期待しすぎだったのか、よくやってたものの、それほど海乃美月との差は感じられず、逆に海乃の健闘ぶりがわかった感じでした。
出番が多くておいしい役ですが、脚本としてはロナンに対する愛が物足りないですね。

なんといっても大抜擢がフェルゼンの暁千星
童顔ですが、歌も聴かせるし、立ち姿など堂々としていて大したものです。


脇役ながら味のある演技で好感が持てたのが、国務大臣ジャック・ネッケル役の光月るう。当時の新興ブルジョワジーを代表する銀行家として、国王の圧政を諌める姿を好演していて印象に残りました。過不足なく演じていて、その程の良さでかえって目立っていました。

国王ルイ16世の美城れんが、ギロチンのミニチュアを見て悦に入っているところは何度見てもかわいらしいです。↓

今回に限らず、この人が出てくるとなぜかホッとしたり。(笑)

ロベスピエールの珠城りょうは、華奢な男役の多い月組では、押し出しの良さで目立ちますね。




そして小柄ですが、美弥るりかがどこまでも腹黒い悪人で、しかも一際目立つ毒のある美貌とのコントラストが魅力的です。この人も女役になったらすごいことになるかも。


逆に目立たなかったのが沙央くらま。初回の観劇ではなかなか存在に気付かず、しばらく探してやっとわかったほど。今回もよくチェックしましたが、役柄も大きくないのでやっぱり地味でした。


地味といえばカミーユ・デムーランの凪七瑠海も歌で頑張っていましたが、やはりあまりし甲斐のない役でした。


最後にロナンの龍真咲です。(最後かい!)

今回の主役は、ストーリー的には引っ張る役ではなく、革命をめぐる群像の一人という位置づけ。あくまでも、主題である、貴族でも庶民でもひとつの命の価値は同じというテーマに沿った存在になっています。
だからオランプともそれほどの熱愛とはならず、最後は先頭に立って銃弾に倒れるというはかない役です。父の無念も晴らせなかったし。

ただ今回二回目を観て、やはりこの人の台詞や歌は苦手でしたね。
どの台詞でも言葉に感情が乗ってなくて「心ここに非ず」みたいな感じ(あくまで個人の感想です)。さらにいつも気になるのが息継ぎ。歌も頑張っていますが、発声が好みではないので、ちょっとなあと思いました。でも今回、プログラムは買いました。(笑)

というわけで、最後が少々ネガティブな感想になりましたが、作品としては久々の大作で、曲も良く、見ごたえ・聞きごたえ大アリで、お得感満載でした。二度観て正解でした。

さて次は「王家‥」です。期待していますが、何度もリピートした初演を超える出来になっているか、楽しみです。
あ、その前に6月6日に観た「海の夫人」を早く書かないと! ^^;

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兵庫芸文センターで『シャーロック ホームズ2 ~ブラッデイゲーム~』を観て

2015年06月03日 | 観劇メモ
5月21日(木)に、兵庫芸文センター阪急中ホールで『シャーロック ホームズ2〜ブラッディ・ゲーム〜』を観てきました。
この公演の観劇を決めたのは、チラシにあった出演者の中に、一路真輝別所哲也橋本さとし、そして懐かしい春風ひとみの名前があったからです。

まあホームズと名がつけば探偵もの、だいたい中身は予測できるよねということで、出演者以外の予備知識はゼロ、ぶっつけ本番の観劇でした。いつものことですが。(笑)

最近は定位置になっていますが、今回も最前列での観劇です。ただこの席、よく見えるのはいいけれど、出演者が至近距離なのでこちらが少々気恥ずかしい。大体コックリできないし(殴)。それと、逆に舞台全体のイメージがつかめないのはちょっと難ありかな。でもまあ贅沢な話ですね。

ということで、以下、感想です。敬称略です。
画像は当日購入したプログラムより(@2,000円でした。高い!!)↓


まず結論から(笑)。
なんとも難しい舞台です。演じる役者にとっても、観ている観客にとっても難しいです。その第一が台詞。メロディに乗せて台詞が語られるのですが、複雑な旋律に乗せた長台詞が延々と続く感じなので、聴き取るのが大変です。まるでお経のような(殴)感じで、とくに一幕目がキツかった。(笑)

観客も大変ですが、やっている役者さんも大変だろうと思います。耳になじむ旋律とはいえないし、全体に早口なので、「よく覚えられものだな」と変なところで感心したり。

でも休憩を挟んで二幕目から動きが出てきて俄然面白くなりました。

ただ、題名から予測できるような、複雑な犯罪トリックを解き明かす緻密な探偵もの、ではないですね。むしろ犯人の背負った怨念とか、社会への挑戦から連続殺人に至ってしまう歴史的な過程がメインな話です。

でも出演者が芸達者で、芝居としてストーリーの展開の面白さよりも役者の魅力が勝っているといった感じでした。

最後のどんでん返しもそれほど効果的ではなかったし。
というわけで、そもそもスケジュール的に不可能でしたが、そうでなくてもリピートはまずなかったですね。でも一度は観るべき価値はありました。音楽も生演奏でよかったです。

で、出演者別の感想です。
まずワトソン役の一路真輝

今回のワトソンは、ホームズの助手ではなく、かなり勝手に動いています。犯人と直接対決したりで、ホームズのほうが影が薄いくらいの活躍ぶり。
舞台上の一路真輝、変わらないねーといいたいところですが、やはり容姿は相応にお年を召されていました。(殴)

余談ですが、彼女を初めて舞台で観たのは、『はばたけ黄金の翼よ』のクラリーチェ。初々しくきれいな娘役が出てきたと思ったら実は男役で、臨時に娘役に抜擢されたと聞いてびっくりでした。その印象があったので、トップ就任後もどこか線の細い感じがあったのですが、ご存じトートで大ブレーク。大したものでした。

今回の舞台でもその歌唱力は変わらず、先に言ったように活発な役で、演じるのものびのびと楽しそうでピッタリでした。

そしてホームズの橋本さとしです。

この前、『十二夜』でマルヴォーリオを観たばかりで、ご縁があります。(笑)
で、プログラムを見たら今回の公演の稽古と『十二夜』への出演の期間がかぶっていたとのこと。大変ですね。よく務まるものだと感心です。
この芝居のホームズは、先にふれたように緻密な頭脳派探偵ではなく、かなり肉体派というか体育会系の探偵役です。だから、あまり知的ではないホームズ。(笑) 
でもそんな親しみのある人間臭い人物を演じていて、難曲ぞろいな歌も頑張っていて、芸達者の面目躍如でした。演技のダイナミックレンジが広いです。

この芝居の目玉キャストの一人がマリア・クララ役の秋元才加ですね。AKB48の出身だとか。
でも私は今回の観劇で初めて名前を知りました。(殴)

盲目の役で、聖母マリアのイメージの役だそうで、確かにそんな感じがよく出ていました。ベテランぞろいの役者さんの中でも臆せず、存在感もそれなり。でも歌はまだ課題が多いと思いますね。声はよく出ていると思いますが。

今回一番観たかったのが、春風ひとみ

エミリー院長役ですが、過去の場面ででてくるだけで、出番は少ないです。もったいないです。院長のあとは、娼婦役のアンサンブルで登場(これが少々ドッキリな姿でした(笑))。
でも出番は少なくても、舞台に出てくるだけで存在感十分。懐かしいあの「マリア公爵夫人」が目前によみがえってきました。やはり再演を重ねても、いまだにこの人を超えるマリア公爵夫人にはお目にかかれないですね。

私たちの観た日は、役代わりのエドガーは小西遼生ではなく良知真次

そういえば小西遼生も『十二夜』に出ていたので、やっぱり忙しかったでしょうね。
前者のエドガーも観たい気がしましたが、良知真次のエドガーも若々しくて似合っていました。この人も初めてお目にかかりましたが、難しい歌とダンスをよくこなしていました。演技も自然で、後半のプチどんでん返しにはうまくひっかけられた感じです。

一番魅力のある役だったのが、ジェシカ/オリビア役のまりゑ

とくにダンサーのジェシカはスタイル抜群でゴージャス、”ロンドンの太陽”という形容詞のまんまで魅力的でした。一方オリビアは”お堅い鉄のパンツ(プログラムより)”な女性政治家。両極端な儲け役で、終演後のトークショーでも司会役として手際よくリードしていました。今後注目したいです。

そして最後は別所哲也

この人とはFMの番組でおなじみですが、舞台を見るのは初めてです。
役名はなんとクライブ・オーウェン! 警部役です。
舞台が始まって、その名前を聞いてついニンマリ。
クライブ・オーウェンといえば、ご存じ『ザ・バンク 堕ちた巨像』とか『シャドウ・ダンサー』での演技が印象的なイギリスの俳優ですが、言われてみればどこか別所哲也と通じるものがありますね。
↓Wikipediaより

ということで、目の前の警部はクライブ・オーウェンが演じているんだと思いながら観ていました。(笑)
しかし、別所哲也は大した役者さんですね。歌も演技も台詞も味があります。歌など、観劇しながら、この人のファントムを観てみたいと思ったほど深い味のあるものでした。もう感心しまくり。最大の収穫でした。

今回のシャーロック ホームズは、タイトルに「ブラッディ・ゲーム」とあるように、謎解きよりは、血みどろの連続猟奇殺人とその背景を、過去にさかのぼって読み解いていくといった話でした。

ただ、繰り返しますが、台詞の大半が観客にも聴取パワー(笑)を求める難曲になっているので、話を追うだけでもけっこう疲れます。笑

それで兵庫芸文センターでのチケットの販売状況は、初日の幕が上がっても苦戦していたようで、トークショーでも出演者が口々に「またのご来場をお待ちしています」と言っていたのが印象的でした。

さて、この2日後は『1789‥』の2回目観劇でした。その感想はまたのちほど。
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