大谷記念美術館は、2013年9月から今年の2月まで空調熱源改修工事のため長期休館していました。なので例年なら正月に出かけるところでしたが出来なかったので、館蔵品の展覧会とはいえちょっと期待して出かけました。
途中の道は車も少なく順調に西宮へ。着いたのは開館10分前でした。開館まで周囲の庭園で写真を撮ったりして時間調整してから館内に入りました。通路を通って展示会場に向かう途中で衝撃の発見!いつも利用していたカフェが無くなって、休憩室になっていました。
上記のように長い休館期間があったので心配していたのですが、やはりキツかったのでしょうね。コーヒーとかサンドイッチ、カレーとかおいしかったので残念でした。この日もそこで昼食の予定だったので当てが外れてプチパニック(笑)。
というわけで展覧会の感想です。
展示は大きく4つに分かれていて、テーマとしては、館のコレクションの形成史をたどりながら、日本における洋画の展開の歴史を紹介するというものです。
第1章は「大谷コレクションの時代」。西宮市大谷記念美術館の基となった実業家・大谷竹次郎氏のコレクションには多くの日本画がありますが、洋画のコレクションもなかなかの傑作ぞろいです。それら大谷氏の個人コレクションの洋画を紹介しているのが第1章です。
代表的な展示作品として、ピエール・ラプラード《カルーゼル広場とパヴィヨン・ド・マルサン》や児島善三郎《南仏カーニュの小橋》・《レースを着る女》がありますが、私は三番目の作品が気に入りました。
児島善三郎《ダリア》↓も良かったです。
(以下の画像はすべて絵葉書から)
ちょっと黒田清輝のような画風ですが、石川寅治《窓のそば》も明治期の洋画の典型ですね。↓
第2章は「エコール・ド・パリと日本の近代」。ここでは1972年に開館した西宮市大谷記念美術館が、大谷コレクションを軸としながら新たに作品を収集してきた20世紀前半のフランスのエコール・ド・パリの作品と、同時期の日本近代洋画が展示されています。
私たちは今回の展覧会を観るまでは館蔵品の大部分は寄贈された大谷コレクションだろうと思っていたのですが、開館後公費で購入したものもかなりあることがわかってちょっと驚きました。ここでは美術館が独自に購入した作品も多く展示されています。
ここでマリー・ローランサン《青衣の美少女》とか小出楢重《裸婦》(ルノワールそっくり)、佐伯祐三《帽子のある静物》などの作品が展示されていました。
前にも観た絵ですが、今回も小磯良平《ギターを弾く男》がパッと眼に入ってきました。↓
ビュッフェの《ヴェネツィアのカドーロ》もこのコーナーだったかな↓
第3章は「阪神間の洋画家たち」。この美術館は、大谷氏からコレクションと共に寄贈を受けた宅地に立地しています。この場所は関西では「阪神間」と呼ばれていますが、戦前から多くの画家がアトリエを構え、活動してきたところでもあります。当初の大谷コレクションにも含まれるこうした地元作家の作品が、このコーナーで展示されています。このコーナーを観て、戦前は関西でも活発な美術活動が取り組まれていたことを知って驚きでした。まだ大阪を中心として関西が日本経済の中で大きな位置を占めていた時代ですね。
展示されていた伊東慶之助とか渡辺一郎、辻愛造など、これまで知らなかった画家の絵が展示されていました。どれもいい絵でした。
最後の第4章は「洋画を超えて」。
戦後の阪神間で見られた、絵画における実験的な試みとして創造された各グループや個人が生み出した様々な抽象絵画が展示されています。さまざまな新しい技法で描かれた作品が掲げられていましたが、やはり現代アートとなると私たちにはイマイチピンとこないので、このコーナーの滞在時間は短かったですね。どうも現代抽象絵画はその価値がよくわかりませんです。
そんな中で、渡辺一郎《ロードローラー》↓が不思議な魅力で印象に残りました。
この展覧会は展示されていたのが館所蔵品ばかりで、展示数も多くないのであまり話題になっていないのか来館者は極めて少なく、少々寂しい感じでした。その分ゆっくり鑑賞できたのはよかったのですが(あるフロアではスタッフ以外は私たちだけしかいなかったり)、法人化したこともあり経営が心配になったり。(笑)
でも展示品は小品が多かったもののいい絵ばかりなので、ゆっくり絵画鑑賞したい人にはお勧めです。
観終わってから、障害者+付添い1名は入館者無料にしてくれているので、せめてものお返しにと入口受付で絵葉書を6枚購入しました。でもこれも税込@50円と格安、あまり売り上げに貢献できませんでしたね。
いつもならこの段階で館内のカフェで軽く昼食となるのですが、先述の通りカフェは撤退。殺風景な休憩室になってしまいました。
前回訪問時に食べたコレ↓とか
このサンドイッチ↓も楽しみにしていたのですが‥。(泣)
加えて店内から庭園が眺められて、スタッフの年配の女性お二人もいい雰囲気だったので本当に残念でした。
どの美術館内のカフェでも、程度の差はあれ経営は本当に難しそうです。これは劇場などでもいえることですが、カフェの経営努力も、基本的に集客については美術館側の企画如何にかかっているので限界があります。
とくに今回のケースは、美術館が設備改修工事で長期にわたって閉館していたのが致命的だったと思います。
野坂昭如が以前「主人持ちになってはいけない」と言っているのを読んだことがありますが、いろんな意味で考えさせられますね。
帰宅前に美術館の庭園を見ることにしました。ちょうど今、庭園はハナズオウがあちこちで咲いていました。
珍しい白のハナズオウも植えられています。
それにボケもまだ咲いていてびっくり。
ミツバツツジの仲間も↓。
珍しいといえば金色に輝く葉のオウゴンガシワもひときわ目立つ存在でした。
展覧会はこじんまりとしていて派手さはありませんが、じっくりと絵画鑑賞したい方には好適な名品ぞろいです。
機会があればぜひご覧ください。
主 催:西宮市大谷記念美術館
後 援:西宮市、西宮市教育委員会
会 期:2014年4月5日(土)~5月25日(日) 午前10時~午後5時
休館日:水曜日
入館料:一般500円/高大生300円/小中生200円
*西宮市在住65歳以上は無料(要証明書呈示)
*ココロンカード・のびのびパスポートを呈示の小中生は無料
*身体障害者・療育・精神保健福祉手帳などの呈示があれば無料
*ちらし割引券持参の場合は一般500円を400円に割引(複製不可)
*20 名以上の団体は各料金から100 円割引
途中の道は車も少なく順調に西宮へ。着いたのは開館10分前でした。開館まで周囲の庭園で写真を撮ったりして時間調整してから館内に入りました。通路を通って展示会場に向かう途中で衝撃の発見!いつも利用していたカフェが無くなって、休憩室になっていました。
上記のように長い休館期間があったので心配していたのですが、やはりキツかったのでしょうね。コーヒーとかサンドイッチ、カレーとかおいしかったので残念でした。この日もそこで昼食の予定だったので当てが外れてプチパニック(笑)。
というわけで展覧会の感想です。
展示は大きく4つに分かれていて、テーマとしては、館のコレクションの形成史をたどりながら、日本における洋画の展開の歴史を紹介するというものです。
第1章は「大谷コレクションの時代」。西宮市大谷記念美術館の基となった実業家・大谷竹次郎氏のコレクションには多くの日本画がありますが、洋画のコレクションもなかなかの傑作ぞろいです。それら大谷氏の個人コレクションの洋画を紹介しているのが第1章です。
代表的な展示作品として、ピエール・ラプラード《カルーゼル広場とパヴィヨン・ド・マルサン》や児島善三郎《南仏カーニュの小橋》・《レースを着る女》がありますが、私は三番目の作品が気に入りました。
児島善三郎《ダリア》↓も良かったです。
(以下の画像はすべて絵葉書から)
ちょっと黒田清輝のような画風ですが、石川寅治《窓のそば》も明治期の洋画の典型ですね。↓
第2章は「エコール・ド・パリと日本の近代」。ここでは1972年に開館した西宮市大谷記念美術館が、大谷コレクションを軸としながら新たに作品を収集してきた20世紀前半のフランスのエコール・ド・パリの作品と、同時期の日本近代洋画が展示されています。
私たちは今回の展覧会を観るまでは館蔵品の大部分は寄贈された大谷コレクションだろうと思っていたのですが、開館後公費で購入したものもかなりあることがわかってちょっと驚きました。ここでは美術館が独自に購入した作品も多く展示されています。
ここでマリー・ローランサン《青衣の美少女》とか小出楢重《裸婦》(ルノワールそっくり)、佐伯祐三《帽子のある静物》などの作品が展示されていました。
前にも観た絵ですが、今回も小磯良平《ギターを弾く男》がパッと眼に入ってきました。↓
ビュッフェの《ヴェネツィアのカドーロ》もこのコーナーだったかな↓
第3章は「阪神間の洋画家たち」。この美術館は、大谷氏からコレクションと共に寄贈を受けた宅地に立地しています。この場所は関西では「阪神間」と呼ばれていますが、戦前から多くの画家がアトリエを構え、活動してきたところでもあります。当初の大谷コレクションにも含まれるこうした地元作家の作品が、このコーナーで展示されています。このコーナーを観て、戦前は関西でも活発な美術活動が取り組まれていたことを知って驚きでした。まだ大阪を中心として関西が日本経済の中で大きな位置を占めていた時代ですね。
展示されていた伊東慶之助とか渡辺一郎、辻愛造など、これまで知らなかった画家の絵が展示されていました。どれもいい絵でした。
最後の第4章は「洋画を超えて」。
戦後の阪神間で見られた、絵画における実験的な試みとして創造された各グループや個人が生み出した様々な抽象絵画が展示されています。さまざまな新しい技法で描かれた作品が掲げられていましたが、やはり現代アートとなると私たちにはイマイチピンとこないので、このコーナーの滞在時間は短かったですね。どうも現代抽象絵画はその価値がよくわかりませんです。
そんな中で、渡辺一郎《ロードローラー》↓が不思議な魅力で印象に残りました。
この展覧会は展示されていたのが館所蔵品ばかりで、展示数も多くないのであまり話題になっていないのか来館者は極めて少なく、少々寂しい感じでした。その分ゆっくり鑑賞できたのはよかったのですが(あるフロアではスタッフ以外は私たちだけしかいなかったり)、法人化したこともあり経営が心配になったり。(笑)
でも展示品は小品が多かったもののいい絵ばかりなので、ゆっくり絵画鑑賞したい人にはお勧めです。
観終わってから、障害者+付添い1名は入館者無料にしてくれているので、せめてものお返しにと入口受付で絵葉書を6枚購入しました。でもこれも税込@50円と格安、あまり売り上げに貢献できませんでしたね。
いつもならこの段階で館内のカフェで軽く昼食となるのですが、先述の通りカフェは撤退。殺風景な休憩室になってしまいました。
前回訪問時に食べたコレ↓とか
このサンドイッチ↓も楽しみにしていたのですが‥。(泣)
加えて店内から庭園が眺められて、スタッフの年配の女性お二人もいい雰囲気だったので本当に残念でした。
どの美術館内のカフェでも、程度の差はあれ経営は本当に難しそうです。これは劇場などでもいえることですが、カフェの経営努力も、基本的に集客については美術館側の企画如何にかかっているので限界があります。
とくに今回のケースは、美術館が設備改修工事で長期にわたって閉館していたのが致命的だったと思います。
野坂昭如が以前「主人持ちになってはいけない」と言っているのを読んだことがありますが、いろんな意味で考えさせられますね。
帰宅前に美術館の庭園を見ることにしました。ちょうど今、庭園はハナズオウがあちこちで咲いていました。
珍しい白のハナズオウも植えられています。
それにボケもまだ咲いていてびっくり。
ミツバツツジの仲間も↓。
珍しいといえば金色に輝く葉のオウゴンガシワもひときわ目立つ存在でした。
展覧会はこじんまりとしていて派手さはありませんが、じっくりと絵画鑑賞したい方には好適な名品ぞろいです。
機会があればぜひご覧ください。
主 催:西宮市大谷記念美術館
後 援:西宮市、西宮市教育委員会
会 期:2014年4月5日(土)~5月25日(日) 午前10時~午後5時
休館日:水曜日
入館料:一般500円/高大生300円/小中生200円
*西宮市在住65歳以上は無料(要証明書呈示)
*ココロンカード・のびのびパスポートを呈示の小中生は無料
*身体障害者・療育・精神保健福祉手帳などの呈示があれば無料
*ちらし割引券持参の場合は一般500円を400円に割引(複製不可)
*20 名以上の団体は各料金から100 円割引