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兵庫芸文センターで『ダディ・ロング・レッグズ 足ながおじさんより』を観て思ったこと

2017年12月06日 | 観劇メモ
兵庫芸文センターで「あしながおじさん」を観て来ました。
ヨメさんは依然歩行困難で、初めてのフル車椅子観劇 (泣) 。
前回、「1か月前に予約が必要」という奇々怪々な車椅子昇降機のナゾについて書きましたが、今回の観劇でナゾは解けたかな?

当日は快晴でした。

レンタルした二種類の可搬式スロープを駆使して自宅内外の階段を次々にクリアしながら(笑)、電動アシスト車椅子で(帰宅時はスロープ急登になるので)、兵庫芸文センターに向け出発。幸い車が少なく、順調に阪急中ホールにたどり着きました。

手持ちのチケットを「U列」のチケットと交換してから、指定された席に行くと、そこはなんとホームページ上では「車椅子スペース」のはずの場所。
そのスペースにズラリとパイプ椅子を並べ、「U列」席として販売するという、なりふり構わぬ商魂に脱帽です。(笑) 
私の席は横を通る人に触れるほどの壁間際で、座っていても全く落ち着けない場所でした。

席に着いてから、念のため一か月前に予約が必要という車椅子昇降機の現状を確かめに行ったら、昇降機は階段最下部に折りたたんだ状態で置かれていました。


カナダのギャラベンタ社の車椅子階段昇降機アルティラという製品で、取扱業者のサイトでは「点灯したボタンを押していただくだけで初めての方でも迷わないでやさしく操作できます。」「障害物検知装置、緊急時手動停止装置や落下防止装置で、挟み込みや車いすの転落を防ぎ、リフト使用者と歩行者の安全を守ります。」と書かれています。世界各国で25,000台も使われている信頼性・安全性に定評のある商品とのことです。
↓兵庫芸文センターのサイトより


これを動かすのに、どうして「1か月前の予約が必要」だったり、「新たに人手が必要」だったり、「点検が必要」(いずれもセンター担当者談)だったりするのでしょうか。

ただこの劇場は、もともと車椅子トイレの配置とか、その内部が狭小で転回もできないなどいろんな点でバリア・アリーで、アクセシビリティへの配慮とは無縁の建築です。

急勾配な座席の配置のため、通路が変則的な階段になっていたり、平らな最前列付近の席も通路幅が狭く、車椅子の通行は不可能です。
なので、大部分の車椅子利用者にとっては、昇降機を使ってまで階段を下りる意味があまりないのですね。

結局、このホールで昇降機を使うのは、階段歩行は無理だが、平坦な前方席での杖歩行が可能な人限定になってしまいます。
(今回私は、彼女の脇を抱えて、階段下入口から席まで移動するつもりでした。)

こうしたことで、結果的に昇降機の利用者は限られ、芸文センターとしては「宝の持ち腐れ」状態のお荷物と考えるようになったのでしょうね。

なので、世間の手前ホームページにいろいろ書いていても、実際は「1か月前までの予約制」で稼働を制限して定期点検費用をカットし(恐らく都度点検契約に変えたのでしょう)、「車椅子スペース」にもパイプ椅子を並べて一般客に販売し、「売れ残っていたら車椅子の方でもOKね」みたいな、今時レアな対応をするようになったのでしょう。多分これがナゾの答えかと。でも本当は、いつでも障がい者が使えるように備えておくのが真のアクセシビリティだと思うのですが。

という愚痴話(感想より長いです^^;)はこれぐらいにして、『ダディ・ロング・レッグズ 足ながおじさんより』の簡単で薄~い感想です。いつものとおり敬称略。画像は当日購入したパンフレットから。ネタバレはなし。(笑)

今回はご存知のように二人芝居です。でも普段から観劇の選択権は私にないので、劇場で初めて知った次第でした。(殴)


芝居が始まってもしばらくは、最後列になった身の不運を嘆く気分(まだ言うか)が支配していましたが、始まったらまあ朗読劇みたいなものなので、この席でもいいかと納得しながら双眼鏡多用で観劇開始。(笑)

舞台装置は、18歳の少女ジルーシャ(坂本真綾)が暮らす孤児院の一室と、ジャーヴィス・ペンドルトン(井上芳雄)の書斎が隣り合わせになった凝ったものです。このセットがよく出来ていて、つい書架に並ぶ本の背表紙や、酒瓶のラベルなどのディテールを観察してしまったり。音楽は三人の演奏家の生演奏。

冒頭からしばらくは孤児院に暮らす坂本真綾のジルーシャの一人舞台です。

ここで院長の口真似をするところで、口調がガラッと変わったのには感心しました。長年のキャリアが生きていますね。

その後ジャーヴィス・ペンドルトンの井上芳雄が登場。


舞台で観るのは『パッション』以来で久しぶりですが、やはり歌も演技は大したもので存在感十分。何より歌がすごい。ド迫力の朗々たる歌で、坂本真綾の歌が、特に高音部がかな~り心もとない感じだったので、彼が歌い始めたらホッとしました。
私としては、新妻聖子がこのジルーシャをやってくれたら、ジャーヴィスと完璧にバランスがとれるのではと妄想しながら観ていました。

しかし単調になりがちな話なのに、よく出来た舞台だったので脚本は誰かと幕間にパンフレットを見たら、ジョン・ケアード。特に手紙を読むところで書き手と読み手をうまくミックスさせて飽きさせない演出が手練れでした。

ジルーシャの手紙の内容が、赤毛のアンのように、饒舌だが機知に富んでいるのも、睡魔を払うのに(殴)効果的でした。

まあ手紙のやり取りだけの展開なので、集中し続けないと睡魔は避けられず、私はなんとか最後まで持ちこたえましたが、前方席ではあちこちで舟を漕ぐお姿が見受けられました。(笑)

で最後のハッピーエンドの場面。
これまたうまく観客の気分を盛り上げていって、既知の結末でも全く陳腐にならなかったのには感心しました。
そして最後は全員がスタンディングとなって、熱演をねぎらいました。
ヨメさんも「いろいろあったけど観てよかった!」と喜んでいました。とくに井上芳雄の歌唱力には大絶賛モード。私も全く同感でした。


さて次は大劇場での雪組観劇ですが、こちらは完全バリアーフリー対応なので安心です。

でも感想はいつになりますやら。(殴)


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