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宝塚宙組公演『ベルサイユのばら―オスカル編―』を観て

2014年05月12日 | 宝塚
「ラストタイクーン」以来二か月ぶりの宝塚です。
でも出し物は宙組『ベルサイユのばら-オスカル編-』。
実をいうと余り観たくなかったのですが、「100周年だし宙組だからやはり観ておかないと」というヨメさんの希望で観劇決定。がんばってパソコンで先行予約に応募、14列下手ブロックとまあまあの席をゲットしていました。

観劇当日の5月8日はさわやかな好天。一部渋滞があったものの、概ね快調に走って、10時前に駐車場に滑り込みました。そこから劇場までの花の道はすっかり葉桜になっていて、2月の寒々とした様子とは一転していました。
劇場周辺はもう多くの観客が次々に来ていて活気がありました。劇場内の土産物売り場やロビーも賑わっています。
いつものとおり「天下もち」と「宝塚フィナンシェ(売り場が変わっていました)」を確保してから、昼食用のサンドイッチと寿司を買うべく売り場に行ったら、長い列ができていました。初めて見る光景にびっくり。土日ならまだしも(でも土日でもみたことがありませんね)、平日の木曜日にこんなことになるとは、やはり100周年と「ベルばら」人気なのでしょうか。しかも私たちの番になって「すみません、サンドイッチ売り切れました」。
でもすぐ作ってきてくれたのでよかったですが。
そして開場前に劇場入り口に行くと長蛇の立ち見の列。木曜、平日の観劇でこんなに立ち見が出るとはこれまた驚きでした。
↓立ち見のお客さんが案内されて行きました。


というどうでもいい前置きはこのくらいにして、本題の感想です。(以下、いつものとおり敬称略です)
今回の座席は、ネット先行予約で頑張って何とか確保した14列の下手側の席。久し振りの前寄りの席で、やはり見やすかったです。


私たちが観たのはこの配役でした。↓
オスカル………………凰稀かなめ
ロザリー………………実咲凜音
アンドレ………………朝夏まなと
ジェローデル…………七海ひろき
アラン…………………緒月遠麻
ジャルジェ将軍………汝鳥伶
マロングラッセ………一原けい
ブイエ将軍……………寿つかさ
ジャルジェ夫人………鈴奈沙也
カトリーヌ……………美風舞良
ジョアンナ……………大海亜呼
ベルナール……………蓮水ゆうや
オルタンス……………純矢ちとせ
イザベル………………愛花ちさき
マリーズ………………花音舞
画家……………………風羽玲亜
平民議員………………天風いぶき
シモーヌ………………花里まな
平民議員………………天玲美音
ロベスピエール………澄輝さやと
スザンヌ………………綾瀬あきな
ルルー…………………すみれ乃麗
ダグー大佐……………凛城きら
フィリップ………………松風輝
アルマン………………愛月ひかる
オスカル(幼少時代)…星吹 彩翔
三女……………………瀬音リサ
四女……………………愛白もあ
ヴェール………………蒼羽りく
イレーヌ………………結乃かなり
ジルベルト……………夢涼りあん
シャロン………………風馬翔
ロセロワ………………美月悠
ジャン…………………桜木みなと
ロード…………………実羚淳
五女……………………彩花まり
次女……………………伶美うらら
小公女…………………真みや涼子
小公子ランロス………和希そら
小公女…………………瀬戸花まり
セルジェ………………留依蒔世

で、いきなり結論ですが、この公演、一度観たら十分、まずリピートはありえないです。
でも観て後悔はしていませんね。(笑)

やはり、同じフランス革命をとりあげた秀作「アンドレア・シェニェ」とかを観てしまったあとなのでどうしても比べてしまいますが、この「ベルばら」、一本物なのに劇としての密度は本当に低いですね。
やはり良くも悪くも、「ベルばら」は古い宝塚そのものです。
全編ベタなセリフで、それらが大仰でやたらに説明調なのは某理事の十八番ですね。でも上記作品や「翼ある人々…」などの出来のいい芝居を観たあとでは、それが終始気になりました。

収穫の第一はやはり凰稀かなめのオスカルのきれいなこと。演技も説得力がありました。
昨年の雪組の「ベルばら」でみせた麗しい凰稀かなめのオスカル(といってもニュースで見ただけですが(殴))を再び直に観られただけでも価値があります。容姿は(だけは?(殴))思った通りで(でも往年の涼風オスカル並みとまではいきませんが)、いい眼の保養になりました。

それと、実咲凜音の歌もよかった。ヨメさんも「今の娘トップの中では一番うまいね」としきりに感心していました。我が家で再評価の声が高まっています。(笑)
それと、なんといってもあの「翼ある人々…」以来の朝夏まなとや緒月遠麻、伶美うらら(きれいでした!でも出番もしどころもない!)に再会できたのがうれしかったです。まだ間がないのにすでに懐かしささえ感じるほど。(笑)

今回のオスカル編ではかなり変更点がありました。

オープニングも変わっていますが、その後にオスカル誕生と、男として育てられることになった経緯を説明する場面が入っています。父親ジャルジェ将軍に扮する汝鳥伶が説明するのですが、長台詞をがんばっているものの、中途半端な狂言回しで、冗漫・蛇足な感じでした。

純矢ちとせなど姉妹たちも元気に舞い踊っていますが、もっと別の出し方もあるだろうと思ってしまいました。もったいないです。
<以下画像はすべて初日のスカステニュースから>




それと、三部会が閉鎖になる場面も付け加えられていました。

ここでオスカルが民衆の側に立つ契機を説明したかったのでしょうが、革命の大義として「自由・平等・友愛」を繰り返していたのは違うと思いますね。革命の原動力は、やはり腐敗した絶対王制のもとで困窮した民衆の怒りでないと。
その点では、以前のように、オスカルがベルナールに案内されて民衆の窮状を間近に見て目覚めるという設定のほうが自然です。
まあ目先を変えようとしたのでしょうが、そんな小手先の改変ではだめですね。
せっかくの題材なので、「風と共に…」同様、100周年を機に、制約を一切付けずに若手の演出家に思う存分ブラッシュアップさせたら面白いと思うのですが。
「アンドレア・シェニェ」の植田景子の手になったらどうなるかとつい妄想してしまいますね。

まあ愚痴はそのくらいで、良かった点を配役ごとに。

まずは主役オスカルの凰稀かなめ。文句なしに綺麗です。
オープニングの「ごらんなさい」のあと、舞台中央の巨大なオスカルの絵の前で朝夏アンドレと男役たちが歌い踊り、


それが終わると、真っ赤な軍服に白いマントのオスカル登場です。

ちょっと老けたオスカルな感じがしないでもないですが(殴)、さすがのマントさばきでこれもまた絵になっています。




衛兵隊の場面です↓「そんなに女・女というな」といいながら笑うところ




毒入りワインの場面↓




ただただ残念なのが歌…。(^_^;) 容姿と演技の素晴らしさで余計そう思ってしまいました。最近彼女の歌はあまり気にならなくなっていたのですが、今回はどこか麻路さきを連想してしまって(殴)、ちょっとひっかかりました。
「わが名はオスカル」という歌の音域が弱点を増幅しているように感じました。

今回の公演で客席(タカラヅカ初見の人も多かったようです)をどよめかせたのが一幕終わりのペガサスに乗って登場する場面。
本人がNow on Stageで語っていたところでは5階ぐらいの高さがあるとか。確かに高かったです。

今回のペガサスはバージョンアップされていて、形もリアルで翼も頭も動き、クレーンの動きもギクシャクせず滑らかでした。ただし、話題作り優先でいささか唐突に登場させるところが某理事らしいですね。(笑)

勘弁してくださいよと思ったのはフィナーレのこれ↓



なんかニューハーフのショー(殴)みたいな性別不明感があって、いいとは思えなかったですね。


実咲凜音のロザリーですが、役としてはなんともかわいそうです。

出番も少なく、あまりしがいもない今回の芝居ですが、せめてもの演出家の配慮なのか、プロローグとフィナーレの二度のエトワール!で、さすがの美声を存分に聞かせてくれました。


歌は本当にうまいです。安心して聞き惚れるという点では朝夏まなとと双璧。





その朝夏まなとのアンドレですが、久しぶりに見る朝夏まなと、「翼ある人々」で印象一新した私たちの期待に違わず、アンドレを好演していました。





そして歌!

彼女が歌いだすと本当にほっとしますね。最後の凰稀・朝夏・実咲のトリコロールダンスでも実咲凜音とともに美声を聞かせてくれています。


ただ、橋の上でしつこく狙撃される例の場面の演出はもう食傷です。10数発で絶命って、防弾チョッキでも着ているのか?と突っ込みたくなります。普通、最初の一発で欄干に隠れてその後の被弾は避けるだろっ!といいたいですが、いつ観てもクドイ演出です。弾数もますます増え続けている気がします。(笑)
アンドレの死といえば、アンドレが天国からオスカルを迎えにこないのもいいとは思えなかったです。「花のいのち」という新曲を歌ってオスカルが一人で昇天するのはかわいそうです。

緒月遠麻のアランは、これまでの歴代のアランとちがって、かなり老けた役作りです。(笑)

たたき上げの剛腕の下士官というより、影のある老練な隊士という面が強く出ているのが新しくユニークなところです。

オスカルに敗れたところ↓

これもNow on Stageで語っていたところですが、意識的に緒月遠麻はその線を出したとのことです。このあたり、役代わりの七海ひろきがどう演じるのか、興味あるところですね。
↓フィナーレで新曲を歌っていました


そしてそのジェローデルの七海ひろき。これまであまり私は彼女について注目してこなかったのですが、今回のジェローデルを観てよさを再発見しました。
なによりマントを着て登場しただけで、爽やかなたたずまいの良さに感心しました。





役に合ったキャラクタ作りに苦心の跡を感じました。今回観て好感度アップでした。この人ももっと歌に精進してほしいです。

今回で退団してしまうベルナール役の蓮水ゆうや。演出の変更で出番が少なくなっていますが、そんな中でも好演していました。革命への熱意がよく伝わってきていい演技でした。

退団が惜しいです。組のメンバーの彼女に対する惜別の思いがNow on Stageでも本当によく出ていました。それを見るだけでも価値があります。

気になったのは今回挿入されたオスカルの少年時代(星吹彩翔)の場面。いらないですね、これ。あまり似てないし。まあ少しでも出番を増やそうとしたのでしょうが。


衛兵隊で目を引いたのが蒼羽りく(ですよね)のヴェール。強烈な存在感があって、はじめはこちらをアランと思ってしまったり。


娘役はオルタンス役の純矢ちとせをはじめ、伶美うらら(きれいです!)やすみれ乃麗など、期待していたのにほとんど見せ場がなくがっくりでした。本当にもったいない。




フィナーレのショーはこれまでになく長く、バラのタンゴがウリのようですが、私は上に書いたように「ご勘弁を」な場面でした。(笑)
新味を出そうといろいろ見せ場を作っていましたが、やはり最後の実咲凜音が堂々のエトワールで満足しました。

ということで、いろいろ感じることの多かった観劇でしたが、一度は見ておくべき公演だと思いますよ。(手遅れかな(笑))
それと、スカステに加入している方はぜひ事前にNow on Stageをご覧ください。生徒たちの真剣な役作りがよくわかります。それと先に書いた蓮水ゆうやの退団にまつわる話も心温まります。

今回も偏見と妄想だらけになった拙い感想になりましたが、ここまでご覧いただきありがとうございました。

(2014-05-12)

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