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兵庫芸術文化センター・「完全姉妹」の不完全な感想

2013年05月26日 | 観劇メモ

宝塚は6月後半の「ロミジュリ」まで予定がなく、やや禁断症状を覚えてきている昨今ですが、25日に兵庫芸術文化センター・阪急中ホールで真野響子×眞野あずさの「完全姉妹」を観てきました。

ヨメさんは名の知れた姉妹の二人芝居ということと、なにより3,000円という破格の価格設定に目がくらんだ(笑)らしく、いつものように私の意向など無視して(諦)、チケット購入手続きを済ませていました。

といっても、私もなにしろ(往年の)美人姉妹の舞台ということで、観たいが半分でも値段が値段なので期待も半分といった感じで劇場に向かいました。(笑)

正午に劇場に到着、1時開演なのでそれまでに昼食をと、劇場内にあるカフェ(レストランへの通路にあります)でサンドイッチとアメリカンコーヒー(ヨメ)&カフェラッテ(私)を注文し、外のウッドデッキで食べました。
気温は高くなっていましたが、乾いた気持ちのいい風が眼下の欅の木立を吹き抜けてきて、快適でした。


でもこれで2,000円オーバー!の値段はいくらなんでも法外だと思いませんか?


内心ボラレ気分を感じながらも(笑)、腹ごしらえもできたので開場少し前に劇場の入り口に向かいました。
オープン時間まで小さい展示コーナーを観て過ごしました。


座席は阪急中ホールのO列とかなり後ろですが、全体にかなり傾斜がついているので見やすい席でした。ただし通路が変則的なステップ幅の階段なのでヨメさんは席にたどり着くまでに苦労していました。観客の年齢層は高めでした。

脚本は中津留章仁。
配役は、大橋樹(姉) 大橋雅(妹)

舞台上のセットは、主演2人が着替えている間に、3人の引っ越し作業員風の男がセットを片付けることで転換します。

大まかな話は以下の通り。(公演関係PDFから引用)

夫に先立たれた姉と、結婚出来ない妹。姉妹仲はすこぶる良い。
姉の夫は経営者だった。結婚したとき、夫はすでに具合が悪かった。
姉は夫の親族から、夫の財産目当ての結婚だと思われ、疎まれていた。
妹は結婚をしなかった。一生一人の男を愛するなんて出来ない。
それが彼女の結婚出来ない原因だ。妹は姉の夫と不倫していた。
姉のものがどうしても欲しくなる性分だ。
二人の姉妹は、同時に一人の男性を愛した……。
姉妹であり、恋敵であり、親友でもある二人は、その前に、
わたしではないひとりの“女”であることに、
そろそろ気づきはじめた……。


少し遅れて幕が上がると、舞台上には一組の長椅子とテーブル+別に2脚の椅子とテーブルが置かれ、部屋のブルーの壁には絵の入っていない額縁だけが飾られています。
話は、妹が掃除しているところに姉が帰宅、妹の買ってきたワインを二人で飲みながら語りだすところから始まりました。

始まってすぐ気付いたのは、姉の台詞は普通に聞き取れるが、妹のほうはほとんど聞き取れないということです。

この違いは、帰宅後この資料を読んでよくわかりました。
お姉さんは大学の演劇科を卒業後、劇団民藝に入団しているのですね。それで舞台演技の基礎ができているのだと思います。

でも、妹さんは大学在学中よりCMモデルを務め、卒業後TBSのドラマ「風の鳴る国境」で女優としてデビュー。舞台の本格的なトレーニングは受けていないようです。
その差は明白で、今回の舞台でもドラマの演技のように早口かつ抑揚の小さい台詞なのでかなり聞き辛かったです。だんだん調子が出てきたのか、後半はそれほどでもなかったのですが。
この辺りは新歌舞伎座で観た「しゃばけ」の一太郎役・沢村一樹と共通する感じです。

そしてなにより脚本が眠いです。これがすべて。

聞き取れない台詞をなんとか理解しようとしても、なにしろ山も谷もないに等しい話です。
その話を、台詞回しは違っても、声の質の似た二人が演じると、二人芝居というより1人の中年女のとりとめもない繰り言みたいに聞こえてきて(殴)、睡魔が鎌首をもたげ始めます。

でも途中から、その単調な日常会話が一転します。
携帯メールから、2人が同じ男を取り合っていることがわかって、いよいよこれから修羅場が始まって、夥しい罵詈雑言の応酬という展開になるのかと期待したのですが(笑)、これが大したことがなく不発に終わりました。

ダンベルが金だったり、料理本の間からお金が出てきたりしますが、コメディにしてはテンションの低い笑いの台詞なので、盛り上がりません。それでも結構笑っている人がいたのが不思議でしたね。まあ笑うしかないということでしょうか。

結局この芝居、ところどころに社会批判めいた台詞があるものの、最後まで主題はよくわからないままでした。
最後は老人ホーム風の場面になって、姉が車椅子に乗り、妹がそれを押しながら、人生を振り返る場面で終わっていましたが、脚本家がいいたかったことは最後まで見えてきませんでした。
この場面での二人、お姉さんのほうが顔もふっくらして若く見えるので、役は逆でもいいかもと思いました。

主演二人が棒なわけではなく、特にお姉さんは声もよく通り、表情もメリハリがあっていい感じでしたが、上演時間が短く(観劇割引後の駐車料金は450円でした!)、波乱万丈には程遠い単調な脚本なので、良くまあやっているなあと逆に同情したくなるほどでした。
というわけで、観劇を終えたあとの満足度(当社比)は近年に無く低くなりました。ただ、チケットの価格を考えたら相応のものだったかもしれません。

来月の星「ロミジュリ」や、7月の宙・全ツー「うたかた‥」の観劇がますます待ち遠しくなってきました。



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