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許せない電気料金値上げ!「燃料費高騰」は放漫経営の結果

2013年05月08日 | 日記

4月1日から、関電管内では電気料金が約10%も値上げがされることになりました。
理由は「原発停止に伴う火力発電のための燃料費高騰」だそうです。

実際、マスコミ(原発やTPPの報道に限って言えばマスごみといった方がいいかも)も口をそろえて、関電や政府の値上げ理由の説明を何の検証もなしにそのままタレ流しています。
それを聞いて、「そうか、やはり原発を動かさないとだめかな。燃料費が高いから仕方がないのかな」と、不満に思いながらもあきらめている方もいられるかもしれません。

しかし、なんでそうなるのかと思いますね。

もともと、震災前から、韓国や台湾、米国と比べて2~3倍の高い電気料金の設定で暴利をむさぼっておきながら、なんで火力発電だと大赤字になるのか理解できないからです。
そのわけは、自社の発電設備で作った電気を関電に卸売りしている電気事業者の存在です。これらの電気はすべて火力発電で行っています。主な事業者としては電源開発神鋼・神戸発電所(総出力140万kW)、大阪ガスの泉北天然ガス発電所(110万9千kW)などがあります。

関電が火力発電のために大赤字になっていると騒ぐなら、これらの発電事業者も大赤字なのでしょうか。すべて火力発電で石炭やLNGを燃やしているのですから、これらの企業も、発電すればするほど赤字がかさんで経営危機になるはずですね。

でも事実は全く異なります。

例えば神戸製鋼所大阪ガスは火力発電を今後の成長分野と位置付けて、最新鋭の発電所を次々に建設しています。2009年から発電を開始した大阪ガスの泉北天然ガス発電所は最新鋭設備で大きな利益を上げています。大阪ガスグループではガス事業と並ぶ稼ぎ頭としてこの事業に力を入れています。
神鋼の神戸発電所も同様に利益を上げていて、今後の有力成長分野として発電事業についてはさらに設備増強する計画です。

要するに、日本のようなもともと電気料金の高いところでは、普通に発電したら必ずもうかる仕組みになっているのです。

石炭火力というと時代遅れの低効率で煤煙だらけというイメージですが、現在では高効率の超々臨界圧火力発電も実用化され、合わせて排煙の浄化技術も進んでいて環境負荷も小さいため都市部に続々と建設されています。
実は関電を除く電力会社も、近年の火力発電の効率向上を見て最新鋭の火力発電設備を増強していますね。

原発は燃料被覆管のジルコニウムがネックとなって熱効率はせいぜい30%程度できわめて非効率です。
しかし最新の火力発電では、LNGや石炭、重油などいずれの燃料でもコジェネも含めた総合熱効率では70%を超えています
それよりなにより、原発のように、40年稼働させたら、そのあと長期にわたって半減期数万年以上の猛毒のプルトニウムなど大量の放射性廃棄物(原子炉自体が超高レベル放射性廃棄物です)の処理と管理を必要とし、結局トータルに見たら発電した電力以上のエネルギーが必要となる無茶苦茶なシロモノではないのが自然エネルギーや火力発電の強みですね。

それではなぜ関電などが燃料代がかさんで大赤字だと騒いでいるのでしょうか。

私にはその理由がよくわかりません。

ひとつは、上記の独立系の発電事業者に比べて燃料調達努力をしてこなかったということもあるでしょうね。
よく言われる燃料価格が高い理由の説明としては、「電力は安定供給が原則なので、燃料調達契約も長期に安定的に供給される必要があるので割高になる」というものです。
でも、上記の大阪ガスや神戸製鋼所などの卸売電気事業者が大きな利益を上げているのは、不安定な短期契約を結んでいるからでしょうか。そもそも大阪ガスのようなガス供給事業者が、そんな不安定な契約をしているはずがありませんね。

関電管内ではガスと石炭ですが、重油での発電でも赤字ではありません。重油を燃料とした日立臨海発電所や日立造船茨城発電所などは東電に対して最大契約出力約40万kWを売電して利益を上げています。火力イコール赤字というのはどう考えても理解できませんね。

考えられるのは関電などの電気事業者は、原発のように税金も含めた巨額の資金と国策で手厚く庇護された商売に慣れてしまっていて、個々のコスト管理を細かく積み上げるという経営努力を怠ってきた「親方日の丸」体質がここにきて一挙に露呈したということでしょうか。
悪名高い「総括原価方式」で、少々原料費が高くなっても電気代に転嫁できるからということもあるでしょうが、「総括原価方式」が適用されているのはガス事業も同じです(ガスも国際比較したらきっと絶対に高いでしょうね)。

結局関電のいうように赤字の理由を燃料コストにするというのは、わざわざ最新鋭設備の火力発電所を建設しても大阪ガスや神鋼で大きな利益が出ているという事実を見れば説得力がありませんね。自分たちの経営能力のなさを暴露しているだけです。

しかし普通の企業では、製品の原材料が上がったからと言って、すぐ製品の販売価格には転嫁できません。シャープやパナソニック、ソニーの決算の赤字が大きな問題になっていますが、電気事業者の経営者はそれを見てほくそ笑んでいるのでしょうか。

安易な値上げを許している経産省も含めて、こんな電気料金体系について真剣に考えなければいけないと思います。電力事業者も個々の発電所ごとに、もっと詳細な発電コストのデータを国民に公表すべきですね。

原発事故の現状や、放射性廃棄物の最終処分、廃炉を含めた原発による電力料金などについて、まだまだ勉強しなければいけないことが多いです。


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