粗忽な夕べの想い

落語の演目(粗忽長屋)とモーツアルトの歌曲(夕べの想い)を合成しただけで深い意味はありません

真っ当な意見

2012-07-17 13:10:26 | 原発事故関連

将来のエネルギー政策について政府が国民の意見を聞く意見聴取会は、早くも名古屋会場で発言者の選定を巡って一波乱があった。

現役の中部電力社員(動画3分過ぎ)が2030年の原子力比率で20~25%を主張したのが、原因だ。確かに今の風潮で電力会社社員がこうした公の聴取会に参加するのは問題がないことはない。しかし彼が主張している内容は至極真っ当であり、傾聴に値すると思った。

原子力のリスクが過大に評価されている。去年の福島の事故で、放射能の直接的な影響で亡くなった人はいない。5年、10年たっても変わらないと考えている。(傍聴者のヤジの後に)……疫学的なデータからみると紛れもない事実です。5年10年経てば分かります。

原発事故の放射能被害に関して正論を歯に衣を着せず堂々と発言しているのには好感をもった。実際彼の主張にまともに反論できる人はほとんどいないだろう。またこの発言は会社を代表してのものなら問題だが個人的意見ならば、排除するのもおかしい。好意的に解釈すれば、事故以来の放射能へ過剰な危険報道に耐えきれず義憤に駆られたのかも知れない。

メディアは、彼の発言内容よりも、出席者の人選を問題にしている。健康被害の実際を検証しようという視点が全く見られない。発言の途中で「嘘つけ!」のヤジがあったが、そんな人には思わず「(嘘という)証拠を出せ」と言いたくなった。中部電力社員の発言者も同じ心境だろう。

一方で東京の代々木で脱原発を訴える大規模な「市民」集会が行われた。警察発表で7.5万人。大江健三郎氏を始めいつもの著名人が参加していた。そこで音楽家の坂本龍一氏が、相も変わらずの「子供の命」発言を繰り返していた。

たかが電気のためになんで命を危険にさらさないといけないのでしょうか。子どもを守りましょう。日本の国土を守りましょう」

子供の命」なる言葉がまるで水戸黄門の印籠のように、こうした集会に必ず登場する。しかしどのような健康被害が子供たちに及ぶのか、具体的実証は示されない。そこで「思考停止」してしまっている。脱原発の集会に出席する多くの一般市民に共通した情緒先行の考え方といえる。

会場には親子連れが少なくなく、幼児も多く見かけられた。おそらく「子供の命」を強調するための集会主催者の意図もあるのだろう。しかし今年最高の真夏日を記録した東京で、子供たちが熱射にさらされることが決して健康にいいはずがない。