平成21年4月に放送されたNHKのドキュメンタリー番組に偏向があったとして、損害賠償を求めた裁判は東京高裁で原告側の主張を認める判決を下した。戦前の日本による台湾統治についてNHKが極めて反日的な視点で報道したものだ。
日本は台湾住民を差別し弾圧し続けたため、島内には日本統治への強い反感が渦巻いていたという内容だった。その代表例として台湾のある民族をロンドンに博覧会で見せ物扱いしたとして、その様子はNHKは「人間動物園」であると報じた。
高裁はこうした番組内容の偏向性を認めた判決になった。自分自身もたまたまその番組を見ていたが、当時首を傾げたという記憶がある。番組に登場する台湾人が皆戦前の日本統治を否定的に証言していたからだ。
しかし、第三者がその後、番組に登場した人々を取材すると、そんな証言はしていないとか、証言の一部(反日的)だけ報じて親日的証言がカットされたとか、相当番組が特別の意図で編集されていたことがわかった。
台湾は現在は隣国の中では唯一親日的な国だと自分自身考えていたが、その番組はそれを全く否定する内容だった。しかし、それが捏造に近いということを今回の裁判は認めたわけでその判決は画期的であるといえる。
もちろん、NHKはそんな反日的番組ばかりではなく、良心的で優れた番組も少なくない。ただ一部の番組スタッフにそんな偏向した意図で番組を制作している人間が存在しているという印象は拭えない。
特に中国や韓国との歴史認識を巡る問題や沖縄の基地問題の報道では、疑問を覚えることが多々ある。極めて反日的であるという点で問題の台湾報道と通じている。
たとえば、最近のニュースで気になった部分があった。オスプレイが沖縄の基地以外で一般向けに展示されたニュースだった。その中で見学者二人が発言していた。
「地元の人からしたら心配は大きいのかなと思いました」「沖縄以上に安全に気を配って飛んでもらいたい」
自分の印象からはNHKはどうも相変わらずオスプレイを危険な飛行機と捉え、そうした趣旨に沿った発言者のみを登場させているように思えた。
見学に来た人の中には「オスプレイを危険だと騒ぎする」と感じている人は少なくないのではないか。しかし、これまでのNHKの一連のオスプレイ報道を見ると「不安が残る」といった印象操作が身受けられる。そしてその危険機を押し付けられる沖縄はその負担に苦しんでいるというスタンスだ。
安倍首相が最近NHKの経営委員会の新しい経営委員に作家の百田尚樹氏や長谷川三千子埼玉大学名誉教授らを起用したことが物議をかもしている。朝日新聞などの左翼メディアが盛んに彼らは安倍首相に近い右翼的人物だと非難している。それは朝日側からすれば「右翼」に見えるのに過ぎないのではないか。
こうした経営委員はNHKの番組内容を追求する権限がないようだ。ただ経営という側面からこうした清新な風がNHKをあらたな刷新に導いてくれることを期待したい。