粗忽な夕べの想い

落語の演目(粗忽長屋)とモーツアルトの歌曲(夕べの想い)を合成しただけで深い意味はありません

義家弘介議員のビデオレター

2013-12-14 17:41:46 | 国内政治

あのヤンキー先生こと義家弘介衆議院議員は、文部科学省政務官として主に教育行政に携わっている。そんな彼が定期的に保守論壇のネットテレビ「チャンネル桜」にビデオレターで近況を熱く語っている。12日のビデオのタイトルは「教育現場の無責任、教職員の政治活動といじめ認知の問題」となっている。その名の通り、教育関連で最近話題になった事象を2点取りあげている。

最初の「教職員の政治活動」についてだが、これは国会内外で紛糾した特定秘密保護法を巡ってのことだ。特に国会周辺での反対デモの異常とも言える喧噪について「(幟旗をみると)一般の国民というより特定の労働組合等、日当をもらって動員をかけられている組合員つまりプロ」によるものだと批判している。その証拠として組合の旗がたなびく現場写真を掲げ、さらにその中には教職員組合の旗が散見すると指摘している。

そして平日堂々とこんなデモで反対の気勢を上げていることを問題視して、明らかに教師の政治活動を禁止する法律に違反しているのではないかと非難している。「教師の仕事はデモに参加することではなく、子どもと向き合ってその職責を果たすことだ」とさすがにヤンキー先生らしい組合教師批判である。

やはり、自民党議員の義家議員からすれば、国会前のデモは「プロ市民」によって主導されたものだということを実感しているようだ。朝日新聞などが持ち上げる「国民の声」というものとは実態とかけ離れている。特に教職員組織が授業をそっちのけで参加するなど教師の風上にもおけないということだろう。

さらに第二の問題は「いじめの実態」に関してだが、義家議員が意外と思えることを激白していた。文部科学省の24年度の調査でいじめを認知する小中高校が全国で19万件におよび前年より3倍に増えたというニュースについてであった。

調査によると、いじめがあると認知した学校は全体の57%のもなるが、これを「とんでもないこと」としている。その意味は「残りの4割がいじめを認知していない」ということだと義家議員は指摘する。彼に言わせれば「いじめは日常的に起こっている」し、極端にいえば一つの学校で31件はいじめがあってもおこしくないとも見ているのだ。

考えてみれば、自分の小中高校でも程度の差はあれ、いじめらしきものあったし、深刻ないじめにも遭遇した経験がある。人間集まれば、必ずいじめがうまれるというのが人間の摂理といえなくもない。特に義家議員が現場の教員時代を経験しているから余計それを実感しているのだろう。

したがって、彼は調査で最多の32,000件以上のいじめを認知した鹿児島県を「非常にまともでしっかり指導している:と評価する一方で、小学校で31件中学校で81件しか認知しない佐賀県に対して、その怠慢を厳しく批判している。

当たり前に起こっていることを矮小化して隠蔽する学校と起こっていることを認知して対応した学校とどっちが評価が高いかというと当然後者の方が高いに決まっている。」「(認知してくれないと)これではいじめ天国、いじめが起こっても教師は発見してくれないしいじめが起こってもカウントもしてくれずに見て見ぬ振りをしてしまうことになる

よくいじめの事件が報道されると、学校側はいじめはなかったと当初は弁解するが、詳細を調べるうちに深刻ないじめがあって教師や学校が見て見ぬ振りをした実態が明るみになることが多い。まさに義家議員が指摘する通り「隠蔽体質」が根本的な問題といえる。

したがっていじめ問題を解決する根本は、いじめがあるという前提で現場の生徒たちが日常をしっかり観察し、謙虚に子どもたちの声を聞くことしかないだろう。もちろん、それもできずに国会前で気勢を上げるなどアウトだ。

ヤンキー先生には今後も大いに期待したい。教育行政には現場体験者の立場から鋭い切り口と子どもを見つめる優しい目で取り組んでもらいたいと思う。