一主婦の「正法眼蔵」的日々

道元禅師の著書「正法眼蔵」を我が家の猫と重ねつつ

豪華客船

2008年04月16日 | Weblog
 先日テレビで世界一周する豪華客船の番組を見ていて疑問が残りました。その客船のなかには、退屈しないための施設がびっくりするほど整えられています。プールやバスケットコートやジョッギングレーン、ダンス等のスポーツ施設、エステ、チェアデッキ、図書館、映画館、ジャグジー、レストラン等々、まあこの船のなかにこんなにいろいろな施設がつくれるのかという程沢山の施設があるのです。

 これをみていて、なにか欲張りだなあと感じてしまいました。

 現実はもの足りない、つまらないもので、なにかもっと楽しいこと、刺激的なものを探してなくてはいけないものなのでしょうか。

 仏教的には、現実は、目の前にみえる世界は、静寂であり、恵み深いものであるとしていて、目の前の世界を尊敬の念をもって、最高の教えとして受けとめています。

 私は「正法眼蔵」に出会うまでは、現実は信頼に足るものではなく、自分の力でどうにかしなくてはと思っていました。でも現実を信頼できない根本的な原因は、現実が信頼に足らないものだったのではなく、自分が無知だったからなのです。自己や世界を正しく認識しないことから、物事に対する執着や煩悩が生まれ、そこからさらに迷い、苦しみが生まれる。道元の著書「正法眼蔵」は自己と世界の真相を知ろうとして書かれたもので、その思索の徹底性によって道元の思想は普遍性の深みに達しているといえよう(注)、と言われています。「正法眼蔵」を読むことによって自己と世界の真相があるんだと思うようになってきました。

 現実の姿は同じままで私たちの前にあるのに、真理を知るのと知らないのとでは、つまらない世界にもなるし、十分満ち足りた世界にもなります。

 私は豪華客船にのって現実をもっと楽しいものにするよりも、真理を知ることによって、現実を十分満ち足りた世界にしていきたい。

注:頼水光子「道元 自己・時間・世界はどのように成立するか」NHK出版 2頁

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。