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…漁師アトムの航跡… ~ある沖乗り漁師の綴記~

秋刀魚漁22航海目!

2006年10月21日 | ブログ

19日朝5時半、女川市場の駐車場に着くと

丁度、弟が乗り組む船が接岸中でした。

ここ数航海、1日ずれての航海だったので

久々に船に向かい、顔を合わせ会話を少々。

前航海、久々に女川に入港した際、

駐車場に停めていた車のエンジンに水がのっていて

エンジンがかからず、修理に出したという事で

自分の車の鍵を預け、船に向かいました。

6時20分、女川出港、漁場向け!

2時間程沖出しすると周辺海域を

18_058

鱈縄漁船が適水中でした。

この海区は「真鱈」の

好漁場です。

我々はさらに航走、夕刻まで!

スタンバイ後17時から調査を開始しましたが

中々、操業できるような群れに当たらず

沖よりに調査しながら小群れを数回操業、

他船は順調に操業しているようですが

我々は調査航走の時間が多く、

「今夜はダメか!」プロッターを見ると、

女川までは120哩程ありますので

時間に余裕がなくなってきていました。

18_060 沖よりには、

韓国の秋刀魚漁船が操業中。

そんな中23時頃、

ついに大群に遭遇!

しかし最後の操業で網を破損してしまいました。

0時30分、終わり!女川向け帰途航走。

11時女川入港!入港30分くらい前に

1隻に追い越されましたが、入港船は

2隻しか居らず、水揚げ中に各船が

数隻、入港してきました。やはり昨夜は

各船、漁模様があまり良くなかったようです。

水揚げ後、網修理を行い、6回目の48時間休漁!


秋刀魚漁21航海目!

2006年10月19日 | ブログ

18日、船に到着して市場を見ると

親戚で我々の船の前船長が乗船している千葉県、

銚子港の船が接岸していたので久々に顔を出しました。

相変わらず元気そうで安心しながら独特のエールを掛け合い、

船に戻り朝7時20分、女川港を出港!

目指した漁場は、故郷、南三陸の緯度線上の沖約80哩!

やはり出港時は乗組員全員がここ数航海、

船橋サイドに並び、目を凝らしながら・・・!

18_011_215時30分、スタンバイ!

17時から調査、

18時30分、1回目の操業も

やはり魚体組成が悪く南へ調査を進めて行きました。

20時過ぎから操業が本格化、

魚体組成が1-5-4くらいの群れを連続操業。

22時、ついに大群を当て、23時、終わり。

秋刀魚漁船の船団を一番早く抜け、帰途航走!

次第に遠くなる漁火を見ながら漁師の醍醐味を感じ、

「魚価さえ良ければなぁ」と仲間とつぶやき、入浴の番を待つ。

昨夜は2番当直の為、1時間半ほどの睡眠で起こされ、

目薬を注しながらの当直でした。

入港予定時間は6時半頃、

4時に交替し少しでも眠ろうとしたが寝付けず、

それでも横になっただけでも若干安らげるのは

船上生活の慣れでしょう。

6時、入港前のスタンバイは網地島周辺、

先日の座礁、遭難現場とはすぐ目と鼻の先。

この日の朝女川港から出港した僚船、数隻も

我々と同じように島々を縫うように航走しており、

弟が乗る船も見えました!

6時20分女川入港、

入港前に追い抜かれた北海道、

根室船団の最新鋭船に次いで2番船。

水揚げを終えて帰宅の為、車に乗り込んだ時

数隻が入港してきました。

帰宅にかかる時間は約1時間半、

昼頃には「帰宅できそうだ」とか思いながらも

秋の爽やかな風に誘われ、少しだけ遠周り!

山里を通って、前の航海に帰宅する際、

船に忘れたデジカメをもって、しばしの撮影!

久しく更新していないHP(漁師アトムのアルバム)

「故郷の便り」用に!


秋刀魚漁20航海目!

2006年10月17日 | ブログ

16日、6時20分、女川出港!

出港後すぐ、乗組員皆んなが

船橋の両サイドに立ち、原発周辺から

網地島周辺まで「何か」を探し海面を

見つめて行く!

網地島を過ぎ、漁場に向けてコース60°

昨夜宮城船団が操業した海区を目指しました。

台風18号の影響か、うねりが若干高い。

微速での航走で13時45分、漁場着、漂泊。

15時30分スタンバイ、17時から調査開始!

17時20分頃、1回目の操業。

魚体組成が悪い。

1-3-6(大1割、中3割、小6割)で

久々に小サンマの割合が多かった。

その後大きな群れに当たらず、操業、航走と続き、

西側へ調査を進め、わりと大きな群れに当たり、

魚体組成もいくぶん良くなり、1時、終わり!

気仙沼港の東、約40哩での操業でした。

帰途、女川向け5時入港。

我々より速力の優る船、3隻に追い抜かれ

女川入港は4番目、その後1隻が入港し

朝7時からの1回目の入札に間に合ったのは

5隻でした。

我々が水揚げを終えた10時過ぎに、

数隻が入港してきました。

夜明けまで操業した船が多かったようですね。

うねりが高めだったことから、

各船、大きく海区移動する事無く

操業したようです。

漁場が近い気仙沼、女川港に入港船が

集中傾向にあり、魚体組成も悪い事から

魚価は益々暴落しました!

岩手県の宮古沖~気仙沼沖までの

低水温域分枝の潮境、随所でサンマが見られ

魚体組成の割合はまちまちです。

宮古沖が一番割合が良かったようですが!!!

女川港からの帰宅途中、晴れ渡る空に

秋を感じました。

気が付けば10月も中旬、秋たけなわです。

昨年までなら山へ行き秋風に吹かれ

リフレッシュしていたのが、今年はまだでした。

なにかと意気消沈ぎみだったため、

気付かずにいたのですね。

帰宅後、我が家の畑に行くと、この間の大時化で

「柿」がほぼ全滅!落ちていました。残念ながら!

この柿の木は祖父が孫のために植えた木でして

毎年秋になって秋刀魚漁の休みの日に

収穫を楽しんでいました。

ここ数年は子供達を連れて収穫していましたが

先日の大低気圧は収穫の楽しみまで

うばって去って行きました!

窓の外はすがすがしい秋の空

木の葉は次第に色を変えています、

秋刀魚漁も、どうやら中盤戦を過ぎたようです。


秋刀魚漁19航海目!

2006年10月14日 | ブログ

10月13日、6時30分、気仙沼港を出港!

東北東へ約10時間航走し、15時30分スタンバイ!

17時から調査を始め、17時30分から操業開始。

魚群は薄く、魚体組成も悪かったので

4回程操業し、約1時間南下、

福島の船団が操業中のポイントに着!

魚体組成は良かったが、灯付きが悪く

操業回数の割には魚艙に秋刀魚が入らない。

N39°12  E143°36~N38°58  E143°45

水温は14℃台から15℃台までいろんな潮境を調査。

日付けが変わり、14日、0時30分、あと魚艙1つという

ところで、あきらめ南下帰途航走、女川向け!

10時、女川入港、水揚げ。

あの大時化がうそのような穏やかな女川港。

水揚げ中に、1遺体が発見されたとの一報が届き

遺体の身元確認の為、本船に乗り組む身内が

海上保安部、塩釜港に向かいました。

今回の海難事故の精神的ショックは

乗組員皆んなに大きく残ったようです。

船体の構造的には我々が乗船する船より

はるかに大きく、最新鋭で、

あの船が遭難するくらいの時化では

我々の船ではひとたまりもない!との考えを

皆んながもったようです。

「時化は怖い」という認識をあらためて感じました!

女川港市場駐車場から自宅までの走行距離、59.9km

一緒に乗り組む親戚と会話しながら帰宅!

つくずくのんびりしたいと思う48時間休漁です!