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タッチ・東宝/小学館

2014-08-25 08:54:32 | 映画・DVD・CD

 タッチは、1981年から1986年まで小学館の週刊少年サンデー誌に連載されたあだち充さんの漫画を映画化した作品。2005年に東宝の製作で公開された。


 原作漫画は、いわずとしれた高校野球を舞台にした野球漫画の名作といわれる作品。映画のほうは、当時売り出し中だった長澤まさみさんを主演にすえたいわゆるアイドル映画になっています。共演は、上杉和也、達也を演じた双子の斉藤兄弟に、両家の親を小日向文世さん、吹雪じゅんさん、宅間伸さんが演じて脇を固めています。監督は、ジョゼと虎と魚たちの犬童一心監督。


 物語は、上杉達也と上杉和也は双子の兄弟。スポーツにも勉強にも万能の弟の和也に対して、兄の達也は何事にもいい加減な性格だった。そして二人の隣には、幼馴染の浅倉南が住んでいる。「甲子園に連れて行って」という南の夢を叶えるため、弟の和也は野球部に入部しエースとして活躍を始める。しかし地区予選決勝に向かう途中で交通事故死をしてしまう。和也と南の夢をかなえるため、兄の達也にバトンは引き継がれた・・・。


 テレビアニメは、1985年から1987年までフジテレビ系列にて放送され、全三部構成の101話。劇場版アニメでは、テレビ版を再構成して、こちらも全三部作として公開されています。オリジナルのテレビ版長編アニメ2作品と、実写版でドラマ化もされている。1981年から1986年までの5年間に渡って連載された、単行本26巻という作品を116分という2時間弱に収めるわけですから、元々かなり無理があります。またある意味、長澤まさみさんのための映画なので、主役が上杉兄弟から浅倉南へと変更されています。フアンの多い名作といわれる漫画が原作ですから、アマゾンやネット上の評価でも星★~星★★★★くらいと、評価もばらばら。原作では、ゆるやかな時間が流れる独特な間(ま)をコマ割の余白で表現するような作風でしたが、劇場版では原作のエピソードを時系列順に並べた、超特急のダイジェスト版のような感じになっています。このため特に原作を期待して見た方からは、あまり高い評価は得られなかったようです。


 ただ犬童一心監督は、長澤まさみさんを魅力的に見せるアイドル映画を作りたかったとインタビューに答えられているようで、もともとこのようなフアンの多い長編漫画を再現するという無理な方向ではなく、そちらの方に焦点をあてて作られているようです。そのような意味では、当時18歳の長澤まさみさんの魅力を切り取った刹那的な瞬間は、きちんと映像の中に収められているよう思います。


 タッチといえば、岩崎良美さんが歌ったアニメの主題歌が有名ですが、これもカバーですが劇中のある瞬間に流れます。これがなくては、やはりタッチという気がしません。惜しむらくは、カバーではなく岩崎良美さんのオリジナルバージョンを使ってほしかったところ。演出のため、映画のポイントとなるシーンで一回限り流れるという方法をとったのでしょうが、映画のオープニングにオリジナルバージョンの主題歌を持ってきていたら、よりタッチの映画化という雰囲気が醸し出されていただろうという気はします。ちなみにこの楽曲を岩崎良美さんが歌うことになった経緯とは、アニメ版の監督がベテランの歌手にと譲らなかったからとか。結果的に曲はヒットし彼女の代表曲ともなったわけですから、先見の明があったということなんでしょうね。


 喫茶南風や犬のパンチなど、原作の再現もかなり力が入っています。特に原田正平役のRIKIYA氏がいい味出してる。ただ夏の高校野球を題材とした作品なのですが、映画の撮影された時期は春先。夏の甲子園特有の汗や日差し、高い空などはあまり感じられません。ここが再現できていれば、青春映画としてもう少し評価も高かっただろうとは思います。


 こちらは、少年サンデー最大の発行部数を記録した1983年時の連載作品を再掲載して、2009年に発行された少年サンデー1983「ぼくらの青春」永久保存版。


 やはりこのときのメインは、タッチとうる星やつら。あだち充氏の伊集院光氏との対談も納められている。


 これは、作家さんがそれぞれ一番好きな回を選んで掲載する趣旨となっていますが、あだち氏はあえてなにも事件が起こらないエピソードを選んでいる。原作の方も、大半は何もおこらないゆるやかな高校生活の中を、ゆっくりとストーリーが進んでゆくというような作品だった。


 この長い話を2時間弱に纏め上げた脚本はなかなか健闘していると思うし、主演の長澤まさみさんは、浅倉南の雰囲気を充分再現できていると思います。東宝が力を入れて製作し、小学館、日本テレビと大手が組んで作られた作品なので、一定レベル以上の水準はクリアされていると思います。


 というわけで個人的評価は、タッチの実写映画化として見ないで考えた場合で星★★★。岩崎良美さんのオリジナル主題歌をオープニングに持ってきて、夏の甲子園の暑さが再現できていれば、青春映画として星★★★★といったところでしょうか。



参考:Wiki タッチ(漫画)の項、少年サンデー1983「ぼくらの青春」永久保存版/小学館


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