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80年代Cafe

80年代を中心に、70年代後半~90年代位の懐かしいもの置いてます。
あなたにとって80年代はどんな時代でしたか。

ゲームブック・影の伝説/チャレンジャー・勁文社

2007-07-03 22:22:07 | ゲームブック

 これは勁文社(ケイブンシャ)より発行されていたゲームブック、アドベンチャーヒーローブックスの『影の伝説』と『チャレンジャー』です。発行日は、どちらも1986年(昭和61年)となっています。どちらもFCの人気ゲームをゲームブック化したもので、このケイブンシャ以外には、双葉社より文庫本の形で『ファミコン冒険ゲームブック』というシリーズもありました(このシリーズ80冊以上出ていたそうで、今でもブックオフなどでよく見かけます)。


 こちらは、ギャグ漫画っぽくアレンジ。


 こちらは、劇画調。

 こちらのケイブンシャのシリーズも46冊+αほど発行されているようで、ご記憶にある方も多いのではないかと思います。こちらもFC~PC-エンジンあたりのゲームが中心ですが、それだけに留まらずガンダム、Zガンダム、ボトムズなどのアニメ、宇宙刑事シャイダー、仮面ライダーブラックなど特撮もの、ナイトライダーなどの洋画等、多彩なテーマを取り上げていたようです。ほとんどの方が、勁文社(ケイブンシャ)という名前をどこかで聞いたことがあると思いますが、子供向けの豆本『大百科シリーズ』を発行していた出版社です。FCブーム以降には、『ファミリーコンピュータ・ゲーム必勝法シリーズ』も発行していました。ということで、このある意味脈絡の無いゲームブックのラインナップも、なんとなくわかるような気がしますね。また今でも豆本は見かけますので、気付きにくいですが、勁文社(ケイブンシャ)自体は2002年に倒産してしまっているそうです。


 チャレンジャー(ハドソン)


 影の伝説(タイトー)

 このシリーズは、幼児から小学校低学年向けに書かれていますので、私は当時遊んだことはありませんでした。ファミコン発売時(83)から、スーパーマリオ(85)やドラクエ(86)の大ブームになる頃までは、発売されるFCソフトの本数自体もそれほど多くなく、中古店も個人でやっているところがほとんどでしたので、FCソフトはそう簡単に買える物ではありませんでした。80年代後半になって『ブルート』等の大手チェーンができてから、やっと中古品が普通に買える(流通する)ようになりましたが、それまでは1本1本のソフトがけっこう大きかった様に記憶しています。この頃のゲームで遊びたいという(子供の強い)気持ちを、少しでも満たすためにこのようなシリーズが発売されていたのでしょう。新品ソフトは1本5,000円~ほどしましたので、500円~くらいの子供のこづかいで買えるゲームブックは、当時それなりに意味を持ち、それなりに大切な存在でもあったのだろうと思います。


 この頃にファミコンの洗礼を受けた子供たちというのは、(ゲームに関して言えば)幸運だったような気がします。今でも熱中するようなゲームや、目をみはるようなゲームというのは登場しますが、あの頃のような“わくわく感”をゲームより感じることは、もはやないように思えます。表紙から当時の子供のわくわく感が、なんとなく伝わってくるような気がしますね。


ゲームブック・トカゲ王の島・社会思想社

2007-05-13 14:05:46 | ゲームブック

 『トカゲ王の島』は、1985年に社会思想社より発売された、ファイティングファンタジー7番目の作品です。著者はI.リビングストン。彼の作品らしく、舞台となるタイタン世界の描写など、物語背景にこだわったオーソドックスな作品となっています。RPGシナリオのジャンルとしては、野外での冒険が中心のフィールド・アドベンチャー型になります。

 物語は、アランシア西方の漁村・オイスターベイを、主人公が訪れたところより始まります。オイスターベイの若者たちは、トカゲ王に統治された火山島に奴隷として連れ去られています。プレイヤーは、旧友より若者達を解放することを依頼され、アランシア遥か南方の湿地地帯に住むトカゲ兵達の前線基地である、この火山島に乗り込むことになります。舞台となるのは火山島ということで、砂浜→ジャングル→沼地→鉱山→山岳地帯と野外での冒険となり、巻末の解説では『インディ・ジョーンズ』ばりの冒険活劇とされています。確かに鉱山に囚われた若者達を救い出し、ブードゥ魔術を駆使するトカゲ王と対決をするくだりは『魔球の伝説』を連想させます。また砂浜に登場するお約束の巨大ガニや、首狩り族、洞窟にひそむケーブ・ウーマン、恐竜ステゴザウルスに乗った騎竜兵など、レイ・ハリーハウゼン(Ray Harryhausen)のストップモーション作品を、連想させる展開もあります。著者I.リビングストンの世代的なものもあるのか、懐かしい冒険ものといった感じになっています。

 またトカゲ王の頭には、ワキワキと動く寄生生物が取り付いており(表紙のトカゲ王の頭にあるのは角でも冠でもなく甲殻類みたいな足)、これを倒すための情報を山岳地帯の呪術師より手に入れる必要があります。ここいらあたりの設定には、『遊星からの物体X』や、『エイリアン』的なテイストも入っています。このように書くとかなり面白そうな作品という感じがしますが、当時遊んだ記憶はあるものの、今となってはほとんど覚えてませんでした。野外をあちこち移動する展開になっており、詰め込みすぎで少し散漫になった部分もあるかと思います。またFFシリーズも7作目となり、少々マンネリ化していたところもあったかも。ただこの後FFシリーズは、ホラー『地獄の館』、近未来バイオレンス『フリーウェイの戦士』、侍・忍者もの『サムライの剣』とテーマを広げてゆき、2人以外の様々な著者の手による作品も増えて、再び活気付くこととなります。初期の印象深い作品と、中期以降の多彩な作品郡に挟まれて、多少印象の薄い作品になってしまった感があるのは否めないですね。


 というわけでFFシリーズとしては、少し印象の薄い作品となっていますが、ここまで書いたように様々なSF冒険映画へのオマージュがちりばめられています。そういう意味では、今となっては非常に懐かしい感じがする作品だとも言えますね。またリザードマンの軍隊や武装したリザード兵が登場しますが、それらの描写やイラストなどが非常にかっこいいです。当時のRPGでリザードマンは花形のモンスターでしたので、彼らにスポットをあてた作品という意味では貴重かもしれません。

T&Tソロアドベンチャー・傭兵剣士・社会思想社

2007-05-05 18:08:31 | ゲームブック

 『傭兵剣士 T&Tソロ・アドベンチャー』は、『T&T』(トンネルズ&トロールズ)を一人でも楽しめるようにした、一人遊び用のシナリオです。オリジナルの発売元は、米・フライングバッファロー社で、日本では1989年に社会思想社より発売されました。ゲームブック・ブームの頃に、ファイティング・ファンタジーと同じような装丁で出版されましたので、同じ感覚で遊ぶことができました。『T&T』は本格的なTRPGですから詳細なルールブックが必要なのですが、これには簡易ルールが付いており、気軽に遊べるように工夫されています。ソロ・シナリオ『傭兵剣士』と、『青蛙亭ふたたび』が収録されています。


 『傭兵剣士』は、低いレベルの戦士向けのシナリオです。パラメーター数は160弱ほどしかない、ごく短い冒険のシナリオです。とはいっても本格的なTRPGシナリオですから、ゲームブックよりやってきた読者は、このシナリオに入る前に、キャラ作成とルールの把握に一苦労することになります。CRPG(コンピュータRPG)と同じく、サイコロをふり体力、知力、魅力、器用度などを決め、種族、職業(役割)を決定します。後は、所持金と相談しながら、武器・装備を選べば終わりです。ゲームブックと異なり、一度作ったキャラは(死なない限り)次の冒険へ持ち越せ、経験点に応じてレベルUPも果たします。冒険で手に入れた魔法の武器・アイテム等も、そのまま持ち越せますので、キャラに対する愛着が強くなるわけです。せっかく育ったキャラも死ねば終わりですから、400ほどパラメーター数のあるゲームブックと比べても、かなり濃い冒険となるわけです。


 『傭兵剣士』は、魔術師モンゴーが最近買った塔の地下の見取り図を、彼の雇われ剣士となって作成するというシナリオです。『シックス・パック』(六本入りビール箱)という名前の岩悪魔が、パートナーとなって助けてくれます。160弱ほどのパラメーター数ですから、迷路や罠は大したことはないのですが、ゲームブックと違って死んだらせっかく作成したキャラがパーになってしまいますので、かなり緊張感を感じることになります。“ほうき拳”や“赤いローブの僧侶団”などといった敵と戦いながら、はしけを使い地下水路を抜け、無事に出口までたどりつくことができれば、迷宮内で手に入れた金貨と魔法のアイテム、経験点などがキャラのものになり、次の冒険へと旅立つことができます。このように普通のCRPGと同じく、キャラを成長させてゆく楽しみがあるわけです。このことによって、ゲームブックと比べてもかなり面白いものになっています。


 『青蛙亭ふたたび』は、『傭兵剣士』より少し複雑になった低レベルのキャラ向けのシナリオです。『青蛙亭』の主人の依頼を受けて、“赤いローブの僧侶団”に盗まれたアイテムを取り戻すために、地下寺院を探索することになります。こちらにも岩悪魔が再び登場して、パートナーとして一緒に行動してくれます。こちらで面白いのは、モンスターにつかまって奴隷となり『カザンの闘技場』(別シナリオ)で戦う運命になったり、テレポート装置を作動させてしまい『デストラップ』(別シナリオ)に飛ばされてしまったりと、外部のシナリオへと繋がっているところです。こういう部分もシナリオとキャラが、別々の独立した関係にあることを実感させてくれます。(RPGですから当たり前ですが、ゲームブックの場合には、シナリオとキャラが不可分な関係のため新鮮に感じるわけです)。シナリオ外にも、広い世界が広がっているということを感じさせて、想像力を刺激してくれるのですね。


 ということで、はまれば下手なコンピュータRPGには負けないほど、結構面白いです。ゲームブック・ブームも去った90年代始め頃には、古本屋にいけばこの手のものがごろごろ転がっていましたから、(100円でできる)お手軽な暇つぶしとして楽しみました。80年代のように、きちんとサイコロ振って遊ぶというより、読み流してその世界を気軽に楽しむといった感じでしたが。ということで、自分にとってのゲームブックのマイブームは、80年代と90年代と2回あったわけです。

ゲームブック・ドラゴンブック・富士見書房

2007-05-01 21:53:19 | ゲームブック
 
 これは、富士見書房の『ドラゴンブック』というレーベルから、80年代に出ていたゲームブックです。ドラゴンブックは、富士見書房の主にファンタジーやRPG関連を扱うレーベルとして、85年に創刊されたようです。80年代のゲームブックブームの頃には、社会思想社のファイティング・ファンタジーや、東京創元社のスーパーアドベンチャーシリーズと並んでよく見かけましたので、ご記憶にある方も多いのでは。ちなみに現在まで続いている、息の長いレーベルでもあるようです。


 割となじみがあると思われるパックス砦の囚人。


 なんとなくロードオブザリングを思わせるクオーラス城からの脱出。


 ドラゴンランスアドベンチャーの中のひとつ、奪われた竜の卵。


 魔法の王国2、魔術師の王冠。


 ちょっと毛色の変わったドラキュラもの、暗黒城の領主。


 こちらはスカイフォールシリーズ、魔人の沼と黒いピラミッドの謎


 日本人作家もの魔境遊撃隊、栗本薫氏の原作。


 ブラッドソードと呼ばれるTRPGのゲームルール+シナリオセット。

 このレーベル、80年代には海外もののゲームブックを熱心に発売していました。もっとも有名なものとしては、TRPG『アドバンスド・ダンジョンズ&ドラゴンズ』のルールやシナリオを使った『AD&Dシリーズ』があげられるでしょう。キラキラ光る竜のホノグラムが印象的でした。それ以外にも、『スカイフォール・シリーズ』、『ブラッドソードシリーズ』、『D&Dエンドレスクエストゲームブック』(新書)、『ダーティペア』、『戦えイクサー1』、『魔境遊撃隊』などの日本人作家による『アドベンチャーゲームブック』などが出版されていました。また、安田均氏らによる『モンスター・コレクション』、『アイテム・コレクション』、『スペル・コレクション』、『トラップ・コレクション』などのRPG用の解説・資料集や、月刊コンプティーク誌に連載されていた、黒田幸弘氏による『クロちゃんのRPG千夜一夜 1~4』、『クロちゃんのRPG見聞録』などのRPGに関するコラム集などもありました。古本屋のライトノベルコーナーには、必ずといってよいほど置いてありましたので、目にされたことのある方も多いと思います。また姉妹レーベルとして、ファンタジー小説専門のドラゴンノベルズというものもありました。


 ビックリマンもびっくりのホログラム。


 この当時、このD&Dの文字に憧れました。

 このシリーズは当時から、『ダンジョン&ドラゴンズ』のネームバリューと、いかにも洋物バリバリの濃いイラスト(但し生頼範義氏の手によるものが多い)、キラキラと光るホノグラムで非常に目に付きましたね。なんだか重みがあるというか、権威があるというか、ありがたみがあるというか・・。しかし当時私は、これを遊んだことはありませんでした。FFが400パラメーターだったのに対して、こちらは300パラメーター程度と少なかったんですね。今にして思えば、D&Dの凝ったルールを使用しているため、少ないからといって必ずしも内容が薄いわけではなかったのですが、なにしろ当時は、お金がありませんので、少しでも長く遊べそうなものを選んで買っていたのです。私は日本製のアニメ調の絵柄のものは苦手で、バリバリに濃い洋物のテイスト満載の作品が好きなのですが、結局このシリーズは、気になりつつも手に取ることがないまま終わってしまいました。今改めて見ても、このシリーズのイラストは、渋くて味があってよいと思います。


 これは紙質があまりよくないのか、FFに比べても状態の良いものが残ってないです。古本屋で見つけた場合には、たいがいが変色してボロボロの状態です。また以前は結構見かけていたのですが、最近はほんとうに見かけなくなりました。安田氏や黒田氏の解説本も、ちょっと前までは100円コーナーに嫌というほどあったのですが、こちらも見なくなりましたね。20年以上経過しているのですから、当たり前なのですが、普通の古本と違って、これらは懐かしいと感じる人が多いということなのかもしれません(それでもプレ値が付くというほどではありませんが)。


ゲームブック・サソリ沼の迷路・社会教養社

2007-03-18 19:15:26 | ゲームブック

 サソリ沼の迷路は、1984年に発表されたファイティング・ファンタジーの第8弾めの作品にあたります。日本では、社会教養社より1986年に出版されました。作者は、S.ジャクソン。これを紹介する場合にゲームブック関連のサイトではお約束なのですが、このS.ジャクソンはアメリカ人で、イギリスのS.ジャクソンとは別人です。この人は、『カー・ウォーズ』、『GURPS』を代表作に持つゲームデザイナーで、S.ジャクソン・ゲームズの経営者でもあります。FFシリーズでは、他に『深海の悪魔』、『ロボット・コマンドウ』も、このS.ジャクソン(米)作品となります。また、これがFFシリーズ初の、I.リビングストン、S.ジャクソン(英)以外の作者の手による作品となります。

 ゲーム内容は、当時新進気鋭の若きゲームデザイナーの手によるものだけあって、かなり凝ったシステムを採用しています。まずそれまでは、物語にそって前へと進むのみであったシステムを、双方向に移動できるものへと変えています。これまでは、通路に添って前へ進み、部屋に入ってイベントに遭遇するという形だったのですが、これはイベントの起こる広場(番号が付いている)を東西南北の通路で、相互に結ぶという形になっています。広場間を何度も行き来でき、2度目に通った時には何もないという形で、矛盾を回避しています。もう1つは、この作品には善・悪・中立の、それぞれの魔法使いが存在して、それぞれに異なったシナリオが用意されています。同じ出来事に遭遇しても、自分が仕えている魔法使いの属性によって、異なった結果が生じるようになっています。

 物語は、大胆不敵な冒険者である主人公が、老婆を助けた事により、真鍮の指輪を手に入れたことから始まります。実はこれは魔法の品で、常に北の方角を指し示し、人の悪意を感知できるものです。これを手に入れたことにより、主人公は前人未到のサソリ沼に挑む事ができるようになります。そのまま沼に挑む事も出来るのですが、魔法の力を借りなければ散々な目にあってしまいます。そこで善・悪・中立の魔法使いの依頼を受けることで、魔法の助けを借りる事ができるようになるわけです。またそれぞれのシナリオ毎に、エンディングが用意されたマルチシナリオでもあります。それと、この作品で印象的なのは、狼のあるじ、鳥のあるじ、カエルのあるじ、クモのあるじと呼ばれるNPCの存在でしょう。彼らは、それぞれ属性を持ち情報やアイテムを持っています。ただ倒せばよいというだけの敵ではなく、プレイヤーの対応や属性によって敵にも味方にもなる存在になっているのです。


 このように凝りまくった作品なのですが、パラメーター数は400と他作品と変らないため、1つのシナリオが短く、サソリ沼も前人未到という割には狭く感じられてしまいます。この双方向というアイデアを受け継ぎ、よりゲーム性を高めた日本製RPGが3冊組だったり、600~800近いパラメーターを持っていたことからしても少し無理があったのかも知れません。また目的を果たした後も、わざわざ道を引き返して町まで戻らないといけませんので、それも二度手間を感じてしまいます。ただ、それでも果敢に新しいことに挑戦した、先駆者としての意義は揺らがないでしょう。この作品の後にホラーや、近未来ものなど様々なジャンルの作品が現れましたから、少々マンネリ気味だったFFシリーズが、再び活気づくきっかけになったのではないかと思います。