LOTUS BLUE DIARY

インテリアとリビングと手作りのお話

夏草の力

2015-08-17 06:15:29 | フラワーアレンジメント
昨日、8月16日、高山市飛騨の里でウェディングパーティーが行われました。

飛騨の里は、合掌造りなどの農家40余棟を移築して作られた集落博物館です。
会場となったのは、国の重要文化財となっている田口家です。



私は、会場のフラワーアレンジの仕事を仰せつかりました。

立食の大きな丸いテーブル4つ。



じりじりと暑い夏に、ひときわ元気なすすき、向日葵。



今が旬の女郎花、ほおずき。



アレンジの隠しテーマは、太陽と月です。

和でも洋でもないアレンジ、ただ花の咲く姿をストレートに現した活け方をしたいと思いました。

たくさんの料理が乗ったビュッフェ台。



4尺高のパンパスグラスを30本。
デザインの無い無色のストレートなシリンダーに、一種類の草のみです。

14台の座卓。

高さを抑えて活けました。









新郎新婦の座る高砂。



立ち上がった面白い形の花器は、メインらしい盛り盛りのアレンジが可能です。

これらの花器は、コツコツと集めた昭和中期の古道具です。
活けるのに剣山を必要とする、いまどき流行らない古臭い形です。
それぞれ個性のある形ですが、この癖のある形が不思議と花の姿の邪魔にならず、正統的な形のアレンジが決まります。

アレンジは全部で23か所。
使った花器は40個。
全てお貸出しです。
多くのテーブルにあてがうのに、一升瓶やらインスタントコーヒーの空き瓶に障子紙を切って巻いた花器を現場でにわかに仕立てました。
一升瓶は丈の高い草をまっすぐに活けることが可能です。
花器代の節約のつもりが、思わぬ功を奏しました。

花屋さんにオーダーする花以外に、朝市でたくさんの花を安く買いました。
毎日通る散歩道で目星を付けておいて、近所の畑から野草をごっそり分けてもらいました。
すすき、水引、雪柳、かえで、ペパーミントの花、それからへくそかずらの蔓。

マーケットは、前日まで何があるかわかりませんでしたし、野草を取るタイミングもありました。
花を活けるという仕事は、ほぼ即興と言っていいと思います。

そして、花の量より草の量が圧倒的に多い。

活けてみてわかりました。

主は花であっても、草が無ければ花が活きない。

夏草の力に助けられ、夏草の力を思い知った仕事でございました。