遠い空
作詞/作曲 三浦 和人
なくしたものは いったい何
1.
萌える緑と蝉の声 草いきれの道振り向けば
麦わら帽子をかぶった 少年が立っている
擦りむいた膝も気にもせず 悪戯(いたずら)
な笑顔で立っていた
その瞳の輝き 忘れられない
遠い空 描いた それは汚れない夢
遠い空 描き続けた 曇りひとつない想い
なくしたものは いったい何
2.
昔遊んだ 空き地に今 大きなビルが立ち並ぶ
麦わら帽子をかぶった 少年は泣いている
サンダルを靴に履き替えて 虫籠を鞄に持ち替えて
今時の流れに 僕は生きてる
遠い空 願った 僕は 僕でありたいと
遠い空 願い続けた 決してなくさない勇気
探し物は いったい何
遠い空 描いた それは 汚れない夢
遠い空 願い続けた 僕は 僕でありたいと
探し物は いったい何
夏を迎え、南風が吹いてくるようになった。
若干汗ばみ、体全体が濡れたみたいだ。
つい数年前だったら、これが、相当な不快感
になるはずだが、何かしら、懐かしい感覚を
覚える。
そして、このまぶしい日差し中、どういうわけ
か、遠い昔にタイムスリップする。
中学3年の年に、受験雑誌の影響を受けたか、
わたしは、猛然と受験勉強を始めた。
一学期は中1の復習、二学期は中2の復習等々
である。
バカまじめに、「4当5落」を真に受け、いろ
いろな睡眠スタイルを試みた。
結局、睡眠不足だ。体育の授業はフラフラで、
夏場に学習した「バスケット」は全く身につか
なかった。
何の取り柄もないわたしは、点取り虫になった。
受験は人数調整していたので、後で、考えると
特段勉強しなくても、合格したかもしれない。
それを知った時は、いくらか拍子抜けした。
しかし、睡眠不足で、疲労困憊し燃えつき症候
群になっているのに、わたしは、その点取り虫
のレールをおりることは、できなくなってしま
った。
結局、誰かさんの言う「とりあえずの人生」だっ
たようだ。
とは言うものの、年金族に辿り着いたことは、費用
対効果のほうは、とんとんと思うのだが。
「しかし~、」なんて、気分になるからやっかいだ。
強い日差し、うだるような蒸し暑さの中、わたし
の胸中は、遠いあの15歳の蒸し暑い日々の中を
彷徨っている。
何かしら、昂っていた日々だったはずだが。
本当は、何をしたかったのか、受験なんて無かっ
たら。
熱い日差しの中で、遠い昔の夏の日にタイム
スリップして、わたしの思いは彷徨っている。
本当は、何をしたかったのだろう?