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リタイアーのよもやま話

「何でも君の好きにしていいよ」

2010-01-25 21:39:13 | 団塊の世代
文芸春秋 SPECIAL 2010 季刊冬号

こころとからだの処方箋 健康への道


この特集で、わたしにとって大変興味深い記事があった。

健康対談

しがみつかない、がんばらない

香山リカ 鎌田實



香山
もう少し下の世代では、「何でも君の好きにしていいよ」と言うやさしい夫が問題です。

「私、仕事しようかな」と言うと、「あっ、いいんじやない」。「やっぱり辞めようかな」と言うと、「あっ、いいんじゃない」。

何を相談しても「いいんじゃない」なんですね。

そこで、「じゃ、どうしたらいい?」と聞くと、当たり障りのない言葉しか返ってこない。

こういったケースも妻は、分かってくれていないと感じるわけです。


鎌田 
僕はいわゆる団塊の世代なんだけれど、そういえば僕たちあたりから意識して、「君は君でやってみればいい」と妻や子どもに言うようになった気がする。


香山 
それは一見やさしいけれど、ずるいんですよ。

「君の好きにしていいよ」というのは、結局、「僕は責任を取りたくない」ということと同じ。


鎌田
あっ、そうか。
 

香山 
彼女たちは、自分がどういう人間なのか夫は考えてくれたことがない、向き合ってくれていないというように思っています。
 

鎌田 
どうしたらいいの?


香山 
もっと詰をちゃんと聞いて、個別のアドバイスをしてくれることを望んでいるんですよ。

私にしか通用しない、私向きの助言がほしい。

これはワガママでしょうか?

 
鎌田 
いやあ、当たり前の要求ですね。
 
以上、本より抜粋。


団塊の世代は自由、平等、民主主義という考え方の戦後教育を受け入れた第一世代だ。

それは、ある意味で、戦前の軍国主義の反動でもある。

わたしたちにとって、「自由、平等、民主主義」は、自分たちが、軍国主義に回帰しないためのお守りでもあった。

わたしたちは、すこしでも権威主義的なものを回避しようという強迫観念が根底にあったような気がする。

それが、この対談で語っている鎌田氏の言う「言い回し」になっていると思う。

相手に対して、権威主義にならないでいたいということが、相手に対して無責任な態度と化してしまう。ということは、香山リカ氏に言われてみて、気がついた。

これが、わたしたち団塊の世代の功罪の一つであろう。

もしかして、後輩達のわたしたちへの苛立ちとなっているものがあるかも知れない。

ただ、わたしたちの世代の人生は、まだ社会に「のびしろ」があった時代と重なっていたと思っている。

そのため、そのような考え方で、すんでいたものがあったと思う。

最近のように、社会が厳しい時代になると、やはり、無責任ととられてくるのだろう。



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