ヴィトゲンシュタインが、次のようなことを
言っている。
自分自身をごまかすな
自分をごまかしてはならない。自分のして
いること、気持ちのありかたをよく見つめ、
自分の心にじっくりと耳を傾ける必要かある
のではないか。
もちろん、この自分自身の心に聞くのだ。
自分に聞くふりをしながら、自分が想像し
た他人に聞いたりしないように。自分を見つ
めるふりをしながら、自分を眺めている他人
を見つめないように。
そしてまた、他人が見ているであろうとこ
ろの自分の姿を本当の自分だとわざと錯覚し
ないようにしながら。
以上。
ヴィトゲンシュタインが語ったとおり、自分
自身を理解することは、容易ではないようだ。
ところで、
他人の目にどう映るかは別として、自分が
「カッコいい」と想う人間には、誰だってな
れる。
オレはそう信じてるよ。
と語った人がいたが、どうだろう。
誰もやらなかった決断をしてみよう。
そうすれば、誰もが夢でしか見たことのない
場所にたどり着けるだろう。
と語った人もいたが、どうだろう。
みんな、自分の本音を知り得ているのだろうか。
少なからぬ人々は、他人からほめられようと
思っている。人から感心されたいと思っている。
さらに卑しいことには、偉大な人物だとか、
尊敬すべき人間だと見られたがっている。
と、ヴィトゲンシュタインは語っていたし、人
は誰も人並みでありたい。と、切望している。
又、ヴィトゲンシュタインは、こうも語って
いる。
「本当に欲しいもの」は別にある。
どのように欲しがっているのか。どんなふう
に求めているのか。それをじっくりと観察して
みればいい。
すると、何を欲しがっているのかわかってく
る。
というのも、人は欲しがっているものを本当
に欲しいのではなく、別のものを手に入れたい
と渇望しているからだ。たとえば、大型犬を欲
しがっている人が本当に望んでいるものは自分
が支配する力だというふうに。
とも語っているのだが、こうなると、自分自身
を知ることは、如何に困難なことであるかと、
いうことにしかならない。
となっては、いったい、どの程度の人が、人生に
納得がいくことになるのだろう?
迷うばかりだ。