この話題を、あえて「森林資源」に分類したのは、まさにバイオマスを資源にする技術だから。
長崎総合科学大学の視察は、前田武志参議院議員に誘われたから。そのほか多士済々。なかなか面白いメンバーが揃っていたのだが、坂井教授の研究はさらに面白かった。
「農林バイオマス3号」と名付けられたプラントは、木片から草木までなんでも、あっと言う間にガス化して、それを液体メタノールにするプラントなのである。なんと投入したバイオマスの持つ炭素量より多くのガスとメタノールが生成されるというから驚き(水蒸気を添加するため)。
ガスは一酸化炭素と水素だから発電や熱供給にも使えるし、メタノールにすればガソリン代わりにもなる。燃料電池もできる、という優れもの。
実は私は、あまりバイオマスエネルギーを信用していない。日本では素材の収集や燃料化の過程でエネルギーをかなり食うからだ。木質ペレットも、その輸送と製造にペレット自体が持つエネルギー量の3~5割を食ってしまう。それゆえ日本のエネルギー事情を大きく左右するのは無理ではないかと感じていた。
しかし、このメタノール生成装置はいいねえ。材料は粉体にしなければならないが、その製造エネルギーコストは、2%だという。そのほかのコストを折り込んでも、2割台だろうという印象を持った。
しかも、日本のインフラを大きく変える必要がない。現在のガソリンやディーゼル機関やロジスティックに多少の手を加えるだけで使える。これは普及のいう面でも有望だ。
ブラジルやアメリカでは、ガソリンにエタノールを添加した燃料が普及しているが、日本ではメタノール添加になるかもしれない。
ちなみになぜ日本でもエタノールにしないかというと、エタノールは飲める。それを添加したら、酒税法にひっかかるからだそうだ(@_@)。
#まさか元素変換あたり言い出していないだろうな,とプラント名をサーチしてに出てきた2,3件を探したのだけどこの炭素の収支については出ていませんでした.
水蒸気改質を無触媒でやっているということがアピールなのでしょうけど・・・
ようするにバイオマスの炭素と水素だけでなく、水蒸気からも水素も分解して「一酸化炭素+水素」という燃焼ガスを生み出すわけです。だからバイオマスのカロリーより多くの熱量が取り出せます。元素転換して酸素当たりから炭素を生成しているわけではありません(~_~;)。
これが無触媒でできることも驚きですが、構造がシンプルなので、装置を小型化できるのも魅力ですね。
すでに技術的にはクリアしているので、あとは実用試験をしてくれる組織がほしいところです。
そのくらい法律を変えたらどうなんですかね>国会議員さん。
ただエタノールは、トウモロコシやサトウキビなど糖分を発酵させて作るのが通常だから、食べられるものをエネルギーにするのはもったいないですね。未利用木材からメタノールを作るのが地球のためにもいいのでは。