「森林で働く」(大成浩市著・ぺりかん社刊)が届いた。
今回は拙著の書評ではなく、書評を書く立場。
実は著者の大成さんは、まだパソコン通信の時代の知り合い。最近ネットで再会したのだが、これまで逢ったのは1度だけかな。
面白い経歴の持ち主で、京都大学農学部を卒業後、山村の森林組合に勤務、それから大学院に入り直し、助手にもなったのにフリーとなって現在はウェブクリエーターや森林活用コンサルタントもしながらライター稼業……。勤めた経験があるだけに林業現場については詳しい。だから生まれた本かもしれない。
この本は、「なるにはブックス」という、いわば就職ガイドシリーズの一巻である。
だから森林で働く職業が紹介されている。大半が林業関係だが、炭焼きや木工、キノコ生産、インタープリター、猟師や樹木医も含まれている。
また林業職といっても、森林組合の作業班もあれば、公務員として関わることも林業家になって経営を考える場合もある。林業技師、森林情報士という資格もある。
しかし、パラパラと読んだところ、職業案内というより日本の林業と森林事情について詳しく書かれてある。そして森林の中で働く人々の人間模様が描かれている。
どんな人がどんな思いで、そしてどんな経緯をたどって森の中で働くことができたか。そして働いてみて何をどう思うか。それが伝わってくる。
正直言って、森林の中で働くのは難しい。そもそも食えない。
それを理解して、それでも興味があるという人。この本を読みなさい。