湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

物の詩パート18

2016-04-30 16:33:44 | オリジナル
ドラマ「ゆとりですがなにか」第2回のロケ地に使われた小坪海浜公園。

なんだかすっきりしたと思ったら、ロープウェイ遊具が撤去され黄色い階段だけが残っていたのでした。
 トマソン!?
いやいや「もの」は使いよう。きっと展望台的に有効転用したってことなのだ
というわけで、ここに登って最初の写真を撮ってみました。では、Hが書いた物の詩を投稿します。

ものプロローグ

目の前にあるのは
単なるものなんだよな

部屋にはものと私だけ

ものの回りには空気があって

このものにも成り立ちや歴史があって

きっと誰かの助けになっていて
もちろん興味のない人もいて

その身に月日を刻む

あれ??人と同じ

でもものには感情がない

もし、もしものに感情があって、人間を見ていたら?

そんなことあるわけないじゃん

きっとこういう最後は
じゃぁ、ものを大切にしよう!という終わりになるんだろうな
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色の詩パート10

2016-04-29 13:03:23 | オリジナル
私たち湘南文芸は逗子を拠点とする現代詩サークル。毎月詩を書いて詩作のセンスや技術を向上させるというモチベーションをもった地域の人間の集まりです。月ごとのテーマと締切に合わせ毎月1編以上詩を書いて提出し、月例会で批評し合うことを活動の基本としています。ですから作品を提出できなかった時は月例会に出席できません。スケジュールの都合で出席できない場合でも提出作品があれば、会合での批評内容を作者に報告します。3カ月間作品提出がなかった場合は自動退会になります。
メンバーのHは、本業の都合で合評会に参加できなかったり提出できなかったりする時もありますが、締切を過ぎても諦めずにテーマに沿って書いています。
先月のテーマ「色」でHが書いていた詩ができ上がったので、投稿します。

いろ(仮)

飲んだ薬の殻を右置く
また飲んでは今度は左

一日おきに水平になる天秤

ずっと古ぼけたこいつがいいんだと
始終にらめっこをしていた

今は右に肩を落としたままにいる

傾きは色のない時間の始まり
時は色を持たなかった

真っ白な春は水平とは程遠い

三度目になる東風は窓を越え縦横無尽

私は飲んだ薬の殻をそっと置く
古ぼけたやつは不機嫌そうに肩を揺らしたけれど
まだ少し右に傾いたまま

はらはらと舞い降りる花びらは
古ぼけたこいつにとうとう水平を与えた

時と水平は薄紅色に変わる


この詩は5月7日14:00~逗子市民交流センターで開催する合評会で取り上げます。
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鎌倉のパン屋さん

2016-04-28 01:14:29 | グルメ
北村太郎の詩集にちなんだ社名をもつ鎌倉の出版社港の人から出たこの本には鎌倉のパン屋さん22店が紹介されています。
 
読んだら鎌倉のパン屋さんに行きたくなって久々にママネへ。前行った時と場所が違ってます。同じ町内で引っ越したんですね。路地の奥の民家の玄関先を売り場にしていた以前よりも、ぐ~んとパン屋さんらしい構えになりました。
 mamane 鎌倉市材木座5‐9‐31 11:30~18:00(日)(月)(火)休
季節の果物や野菜などから作った自家製酵母で一晩じっくり低温発酵させ、北海道産小麦粉の甘味を引き出して、溶岩窯で焼き上げたパンを作っています。
 
「かまくらパン」には鎌倉在住のパン好き著名人によるパンエッセイやパンの詩歌も収められています。
その中から杉恒夫(1919~2009年)の短歌を一首引用します。
気の付かないほどの悲しみのある日にはクロワッサンの空気をたべる
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物の詩パート17

2016-04-27 21:49:40 | オリジナル
共通テーマ「物」でTが書いた詩を投稿します。

存在しつづける物

戦争あるいはパンデミック
人類が滅亡してしまったら
私はどうしたらいいのか
大量に残された「物」達は
焼却もリサイクルもできなくなって
永久にゴミと化してしまう
微生物の温床になり土に還る「物」はいい
いつか消えてしまうから
鉄やアルミ 金属の「物」は
陸上や海底にいつまでも存在する
私が地殻変動を起こし
マグマを流出させ溶かしてしまう方法もある
ただ原子力発電所だけは
放射能を永遠にまき散らすだろう
私にもなす術がない

頼りになるのは強靭な植物だ
何十万年をかけて私を覆い尽くす緑
その時
私は再生できるだろうか

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詩集「ジャズ」から

2016-04-26 23:51:38 | 
Sは約30年前に一冊の詩集を出しています。
4月16日の合評会の時に、その代表作について作者による解説をしてもらいました。

   夕暮れ
焼場の帰りのような眼をして
夕暮れの街を歩く
知った顔に出会わないのがなぐさめで
壁に囲まれているより こうしていると
希薄になれて気分がいい
「生」は
死を裏返しただけで
解説困難ではないだろう
むしろ「死」がくせものだ
「死」は視えた そして
破壊は不可能だった……
なぜ 夕暮れが夕暮れで
いつからこの路地に
魚を焼く匂いが流れるようになったか
いつまで自分は生きるか
なぞはかぞえきれないほどある
ああ こうして歩いているみんなも私も
一寸先は闇である それが
死者と生者の連帯か
死者達の姿は 面影は変らないが
夕暮れは いつでも
あの日の夕暮れと 何かがひどく異っている


冒頭の一行は自分を客観的に描いたもの。
主人公は「生」の船酔いをしています。「生」の船酔いは死ねば治るわけで、それが救いなのです。
「視えた」と書くのが作者のこだわりで、例えば霊柩車が通るとか具体的に「死」が見える瞬間を表しています。
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物の詩パート16

2016-04-25 23:40:35 | オリジナル
共通テーマ「物」でAが書いた詩を投稿します。

毛糸のカーディガン

春の朝
貧しい女の子が三冬の間着通したカーディガンが
ファイバーリサイクルに出された

ひじに穴があくと同色の毛糸で繕い
ボタンが取れるとつけ直して使ったが
六年生の冬には全体が窮屈になり
裾と襟ぐりは擦り切れほつれた
冬じゅう毎日同じカーディガンで
女の子は恥ずかしかった
けれどカーディガンは
冬じゅう毎日女の子と行動できて幸福だった
木枯し、落葉、藁、焚火、鉛筆、給食、絵具、猫、温めたミルク、チョコレート、石鹸
いろいろな臭いを吸い込んだ
雨や霙や雪も吸い込んだ

旅に出たカーディガンは
他の着古されたセーターたちと合流し
生まれ変わった時に次の持ち主が
冬じゅう毎日使ってくれることを夢見て
繊維に戻る

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物の詩パート15

2016-04-24 11:06:21 | オリジナル
共通テーマ「物」でSが書いた詩を投稿します。

手袋

それは 前後の脈絡もなく
夜の流れの中
駅の雑踏で
毛糸の手袋をはめたままの握手
ユトリロが
好きだった青年との再会
喫茶店に入って
ココアを飲むのは
ひどく断片的なことで

もう ユトリロは好きじゃない
と彼は云う
似たもの同士の気らくさから
イタリア留学のはなし
エッチングのはなし
二度の結婚
子供のはなし
で おしまい

ときどき しみじみと
わたしたちは声を上げ笑った
それから また
手袋をはめ握手して
遠ざかると ふたりの顔は
ほこりっぽい風景にあわせて
小さなデスマスクになったように 思う
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物の詩パート14

2016-04-23 01:34:15 | オリジナル
共通テーマ「物」でSが書いた詩を投稿します。

あいまいな事物

夢から
絶え間なく
現実へ
あいまいな
だがたしかな
「事物(ショーズ)」として
思い出せない顔のように
点滅しながら
落ちてくる雨

雨の阿片を吸い
ねむっている
空気

雨の手が
私の意識の表に
雨の声を刺しゅうする

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物の詩パート13

2016-04-22 00:06:46 | オリジナル
共通テーマ「物」でAが書いた詩を投稿します。

シュガーポット

あの子が手にとったとき
わたしは滑り落ちました
食堂の床に転がり見上げると
あの子はママに怒られていました
―なにやってるの、砂糖がもったいないじゃない!
あの子はうなだれました
涙を落としたら甘い砂糖たちが吸ってくれるわよ

あの子はしゃがんで
わたしを拾い上げほほえみました
―怪我はなかった? よかったわ
それはわたしがあなたにかけたかった言葉よ

あの子のママはまだ怒っていました
―紅茶もこぼしてる、早く拭きなさい!
あの子はわたしを元に戻し
食卓を拭き
床を掃除し

出て行きました
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物の詩パート12

2016-04-21 02:52:21 | オリジナル

来週から始まる逗子海岸映画祭のためのテントが建ち並びました。
では、共通テーマ「物」でSが書いた詩を投稿します。

自虐的
男を捨てました
鼻をかんだティッシュのように
飼いきれぬイヌを捨てました
足もとにロースハムを投げて
カメもヘビも
黒や茶のゆるいクツも捨てました
捨てれば幸福になれると信じて――
口笛を吹きながらだったでしょうか
よくおぼえていないのです
また逢う日までそばに置いておけばよかったのでしょうか
捨てた男の何が
重たかったのでしょうか
知性?
理性?
ペニス?
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