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湘南文芸TAK

逗子でフツーに暮らし詩を書いています。オリジナルの詩と地域と文学についてほぼ毎日アップ。現代詩を書くメンバー募集中。

メタファーとは

2015-08-30 15:29:05 | 
出来事や情景を描いているように見えて、実はメタファーによって深さや濃さが宿っているのが、優れた詩ではないでしょうか。
私たちの合評会でも、これは何のメタファーかというのをよく話し合います。
そこで、メタファーって何だ?というのを整理してみました。

隠喩(メタファー)…類似性に基づく比喩 ある語を通常の意味からずらして使う 類似性の謎解き 
小説から例を引くと、こんな表現。  
  ときどき甘い球を投げてやることを忘れるな(ウインズロウ) 
  誰だってクロゼットのなかに隠しておきたい骸骨があるものよ(キエフスキー)
  何かのプロである以上あたりまえについてくる美しいおまけ(よしもとばなな)
  わしの名簿ではトップ(パレツキー)
  ルルをちらっとみた行天が「破壊力あるね」とつぶやいた(三浦しをん)
  風景がどんどんめくられて通り過ぎて行く(尾辻克彦)

「みたいな」「のような」を付けると陰喩じゃなく直喩になっちゃって、浅めの表現になっちゃうから要注意。
アレゴリー・シネクドキ・メトニミーも、メタファーの仲間。
諷喩(アレゴリー)…寓話 たとえ話 隠喩の連続 
「猿も木から落ちる」的な表現です。↓ヴォネガットのウイットに富んだアレゴリー。
  おまえは先祖代々意志の強い、機転のきく、小さな小さなオタマジャクシの家柄の生まれだ―それぞれがチャンピオンばっかりだぞ
提喩(シネクドキ)…直喩や隠喩のように類似を基礎にしたイメージ転換ではなく、上位の類概念と下位の種概念という関係に基づいて置き換える技法
例)親子丼 ドンファン 飲む・打つ・買う 空から白いものがふってくる 人はパンのみにて生きるにあらず
換喩(メトニミー)…隣接性に基づいてずらす技法
黒帯=柔道の有段者、赤門=東京大学、花=桜、看板=閉店、赤い羽根=共同募金、柏手を打つ=参拝する…みたいな表現です。

要するに4つとも「みたいな」「のような」を使わずに言葉を置き換え象徴的に表現するテクニック。
詩を書く時は、浮かんだ言葉やイメージを他の言葉にズバッとユニークに置き換えられるか、じっくり考えてみよう。
  
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「廃墟」の詩パート11

2015-08-29 17:24:13 | オリジナル
共通テーマ「廃墟」でAが書いた詩を投稿します。

スペクタクル 

振幅が最大限に達した空中ブランコ
茨の蔓でできたロープを握る
私の手から滴る血
とともに急速に垂れ下がっていく
ブランコ
観客
動物
団員

が 円形の泥濘舞台に
見る見る吸い込まれる

雨の中ひっそりくずおれているテントを見おろし
ぬかるんだ地面にテントを建てるからこんなことになるのだと
村人たちは口々に言うが
土中で私の血肉は菌が喜んで吸収し
華やかな輪を広げている

私は廃墟サーカスのブランコ乗り
めまいする振幅を保ったまま

「廃墟」の詩は9月11日(金)14:00から逗子市民交流センター1階市民交流スペースで開催する合評会で取り上げます。
参加・見学希望者は「湘南文芸」と書いたホワイトボードのあるテーブルにお気軽にいらしてください。
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うらみの径ユリイカ佳作版

2015-08-28 14:01:15 | オリジナル
ユリイカ9月号「今月の作品」でAの詩が佳作をいただきました。実は6月号からずっと選外佳作続き。
こうなるとありがたいとかうれしいというよりは、いつ脱出又は脱落するのか、ちょっとしたプレッシャーです。
では、今回は前号佳作だった作品を投稿します。

うらみの径

滝から散り壺から昇る水の分子で
径は常に濡れている
背後の壁も濡れている
その壁を鑑賞する者はいない
このトンネルのような径では
滝の背が表 壁が裏ということになる

こんなに冷えて滑りやすい径に入り込み
好色な眼つきで後ろから
自分を覗く人間がいるとは知らず
滝は上から片道で
勢いよく落ちていく

「裏見の滝」の見物客のそれぞれが
温度が不安定で湿度の高いぬかった道を
抱えているとは考える暇もなく
滝は下へと片道で
勢いよく落ちていく

飛沫に濡れながらさざめく歓声の長調 
匿名でつぶやく恨み節の短調 
自分が出している美しく心地よい律のこと
知ったら滝は
流れを止めるかもね
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「廃墟」の詩パート10

2015-08-27 00:53:18 | オリジナル
共通テーマ「廃墟」でAが書いた詩を投稿します。「廃墟」の詩は9月11日14:00から逗子市民交流センター1階市民交流スペースで開催する合評会で取り上げます。

不利な戦闘

標的を求め続ける悪意と
偏在する空疎な富と
真空の「空気」に
わたしの尊厳は突きまわされ
息切れしたところを斬りつけられ
気が遠くなったところで鼻と口を塞がれ
ついには抹殺されようとしている

巨大な冷たい城が見下す
純真の廃墟 
善良の廃墟 
誠実の廃墟 
寛容の廃墟
博愛の廃墟 
品性の廃墟 
正義の廃墟 
理性の廃墟 
勇気の廃墟
情熱の廃墟 
自由の廃墟 
原初からなかったかのように無視するのなら
だれがなぜ
到達しえない理想を地上に植え付けたのだ
わたしたちを狂わせるためか

廃墟に立て籠るのは無駄な抵抗だと上から無言で宣告するのだな
自分をスマホで撮影しながら雑沓を歩いていればいいのだと嘲弄するのだな

死ぬくらいなら
敗北感は否めないが 一旦思考を停止する
無駄な闘いなのだろうが いつか再起する
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力を尽くして淡い世界を読む

2015-08-26 01:01:24 | 文学
 
↑駐車場の塀にスクラッチで描かれたアート。小坪で。

 ぼくたちの前に広がっているのは、精妙な世界、揺らいでいる世界、あるかなきかの世界、乱暴に触れるとたちまち消えてしまう淡い世界だ。
 だからこそ、ぼくたちは、力を尽くして読まなければならない。
 さあ、耳を澄まし、その世界でなにが起こっているのか、そのすべてを感じるために、すべての感覚を研ぎ澄まそう。

(高橋源一郎「非常時のことば」より)

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「廃墟」の詩パート9

2015-08-25 01:15:36 | オリジナル
共通テーマ「廃墟」でAが書いた詩を投稿します。
 NIGHT WAVE@逗子海岸
未確認格納庫

なめらかな表面でしずかに空気を裂き
昼の月が浮かんだ薄い空にまぎれて鋭く角度を変え
木々の梢を揺らすことなくすりぬけ
一軒の家のこわれた屋根にすべりこむ
一瞬だけ曲面を鈍く反射させる物体
散歩で毎日通るので
私と犬は何度か見た

飛行物体に連れ込まれたくないなら
吠えないようにと
犬には口止めしてある
異星人のペットの尻尾は何本?
いけない!
興味をもっては駄目だ
この格納庫は
地球人にとってはただの廃屋
あくまでも散歩途中に見える人の住まぬ家
宇宙的には重要な施設だとしても

「廃墟」の詩は9月11日(金)14時~逗子市民交流センター1階で行う合評会で取り上げます。
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「廃墟」の詩パート8

2015-08-24 00:00:41 | オリジナル
 竹村健「空気の変わったある夜」
Tがこの版画を見て作った詩です。

      願い

もう何も起こらないのだ と分かっていても
もしかしたら何かが起きるかもしれない

夜 星々は私の真上に落下し続け
新月には鼓動が確実に甦る
特別な言葉が潜んでいたり
誰も持つことのない力が奥深くに残っている
ということもある
千年前は名も知られていない王国の中心地だった
私は廃墟
千年後 宇宙への発着基地になっているかもしれない

私が朽ち果てるのを留めさせているもの
夜ごとの夢見
反する力はぶつかり合い
いつか人を惹きつける場になる
ということもある

「廃墟」の詩は9月11日(金)14時~逗子市民交流センター1階で行う合評会で取り上げます。
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現代詩は「外部の詩」

2015-08-23 13:50:48 | 
現代詩って、社会や自分を解剖していく言葉の冒険。さらさらとありきたりのことを書いてはいけない密度の高い緊張感。
松浦寿輝さんは、内部の詩と矛盾しつつ共存する外部の詩と定義しています。

 内部の詩が円環的な求心力に統べられているのに対して、外部の詩は逃走線に沿ってどこまでも拡散してゆく。前者が共同体の起源をいつまでも記憶しつづけようとするのに対して、後者はむしろ起源を忘れ、血も習俗も忘れ、内から外への閾を越えようとする一瞬の不安定な「今」と「ここ」だけを更新しつづけようとする。前者が暗闇を照らし出す中心の火を淵源に持ち、そこへと絶えず求心的に還ってゆく言葉であり、いわば「火の詩」とでもいったものであるとすれば、それに対して後者はいわば、どこから来るとも知れずどこへ行き去るとも知れず吹きすさぶ「風の詩」と呼びうるものであるかもしれない。それは、唇から出るやいなやただちに風に吹きちぎられてゆく言葉、しかし、と同時にみずから風と化し、人々の魂と身体のうちにまで沁みいってゆく野ざらしの言葉である。「風狂」の倫理と存在美学が指し示しているのも、こうした「風の詩」の領域なのではないか。
 大まかな括りで言えば、「古典の空間」とは内部の詩が咲き馥る場所のことであり、「現代詩の冒険」が繰り広げられるのは外部の詩が吹きすさぶ荒野のことだととりあえず定義できるかもしれない。が、しかし事態はそれほど単純ではない。実のところ、こうした内部/外部の対立自体、観念的な二分法にすぎず、内部と外部、火と風は、一人の詩人の中で矛盾しつつ共存しているのだろう。内部へ引き絞られてゆく力と外部へと逃れ出てゆく力と、その両者に絶えず引き裂かれながら産み落とされてゆくものが真正の詩なのだろう。
 内部のただなかにいきなり外部の孔が穿たれる場合にせよ、外部のただなかに不意に内部が囲いこまれる場合にせよ、そのときわれわれが立ち会うのは、言葉とその意味との間に結ばれている因習的な関係に何らかの地滑りが生じるという出来事である。意味作用を統御する出来合いのコードに亀裂が走り、ふつう意味される以上のもの、ふつう意味される以下のものを背負い込んでしまった言葉が、その過剰な負荷に軋むとき、そこに走り抜ける出来事が詩なのである。
  
「詩の波 詩の岸辺」より
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「廃墟」の詩パート7

2015-08-22 09:55:29 | オリジナル
昨日、ブログタイトルを入れ忘れたまま公開してしまい失礼いたしました
今日も、共通テーマ廃墟でAが書いた詩を投稿します。オノマトペをカ行で揃えて作りました。

廃公(校)

廃教室の扉をガタガタ開けて
キーキーと女のロボットが入って来る
すぐ後ろからガチャンガチャンと男のロボット
アルマイト製の頭蓋骨の中で酸化した油が
グルングルンとゆっくり揺れている
ゴトンゴトンと部品を落とし
ギイギイ接合部をきしらせながら向かって来る

心があるのも怖いが
ないのも怖ろしいものだ
追われたら逃げるしかない
かすれたチャイムが
ギンゴンガンゴーン

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「廃墟」の詩パート6

2015-08-21 00:00:06 | オリジナル
共通テーマ「廃墟」でAが書いた詩を投稿します。レイアウトをタイトル・内容に合わせてみました

シンメトリ

完璧なバランスが嫌だって
ひょっとして君は神なのか
それとも自らの救い難いアンバランスを
一瞬でも自覚したくないのか

かつてはシンメトリだったが
左右対称に崩れるわけはなく
深い森の中で濃度を増し
アシメトリ和音の波を伝えながら
ようやく安らいでいる城を
寛容さのかけらもない君は
やっぱり嫌うんだね
使われていた時だって
棄てられた今だって
こんなに美しいのに

君が訪れないことを
この城は歓迎しているよ
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